2014年2月14日金曜日

ポーランド・CPI(2014年1月)とGDP(2013年第4四半期)

本日午後6時に昨年第4四半期のポーランドGDP、午後10時には1月の同国CPIが発表される。市場予想ではGDPは前年比2.9%増と前期(同1.9%増)から加速の見込み。一方、CPIは前年比+0.9%と前月(同+0.7%)から加速するものの、伸びは弱いままとの見込みとなっている。

ポーランド景気は緩やかに回復を続けている一方でインフレは低いままである。仮にこの状況が続くのであれば、ポーランド中銀は政策金利を年央まで据え置くのが自然となる。ただポーランドでもデフレリスクは続いており、我々は同中銀が利上げに踏み切るとしても早くて今年後半だろうとみている。

ハンガリー・CPI(2014年1月)とGDP(2013年第4四半期)

本日午後5時に1月のハンガリーCPIと昨年第4四半期の同国GDPが発表される。CPIは前年比+0.2%と前月(同+0.4%)から鈍化し、統計開始以来最低の伸びを更新する見込み。一方、GDPは前年比2.5%増と前期(同1.8%増)から加速する見込みである。

ハンガリー中銀は2月18日に会合を開き、政策金利を10bp引き下げ2.75%とする見込みである。ハンガリーではデフレリスクが続いており、同国中銀は成長率が加速しても、同国中銀は緩和姿勢を崩さないだろう。今後も数カ月は利下げが続く見込みである。

メキシコ・中銀会合議事録

明日午前0時にメキシコ中銀は会合議事録(2月1日開催分)を公表する。同中銀の景気に対する姿勢は本会合を気に強気に転じた。今回公表される議事録で強気に転じた理由を探ることになる。メキシコ景気の先行きに対し期待を持っているものの、同国中銀が示すような強気の姿勢を懐疑的に捉えている。仮にメキシコ経済指標が軟化を続けるようあれば、メキシコ中銀は強気の姿勢を変えざるを得ないだろう。

中国・CPI(2014年1月)

本日午前10時半に発表された1月の中国CPは前年比+2.5%と市場予想(同+2.4%)を小幅上回った。ただ、中国のインフレ圧力が当局の懸念事項となることは当分ないだろう。このため金融政策は当面、現状維持が続くと思われる。

1月の中国輸出は前年比10.6%増と非常に強い伸びとなった。しかし市場は改善が頭打ちとなっている製造業PMIに注意を払っていると思われる。

米国経済が握る新興国通貨「浮沈」のカギ(ロイター)


新興国通貨の先行きについて見方が分かれている。今年1月下旬に加速した売りの流れは2月に入り一服。トルコ・リラやアルゼンチン・ペソなど下げが目立っていた通貨では持ち直しの動きが強まっている。
 
こうした変化を受けてか、市場関係者の一部からは「新興国通貨の先行き不安は後退した」との見方も聞かれるようになってきた。中には、高金利通貨を中心にキャリートレードの復活を検討すべきとの意見もある。
 
一方で、慎重な姿勢をとり続けるべきとの考えも根強い。「フラジャイル・ファイブ(脆弱な5カ国)」もしくは「BIITS(ビーツ)」と呼ばれるブラジル、インド、インドネシア、トルコ、南アフリカでは、景気低迷、高インフレ、経常赤字といった通貨下押し要因が解消されておらず、市場のリスク回避姿勢が再び強まれば、ファンダメンタルズに不安が残るBIITSを中心に新興国通貨が再び売られるとの見方もある。
 
2つの見方は表面的には相反するが、筆者からすれば、違いは米国経済の見通しの差異によるものであり、考え方の枠組み(フレームワーク)は共有されている。双方とも新興国からの資本流出の可能性を意識しており、資本流出が緩やかであれば、新興国通貨は持ち直し、継続するならば、再び下落することになる。
 
<イエレン議長証言の真意>
 
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は11日の下院金融委員会での議会証言で、労働市場の状況改善と、インフレがより長期の目標に再び近づくことが概ね裏付けられれば、米連邦公開市場委員会(FOMC)は今後の会合で、一段と慎重なステップを踏んで資産買い入れペースを落とす公算が大きいと指摘。しかし利上げについては、失業率といった経済指標のひとつが基準を突破しても、フェデラルファンド金利の自動的な引き上げにはつながらないと明言した。
 
失業率が6.5%に低下するまでゼロ金利政策を維持するというフォワードガイダンスを事実上棚上げした同議長の真意は、資産買い入れ枠の縮小は進めたいが、長期債を中心とした米債利回りの上昇は可能な限り抑制したいのだろうと推測される。
 
仮に同議長の狙い通り米債利回りの上昇が抑制されるのであれば、金利上昇に起因した米国株の下落も回避される期待が高まる。これは市場のリスク回避姿勢を和らげる効果も期待され、新興国の資本流出懸念も強まることはなくなる。
 
インフレ抑制のために利上げを続けたブラジルや、1月29日に予想を上回る利上げに踏み切ったトルコの国債利回りは10%を超えている。市場に促される形で昨年後半だけで計175ベーシスポイント(bp)もの利上げに踏み切ったインドネシアやインド、南アフリカの長期債利回りも9%近くの水準にある。仮に米債利回りが上昇したとしても、10年債で3%程度であれば、上記3国との金利差は6%以上が確保されるわけで、先進国投資家にとっては魅力的なものとなる。
 
BIITS5カ国を中心にインフレの高止まりを懸念する声はあるものの、利上げによる内需抑制効果や通貨安の一服によってインフレ上昇が鎮静化することも期待される。たとえば、インドではラジャン中銀総裁がインフレ抑制姿勢を強調する形で利上げを実施。インド・ルピーの下落に歯止めがかかったことから1月の消費者物価(CPI)は前年比プラス8.79%と約2年ぶりの8%台まで伸びが鈍化した。
 
他のBIITS4国もインドと同様に利上げによる内需の抑制と通貨安一服を背景にインフレ昂進に歯止めがかかることが期待される。インフレの抑制は、さらなる通貨安を防ぐことになるため、新興国通貨は持ち直すというシナリオの説得力が増す。
 
<今年前半の上昇シナリオは期待薄か>
 
ただ、繰り返しになるが、こうしたシナリオの前提は、米債利回りの上昇が抑制され、米国株の下落が避けられることだ。他の市場関係者の多くが指摘するように、昨年12月と今年1月の米雇用統計が弱い結果に終わったことで新興国通貨の持ち直し機運が高まったのは、米雇用環境の改善が緩やかなものにとどまったことで米債利回りの急激な上昇期待が後退し、米国株が買い戻されたためだ。新興国のファンダメンタルズが改善したためではない。
 
今後、米国景気の拡大基調が確認され、市場の先行き期待が再び強まるようになれば、米債利回りが(短期的にせよ)大きく上昇することは避けがたく、新興国からの資本流出懸念が強まる展開も考えられる。この場合、ファンダメンタルズの脆弱性が指摘されるBIITS5カ国を中心とした新興国通貨は再び売り優勢となり、当局は追加利上げによる通貨防衛を強いられることになる。ただ過度な利上げは国内景気を悪化させ、株式市場からの資本流出を促すことになりかねない。新興国当局の自助努力だけで事態を改善させることが難しくなり、日米欧の各中銀が通貨スワップ協定の強化などを通じ、通貨下落が著しい新興国に流動性を供給することも検討されるだろう。
 
当然のことであるが、景気低迷、高インフレ、高水準の経常赤字といったファンダメンタルズの脆弱性は、短期間で改善するものではない。仮にファンダメンタルズの改善を背景とした新興国通貨上昇のシナリオを望むのであれば、早くとも今年後半まで時間がかかることを念頭に入れておくべきだ。今年前半の新興国通貨の値動きは、米金融市場といった外部環境に左右される状態が続くとみるのが妥当であり、米国経済の動向を精査することが重要といえる。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYEA1D02S20140214?sp=true

2014年2月13日木曜日

ペルー・政策金利

明日午前8時にペルー中銀は政策金利を発表する。政策金利は4.00%で据え置かれる見込みである。

1月のペルーCPIは前年比+3.07%と目標レンジ(1~3%)の上限を上回った。しかしペルー中銀は時間ととともにハトは寄りの姿勢を強めると思われる。

ブラジル・小売売上高(2013年12月)

本日午後8時に昨年12月のブラジル小売売上高が発表される。市場予想では前年比5.0%増と前月(同7.0%増)から鈍化する見込みである。

ブラジルのインフレ圧力は景気低迷を背景に緩和傾向を続けている。2月26日の次回中銀会合では50bpの利上げが実施され、政策金利は11.00%に達するとみているが、インフレ圧力の緩和を受けてブラジル中銀を利上げ局面を終了させようとするだろう。

トルコ・経常収支(2013年12月)

本日午後5時に昨年12月のトルコ経常収支が発表される。市場予想では74億ドルの赤字と前月(39.3億ドルの赤字)から赤字額が拡大する見込みである。昨年12月の同国貿易収支は99.2億ドルの赤字と市場予想や前月を大幅に上回る赤字となった。この結果、12カ月累計の同国貿易赤字は634億ドルと2012年5月以来、最大となった。

トルコのファンダメンタルズは悪化を続けるだろう。たとえばインフレは、これまでのTRY安の影響を受けて伸びが高まる見込みである。対外収支の悪化と投機マネーへの依存はTRYの下押し圧力を高めるだろう。

2014年2月12日水曜日

中国・貿易収支(2014年1月)

1月の中国・貿易収支は318.6億ドルの黒字と市場予想(234.5億ドルの黒字)を大きく上回った。輸入が前年比10.0%増と市場予想に反し前月から加速したものの、輸出が同10.6%増と2か月ぶりの二桁増となり、貿易黒字を拡大させた。

輸出を地域別にみると、米国向けが前年比10.7%増、日本向けが同16.0%増と堅調に推移。EU向けが同19.2%増と加速したことで輸出の伸びが押し上げられた。

中国の輸出はASEANなど新興国向けが鈍化傾向にあるが、先進国向けが新興国向けの落ち込みをカバーする動きとなっている。今後も先進国景気は米国中心に堅調な推移が見込まれており、中国景気も輸出を通じて持ち直し基調が強まると予想される。

日本・消費動向調査、景気ウォッチャー調査(2014年1月)

1月の消費動向調査によると消費者態度指数は40.5と市場予想に反し前月(41.3)から悪化し、2012年12月以来の低水準となった。内訳をみると、耐久消費財の買い時判断が36.4と2011年5月以来の水準に低下。昨年9月の47.0(過去3年間のピーク)から10ポイント近く悪化した。昨年秋から冬にかけては消費税引き上げ前の駆け込みもあって耐久消費財の購入意欲が高まっていたが、本調査をみる限り、そうした動きは一服。一部では、消費税引き上げ直前の2月、3月の消費増を期待する声もあるが、マインドをみる限り、期待外れに終わる可能性も出てきた。

1月の景気ウォッチャー調査では、先行き判断が49.0と安部政権始まって以来、初めての50割れ。内訳をみると、小売、飲食が前月(昨年12月)から大きく落ち込んでおり、消費税引き上げの影響を懸念する声が一般小売店で強まっている様子がわかる。

日本株は年末の水準を大きく下回ったまま。ドル円は102円台を維持しているものの、以前のような円安期待は後退しつつある状況。今後半年くらいは補正予算効果もあって日本景気は底堅い動きを続けるだろうが、その後はこれといった目立ったイベントが(今のところ)用意されていない。日本の消費者マインドの改善は、今後あまり期待しない方がいいだろう。

インド・鉱工業生産(2013年12月)、CPI(2014年1月)

本日午後9時に昨年12月のインド鉱工業生産と1月のCPIが発表される。市場予想では鉱工業生産が前年比-1.1%、CPIが前年比+9.20%が見込まれている。

インドのインフレ圧力は和らいでおり、インド中銀が利上げを休止する可能性が高まっている。ただ仮にINRが売り圧力にさらされれば、同中銀がINR安抑制に向けて積極的な行動を起こすだろう。

メキシコ・中銀インフレ報告

明日午前3時過ぎにメキシコ中銀はインフレ報告を公表する。昨日発表された昨年12月のメキシコ鉱工業生産は前年比-0.3%と市場予想に反し2カ月連続の前年割れとなった。

個人的にはメキシコ景気の先行き期待を維持したいところだが、同国中銀が示すような景気回復見通しを懐疑的に捉えているのも事実である。15日に同中銀は会合議事録(2月1日開催分)を公表するが、同議事録でメキシコ景気の先行きに関する議論を注目したい。

チェコ・CPI(2014年1月)

本日午後5時に1月のチェコCPIが発表される。市場予想では前年比+0.4%と2009年10月以来の低い伸びに鈍化する見込みである。

2013年1月のCPIが前年比+1.9%と2013年において最も高い伸びとなったため、今年1月のCPIの伸びは抑制される格好といえるが、それにしても同国のインフレ圧力は弱いと言わざるを得ない。

チェコ景気は底打ちの兆しを強めているが、チェコのデフレリスクは続いていると言える。チェコ中銀はEUR/CZKの下限を27とする為替介入プログラムを2015年まで続けることに変わりはないと考えている。

南アフリカ・実質小売売上高(2013年12月)

本日午後8時に昨年12月の南アフリカ実質小売売上高が発表される。市場予想では前年比2.8%増と前月(同4.2%増)から鈍化する見込みである。

昨日発表された昨年第4四半期の南アフリカ失業率は24.1%と市場予想に反し前期から改善し、昨年12月の製造業生産は前年比2.5%増と市場予想を小幅上回った。これを受けてZARは大きく上昇。USD/ZARは11.00を割り込んだ。

2014年2月11日火曜日

Mt.Gox(マウントゴックス)のトラブルが日本のビットコイン業界をさらに発展させる

日本で唯一といっていいビットコイン取引所であるMt.Gox(マウントゴックス)は7日、システム上の問題から「ビットコインの引き出し機能を停止する」との声明を公表しました。これを受け、複数のメディアは同社がビットコインから米ドルや日本円などへの換金を一時停止したと報道。ビットコインの価格が大幅下落したと報じました。

同社広報担当者は一部メディアとのインタビューに応じ、同社内でビットコインを現金に換えること、ならびに同社内のウォレット同士ではビットコインの取引は可能であることを明らかにしています。一方、Mt.Gox(マウントゴックス)の口座に保有されているビットコインを外部に転送することは現在も出来ていないことも認めています。

昨年12月の中国人民銀行の通達でビットコイン価格は500ドル近辺まで下落しましたが、その後は、じり高の動きを続け、1月には一時1000ドル台まで回復しました。しかし、米アップルがビットコ
インウォレット(アプリ)をiOS App Storesと Mac App storeから削除し、ビットコイン価格は700ドル台に急落。その後、Mt.Gox(マウントゴックス)の声明を受けて一時600ドルを割り込む場面もありました。足元では600ドル台後半での推移となっています。

以前からMt.Gox(マウントゴックス)は口座開設作業だけでなく、現金の受け渡しなど事務作業全般で遅延が生じていると指摘されました。理由は同社のマンパワー不足のほか、海外当局からのプレッシャーを背景としたコンプラチェック作業の急増、業務量急増へのシステム対応の遅れ、なども考えられます。

顧客資産の保護や精神的な安定のためにも、Mt.Gox(マウントゴックス)が、ビットコインの外部への転送機能を早急に復旧するとともに、これを機に滞りがちだった各種事務作業の迅速化も進めてほしいと願っています。

ビットコインの歴史はせいぜい5年ほどで、日本で知名度が高まったのはこの半年程度です。こうした歴史の浅い業界では、今回のMt.Gox(マウントゴックス)のようなトラブルが発生するのが通例で、今回の事例をもってビットコイン業界が崩壊すると考えるのは、やや行き過ぎたもののように思えます。

Mt.Gox(マウントゴックス)の事例を機に、日本のビットコイン業界は新しいフェーズに移行すると考えた方が自然のような気がします。Mt.Gox(マウントゴックス)の対応改善だけでなく、Mt.Gox(マウントゴックス)以外の新しいビットコイン取引所が日本に出現することも考えられます。

2014年2月10日月曜日

ビットコインの波紋、金融革新の可能性(日本経済新聞)

 
――ビットコインに将来性はあるか。

 「ネット上の買い物などの決済手段として世界的に普及する可能性は十分ある。短時間で決済が完了し、クレジットカード決済にかかる手数料も不要なためだ。コストの高い国際送金をビットコインが代替する可能性もある。特に銀行口座が普及していない新興国では送金が容易になる」

 ――他通貨との交換レートは乱高下している。

 「現在の相場の動きは極端に激しく、資産を保存する手段として普及するのはまだ難しい。ただ、投機ではなく実需の買いも出てきており、いずれ安定するだろう」

 ――課題はないのか。

 「現状では私設取引所の規模が小さく、誰もが気軽に入手できる状況ではない。取引ルールの整備など利用者保護の仕組みも必要になってくる」

 ――今後の影響は。

 「米国ではビットコインを活用したベンチャー企業が次々と誕生し、新たな産業分野になりつつある。今まで金融分野のイノベーション(技術革新)は株や債券の取引を電子化するにすぎなかったが、インターネットから生まれたビットコインは真のイノベーションだ。デリバティブ(金融派生商品)に匹敵する革新になるかもしれない」

*本稿は日本経済新聞(2014年2月8日)に掲載されたものです。