2014年5月16日金曜日

ドル発行による米国の利益その1

ドル紙幣は米国外で大量に利用されていることから、米国は多額の通貨発行益(シニョレッジ)を得ています。

米国の中央銀行(連邦準備制度)は無利子の通貨(ドル紙幣)を負債として発行し、資産として米国債などの収益資産を保有しています。米国政府は中央銀行に国債の金利を支払いますが、それは中央銀行の利益として一部は政府に納付金という形で戻ります。このため、政府と中央銀行を合わせたものを広義の米国政府とすると、米国政府は国外で流通するドル紙幣の金額だけ無利子で国債を発行しているのと同じことになります。これによる通貨発行益は年150~300億ドルになると推計されています。

ドルが基軸通貨である理由その4

ドルは米国以外の国で広く流通しています。ニューヨーク連銀の推計(2005年時点)によると、ドル紙幣発行残高の約65%が米国外で流通しているとされています。ユーロもユーロ圏外での使用が増えていますが、ECBの推計(2009年)によると、ユーロ紙幣発行残高の10~20%程度でしかありません。

ブラジル・経済活動指数(2014年3月)

本日午後8時半に3月のブラジル経済活動指数が発表される。市場予想では前年比+0.13%と前月(同+4.04%)から大きく鈍化する見込みである。仮に市場予想通りとなれば、第1四半期のブラジルGDPは前年比1.7%増程度が見込まれ、前期(同1.9%増)から小幅鈍化することになる。

昨日発表された3月のブラジル小売売上高は前年比1.1%減と市場予想(同0.3.%減)を上回る落ち込みとなった。5月28、29日に予定されているブラジル中銀の金融政策委員会(COPOM)で政策金利が据え置かれる可能性が高まっているように思える。

マレーシア・GDP(2014年第1四半期)

本日午後7時に第1四半期のマレーシアGDPが発表される。市場予想では前年比5.7%増と前期(同5.1%増)から加速する見込みである。

マレーシア景気は回復基調で推移しており、マレーシア中銀は先週も政策金利を3.00%で据え置いた。ただ同中銀は声明で現行の低金利を続ければ、家計の債務拡大など不均衡を招く恐れがあると指摘。利上げの可能性を示唆した。次回中銀会合は7月10日である。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月15日)

 5月15日のロンドン市場はユーロが下落した。第1四半期のフランスGDPは前期比横ばいと市場予想を下回り、前期も下方修正。同期ドイツGDPは前期比0.8%増と市場予想を上回ったが、ユーロドルはロンドン市場に入るとユーロ売りが先行し、1.37ドル台前半から1.36ドル台後半に下落した。その後、ECBは月報でインフレ見通しを下方修正。同時に発表された第1四半期イタリアGDPは前期比0.1%減と予想外のマイナス成長。同期ユーロ圏GDPは前期比0.2%増と市場予想を下回った。ECBのコンスタンシオ副総裁はECBのインフレ見通しの下方修正は予想外の結果ではないと述べ、ECB理事会は必要に応じ、速やかに行動する覚悟を固めている。追加的な金融政策の緩和を排除しないと発言。同中銀のメルシュ専務理事は現時点ではユーロ圏は非常に脆弱で景気回復がまだら模様であるという基本シナリオにおおむね沿っているとみていると述べ、これまで検討してきた措置は幅広く、こうした手段が即座位に活用できるよう、全ての準備作業を加速させることに賛成と発言。6月理事会後に詳細な手段が判明するだろうと述べ、ECBの追加緩和観測を強めた。

 一方、ドル円はロンドン市場に入り一時101円台後半から102円台前半に上昇したが、上昇は続かず、取引中盤以降は101円台後半での推移。ドイツ株、日経平均先物ともに前日終値から変わらずの動き。東京市場で小幅上昇した米債利回りが反落したことでドル円の上値が抑えられた。

 NY市場ではドルが下落した。5月のNY連銀製造業景気指数は19.01と市場予想を大きく上回り、2010年6月以来の高水準を記録。4月の米CPIは前年比+2.0%と市場予想通りの伸びだったが前月から加速。コアCPIは同+1.8%と市場予想に反し前月から小幅加速した。米新規失業保険申請件数は29.7万件と市場予想を下回り、2007年5月以来の低水準を記録した。発表された米経済指標が総じて好結果となったことでドル円は102円台前半に上昇したが、米債利回りの上値は重いままでドル買いの動きは限定的。その後発表された3月の対米証券投資では中長期金融資産が40億ドルの買い越しと市場予想を大きく下振れ。4月の米鉱工業生産は前月比-0.6%と市場予想に反し、3カ月ぶりの低下となると、米債利回りは低下へ。5月のフィラデルフィア連銀景気動向指数は15.4と市場予想を小幅上回ったが、米債利回りの低下は継続。ドル円は取引中盤にかけて101円台前半に下落した。その後、米債利回りが小幅反発したことでドル円は101円台半ばを挟んでの推移。ただ、ドル円の上値は抑えられたままだった。

 ユーロドルはドル売りの流れを受けて取引中盤までに1.36ドル台後半から1.37ドル台前半に上昇。その後は同水準で方向感に欠ける推移が続いた。

 米経済指標は鉱工業生産など一部で弱い結果となったが総じてみれば米景気の堅調ぶりを示す内容。しかし米債利回りは低下し、米国株は続落となった。本日の日本株も下げて始まる見込みで本日東京市場でのドル円は上値の重い動きが続くと予想される。一方、ユーロはECBによる追加緩和観測を背景に軟調な推移が続く見込み。アジア通貨は米債利回りの低下がサポート材料となるものの、欧米株の下落を受けて軟調な動きとなりそうだ。

2014年5月15日木曜日

チリ・政策金利(現在4.00%)

明日午前7時にチリ中銀は政策金利を発表する。市場予想では政策金利は4.00%で据え置かれるとみられているが、一部からは25bpの利下げを見込む声も出ている。ただ4月のチリCPIが前年比+4.3%と目標レンジ(2~4%)の上限を超えたため、利下げ期待は後退している。

ブラジル・小売売上高(2014年3月)

本日午後9時に3月のブラジル小売売上高が発表される。市場予想では前年比0.3%減と前月(同8.5%増)の反動が出ると予想されている。

ブラジルのインフレ圧力は強まりつつある一方で、同国景気は低迷を続けている。ブラジル中銀は5月28日に金融政策決定会合を開催するが、インフレ圧力の強まりが弱まっていることもあり、同中銀は追加利上げを見送る可能性もある。

ポーランド・GDP(2014年第1四半期)

本日午後5時に第1四半期のポーランドGDPが発表される。市場予想では前年比3.1%増と前期(同2.7%増)から加速する見込みである。

昨日発表された4月のポーランドCPIは前年比+0.3%と、市場予想(同+0.7%)を大きく下回った。このためポーランド中銀は6月の会合でフォワードガイダンスを変更し、利上げ開始時期を早くても2015年初めとする内容に変更する可能性が高まった。

ポーランド中銀は7日、政策金利を2.50%で据え置き、政策金利を今年第3四半期末まで据え置くとするフォワードガイダンスも変更しなかった。

ハンガリー・GDP(2014年第1四半期)

本日午後4時に第1四半期のハンガリーGDPが発表される。市場予想では前年比2.7%増と前期と同じ伸びが見込まれている。

ハンガリー景気は回復基調を維持しており、同国インフレは徐々に高まってくると思われる。昨日公表されたハンガリー中銀の会合議事録(4月29日開催分)では10bpの利下げが賛成7反対2で決まり、反対2票は金利据え置きを主張していたことが明らかになった。

ハンガリー経済は依然としてデフレリスクが残っているが、ハンガリー中銀による利下げは終わりつつあるとみている。

インド・WPI(2014年4月)

本日午後3時半に4月のインドWPIが発表される。市場予想では前年比+5.70%と前月と同じ伸びが見込まれている。4月のインドCPIは前年比+8.59%と市場予想(同+8.50%)を上回った。このため本日発表されるWPIが市場予想を上回る可能性もある。ただインド中銀は当面、政策金利を据え置くだろう。次回会合は6月3日である。

市場はインド総選挙での最大野党インド人民党(BJP)の勝利を見込んでいる。ただ市場のBJPに対する期待は行き過ぎていると思われ、同党の議席や連立政権の状況を確認するまで慎重な姿勢を続けるべきと考えている。

シンガポール・小売売上高(2014年3月)

本日午後2時に3月のシンガポール小売売上高が発表される。市場予想では前年比3.8%減と2カ月連続の前年割れが見込まれている。

第1四半期のシンガポール経済指標は軟化しているが、MASは4月に金融政策を現状維持とした。MASは今年のインフレ見通しを従来の2.0~3.0%から1.5~2.5%に下方修正。一方、景気認識は第1四半期の成長率が大きく減速したにも関わらず、堅調な推移という判断を維持した。

それなりの落ち込みを覚悟した方がいい第2四半期の日本・個人消費

本日発表された今年第1四半期の日本GDPは、ある程度の大きな伸びが予想されていましたが、その予想すら上回る非常に高い成長を記録しました。

GDPは前期比年率5.9%増と東日本大震災後の反動で大幅な増加を記録した2011年第3四半期以来の高い伸びを記録。内訳をみると、個人消費が前期比2.1%増、設備投資が4.9%増と非常に高い伸び。両者だけでGDP成長率を前期比2.0%(年率6.0%)押し上げました。一方、公共事業は補正予算効果の息切れで2.4%の減少。輸出は6.0%増となりましたが輸入は6.3%増と輸出を上回る伸び。結果として外需(純輸出)はGDP成長率を前期比0.3%押し下げました。

消費税率引き上げ前の駆け込み需要がGDPを押し上げるとみられていましたが、ここまで高い伸びとなると、第2四半期の反動が強く出るとみた方がいいでしょう。甘利再生相は消費税引き上げによる駆け込みの反動減は今のところ想定内、とコメントしました。ただ家計の給与動向を示す雇用者報酬は、今年第1四半期ですら実質で前期比0.3%減と3期連続の減少。名目でも0.2%減と減少に転じました。日本株は昨年末をピークに下落。本日朝方の水準でみると年初来10%以上の落ち込みです。昨年後半に消費を押し上げた資産効果は、今年に入って「逆」資産効果として消費を下押しする可能性すらあります。

消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動に加え、実質所得の減少が続いているのであれば、第2四半期の消費はそれなりに落ち込むとみるのが自然に思えます。日本景気の先行き期待が後退すれば、為替市場では円売りの動きが抑制されることになります。景気減速を受けて日銀が追加緩和に動くとの期待は根強いようですが、黒田総裁は物価が日銀の見通し通りに動いていることを理由に追加緩和に否定的な見方を示しています。また仮に日銀が追加緩和に動いても、昨年と異なり景気が減速しているわけですから、円売りの動きが大きく強まることも期待できません。

仮に私の見立てが間違っており、個人消費の落ち込みが限定的だとすると、当然ですが家計の貯蓄率が大きく低下することになります。貯蓄率の低下は経常収支の悪化につながりますので、為替市場では円売りの動きがサポートされる可能性もあります。つまり個人消費の先行きを考えることは、日本景気だけでなく円相場の行方を占う意味でも重要といえます。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月14日)

 5月14日のロンドン市場は取引前半に円買いが先行。ドル円は102円台前半から101円台後半に下落。取引中盤以降は同水準でのもみ合いとなった。前日に過去最高値を更新したDAX指数は高値警戒感もあって上値の重い動き。日経平均先物は序盤に下げた後は軟調に推移。米債利回りは低下するなど市場のリスク回避姿勢は根強く、ドル円は下げる動きとなった。

 一方、ユーロドルは1.37ドル台前半で方向感に欠ける動き。3月のユーロ圏鉱工業生産は前年比-0.1%と市場予想に反し、ほぼ前年並みの水準。ただ前月比は-0.3%と市場予想通りだったこともあって市場の反応は限定的だった。ECBのプラート理事はドイツ現地メディアとのインタビューでECBは条件を設けてになるが、銀行に一段の長期資金を提供することや再利下げも可能。複数の措置の組み合わせも考えられると発言。組み合わせ措置の一部にマイナス金利があることも可能と述べ、ユーロ相場については、ユーロ圏のインフレが非常に低いという意味でユーロの上昇は問題と指摘した。

 ポンドはBOE四半期インフレ報告を受けて下落。ポンドドルは1.68ドル台後半から1.67ドル台後半に下落した。4月の英失業保険申請件数は2.51万件減と市場予想ほどの改善を示さず、ポンド買いの動きは一服。その後発表されたBOE四半期インフレ報告では今後2年間の失業率見通しを従来の6.4%から5.9%に引き下げ。一方、成長率見通しは今年が3.4%、来年が2.9%と従来とほぼ変わらず。インフレ見通しは今年と来年が1.8%とされ、利上げ開始は2015年第2四半期以降との市場予想に基づく見通しを発表した。同報告では、余剰能力マージンはおそらくやや縮小したが、金融政策委員会は引き続き、利上げ前に緩みを一段と埋める余地が残っていると判断していると指摘。2月のガイダンスで設定した通り、委員会が利上げを開始する際には、ほんの漸進的かつ危機前の平均を大きく下回る水準に利上げすることになると委員会は予想しているとした。BOEカーニー総裁は会見で時間の経過とともに景気回復が持続するにつれ、中銀が段階的に利上げを迫られる時期もやや近づいたと述べたが、金融危機からの回復は依然として初期段階にあると指摘。利上げ前倒し期待を後退させた。

 NY市場ではドル、ユーロともに方向感に欠ける動きが続いた。4月の米PPIは前年比+2.1%、コアPPIは同+1.9%とともに市場予想を上回り、いずれも2013年以降、最も高い伸びを記録。ただ米債利回りが上昇することもなく、ドル円は101円台後半での揉みあいが続いた。

 ユーロドルは1.37ドルちょうど近辺から1.37ドル台前半での小動き。ドイツ連銀のバイトマン総裁は金融政策のため行動する必要があれば、独連銀も行動する準備が整っていると発言。ただ、金融緩和の手段と効果、リスク、副作用を考える必要があるとも指摘し、為替に影響を与えても短期的な効果しかもたらせないだろうとの認識も示した。

 米PPIが予想以上の伸びとなり、利上げ前倒し期待が強まるかと思われたが、米債利回りはむしろ低下。ドルの上値を抑えた。日本株は下げて始まる見込みで市場のリスク回避姿勢は根強い状況。本日東京市場でのドル円は上値の重い動きが続きそうだ。一方、ユーロはECBによる追加緩和観測を背景に軟調な推移が続く見込み。アジア通貨は米債利回りの低下を受けて買い戻しの動きが強まると思われる。

2014年5月14日水曜日

ドルが基軸通貨である理由その3

ドルは国際的な債券取引において多く利用されています。

世界の銀行融資のうち、国境をまたぐ取引(クロスボーダー取引)でのドルの比率は約50%で、次いでユーロが約20%となっています。またクロスボーダーの預金ではドル建て預金が全体の約60%、ユーロ建は約20%となっています。

国際債券(international debt securities)のうちドル建ての比率は約45%であるのに対し、ユーロは約30%です。

ドルは各国の外貨準備としても保有されています。通貨別の配分が分かっている外貨準備総額のうちドルの割合は2013年時点で61.2%と、ユーロの24.4%を大きく上回っています。

ポーランド・CPI(2014年4月)

本日午後9時に4月のポーランドCPIが発表される。市場予想では前年比+0.7%と前月と同じ伸びが見込まれている。ポーランド中銀は7日、政策金利を2.50%で据え置き、政策金利を今年第3四半期末まで据え置くとするフォワードガイダンスも変更しなかった。しかし6月にガイダンスを変更する可能性もある。

ハンガリー・中銀会合議事録(4月29日開催分)

本日午後9時にハンガリー中銀は会合議事録(4月29日開催分)を公表する。昨日発表された4月のハンガリーCPIは前年比-0.1%と市場予想(同+0.1%)を下回った。ハンガリー経済は依然としてデフレリスクが残っているが、景気は加速している。このため我々はハンガリー中銀による利下げは先月で終了するとみている。本日公表される議事録は、利下げ打ち止めに関する材料が提示される可能性がある。

南アフリカ・小売売上高(2014年3月)

本日午後8時に3月の南アフリカ小売売上高が発表される。市場予想では前年比2.2%増と前月と同じ伸びが見込まれている。3月の同国製造業生産は前年比0.7%増と市場予想(同2.9%増)を下回った。5月22日に南アフリカ中銀は金融政策決定会合を開催するが、追加利上げは難しいだろう。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月13日)

 5月13日のロンドン市場はユーロが下落した。5月のドイツZEW景況感指数は
33.1と市場予想を大きく下回り昨年1月以来の低水準に低下。ZEWエコノミストは
指数の低下は主に今年後半に景気が減速することを織り込んだものと説明した。
これを受けてユーロドルは1.37ドル台後半から一時1.37ドル台前半に下落。その
後、1.37ドル台半ば近辺に反発した。しかし、一部メディアは関係筋の話としてドイ
ツ連銀がECB預金金利をマイナスとすることや、パッケージ化された銀行ローン
の買い入れも一定のインフレに向け必要なら支持する意向と報道。6月のECB理
事会での追加緩和期待が高まり、ユーロドルは1.37ドルちょうど近辺と4月7日
以来の安値に下落した。

 一方、ドル円は102円台前半で方向感に欠ける動き。ドイツ株、日経平均先物は
ともに小幅プラス圏での推移。米債利回りも小動きでドル円は動意に欠ける動きと
なった。

 NY市場ではドルが底堅い動きを示した。4月の米小売売上高は前月比0.1%増
と市場予想を下回る弱い伸び。コア売上高は同0.1%減と市場予想に反し前月比
マイナスとなった。指標発表後、ドル円は102円台前半で小幅下落。ユーロドルは
1.37ドルちょうど近辺から1.37ドル台前半に反発するなど、ドル売りの動きが強ま
った。ただドル売りが一巡した取引中盤からはドルは買い戻しの動きに。ドル円は
102円台前半で上昇基調で推移。取引後半には米小売売上高発表前の水準まで
上昇した。一方、ユーロドルはじり安の推移。取引後半には1.36ドル台後半まで
下落。その後は1.37ドルちょうど近辺に反発し、同水準でのもみ合いを続けた。

 米小売売上高は4月が市場予想を下回ったが3月分は上方修正。水準でみれば、
ほぼ市場予想通りといえ、米景気の先行き期待を大きく後退させたとは思えない。米
債利回りは低下したものの、ウクライナ東部の緊張は一服。欧米株が底堅く推移した
こともあって本日東京市場でのドル円は引き続き底堅い動きを続けると予想される。
一方、ユーロはECBによる追加緩和観測を背景に軟調な推移が続く見込み。アジア
通貨は米債利回りの低下を受けて買い戻しの動きが強まると思われる。

2014年5月13日火曜日

ドルが基軸通貨である理由その2

世界の為替市場でドルの取引が大きい理由の一つにドルが媒介通貨として使われている点があります。例えば円を売り、韓国ウォンを買う取引を考えてみます。この場合、円売り・ウォン買いの取引を直接するのではなく、円売り・ドル買いの取引をし、その後、ドル売り・ウォン買いの取引をするのです。

ドルは米国が直接関係しない貿易取引でも使われます。各国の輸出全体に占める対米輸出の割合と、各国の輸出全体に占めるドル建て輸出の割合を比べると、ドル建て輸出の方が大きい場合がほとんどです。つまり、米国以外の地域での輸出でもドルが使われていることになります。

たとえば日本の場合、輸出全体に占める対米輸出の割合は約20%ですが、ドル建て輸出は50%を超えています。アジアの場合、対米輸出の割合は日本と同じように20%前後ですが、ドル建て輸出は80~90%です。つまりアジア各国の輸出のほとんどはドル建てで行われていることになります。

原油や農産物といった国際的に取引される一次産品は、輸出国にかかわらずドル建てで取引されています。

ドルが基軸通貨である理由その1

国際決済銀行(BIS)が3年ごとに発表する報告書によると、2013年4月の世界の為替取引における1日平均の取引額シェアは、ドルが全体の4割超を占めています。

通貨別にみた世界の為替取引(2013年4月時点)

 ドル 87.0
 ユーロ 33.4
 円 23.0
 ポンド 11.8
 その他 44.8
 合計 200.0

(出所)国際決済銀行「Triennial Central Bank Survey of Foreign Exchange and Derivatives Market Activity in April 2013」

ドルに次いでシェアが大きいのはユーロですが、シェアはドルの半分未満。ドルの地位を脅かす存在にはなっていません。

ドルの取引が大きい理由は数多くあります。米国は世界最大の経済大国であるほか、米国の金融市場が世界で最も発展していることもあげられます。

ハンガリーCPI(2014年4月)

本日午後4時に4月のハンガリーCPIが発表される。市場予想では前年比+0.1%と前月と同じ伸びが見込まれている。


ハンガリー経済は依然としてデフレリスクが残っているが、景気は加速している。このためハンガリー中銀による利下げは先月で終了したとみていいだろう。明日(5月14日)には中銀会合議事録(4月29日開催分)が公表されるが、ここで利下げ打ち止めに関する材料が提示される可能性がある。

トルコ経常収支(2014年3月)

本日午後4時に3月のトルコ経常収支が発表される。市場予想では33億ドルの赤字と前年同月から赤字額が大きく縮小する見込みである。仮に市場予想通りの結果となると過去12カ月累計のトルコ経常収支赤字は599億ドルとなり、昨年9月以来の低水準となる。ただ経常収支赤字の縮小は、景気低迷を背景とした輸入の縮小によるものである。

中国・小売売上高、鉱工業生産(ともに2014年4月)

本日午後2時半に4月の中国・小売売上高、鉱工業生産が発表される。市場予想では小売売上高が前年比12.2%増と前月と同じ伸び。鉱工業生産は同+8.9%と前月(同+8.8%)とほぼ同じ伸びがそれぞれ見込まれている。

昨日発表された4月の中国M2は前年比13.2%増と市場予想を上回る伸びとなった。中国景気は安定感を増しつつある。中国当局による大規模な景気対策は期待しにくくなった。

2014年5月12日月曜日

上値を追うことは推奨できないZAR

7日投票の南アフリカ総選挙では与党アフリカ民族会議(ANC)が得票率62.2%で勝利。ズマ現大統領は議会で再選される見通しとなった。ただANCの得票率は前回選挙の65.9%から低下。議席数も前回選挙から15議席減らし249議席となる。

一方、白人の支持者が多いリベラル系野党の民主同盟(DA)は22議席増の89議席。ANC青年同盟のリーダーだったマレマ氏が設立した左翼新党、経済的解放の闘士(EFF)は25議席をそれぞれ獲得した。

先週のZARはANC政権の継続が好感され、ZARは8日のロンドン市場に入り買い優勢。週明けのZARは昨年12月下旬以来の高値圏での推移となっている。ただ、徐々にとはいえANCの政治力が低下しているのも事実。景気の低迷や汚職を背景にANCへの不満は強まっているといえ、南アフリカの政情不安は続くとみるべきだろう。

南アフリカ景気は、依然として低迷したままである。4月の同国カギソ製造業PMIは47.4と2012年12月以来の低水準に低下。内訳をみると景気の先行指標とされる新規受注が43.5と2009年8月以来の低水準を記録した。3月の同国製造業生産は前年比0.7%増と市場予想を下回り、4か月ぶりの低い伸び。14日に発表予定の3月の同国小売売上高は前年比2.2%増と前月並みの伸びにとどまる見込みである。

南アフリカのインフレ圧力は強いまま。3月の同国CPIは前年比+6.0%と6カ月ぶりの6%台の伸び。同国コアCPIは同5.5%と2010年1月以来の高い伸びとなった。3月の同国M3は前年比7.86%増と昨年6月以来の高い伸びを記録。南ア中銀のマーカス総裁が今年第4四半期にはCPIが前年比+6.6%に達するとの見通しを示しているように、南アフリカのインフレ圧力は強まりつつある。

同総裁は南アフリカの実質金利が正常と思われる水準を下回っていると発言。追加利上げに含みを持たせているが、景気低迷が続いているだけに、仮に利上げをしたとしても、そのペースは非常に緩やかなものとなるだろう。

いわゆるスタグフレーション経済のなか、利上げが遅れがちとなると、ZARが下落することで南ア経済全体が均衡状態に向かうと考えた方が自然だ。米債利回りが低位で推移していることから、南ア債は買い優勢。ZARも底堅い動きとなっているが、ZARの上値を追うことは推奨できない。