2017年12月22日金曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年12月)


ファーバー博士からメールが届きました。

足元の米国株は、ちょっとした悪材料に対して脆弱で、
現在の強気相場はいずれ調整を迎える
と厳しい見方を示してくれました。

一方で株価の大底を判断する方法も教えてくれました。
やさしいな。

ご興味ある方は以下のリンクをクリックください。

マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

2017年12月20日水曜日

願望めいたものを感じる「ビットコイン下落=仮想通貨バブル崩壊」の見方

 12月18日以降のビットコインが軟調に推移している。ドル建てビットコイン価格は、日本時間17日夜に1万9800ドル近くと過去最高値を更新。円建てでは228万円程度と、過去最高値の240万円には届かなかったものの、前日(16日)朝方の200万円ちょうど近辺から上昇していた。

 翌18日には、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が、ビットコインの先物取引を開始。期近(2018年1月)物の初値は2万650ドルと2万ドルを超えるなど、ビットコインの先高期待は続いているとみられていた。

 しかし現物のビットコインは、日本時間18日に入ってから下落基調で推移。本日(20日)朝方のドル建て価格は一時1万6千ドル割れと、17日夜の高値から約20%の下落。円建ては200万円ちょうどを割り込んだ。

 一方で、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)は騰勢を強めている。ビットコインに次ぐ時価総額を有するイーサリアムは、日本時間19日夜に一時881ドルまで上昇し、過去最高値を更新。本日(20日)朝方は761ドルまで下げたが、17日までの高値を上回っている。仮想通貨で3番目に大きな時価総額を有するビットコイン・キャッシュは、本日朝方に3300ドル超えと、17日の1800ドル台から大きく上昇し、過去最高値を更新している。

 ビットコインが下落したものの、アルトコインが上昇したことで、仮想通貨全体の時価総額は大きく減少していない。仮想通貨の時価総額を公表するコインマーケットキャップによると、仮想通貨全体の時価総額は、日本時間20日午前8時時点で6185億ドル程度と、19日午後5時ころに記録した過去最高(6380億ドル)から3%程度の減少にとどまっている。この結果、仮想通貨市場全体に占めるビットコインの時価総額シェアは48.3%と、10月8日ぶりとなる50%割れを記録した。

 ビットコインの下げが目立ったことで、一部で強く期待され続けている「仮想通貨バブル」の崩壊を指摘する声が強まるかもしれない。しかし、仮想通貨市場全体の時価総額が大きく減少していないことから、18日以降の動きは、ビットコインからアルトコインへの資金移動によるものと解釈すべきだろう。ビットコイン決済サービスを提供する米ビットペイ(BitPay)や仮想通貨取引所大手のコインベース(Coinbase)が、ビットコイン・キャッシュの取り扱いを始める意向を表明したことが材料視されたとの見方もある。

 仮想通貨の代表例であるビットコイン価格が下落したことで、仮想通貨全体に対する期待が後退し、いずれアルトコインも下落する展開も否定しがたい。しかし世界景気が拡大基調で推移し、日銀を始めとする各国中銀による金融緩和を背景に金余りは慢性化しており、仮想通貨市場から資金を引き揚げる誘因(インセンティブ)が一気に強まるとも考えにくい。

 米連邦準備理事会(FRB)による米金融政策の正常化が、仮想通貨市場の転機につながる可能性はある。FRBは今月の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25─1.50%に25bp引き上げることを決定。同時に公表したFF金利見通しでは、2018年、19年ともに3回ずつ利上げが実施されることを示唆した。またFRBのバランスシート縮小ペースは、来年1月から最大200億ドル、4月からは同300億ドル、7月からは同400億ドル、そして10月からは同500億ドルと加速する。ただ、FRBの金融政策正常化のプロセスは緩やかなものであり、その影響も徐々に表れると予想される。

 欧米勢がクリスマス休暇を迎え、株式や債券といった伝統的な金融市場の動意が乏しくなりつつあることもあり、投機的な動きが反映されやすい仮想通貨市場の値動きが今まで以上に不安定化する恐れは否定できない。しかし、足元のビットコイン価格の下落を仮想通貨バブルの崩壊につなげる見方には願望めいたものが含まれているように感じてしまう。

2017年12月11日月曜日

期待通りの働きは当面期待できないビットコインの先物市場



 米CBOEグローバル・マーケッツが運営するシカゴ・オプション取引所(CBOE)は、米中部時間10日17時(日本時間11日午前8時)にビットコインの先物取引を開始した。期近(1月限)先物価格は15460ドルで始まり、日本時間午前10時ころまで16000ドル付近で上下動を繰り返していたが、日本時間午前10時を過ぎると上昇基調で推移。日本時間午後5時現在の価格は18800ドル近辺と、清算(スポット)価格(16880ドル)を11.4%ほど上回っている。

 先物価格が短時間で急上昇したことで、CBOEは取引開始2時間半後と4時間後の2度にわたり取引を一時停止。CBOEのウェブサイトは、アクセスが急増したことで表示の遅延や停止が生じた。ビットコイン先物取引の開始は、世界的な注目を集めているようだ。

 ビットコインの先物市場が始まったことで、ビットコイン取引のすそ野が広がるとの見方も示されている。現物のビットコイン取引は、ブロックチェーンという仕組みのもと、世界中に存在するマイナーが各々、独立して分散処理をすることで取引が承認される。しかし、これでは、カウンターパーティーリスクが不明瞭のまま放置されることになり、資産保全の厳密性も確保しにくい。こうしたことから、従来型の機関投資家のほとんどは、ビットコイン取引に消極的なままだった。

2017年11月25日土曜日

低インフレ、金融緩和 そしてビットコイン


 日本のインフレは弱いままである。消費者物価指数(CPI)は8月、9月と2カ月連続で前年比+0.7%と、消費税率引き上げの影響が一巡した2015年4月以降、最も高い伸びに加速。ただ内訳をみると、エネルギーによる押し上げ効果(寄与度)が+0.5%、生鮮食品を除く食料の寄与度が+0.2%と、この2つで伸びのほとんどが説明できる。これらは原油価格の上昇を背景とした公共料金の引き上げと、酒の安売り規制を強化する改正酒税法の施行による酒類の上昇によるところが大きく、内生的に物価上昇圧力が高まっているとは言い難い。現に、食料とエネルギーを除くCPIは、今年2月から7月まで前年比で小幅マイナスで、8月、9月はゼロ(横ばい)である。

 インフレが弱いのは米国でも同じである。CPIは10月に前年比+2.0%と前月から鈍化し、食料とエネルギーを除くCPI(コアCPI)は同+1.8%と7カ月連続の2%割れである。PCEデフレータは9月に前年比+1.6%とハリケーンの影響でエネルギー価格が上昇したにもかかわらず2%割れのまま。FRBがインフレ目標のターゲットとするコアPCEデフレータは同+1.3%と、2012年5月以降、2%割れのままで、年初(1月時点で前年比+1.9%)からみると鈍化している。

 FOMCでは、弱いインフレが長続きする可能性を指摘する声が増えているようだ。日本時間の昨日(11月23日)早朝に発表されたFOMC議事要旨(11月2日結果発表分)によると、FOMCスタッフは、来年のPCEデフレータが、コアPCEデフレータの「説明しがたい」鈍化により下方修正される可能性があると指摘。FOMC参加者の多くは、コアPCEデフレータが当初の予想よりも長く2%割れを続ける可能性があると認めている。

2017年11月17日金曜日

金融庁はICOを事実上否定 仮想通貨は発展を続けるか?


 金融庁は10月下旬より、仮想通貨関連事業への規制・監督を強化する姿勢を示している。今後、日本企業によるICO(Initial Coin Offering)は大きく制約されることになり、仮想通貨交換業者(仮想通貨取引所)に対する規制・監督の流れは強まるだろう。ただ金融庁が、仮想通貨関連事業に関し、明示的なスタンスを明らかにしたことで、仮想通貨関連事業は、他金融サービスと同じ位置づけを得る機会を得たと考えられ、長期的には日本における仮想通貨関連事業が、さらに発展する展開も期待される。

 金融庁は10月27日、「ICOについて利用者及び事業者に対する注意喚起」と題したペーパーを公表した(http://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/06.pdf)。ICOとは、資金を調達したい企業などが「トークン」と呼ばれる新しい仮想通貨を独自に発行し、投資家が保有するビットコインやイーサリアムといった広く普及している仮想通貨と交換することだ。企業はトークンと交換して得た仮想通貨を、ドルや円といった通常の通貨と交換することで資金を調達できる。またトークンを取得した投資家は、トークンの値上がり益を期待することができる。

 金融庁のICOに関する注意喚起は、利用者向けと事業者向けの二つで構成される。利用者に対しては、ICOで取得したトークンの価格が下落する可能性があるほか、ICOで記載されたプロジェクトが詐欺である可能性があるとし、トークンを購入するに当たってはリスクや内容を十分に理解したうえで自己責任での取引が必要であるとした。

 事業者に対しては「ICOへの規制について」として、以下のような注意喚起がなされた(全文抜粋)。




マーク・ファーバーのコメント(2017年11月)



ファーバー博士は、足元での米国株の上昇に対する考え方として、
長期で山谷(サイクル)を確認する重要性を指摘しています。

具体的には、株価チャートの高値・安値の確認だけでなく、
CPIを用いた実質株価の動きをファンダメンタルズと組み合わせる
重要性を指摘しています。

ご興味ある方は以下からどうぞ。

マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

2017年11月7日火曜日

先物上場の承認見送りで急落する可能性もあるビットコイン

 世界最大のデリバティブ取引所を運営するCMEグループは10月31日、米商品先物取引委員会(CFTC)の承認が得られれば、年内にもビットコイン先物を上場すると発表した。じつはCMEは9月まで、ビットコイン先物の取り扱いに関し慎重な姿勢を示していた。CMEのダーキン社長は9月下旬、一部米系テレビでのインタビューで、ビットコインはまだ生まれたばかりで、CMEが先物契約に関し、非常に近い将来、前に進むとは思えないと述べた。

 しかし、米シカゴ・オプション取引所を運営するCBOEホールディングスは8月、来年初めまでにビットコイン先物オプション商品を上場すると発表。店頭デリバティブ市場でスワップ取引プラットフォームを提供するレッジャーXは、CFTCの認可を得て、ビットコイン・オプションの取引を始めた。競合関係にある他社が、ビットコイン関連ビジネスを始めたことで、CMEもビットコイン関連ビジネスに関し方針を変えざるを得なかったとみられる。

2017年10月23日月曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年10月)



ファーバー博士から、久しぶりにメールをいただきました。
博士の長期ドル安シナリオは興味深いです。

詳しくは以下リンクをクリックしてください。

マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

ドル円相場では賞味期限切れとなった日本の総選挙

昨日(10月22日)投開票の第48回衆議院選挙では、自民党が単独で283議席の獲得と、選挙前勢力(284議席)を維持。連立パートナーである公明党が29議席の獲得と、選挙前から獲得議席数を5議席減らしたが、自公両党で312議席と全議席数の3分の2(310議席)を超えた。自公両党が衆院選で3分の2以上の議席を得たのは、今回の選挙も入れて3回連続となる。

【表:党派別議席獲得状況】


 政治の分野では、与党だけで3分の2の議席を占め、憲法改正に前向きな姿勢を示す希望の党が出現したことで、憲法改正の国会発議のハードルが大きく下がった点が注目されている。また、解散前後は大幅な躍進が期待された希望の党が議席を減らす一方、急ごしらえの感が否めなかった立憲民主党が公示前から3倍超の議席を獲得し野党第一党になるなど、興味深い点も散見される。

 ただ今回の総選挙をラフに捉えれば、今回の選挙は、日本国民の大多数が、政権交代など望まず、アベノミクスを含め現在の政策群の継続を支持したと解釈すれば事足りる。日本の実質GDP成長率は、昨年から今年前期までの1年半にわたり前期比プラスを維持。実質賃金は前年並みのままだが、失業率は2.8%と1994年6月以来の低水準に低下。日経平均株価は2万1千円台と1996年10月以来の高値を記録した。給料は大きく上がらないまでも、雇用が脅かされることもなく、株価も上がっている状況に大きな文句をつけるのは難しい。内閣府が1963年から続けている「国民生活に関する世論調査」によると、現在の生活に「満足」と回答した割合は73.9%と過去最高を更新した。機密保護法、安保法、森友・加計問題などを通じ、安倍政権に対する批判が和らぐことはないが、「満足」な現在の生活が変わるリスクを負ってまで安倍政権を変えようと思う方は少数派だろう。

 週明けの為替市場では、ドル円が先週末終値の113円台半ばから一時114円ちょうど近辺に上昇。あたかも日本の総選挙の結果が好感されたかのようにみえるが、23日正午前のドル円は113円台後半に失速している。投開票前の事前調査で、自公が300程度の議席を確保するとの見方が示されていたことを考慮すれば、今回の総選挙の結果が市場のサプライズになったとは考えにくい。

 むしろドル円の上昇は、先週から続いている米国での税制改革推進の動きや米FRBの追加利上げ継続期待を反映したものと解釈すべきだろう。現に週明けの米債利回りは、2年債が1.58%台と9年ぶりの高水準を維持。ドル円の上昇をサポートした。

 ただ一方で米10年債利回りは、朝方に2.39%ちょうど近辺を記録したものの、その後は2.38%台前半に失速。米税制改革に対する期待感はあるものの、米国のインフレ期待は強まっておらず、今年後半の米景気が加速すると期待することも難しい。この結果、米10年債(ひいては長期債)利回りは、米FRBによる追加利上げ継続期待が高まっているにもかかわらず上値が抑えられている。

 ドル円は日米10年債利回りとの連動性が高いことが知られているが、米10年債利回りの上値が重いなか、ドル円が日本の総選挙を材料に上昇を続けるとは期待しにくい。日本の総選挙に関する評価や分析は、しばらく日本のメディアを賑わすかもしれないが、ドル円相場における材料としての賞味期限はすでに切れているように思われる。

2017年9月29日金曜日

日本企業の変革にかかっている日本経済の今後

 世界景気は、昨年(2016年)後半から堅調に拡大している。OECDが公表する世界景気先行指数(Global Leading Economic Indicator)は、2013年後半に前年比3%程度のペースで上昇していたが、その後、上昇ペースは鈍化し、2014年後半から2016年前半までの2年間は1.5%程度とギリシャショックの2011年後半以来の低い伸びが続いた。しかし2016年7月から世界景気先行指数は加速に転じ、9月には前年比2.0%、12月には同2.5%、そして最新データにあたる今年3月には同2.9%に加速した。

 4-6月期も世界景気は堅調なペースで拡大を続けている。主要国の4-6月期・実質GDP成長率を見ると、米国が前年比2.2%増と前期(1-3月期)から加速。中国は同6.9%増と前期と変わらず。ドイツは同2.1%増と2014年1-3月期以来の高い伸びに加速した。

 7-9月期も世界景気は好調を維持していると推察される。米ISM製造業景況指数は8月に58.8と2011年4月以来の高水準を記録。中国製造業PMIは8月に51.7と6月と同水準に高止まり。ドイツZEW景況感(期待指数)は7-9月平均で14.8と、前期(4-6月期)の19.6から低下したものの、前々期(1-3月期)の13.3を上回っている。

 日本も他国と同じように比較的順調な拡大を維持している。実質GDP成長率は昨年7-9月期に前年比1.1%増と1年ぶりに1%超を記録。翌10-12月期は同1.7%増に加速した。しかし今年1-3月期は同1.5%増、4-6月期は同1.4%増と、今年に入っても成長率は1%台を維持しているものの、緩やかに鈍化している。

 日本の成長率が伸び悩む理由として潜在成長率の低さが指摘されている。潜在成長率とは、経済的な付加価値を産出する際に必要とされる労働力、資本、生産性の3つの要素をすべてフル活用した場合に達成される成長率のことである。日本は、すでに人口減少局面に入っているため労働力の伸びが低く、設備投資が盛り上がっていないことから資本ストックの伸びも小さい。この結果、日本の潜在成長率は現在、ゼロ%台前半から1%程度と言われており、足元の成長率(1%台半ば近辺)は、潜在成長率からみれば良好であるとの見方すら存在する。

 ただ潜在成長率は、あくまで国内の生産要素を想定した考え方で、海外経済との連動性を明示的に考慮していない。仮に日本経済が、海外経済の拡大をより効果的に取り込むことができれば、日本のGDP成長率は、潜在成長率を大きく上回ることも可能である。

 日本が海外経済の拡大をどの程度、取り込むことができているかを見るために、ここではGDP成長率に対する純輸出(財・サービスの輸出から輸入を差し引いた額)の寄与度をみてみよう。今年4-6月期の場合、純輸出の寄与度は+0.5%と、全体の伸び(+1.4%)の約3分の1を占めている。なお、アベノミクスが始まった2013年1-3月期以降、日本の純輸出の寄与度は、-1.2~+1.3%と非常に狭い範囲で推移しており、2013年1-3月期から今年4-6月期までの4年半の平均は+0.2%に過ぎない。

 外需寄与度が狭い範囲に収まり、平均では+0.2%に過ぎないことは、日本経済が外需に左右されず、内需中心の体質になったと解釈することもできる。しかし、足元のように海外経済が堅調に拡大している局面では、日本が海外経済の拡大という恩恵を取りこぼす結果になっているとも解釈できる。

 たとえば、日本がオイルショックを乗り越えて再び成長軌道を取り戻した1980年代前半(1981~84年)の純輸出の寄与度は、0.0%~+2.3%と常にプラスで、平均で+0.9%と今の4倍以上の水準にあった。この結果、同期間の日本の実質GDP成長率は、平均で+3.9%と、こちらも今の4倍以上の高い伸びとなっている。当時の日本は、海外経済の動きを効率的に取り込み、高い成長を確保できていた。

 なぜ今の日本は、海外経済の拡大という追い風を取りこぼすようになってしまったのだろうか。一つの仮説として考えられるのは、日本企業がグローバリゼーションという世界的な流れへの対応に遅れてしまったということだ。日本では第二次世界大戦後から90年代前半までの長きにわたり国内市場が持続的に拡大してきた。この結果、日本企業の多くは、たとえ内需型産業であっても、それなりに発展することができたが、この成功体験が、海外市場への対応を軽視する企業文化につながった可能性がある。

 日本人の多くは強く感じるように、外国語に対するアレルギーも日本企業のグローバリゼーション対応の遅れにつながったのかもしれない。また日本は第二次世界大戦後、米ソ冷戦体制のもと米国に追随することで奇跡的な発展を手に入れたが、この結果、日本では海外=米国という枠組みが頭の中で定着し、90年代後半からの中国をはじめとする新興国の経済発展の流れに乗り遅れてしまった可能性も考えられる。

 リーマンショックと呼ばれる2008~09年に起きた世界的な金融危機による大打撃が、日本企業経営者のトラウマとなっているのかもしれない。リーマンショック時の日本では、大企業も含め数多くの企業が破綻し、数多くの労働者が解雇された。この痛手からの教訓として、日本企業の経営者は、海外経済との連動性をあえて断ち切り、業績の安定化を手に入れたのかもしれない。しかし、その引き換えに、海外経済の拡大を取り込み、業績を大きく拡大させるチャンスを見過ごしてしまった可能性も考えられる。この見方は、日本企業の多くが、万が一に備えるという名目で、増収増益が続いているにもかかわらず、設備投資や賃上げを実施せず、稼いだ利益を負債返済や現預金の積み増しに動いている姿からも推察できる。

 アベノミクスにおける第一の矢(金融緩和)や第二の矢(財政支出の拡大)は、日本経済を活性化したものの、海外経済の拡大を取り込むという点で大きな期待は持ちにくい。それゆえにエコノミストの一部は、日本経済のさらなる発展を目指し、第三の矢(成長戦略)に強い期待を示しているが、海外経済拡大の取り込みにおいては、政府が策定する成長戦略が果たす役割は限定的なものでしかない。結局のところ、日本企業経営者が、考え方や行動を変え、最終的には日本企業の収益力を上げていくしかない。10月22日投開票の衆議院選挙どのような結果に終わったとしても、日本経済の先行きは、政治ではなく日本企業の変革にかかっているように思われる。


2017年9月14日木曜日

日本の上場企業経営者の課題:敵対型アクティビストを回避するための資本生産性の引き上げ

 法人企業統計によると、今年6月末時点の日本企業(除く金融・保険)の総資産は1556兆円と3月末の1569兆円から縮小したが、自己資本は664兆円へと増加し、自己資本比率は42.7%と1954年の統計開始以来の過去最高を更新した。

 日本企業の自己資本が増加を続けているのにもかかわらず、日本の株式市場では日本企業の多くが割安に放置されている。全上場企業のうち株価純資産倍率(PBR)が1倍未満の割合を日米英独の4カ国別にみると、英国が14%、米国とドイツが10%であるのに対し、日本は38%と突出して高い。

 日本の上場企業が割安に放置される理由の一つとして考えられるのは、日本企業が現預金を過剰に保有していることだ。日本企業が保有する現預金は、6月末時点で192兆円と過去最高を更新し、総資産に占める割合は12.3%と26年(1991年6月末)ぶりの高水準に上昇した。手元流動性が時価総額の30%を超える日本の上場企業数は約4千社のうち200を超える。

 日本は英米にくらべ現金保有コストが高い。日銀は2016年1月にマイナス金利政策を導入。これにより預金金利は、すべての預入期間においてほぼゼロとなり、円建ての安全資産とされる日本国債の利回りも、満期10年未満まですべてマイナスとなり、10年物ですらゼロ近辺となった。こうした結果、有価証券から得られる日本企業の金利収入は激減した。

2017年8月24日木曜日

帰属家賃の品質調整で日銀の金融政策に変化は生ずるか?

 総務省は帰属家賃に品質調整を実施する可能性がでてきたと報じられている。帰属家賃とは、実際には支払っていない持ち家に対する家賃を賃貸物件の家賃から推計したもの。消費者物価(CPI)全体に占める帰属家賃の割合(ウエイト)は日米ともに高く、日本では15%、米国では24%と高く、帰属家賃のCPIに与える影響は大きい。

 日本の帰属家賃は2008年10月から前年割れを続けており、今年4-6月期は前年比で0.3%低下している。一方、同時期の米国の帰属家賃は前年比3.3%の上昇である。帰属家賃における両者の違いが、日米のインフレの違いにつながっているとの見方もある。

 日本と米国では帰属家賃の推計方法に違いがある。米国では推計に際し、住宅の経年劣化の影響を織り込む(品質調整を実施する)が、日本では織り込まない(品質調整を実施しない)。一般に、住宅の品質は時間とともに劣化し、それが家賃に反映される(家賃が下がる)傾向にあるが、日本ではこの影響を考慮しないため、帰属家賃が恒常的に低下する一因であると指摘されている。

 一部報道によると、日銀は2015年の政府・統計委員会で日本の住宅の老朽化を示し、住宅の品質の変化を考慮できていないために物価に下押し圧力がかかっていると指摘した。実態に近づけるために劣化を考慮し、家賃に品質調整をすれば、CPI全体が0.1~0.2%押し上げられるという。

 総務省は、過去30年間の住宅・土地統計調査のデータから住宅の経年劣化が家賃に与える影響について分析し、1983年から2013年にかけて新築物件の家賃が平均で年率1.1%上昇したのに対し、既存物件は同0.7%にとどまったことを明らかにした。新築物件と既存物件の伸びの差である0.4%が経年劣化分と考えることができる。上述したように日本のCPIにおける帰属家賃のウエイトは15%だから、帰属家賃を品質調整すればCPIは0.1%弱(0.4%×15%)程度押し上げられることになる。

 ただ、足元での日本のCPIは、総合CPI、コアCPIともに前年比+0.4%程度。仮に日本の帰属家賃に品質調整が実施されたとしても、両CPIは+0.5%程度になるだけで、2%インフレ目標に大きく近づくわけではない。2%インフレ目標に少しでも近づきたいという日銀の思いはわからなくもないが、多大な労力をかけた割に得られる果実は、日銀にとって大きいものに思えない。

 帰属家賃が具体的に計測されるものではなく推計によるもので、かつ実際の経済活動に用いられることがないことも考えると、日銀は帰属家賃を押し上げることを考えるよりも、インフレとみなす対象指標を帰属家賃が含まれないものに変更したほうが合理的に思える。日銀が現在、対象としているインフレ指標は、生鮮食品を除く総合CPI(コアCPI)だが、たとえば対象をコアCPIから帰属家賃を除いたCPI(帰属家賃を除くコアCPI)に変更してもよい。

 しかし、帰属家賃を除くコアCPIは4-6月期に前年比+0.5%と、2015年1-3月期以来の高い伸びに加速しているが、依然として1%を下回っている。帰属家賃の有無にかかわらず、日本のインフレ圧力が弱いことに変わりはない。市場関係者の一部からは、日銀の出口戦略を期待する声が依然として聞かれるが、CPIを見る限り、その声に現実味は感じられない。

2017年7月12日水曜日

経済運営に対する高い評価で難局を切り抜けそうな安倍政権

 日本株が底堅さを増す動きを見せている。年初に19300円近辺で始まった日経平均株価は、1月半ばに1万9千円割れ。3月には19700円近くと年初来高値を小幅更新する水準まで反発したが、その後は下落基調が続き、4月半ばには18200円台と年初来安値を更新した。

 しかし4月下旬から日経平均株価は上昇基調を強め、連休明けの5月11日には2万円ちょうど近辺と2015年12月以来の高値に上昇。6月2日には20200円台、6月20日には20300円台と2015年8月以来の高値を更新。7月は一時2万円を割り込む場面もあったが、今週は2万円を割り込むことなく下値の堅い動きを維持している。

 東京都議選後の各種世論調査によると、安倍政権の支持率は30%台半ば前後と、政権運営が困難な危険水域とされる30%割れが目前。第1次安倍政権の際にも、2007年8月の世論調査で支持率が30%ちょうど近辺に低下し、翌9月に安倍首相が辞任したこともあり、第2次安倍政権も近い将来に終焉を迎えるとの見方も一部にあるようだ。

 しかし底堅い動きを示す日本株が、安倍政権を救う可能性は十分あるように思える。日本銀行が公表する資金循環などから推計すると、今年4-6月期の日本株の評価益は、日本全体で35.5兆円の増加と、前期の0.6兆円増から大きく拡大した見込み。この結果、安倍政権が始まってから(2012年12月末以降)の日本株の評価益累計は337兆円と、2015年6月末に記録した333兆円を上回りそうだ。ちなみに民主党が政権を担当していた2009年9月末から2012年9月末までの3年間、日本株は最大67兆円の評価損を記録。民主党政権が終了する直前の2012年7-9月期だけでも日本株は11.5兆円の評価損を計上した。

 日本株だけでなく、日本景気も堅調に推移している。5月の有効求人倍率は1.49倍と43年ぶりの高水準に達し、同月の現金給与総額は前年比0.7%増と緩やかながら増加基調を維持。5四半期連続で前期比プラスを記録しているGDP成長率は、4-6月期以降もプラスを続けるとの見方が強まっている。政権全体での評価は下がっているのだろうが、経済運営に対する安倍政権に対する評価は依然として高いままだろう。

 日本株や日本景気が堅調に推移し、安倍政権も続くとの見方が広がれば、円売りの動きは続くとみるのが自然となる。本日(7月12日)のドル円は、114円ちょうど近辺から113円台半ば手前へと下落したが、これは前日NY市場で節目とされた114円台半ばを突破できず、ドル買いポジションが調整された結果とみられる。米FRBが利上げやバランスシート縮小といった金融政策の正常化を模索する一方で、日銀は金融緩和を続けるという金融政策の違い(ダイバージェンス)を背景に、7月後半のドル円は114円台半ばの上抜けをトライし、次の節目である115円ちょうどを目指す展開が期待される。


2017年6月27日火曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年6月)



ファーバー博士からまたメールをいただきました。

博士が、ここまで規制を嫌い、間接部門の肥大化について
危機感を有しているとは思いませんでした。
米国の生産性の低下ともつながる話かと思います。

詳しくは以下からどうぞ。

マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

2017年5月26日金曜日

通貨になり得ず投機商品と化したビットコイン



 仮想通貨ビットコインの価格上昇が目立っている。ビットコインは今年初めには1000ドル台に到達。その1週間後には750ドル台まで急落したが、3月には一時1300ドル超えまで反転。3月末にはいったん1000ドルを割り込んだが、その後は上昇基調が続き、5月初めには1500ドル、同月22日には2000ドル、そして昨日(25日)には一時2700ドルをそれぞれ突破し、過去最高を更新し続けている。途中経過(価格の上下動)を無視すれば、年初に1000ドルだったビットコインは、わずか半年足らずで2.7倍(2700ドル)になったことになる。

 ドル建てよりも上昇が目立つのが円建てのビットコイン価格。今年初めに11万円程度だった円建てのビットコイン価格は、ドル建てと同様に上昇基調を続け、5月初めに15万円を突破。同月11日には20万円を超え、昨日(25日)には一時38万円の過去最高値を付けた。年初から半年足らずで3.5倍と、ドル建ての上昇率を凌駕している。

 ビットコインとは、インターネット上で流通する暗号化された仮想通貨の一種で、ドルや円のように中央銀行や政府機関によって発行されるわけではない。取引の正当性の確認は、マイニング(採掘)と呼ばれる計算作業を通じて行われ、同作業に協力した者(マイナー=採掘者)には一定量のビットコインが交付される。ただ、最大発行量はプログラムにて2100万と決められており、既存の貨幣のように発行量が無制限ではない。発行主体がなく、発行量が有限という点で、金やプラチナといった貴金属に近いとの見方をする者もいる。

 ビットコイン価格が円建てを中心に大きく上昇している背景の一つに、日本で4月に施行された改正資金決済法(いわゆる仮想通貨法)がある。これにより、ビットコインを始めとする仮想通貨は商品券などと同じ支払い手段として法的に認められ、仮想通貨の取引を仲介する業者(取引業者)は、仮想通貨交換業者として政府に登録することになった。取引業者は、仮想通貨の取引をする利用者から預かった金銭や仮想通貨を自社の財産と分別して管理するなどといった様々な規制を受けることになる。

 これまで日本では、ビットコインを始めとする仮想通貨や取引業者の位置づけは法的に曖昧なままで、2014年にビットコイン取引所として最大級とされていたマウントゴックスが破綻したこともありビットコイン取引に対し慎重な見方が根強かった。しかし仮想通貨法の施行で、取引業者の透明性は高まり、日本におけるビットコインに対する警戒心は和らいだように思える。

 日本のメディアによるビットコイン関連の報道も、ビットコインに対する警戒感を和らげる役割を果たしたかもしれない。日本のメディアは、ビットコインを「フィンテック」の代表例として、仮想通貨法施行に前後して報道を増やしてきた。こうした報道を目にした方々が、ビットコインに興味を持ち、仮想通貨法によって法的地位を得た取引業者で口座を開設し、取引を始めた可能性は否定できない。

 仮想通貨という名称が使われていることもあり、ビットコインを通貨や貨幣の一種のようにイメージする方もいるかもしれないが、それは間違った認識である。一般に貨幣には、価値の尺度を示す、交換(決済)手段となる、価値を貯蔵する、の3つの役割があるとされているが、ビットコインは、半年余りで価格が2~3倍に上昇したように価格が不安定で、価値の尺度を示す役割が果たせていない。仮想通貨法の施行で一部店舗で可能になったとはいえ、ビットコインで商品を購入することは現実的ではなく、交換(決済)手段になり得ていない。そして、価格変動が大きいことから価値を貯蔵する役割も果たせない。

 ビットコインの仕組みを考慮すると、ビットコインの価格が今後、安定に向かうとは考えにくい。上述したようにビットコインはマイニングを通じて供給されるが、供給ペースは一定であり、かつ発行量には上限がある。一方、ビットコインの需要は、その時々の思惑で大きく左右される。現在起きているように、先行き期待で買いが買いを呼ぶような状況では、需要が急増し、価格は高騰するが、ビットコインに関する当局の規制や取引業者の破たんなどといったビットコインの先行き不透明感を高めるイベントが発生すると、需要が一気に後退し、価格が急落することになる。そもそもビットコインはインターネット上での取引がほとんどであるため、需給動向の変化スピードが他の実物資産に比べて早く、価格の安定性は他実物資産よりも低い。

 投資の世界では、資産価格の評価をする際に、得られるリターンと同時に価格の変動率(リスク)も検討することが一般的となっている。ビットコインは、短期間に大きな値動きを示す可能性があるが、これはリスクが非常に高いことも意味しており、リスクで調整したリターンは、他金融資産と比べ大きくないだろう。

 ビットコインの値動きをチャート化し、為替や株価などの分析に使われるテクニカル分析を当てはめると、足元でのビットコイン価格上昇は行き過ぎたものとなっており、もはや投機商品の一つと化した感もある。ビットコインは、期待先行で今後も価格が上昇する可能性はあるだろうが、ちょっとしたニュースをきっかけに利食いの動きが強まり、これまで価格上昇を打ち消すがごとく急落するリスクも着実に高まっているように思える。

2017年5月16日火曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年5月)


いつものようにファーバー博士からメールをいただきました。
博士のやや皮肉めいた口調は相変わらずです。

今回の彼のレポートでは、アクティブファンドのあり方について興味深い考察が記されています。
また現在の状況が、流動性の超新星、という言葉で警告されているのも興味深いです。
詳しくは以下からどうぞ。

マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート

2017年5月11日木曜日

安倍首相が憲法改正を目指すことでドル円は次のレンジへ

 安倍晋三首相は3日、憲法改正を求める集会に自由民主党総裁としてビデオメッセージを寄せ、憲法改正は自民党の立党以来の党是であるとしたうえで、国会議員は憲法改正の発議案を国民に提示するための具体的な議論を始めなければならず、その時期にきていると発言。憲法9条の1項と2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値するとし、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っていると述べた。

 憲法改正に関する賛否は各種世論調査において概ね拮抗しており、憲法9条の変更は大きな争点となっている。そうしたなか、2020年という期限を設け、争点となる憲法9条を名指しして憲法改正の必要性を訴えたのは、安倍首相が自らの手で憲法を改正することに非常に強い意欲を持っているためと考えられる。

 安倍首相の意欲の強さを感じたのか、一部海外メディアは、同首相が今後、景気支援よりも憲法改正に注力する可能性を指摘したが、そうした見方は杞憂に終わるだろう。日本景気の安定がなければ、憲法改正の作業を進めることが難しく、安倍政権は景気への配慮を続けざるを得ない。

 安倍政権の支持率は、高水準で推移しているが、その背景には景気の安定がある。憲法改正に関する議論が進むなか、日本景気が軟調に転じてしまえば、憲法改正よりも景気対策に注力すべきとの声が政権内外から強まりやすくなるのは容易に想像できる。

 18日発表予定の1-3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率で1%台後半と5四半期連続でプラス成長が見込まれるなど、日本景気は安定感を増している。ただ足元の景気拡大は、海外経済の持ち直しや政府の経済対策によるところが大きく、民間内需は低迷したままだ。所得の伸び悩みを背景に個人消費には大きな期待を持つことができず、設備投資の拡大も緩やかなものにとどまるだろう。海外景気の好調がいつまでも続くとは限らず、経済対策の効果も次第に剥落する。時間とともに日本景気が失速するリスクは高まる。

 このため海外経済の状況次第ではあるが、安倍政権は早ければ今年秋には今年度補正予算による景気対策を検討するだろう。また政権内では、2019年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げを再び延期することも視野に入ると予想される。2020年に新しい憲法の施行を目指すのであれば、19年後半に国会で憲法改正が発議され、20年前半に国民投票を実施するのがギリギリのスケジュール。しかし19年10月に消費税率が引き上げられ、景気が悪化してしまうと、憲法改正の発議が景気対策を優先しろとの声でかき消される可能性が出てくる。2020年の基礎的財政収支の黒字化達成が時間とともに難しくなる中、目標達成に向けて消費税率を引き上げ、結果として景気が悪化するリスクを高めるくらいなら、基礎的財政収支の黒字化達成時期を先送りするとともに、消費税率の引き上げをさらに先送りしたほうが政治的には合理的なように思える。

 日銀による金融政策についても同様で、憲法改正の実現目標時期とされた2020年まで日銀が金融緩和策の終了(出口戦略)に向かうとは考えにくい。日本銀行の黒田東彦総裁は10日、衆院財務金融委員会での質問に対し、出口戦略の(公表を)慎重に検討していきたいと回答した。同総裁はこれまで出口戦略について「時期尚早」とだけ述べてきただけに、この発言に注目する見方もあるようだが、後に議論内容が公表されてしまう金融政策決定会合で出口戦略が議論されることはないだろう。以前ほどではないにせよ、円は依然として割安な水準にあり、出口戦略が議論されたことが明らかになれば、為替市場は円買いで反応するのが自然だ。黒田総裁が認めるように2%物価目標が依然として遠いなか、自ら円高を招き、景気悪化リスクを高める選択肢は日銀のなかにはない。

 5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明では、経済見通しや段階的な利上げを正当化する方針に変更がなく、追加利上げを続ける意向が示唆された。また米連邦準備理事会(FRB)地区連銀総裁の多くが、バランスシートの縮小について議論を深める意向を示すなど、米国の金融引き締めは当面、続くとみられる。そうしたなか、安倍政権が憲法改正の実現を目指し、景気刺激姿勢を強めるのであれば、ドル円は上昇基調が続くとみるのが自然だ。

 ドル円は4月17日に108円ちょうど近辺の安値を付けてからは上昇基調で推移。5月9日には114円ちょうどを上抜けた。当面は3月高値の115円台半ばがレジスタンスとして意識されるだろうが、安倍政権による憲法改正の推進と景気配慮の継続が、ドル円を115から118円の新しいレンジにシフトさせるだろう。

2017年4月25日火曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年4月)



昨日、ファーバー博士からメールをいただきました。
博士は相変わらず元気のようです。
今回も彼のレポートをご紹介します。
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=9933&c=2011281600009



“米国経済盤石論”のひとつとして、
家計資産の増加を挙げる人がいます。

2016年10-12月期には、93兆ドル近くまで増えました(FRB発表)。
トランプ相場が追い風になったようです。
(ちなみに日本の個人金融資産は
資金循環統計16年10-12月期によると
過去最高の1800兆円台となりました)

しかし、博士は「この巨額の富」が「ほとんど幻想」であり、
むしろ、そこにはいくつかの問題がみえてくると指摘しています。

例えば、家計の上位0.1%が下位90%よりも
富を保有しているという「偏在」の問題です。

特権階級が下位から富を吸い上げる仕組みを作り上げ、
この偏在がさらに深刻化していると説きます。

それに超金持ちがどれだけさらに金持ちになろうが、
トリクルダウンは知れていると
具体的な例を挙げて説明しています。

また、実質ベースでみると今の若者は、
高齢者が若者だったときに比べて稼げていないし
ほとんど富がありません。

さらに、米家計資産で大きな割合を占める年金が
静かなる危機に瀕しています。
例えば、今回取り上げているのは、
あるトラック運転手組合の年金破綻による悲惨な状況です。
これに公務員年金や企業年金の積立不足が控えています。

米国で株式や債券が理想的な現状にもかかわらず、
年金破綻の問題が潜んでいる実情を
博士はかなり問題視しているようです。

また、博士は家計資産が増えたといっても、
株式全体が生んだ富(配当の再投資を含めたトータルリターン)
に比べると、たいしたことがないと指摘しています。

その理由をいくつか挙げているのですが、そのひとつが
ほとんどの株式は短命で、ほとんどリターンを上げておらず、
ごく少数の大化け株が全体的なリターンをゆがめている事実です。
そのからくりのなかで、
個人投資家は常に「風説の流布」によって
往復ビンタをくらっていると主張しています。

そのため、博士は指数運用がさらに成長するとみていますが、
その先には生き残った積極運用のマネジャーが世界を舞台に
大活躍する姿がみえているようです。

最後に、注目の市場として
今月は欧州株を挙げており、
具体的な銘柄を挙げています。

また巻末には、スイスの運用会社「ENISOパートナーズ」の幹部が記した
運用哲学と有望市場のレポートを掲載しました。

特にユーロ相場についての見方は非常に興味深いです。
なお、同社のForte Eファンドは
英系金融情報会社シティワイヤが選ぶ
2015年度最優秀欧州系株式ファンドに選ばれています。

2017年3月23日木曜日

円高リスクに備え何もしないとみるべき日銀の金融政策

 日本銀行(日銀)は、次のネガティブイベントに備えるべく、当分、何もせずに過ごすようだ。

 日銀は昨日(3月22日)、金融政策決定会合・議事要旨(1月30、31日開催分)を公表した。同議事要旨によると、大方の政策委員は、2%の「物価安定の目標」(2%目標)に向けたモメンタムは維持されているが、なお力強さに欠け、引き続き注意深く点検していく必要があるとの見方で一致。2%目標の実現までにはなお距離があることを踏まえると、現行の金融市場調節方針を堅持し、強力な金融緩和を粘り強く推進することで、2%に向けたモメンタムをしっかりと維持していくことが重要であるとの認識を共有したという。ちなみに、ある政策委員は、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を中心とする現行の枠組みは所期の効果を発揮しており、その運用についても市場は冷静に受け止めているとの認識を示したという。

 1月のCPI(除く生鮮食品)は、前年比+0.1%と13カ月ぶりに前年越えとなったが、これは前年(2016年)に原油価格が大きく下落した反動の面もある。生鮮食品とエネルギーを除いたCPIは、前年比+0.2%と11カ月連続で1%未満の伸び。大方の政策委員が指摘するように2%目標の実現までの距離は長い。

 ただ今の日銀は、2013年や2014年の頃と異なり、2%目標の達成時期が2018年度頃になる可能性が高いとしており、目標達成を急ぐ必要がない。トランプ米大統領が、日銀の金融緩和策を円安誘導であると批判したこともあり、今のタイミングで金融緩和を強化するのは具合が悪い。また、だからといって、バランスシートの拡大ペースを抑制すべく、金融緩和縮小に動いてしまうと、円債市場の混乱や円高進展といったリスクが高まる。

 金融政策決定会合の声明でも示されているように、足元の日本景気は安定感を増している。国際金融市場の混乱や海外景気の失速など、国外を中心にリスク要因は存在するものの、日銀を取り巻く国内環境は、日銀にとって居心地の良いものと言える。希望的観測に過ぎないとの辛辣な見方も多いが、国外リスク要因が顕在化しなければ、現行の金融緩和を長期間続けることで、2%目標を達成する可能性もゼロではないように思える。

 日銀が新しいアクションを取るとすれば、それは国外リスク要因が顕在化した時だろう。足元で日銀にとって懸念されるのは円高の進展である。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げペースの加速を示唆するとの期待を背景に、ドル円は3月10日に115円を上抜けしたが、その後は下落基調で推移。昨夜(3月22日の夜)は、一時111円を割り込み、昨年11月22日以来の安値を記録した。

 米国では、医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案の本会議採決が現地時間23日に控えている。一部報道によると、共和党の保守派メンバーで構成する「下院自由議員連盟」を中心に同法案には25名以上が反対しているといわれており、このままだとオバマケア代替法案は否決される。この場合、為替市場ではトランプ政権による財政刺激期待が大きく後退し、ドル売りの動きが強まる。

 本日(3月23日)の東京市場では、ドルを買い戻す動きが続き、ドル円は111円台半ば近辺まで上昇したが、ドル円は、50日移動平均や100日移動平均を大きく下回り、トランプラリーといわれる昨年11月上旬から12月半ばにかけての上昇(101.2円から118.7円までの上昇)の38.2%戻し水準である112円ちょうども下回っている。オバマケア代替法案が否決となれば、ドル円はトランプラリーの半値戻し水準である109.9円(ラフに言えば110円ちょうど)割れを目指す動きが予想される。

 仮にトランプラリーが解消されるようなことになれば、日銀は何らかの追加緩和を検討する準備に入るとみるべきだ。ただマイナス金利政策に対する批判は続いており、日銀のバランスシートの拡大ペースをさらに加速することも現実的には難しい部分が多く、日銀に残された追加緩和策は少ない。日銀の追加緩和は難しいとの見方が市場に広がれば、円高がさらに進展する恐れもある。そうした展開に備える意味でも、何もせず次に備える、という選択肢が今の日銀にとって最適なのだろう。

2017年3月16日木曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年3月)



今回も
マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート
の内容を一部ご紹介します。
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=9933&c=2011281600009


博士と40年来の友人であるロバート・プレクターは
エリオット波動研究の第一人者として知られています。

著書『エリオット波動入門』は全米テクニカルアナリスト協会で
アワード・オブ・エクセレンス賞を受賞している名著です。
同書およびエリオット波動に関しては
http://amzn.to/2npj5zZ
をご覧ください。

大多数が米国株に悲観的だった70年代後半に
80年代の大相場を予見し
84年のトレード大会で444%のリターンを弾き出すなど
プレクターには数々の実績があります。

また、氏が90年代に指摘した米国資産の“最高潮”も
博士によると“実質的”にはそのとおりであり、
自分の見解と一致するとのことです。

さて、プレクターは最近、長年の研究成果をまとめた
800ページの大著を上梓しました。
http://amzn.to/2npkpTr

新著のテーマである「ソシオノミクス」は
むりやり訳すと“社会心理経済学”となるでしょうか。

相場に限らず社会変化の原動力は
人々が内的に知らず知らず共有している
「ムード(空気)」であり
空気を読むことで過去の事象の発端を説明し
将来の変化を予測していく科学だといえます。

行動経済学に近いような気がしますが、
ソシオノミクスは社会ムードを
唯一無二の原因としている点で、
アプローチが全く違うようです。

また、氏は現実離れした仮説で実用的でない
机上の方程式を作っている現代経済学や
社会変化の外的原因を説明するとされる
ニュースは全く役に立たないどころか
むしろ有害だと断じています。

博士はソシオノミクスと19世紀末に発展した
心理学的景気循環論との密接な関係を指摘して
プレクターの説を大方支持しながらも
社会の変動要因は心理だけではないと(無視するより、はるかに良いが)
またムードに変化を引き起こすものを理解することが
自分にとっては重要と考えているようです。

さらに、ニュースは百害あって一利なしというわけではなく
読む人の意識が重要だと示唆しています。

さて、今月の投資方針ですが、
プレクターの“お弟子さん”のレポートを引用しながら
博士が注目する市場のひとつである
シンガポール株・REITについて
具体的銘柄を挙げて解説しています。

2017年3月14日火曜日

杞憂に終わると思われる地銀の外債売却による円高の進展

 一部メディアは、金融庁が地方銀行(地銀)の資産運用部門に絞って立ち入り検査を実施すると報じた。金融庁は、地銀の運用におけるリスク管理体制を検証し、含み損を抱えた場合の対応策や投資判断基準を調べるという。また同庁は、頭取ら経営陣がどの程度リスクを認識し、主体的に運用に関わっているかどうかも検証すると報じられている。

 日銀によるマイナス金利政策などで運用難の地銀は、相対的に高い利回りを求め、外国債券(外債)への投資を拡大してきた。ところが、昨年11月の米大統領選を機に米国を始めとする外国長期債利回りは上昇(債券価格は下落)。一部地銀は、金利上昇により数百億円単位の損失を計上したと報じられている。

 金融庁が地銀に立ち入り検査を実施するとの報道で、地銀は保有する外債を取り崩すとの見方が一部から示されるようになった。金融庁は、融資を絞る一方で運用の比重を高める金融機関の姿勢に不満を持っており、地銀の多くは金融庁をはじめとする当局の意向に従順な傾向にあるといわれている。今回の金融庁の検査をきっかけに、地銀が外債保有の削減を進める展開を想定してもいいだろう。

 全国地方銀行協会が月次で公表する地方銀行の主要勘定によると、地銀64行が保有する外国証券は、今年(2017年)1月時点で12.7兆円。リーマンショック後の2011年や2012年の頃の外国証券保有額は6兆円前後だっただけに、地銀が当時の水準(6兆円前後)まで外国証券の保有額を削減し、削減分を円建て資産に換える可能性も考えられなくはない。

 しかし仮に地銀が外債を中心に外国証券の保有額を削減し、削減分を円建て資産に換えたとしても、円相場に与える影響は限定的と思われる。地銀による外債投資の多くは、為替ヘッジ付きであるほか、地銀による外債売却の規模は(そもそも)大きくならない可能性が高いからだ。

 ヘッジ付き外債投資とは、外貨建債券への投資の際に為替ヘッジをつけることで為替変動によるリスクを回避すること。為替ヘッジは為替先物予約で外貨を自国通貨に交換する契約を結ぶことで実施されるため、ヘッジ付きの外債投資は、為替市場の需給に対し中立的と考えられる。

 地銀による外債投資のうちヘッジ付きの割合を正確に把握することはできないが、大手生保の運用計画などから推察すると、少なくとも外債投資の4割程度はヘッジ付きと思われる。つまり地銀が保有する外国証券(約13兆円)のうち5兆円程度は、たとえ売却されたとしても為替市場の需給に影響を与えない。

 地銀が保有する外国証券のうち、残り8兆円が外貨建てであるとし、その半分の4兆円が売却されると考えてみよう。しかし、その場合でも、円高圧力が強まるとは考えにくい。たとえ金融庁の検査が入ったからと言って、地銀「全体」が保有する外国証券を我先にと慌てて短期間で売却するわけではないからだ。たとえばリーマンショックで金融危機が世界的に広がった2008年の時ですら、地銀64行が売却した外国証券額は合計1.6兆円(月平均で1400億円)程度に過ぎなかった。

 日本の国際収支統計によると、昨年11月から今年1月までの3カ月の間、日本の証券投資は月平均4.1兆円(3カ月計で12.2兆円)の売り越し。この影響もあってか、ドル円は今年1月に高値の118円から112円に下落したが、2月は111円台半ば近辺を底に下げ渋り。3月は一時115円台に回復している。数カ月間に実需で数兆円の円買いが発生すれば円高の動きも強まるだろうが、地銀全体が外国証券を数千億円程度売却したとしても、それで円高が大きく進むとは考えにくい。

 そもそも地銀が外債投資を積極化させた背景には円債利回りの低下がある。日本の10年債利回りは今年に入って概ね+0.05~+0.10%の範囲で推移。地銀全体が、リスク管理の観点から保有する外国証券を多少削減することはあっても、外国証券を積極的に売却し、0.1%に満たない円債を買い進めるとは考えにくい。

 今後ありうるとすれば、金融庁が地銀にクギを刺したことで、地銀による外債投資が抑制され続けることだろう。ただ日本国債の利回りが日銀の金融政策によって低水準に抑えられる一方で、米国を中心に外債利回りが上昇する環境が続く以上、大手銀行や生保といった他金融機関は、これまでと変わりなく淡々と外債投資を広げていくと予想される。金融機関全体で外債売却が進み、円高圧力が強まるとの展開は、杞憂に終わると思われる。

2017年2月17日金曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年2月)

今回も
マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート
の内容を一部ご紹介します。
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=9933&c=2011281600009


年初(年末)になると「今年(来年)はこうなる」といった予測がメディアで賑います。


しかし“専門家”の経済予測は多くが占いに近く、また“的中”といっても宝くじ的な事象にすぎず、惨憺たる成績で終わるのが普通だそうです。


ただ、博士はそうした専門家(自分を含め)よりもひどい人たちがおり、それが「エコノミスト(経済学者・経済研究者)」だといいます。


現代経済学が「有り得ない(現実にそぐわない)条件を前提にした意味不明な数学」と化しており、心理学、哲学、歴史学、政治学などの幅広い知識・視点に欠けているからという指摘です。


しかし、予測そのものは愚行でも不要でもなく、そこに求められる姿勢が重要であり、それはするほうにも聞くほうにも求められる、と博士は説いています。

そうでなければ、何も知らないほうがマシだ
ということでしょう。


さて、投資方針では、不動産、債券・現金(通貨)、株式、コモディティ(貴金属)のポートフォリオの内容について具体例を出しながら組み入れた理由について説明しています。


また、博士が目先または長期的に有望とみている分野、心しておきたいサプライズについても言及しています。


そして、レポートの最後は『ダウの犬投資法』で知られるマイケル・オヒギンズ氏の寄稿です。

氏の2016年MOARポートフォリオは中長期米国債に30%の配分をしているにもかかわらず手数料抜き後トータルリターンで12.99%を上げておりS&P500の11.95%を上回っています。


その中核となるのが「世界の犬」です。「ダウの犬」のアイデアを世界市場に広げたこの戦略は昨年の注目として挙げたロシアとブラジルが見事に的中し、分配金を含めプラス24.66%のリターンを上げました。

2017年1月19日木曜日

マーク・ファーバーのコメント(2017年1月)

 世界経済の見通しに弱気な博士ですが2016年の運用は上首尾だったようです。
 保有する株式・債券ポートフォリオは11-21%のプラス成績とのことでした。

“トランプ相場”で米国債価格が急落しても債券部分の大半を占める新興国の社債がそれを補ってあまりある好成績だったそうです。

また、本レポートで再三指摘していたように割安株・新興国株が強烈な復活を遂げたのも大きかったと語っています。

さて、2017年ですが、投資家の間ではトランプが公約している税制改革・規制緩和からロナルド・レーガンが大統領だった80年代の再来を期待する声があるようです。

そこで博士は、トランプがレーガンほど“幸運”な経済・金融環境にあるか比較分析をしています。

そして、そこには対照的な違いがいくつかある一方で“主役交代”という意味では同じことが起こり得る可能性があるようです。

さらに、具体的銘柄を挙げながら博士が有望視する分野・業種についていくつか言及しています。

また、日本株についても言及しており、肯定的な予測をしていました。

後半は、博士の友人であるジョージ・カラヘリオス氏が一企業家の視点からトランプが支持された理由、トランプ政権が市場に与える長短期的影響について執筆しています。

トランプ氏について「過激かつ単純な言い回しで一面的な話(シングルストーリー)を何度もする」という批判があります。
しかし、ここには一面的なメディアが報じない別の面の話(アナザーストーリー)があるように思いました。

なお、文中には70年代アメリカンロックを象徴する「ホテルカリフォルニア」の歌詞がいくつか引用されています。

この曲の最後に「好きなときに出られますが、決して出られません」といった意味合いの歌詞がありかつて、リチャード・フィッシャー元ダラス連銀総裁が出口戦略のない金融緩和政策について「ホテルカリフォルニア的政策だ」と述べるなど、そのタイトルは比喩として世界的によく使われているようです。

マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=9933&c=2011281600009