2014年2月28日金曜日

インド・GDP(2013年第4四半期)

本日午後9時に昨年第4四半期のインドGDPが発表される。市場予想では前年比4.7%増と、小幅ではあるが前期(同4.8%増)から減速する見込みである。

インドのインフレ圧力は緩和しているため、インド中銀は当面、利上げを休止できるようになった。今年のインド成長率は低迷したままだろう。このためインド政府は5月の総選挙を前に財政による景気刺激策を選ぶ可能性がある。

コロンビア・政策金利(現在3.25%)

コロンビア中銀は明日、政策金利を発表する。市場予想では政策金利は3.25%で据え置かれる見込みである。

コロンビア景気は持ち直しの兆しがみられ、同国中銀は様子見姿勢を続けると思われる。COP安が進んだことも同中銀に様子見姿勢を取らせる余裕を与えた。ただコロンビアのインフレ圧力は低いままで、1月の同国CPIは前年比+2.13%と目標レンジ(2~4%)の下限にある。このため、コロンビア景気が再び軟化すれば、同国中銀は利下げに踏み切るだろう。

ブラジル・中央政府財政収支(2014年1月)、製造業購買担当者指数(2014年1月)

本日午後10時に1月のブラジル中央政府財政収支が発表される。市場予想では192億レアルの黒字と昨年12月の145億レアルから黒字額が拡大する見込みである。また同時に2月の同国製造業購買担当者指数も発表される。

ブラジル中銀は昨日、政策金利を25bp引き上げ10.75%とし、声明では追加利上げの可能性を示唆したため、USD/BRLは今年の最安値となる2.32近辺まで低下した。ただ、ブラジル当局がUSD/BRLを2.30以下とすることは望まないだろう。今後、彼らがどのような対応を示すか注目している。

トルコ・貿易収支(2014年1月)

本日午後5時に1月のトルコ貿易収支が発表される。市場予想では72億ドルの赤字と前月(99.2億ドルの赤字)から赤字額が縮小する見込みである。ただ同時期のTRYは下落し、原油価格は上昇した。このため本日発表される貿易収支は市場予想を上回る赤字となる可能性もある。

トルコのファンダメンタルズは悪化を続けるだろう。たとえばインフレは、これまでのTRY安の影響を受けて伸びが高まる見込みである。対外収支の悪化と投機マネーへの依存はTRYの下押し圧力を高め、トルコ中銀は再び利上げに迫られるとみている。

南アフリカ・貿易収支(2014年1月)

本日午後9時に1月の南アフリカ・貿易収支が発表される。市場予想では122億ランドの赤字と前月の28億ランドの黒字から赤字に転落する見込みである。

今年も南アフリカ景気が低迷する一方、インフレは高止まりし、対外収支は悪化傾向を続けるとみている。仮にZARが安定的な値動きとなれば、南ア中銀は利上げを見送り続けると予想している。

日銀・佐藤審議委員の会見に関するコメント~日経CNBC NEWS ZONE 番組原稿案

Q1
市場では日銀が追加緩和に動くというのが半ば前提視されていますが、村田さんは同じ見方ですか?

A1
ご指摘の通り、市場では日銀の追加緩和を織り込み切っています。タイミングの問題はありますが、今年のどこかで日銀が追加緩和に踏み切ると私も考えています。

Q2
「今年のどこかで」とおっしゃりましたが、ずばりいつ頃を想定されていますか?

A2
市場では来月にも緩和するんじゃないかと極端に早い見方をする方もいれば、夏場くらいとやや遅めを意識される方もいるようですが、私は4月30日の会合でのサプライズ的な追加緩和があり得るのではないかと考えています。消費税の引き上げで日本景気が減速するため、それをカバーすべく日銀が追加緩和をする、というのが一般的な考え方です。この場合、日本景気の減速を確認するには4月の経済指標がある程度確認できる5月20、21日会合か6月12、13日会合での追加緩和を考えるのが自然です。ただ、消費税引き上げによる景気減速の影響を金融緩和で限定的なものにしたいと考えるなら、どうせやるなら早い方がいい、とばかりに4月の会合で追加緩和した方が合理的です。今のところ、4月会合での追加緩和を見込む声は少数派ですので、4月会合での追加緩和は市場への期待を重視する黒田総裁の考え方とも整合的です。

Q3
消費増税の悪影響に対して予防的な追加緩和を4月30日の会合でとのことですが、その際は例えば展望レポートの見通しの引き下げを同時に行う、ということでしょうか?

A3
可能性はあります。しかし、あえて変えないんじゃないかと考えています。というのも、追加緩和したのに、見通しを下方修正っておかしい、となるからです。建前のロジックとして、見通し改定作業において、景気の下方リスクが高まったから追加緩和した、程度の対応しかしないような気がします。そもそも黒田体制になってから展望レポートは意味がなくなりましたので、私はほとんど気にしていません。

Q4
追加緩和の効果について佐藤委員は疑問視していますが、村田さんは効果があるとみていますか?

A4
佐藤委員の趣旨は、現在実施している大規模な国債買い入れに対して疑問視しているのだろう。円債利回りは10年債ですら0.6%近辺まで低下しており、さらに利回りを低下させても得られる効果は限定的とみるべきだ。また既存の金融い政策の延長線上でしかない国債買い入れ額の拡大は、市場の期待形成にもつながりにくい。財政ファイナンスという批判も無視できなくなりつつある。
ただ、追加緩和は国債購入だけに限らないということを忘れてはならない。2月の会合で日銀が貸し出し増加を目的に金融機関への貸出枠を倍増させたことは今後の追加緩和を考える上でヒントとなる。国債市場を通じた緩和ではなく、市中銀行の貸出を通じた緩和という方策は残されている。

Q5
また追加緩和についての市中銀行の貸出増加というチャネルについてですが、Q3とQ4はそのまま使わせて頂きつつ、併せて伺いたいのですが

・現状も低金利で特に金融機関の資金調達コストが安いこと
・ここ数年の資金需要の低迷=有望な融資先の不足

など、貸し出しを増加させるためには課題もあるかと思います。日銀がどういったことをすれば貸出増加に繋がるのか、村田様から、考えられる政策を挙げていただくことは可能でしょうか?

A5
金融機関への貸出金利を現在の0.1%から0.01%程度に引き下げることはありえるだろうな、とみています。また日本政策投資銀行とのコラボでベンチャー企業向け貸し出し基金を新たに創設し、日銀が5年なり10年の期間

2014年2月27日木曜日

Mt.Gox(マウントゴックス)の夜逃げ

日本で事実上、唯一のビットコイン取引所だったMt.Gox(マウントゴックス)がウェブサイトを閉鎖したことが話題となっています。同社は2月7日に技術的不具合を理由に顧客名義のビットコインの引き出しを停止していましたが、25日にはウェブサイトを閉鎖。26日未明には、同社サイトには英語で

・サイトと利用者を保護するため、当面、すべての取引を停止することを決めた。

と表示されるようになりました。本原稿作成時点(2月27日午後)では、同社CEOとされるマーク・カルプレス(Mark Karpeles)氏の名で

・私は依然として日本におり、関連企業のサポートを得て問題解決に向けて懸命に働いている

とのコメントも記されています。

しかし、同社サービスの復旧の見通しは示されないままで、同社の顧客は、同社に預けているビットコインや現金を引き出すことができない状況が続いています。そもそもMt.Goxはネット企業ですから、一般企業でいうところの「夜逃げ」をしたと判断していいと思います。

一部報道によると、同社が事実上の夜逃げに至った主因は同社が保有していたビットコインがハッキングによって流出してしまったためのようです。一部メディアが内部資料として報じた「Crisis Strategy Draft」によると、Mt.Goxはハッキングによって744,408(74.4万)ビットコインを紛失。仮に1ビットコイン=500ドル(約5万円)とすれば、同社は370億円程度の資産を失ったことになります。

Mt.Gox夜逃げの後の状況については、各種メディアが数多く報じていますので、詳細は割愛しますが、渋谷にあるMt.Goxのオフィスには誰もいないようです。菅官房長官は26日の記者会見で、Mt.Goxが夜逃げしたことに関し、金融庁や警察庁などの関係省庁が情報を収集していると述べ、利用者への影響などの調査を始めたことを明らかにしました。しかしMt.GoxのCEOとされるマルク・カルプレス氏を始め、同社の関係者の所在が不明なわけですから、Mt.Goxの顧客が同社に預けていたビットコインや現金を早期に取り戻すのは難しいと思われます。

Mt.Goxの夜逃げ事件は、ビットコイン業界にも大きな影響を及ぼすでしょう。またビットコイン業界は衰退する、との見方も徐々に強まっているようです。Mt.Goxの夜逃げを受けて、米民主党のマンチン上院議員は、ビットコインは薬物などの違法取引に悪用されており、米経済に悪影響を及ぼす恐れのある「危険な通貨」だと指摘。ビットコインの規制強化を求める書簡を米財務省や米FRBに送ったと報じられています。同議員はMt.Goxの取引停止にも言及し、現状を放置すれば「米国の消費者が取引で損失を受ける」との懸念を示したそうです。これまで米政府・当局は、ビットコインに対し比較的寛容な姿勢を示してきましたが、今後は他新興国と同様にビットコインの利用そのものを規制する方向に動く可能性もあります。

ビットコイン取引所などを営む企業6社(Coinbase、Kraken、BitStamp.net、BTC China、Blockchain.info、Circle)は24日、

・Mt.Goxの件は同社の責任によるもので、仮想通貨そのものの価値が揺らいだわけではない。
・取引所各社は共に顧客資産保護に協力する。

とする共同声明を発表しました。しかし、業界最大手の一角とされていたMt.Goxが夜逃げしたという事実は重く、他6社が自身の健全性をいくら主張したところで、ビットコインの既存ユーザーも含め数多くの方がビットコインの利用を躊躇すると考えるのが自然です。ビットコインの取引需要は大きく後退すると予想されます。

世界各国には投機を目的としたビットコイン取引者がそれなりに存在すると思われ、Mt.Goxを除く取引所でビットコインは取引されることでしょう。ただMt.Goxの夜逃げによって取引参加者は減少したと考えられるので、ビットコインの値動きはさらに激しくなると思われます。

しかし、ビットコインのメリットである、送金の容易性や発行主体を持たずに善意の第三者による取引認証の仕組みは、Mt.Goxの夜逃げや夜逃げの主因とされるハッキングとは関係がなく、今後も続きます。そもそもビットコインが短期間で広く普及した背景には、こうしたメリットがあったわけですから、Mt.Goxが夜逃げしたからといって、すぐさまビットコインが消滅することはないでしょう。

つまり、これまでのようなスピードでビットコインが普及することはないものの、ビットコインのメリットに意義を見出した一定層がビットコインを利用し続ける、という状況が当分、続くと考えられます。ただ日本の場合、事実上、唯一のビットコイン取引所だったMt.Goxが夜逃げをしたわけですから、ビットコインの利用は当面、停滞したままと思われます。

ビットコイン業界が、Mt.Goxの夜逃げで被ったダメージから回復するには、今回の事件をMt.Goxによる特殊事例と位置付けるのではなく、業界全体で解決すべき事例とし、Mt.Goxの顧客への損害補償にも積極的に対応することが有効と思われます。ビットコインの取引所においては、Mt.Goxの夜逃げをチャンスととらえ、各取引所が共同出資することで統一的な取引所を創設し、これまで個別に実施してきた取引を一元化することがビットコインの取引透明化に資すると考えられます。こうすることでMt.Goxの夜逃げによって慎重になったビットコイン取引者のセンチメントを改善し、ビットコイン業界の健全性をアピールすることがビットコインの利用普及を後押しするでしょう。

ただ、残念ながら、ビットコイン業界で、こうした全体的な動きが出るとは思えません。なぜならビットコインの思想背景には「自己責任原則」があるからです。ビットコインが国家や中央銀行といった権威から自由であることは、ビットコインの初期ユーザー層を魅了しました。自由であるがゆえに、ユーザーはメリットだけではなくデメリットも甘受する自己責任が求められる、という思想です。これは米共和党・保守派運動「ティーパーティー(茶会)」に相通じるものに思えます。

たとえばビットコインの取引にはウォレットと呼ばれるフリーソフトをダウンロードし、メールアドレスとパスワードで口座を開設する必要がありますが、パスワードを管理するのはユーザーだけで、他者は誰もパスワードを把握していません。仮に口座利用者がパスワードを失念してしまうと、ウォレットを開けることは永遠にできなくなるのです。通常の金融サービスの場合、サービス提供者がパスワードの復元などをサポートしてくれますが、ビットコインの場合、サポートは受けられません。今回のMt.Goxの夜逃げに対しても、他6社が責任をMt.Goxのみにある、と断じたことも、ビットコインの自己責任原則に則った動きと解釈すべきでしょう。

2014年2月26日水曜日

ブラジル・政策金利(現在10.50%)

日本時間明日朝にブラジル中銀は政策金利を発表する。Bloomberg調査によると、予測回答者61名のうち44名が25bpの利上げを、16名が50bpの利上げを、1名が金利据え置きを見込んでいる。

ブラジルのインフレ圧力は徐々にではあるが緩和傾向で推移しており、我々はブラジルの利上げ局面が終了に近付いていると考えている。

南アフリカ・政府予算案(2014/15年度)

南アフリカ政府は本日午後9時に2014/15年度の政府予算案を公表する。市場予想では、財政赤字のGDP比は4.1%、翌2015/16年度は同3.8%と2013/14年度の4.2%から若干改善する見込みである。

南アフリカ財政は、ここ数年悪化傾向が続いているが、同国成長率がやや加速していることから、財政データは一時的に改善を示している。現に12月の財政赤字(過去12カ月累計値)は1736億ランドと2013年2月以来の低水準となっている。

ただ、中長期的には南アフリカ景気が低迷する一方、インフレは高止まりし、対外収支は拡大傾向を続けるとみている。仮にZARが安定的な値動きとなれば、南ア中銀は利上げを見送り続けるだろう。

シンガポール・鉱工業生産(2014年1月)

本日午後2時に1月のシンガポール鉱工業生産が発表される。市場予想では前年比+6.5%と前月(同+6.2%)と同様に堅調な推移が見込まれている。

シンガポール景気は緩やかながら回復の兆しを示しているが、インフレは弱いままである。1月のシンガポールCPIは前年比+1.4%と2010年2月以来の低い伸びとなった。MASが4月の会合でも金融政策を現状維持にするだろうが、今後発表される経済指標が弱いままであれば、MASが金融緩和を検討する可能性も高まる。