2014年2月12日水曜日

日本・消費動向調査、景気ウォッチャー調査(2014年1月)

1月の消費動向調査によると消費者態度指数は40.5と市場予想に反し前月(41.3)から悪化し、2012年12月以来の低水準となった。内訳をみると、耐久消費財の買い時判断が36.4と2011年5月以来の水準に低下。昨年9月の47.0(過去3年間のピーク)から10ポイント近く悪化した。昨年秋から冬にかけては消費税引き上げ前の駆け込みもあって耐久消費財の購入意欲が高まっていたが、本調査をみる限り、そうした動きは一服。一部では、消費税引き上げ直前の2月、3月の消費増を期待する声もあるが、マインドをみる限り、期待外れに終わる可能性も出てきた。

1月の景気ウォッチャー調査では、先行き判断が49.0と安部政権始まって以来、初めての50割れ。内訳をみると、小売、飲食が前月(昨年12月)から大きく落ち込んでおり、消費税引き上げの影響を懸念する声が一般小売店で強まっている様子がわかる。

日本株は年末の水準を大きく下回ったまま。ドル円は102円台を維持しているものの、以前のような円安期待は後退しつつある状況。今後半年くらいは補正予算効果もあって日本景気は底堅い動きを続けるだろうが、その後はこれといった目立ったイベントが(今のところ)用意されていない。日本の消費者マインドの改善は、今後あまり期待しない方がいいだろう。

2014年2月11日火曜日

Mt.Gox(マウントゴックス)のトラブルが日本のビットコイン業界をさらに発展させる

日本で唯一といっていいビットコイン取引所であるMt.Gox(マウントゴックス)は7日、システム上の問題から「ビットコインの引き出し機能を停止する」との声明を公表しました。これを受け、複数のメディアは同社がビットコインから米ドルや日本円などへの換金を一時停止したと報道。ビットコインの価格が大幅下落したと報じました。

同社広報担当者は一部メディアとのインタビューに応じ、同社内でビットコインを現金に換えること、ならびに同社内のウォレット同士ではビットコインの取引は可能であることを明らかにしています。一方、Mt.Gox(マウントゴックス)の口座に保有されているビットコインを外部に転送することは現在も出来ていないことも認めています。

昨年12月の中国人民銀行の通達でビットコイン価格は500ドル近辺まで下落しましたが、その後は、じり高の動きを続け、1月には一時1000ドル台まで回復しました。しかし、米アップルがビットコ
インウォレット(アプリ)をiOS App Storesと Mac App storeから削除し、ビットコイン価格は700ドル台に急落。その後、Mt.Gox(マウントゴックス)の声明を受けて一時600ドルを割り込む場面もありました。足元では600ドル台後半での推移となっています。

以前からMt.Gox(マウントゴックス)は口座開設作業だけでなく、現金の受け渡しなど事務作業全般で遅延が生じていると指摘されました。理由は同社のマンパワー不足のほか、海外当局からのプレッシャーを背景としたコンプラチェック作業の急増、業務量急増へのシステム対応の遅れ、なども考えられます。

顧客資産の保護や精神的な安定のためにも、Mt.Gox(マウントゴックス)が、ビットコインの外部への転送機能を早急に復旧するとともに、これを機に滞りがちだった各種事務作業の迅速化も進めてほしいと願っています。

ビットコインの歴史はせいぜい5年ほどで、日本で知名度が高まったのはこの半年程度です。こうした歴史の浅い業界では、今回のMt.Gox(マウントゴックス)のようなトラブルが発生するのが通例で、今回の事例をもってビットコイン業界が崩壊すると考えるのは、やや行き過ぎたもののように思えます。

Mt.Gox(マウントゴックス)の事例を機に、日本のビットコイン業界は新しいフェーズに移行すると考えた方が自然のような気がします。Mt.Gox(マウントゴックス)の対応改善だけでなく、Mt.Gox(マウントゴックス)以外の新しいビットコイン取引所が日本に出現することも考えられます。

2014年2月10日月曜日

ビットコインの波紋、金融革新の可能性(日本経済新聞)

 
――ビットコインに将来性はあるか。

 「ネット上の買い物などの決済手段として世界的に普及する可能性は十分ある。短時間で決済が完了し、クレジットカード決済にかかる手数料も不要なためだ。コストの高い国際送金をビットコインが代替する可能性もある。特に銀行口座が普及していない新興国では送金が容易になる」

 ――他通貨との交換レートは乱高下している。

 「現在の相場の動きは極端に激しく、資産を保存する手段として普及するのはまだ難しい。ただ、投機ではなく実需の買いも出てきており、いずれ安定するだろう」

 ――課題はないのか。

 「現状では私設取引所の規模が小さく、誰もが気軽に入手できる状況ではない。取引ルールの整備など利用者保護の仕組みも必要になってくる」

 ――今後の影響は。

 「米国ではビットコインを活用したベンチャー企業が次々と誕生し、新たな産業分野になりつつある。今まで金融分野のイノベーション(技術革新)は株や債券の取引を電子化するにすぎなかったが、インターネットから生まれたビットコインは真のイノベーションだ。デリバティブ(金融派生商品)に匹敵する革新になるかもしれない」

*本稿は日本経済新聞(2014年2月8日)に掲載されたものです。