2014年5月23日金曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年5月22日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。ユーロと連れ安となる格好で東欧通貨が対ドルで下落する一方、TRY、ZARなどは上昇した。

 THBは対ドルで0.3%の下落。タイのプラユット陸軍司令官はテレビを通じ、陸海空軍、国家警察からなる国家平和秩序評議会が行政権限を掌握したと事実上のクーデターを宣言。国王に関する条項を除き現行の憲法を一時停止し、夜間の外出禁止令も発令した。一部メディアはタイ国軍がキティポン・キティヤラット元法務次官を暫定首相に任命することを決めたと報じた。報道によると、バンコク中心部では夕方時点で軍兵士などの姿は見当たらず大きな混乱は起きていない様子。ただテレビは全チャンネルが通常放送を停止している。タイ証券取引所が電子メールでタイ証券取引所、代替投資市場、タイ先物取引所、債券電子取引所は23日も通常通りオープンし、取引が行われると発表した。

 BRLは対ドルで0.4%の下落。4月のブラジル失業率は4.9%と市場予想に反し前月から低下。ブラジル中銀のトンビニ総裁は為替プログラムはBRL下落の予防的なヘッジ手法であり、これまでのところ成功していると発言。ただ同プログラムの必要性は低下しているとの認識も示された。ブラジル世論調査・統計機関(IBOPE)はブラジル大統領選の支持率を発表。ルセフ現大統領は40%、ネベス上院議員が20%、カンポス元ペルナンブコ州知事が11%とルセフ現大統領優位の結果となった。

 MXNは対ドルで0.4%の上昇。5月前半のメキシコCPI(隔週)は前年比+3.44%と市場予想とほぼ同じ伸び。ただコアCPIは同+2.97%と市場予想を下回り鈍化傾向が持続。メキシコのインフレ圧力が徐々に緩和していることを示した。

 TRYは対ドルで0.6%の上昇。トルコ中銀は市場予想に反しレポレートを50bp引き下げ9.50%にすると発表。同中銀は声明で引締め的な金融政策を続けるとしながらも、利下げの理由として不確実性の低下とリスクプレミアムを示す各指標の改善を背景に市場金利が期間を問わず低下していることを指摘した。

 ZARは同0.4%の上昇。南アフリカ中銀は市場予想通り政策金利を5.50%に据え置き。同中銀のマーカス総裁は声明で今年のCPI見通しは6.2%と目標レンジの上限を上回る見方を提示。CPIのピークは今年第4四半期に6.5%を記録する見込みで、来年第2四半期まで同国インフレは目標レンジの上限を上回り続ける見通しを示した。また今年の成長率見通しは従来から0.5ポイント引き下げ2.1%に下方修正。ZARは不安定な値動きを続けるとの見方を示し、金利据え置きは賛成5反対2による決定で、反対2票は利上げを主張していたことを明らかとした。

 PLNは同0.3%の上昇。ポーランド中銀は会合議事録(5月7日開催分)を公表。ウクライナ情勢がポーランド経済の不透明性を強める可能性があると指摘。一部委員は同国景気の回復が労働市場の改善に波及していると指摘した。また同議事録では6月に政策金利のフォワードガイダンスを提示する可能性があることも示された。同中銀のベルカ総裁はリスボンでの講演でCPIが前年比+0.3%であることは非常に低い伸びだと言及。PLN相場がウクライナ危機のクッションとして機能する可能性があるとの見方を示した。同中銀のグラピンスキ委員は一部メディアとのインタビューで政策金利は2015年末まで据え置かれるとの見方を示した。

 RUBは対ドルで小幅上昇。4月のロシア実質可処分所得は前年比1.9%増と市場予想に反し前年超え。一方、同月同国の実質小売売上高は同2.6%増と市場予想を下回った。

ブラジル・経常収支と対内直接投資(ともに2014年4月)

本日午後10時半に4月のブラジル経常収支と対内直接投資が発表される。経常収支は65億ドルの赤字、対内直接投資は54億ドルがそれぞれ見込まれている。仮に経常赤字が市場予想通りとなると、過去12カ月累計の経常赤字は800億ドルを下回り、昨年7月以来の低水準となる。

ブラジルの対外収支は対内直接投資が高水準で維持していることから問題視されないと思われる。ブラジル経済にとって注目すべきポイントは依然としてインフレである。

メキシコ・GDP(2014年第1四半期)

本日午後10時に第1四半期のメキシコGDPが発表される。市場予想では前年比2.1%増と前期(同0.7%増)から伸びが加速する見込みである。

昨日発表された5月前半のメキシコCPI(隔週)は前年比+3.44%とほぼ市場予想通りの伸びで、メキシコのインフレ圧力は落ち着いているといえる。メキシコ中銀は当面、政策金利を3.50%で据え置き続けると思われるが、メキシコ景気が第2四半期にどのように推移するかが注目される。

シンガポール・CPI(2014年4月)

本日午後2時に4月のシンガポールCPIが発表される。市場予想では前年比+2.6%と前年の反動もあり前月(同+1.2%)から大きく加速する見込みである。シンガポールではインフレ圧力が比較的抑制されている一方で、景気は回復基調で推移している。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月22日)

 5月22日のロンドン市場はドル、ユーロともに方向感に欠ける動き。ドル円は101円台後半、ユーロドルは1.36ドル台後半での推移が続いた。ドイツ株は小幅プラスで始まったが上昇幅を縮める動き。一方、日経平均先物は小動きで、米債利回りは上値の重い動き。市場の慎重な姿勢が目立つ展開となった。

 ポンドは英経済指標が発表される前に買い優勢となり、ポンドドルは1.68ドル台後半から1.69ドルちょうど近辺に上昇。その後発表された第1四半期の英GDP(改定値)は前年比3.1%増と市場予想通り速報値と同じ伸び。ポンドの高値警戒感もあって指標発表後にポンドは一転して売りが先行。ポンドドルは1.68ドル台後半に急落した。

 NY市場はドル買い優勢の動きとなった。この日発表された米新規失業保険申請件数は32.6万件と市場予想を上回り3週ぶりの高水準。ただ米失業保険継続受給者数は265.3万件と市場予想を下回り、2007年11月以来の低水準を記録した。両指標発表後、円買いの動きがやや強まったが限定的。その後発表された4月の米中古住宅販売件数は465万戸と市場予想を下回ったが、下落で始まった米国株がプラス圏に浮上すると米債利回りは緩やかながら上昇へ。取引中盤にかけてドル円は101円台後半で小幅上昇。一方、ユーロドルは1.36ドル台半ば近辺に下落するなどドル買い優勢の展開となった。しかし取引後半に入り米債利回りの上昇が止まるとドル買いの動きも一服。ドル円は101円台後半で伸び悩み。ユーロドルは1.36ドル台半ば近辺で下げ止まった。

 カナダドルはNY市場で買い優勢。ドルカナダは1.09台前半から1.09ちょうど近辺に小幅下落した。3月のカナダ小売売上高は前月比0.1%減と市場予想に反し3カ月ぶりのマイナス。指標発表直後にカナダドルはやや売られたが、前月分が上方修正されており、カナダ景気の回復基調は続いているとの見方が徐々に広がった。

 米債利回りは上値が抑えられたまま。欧米株の上昇幅も小幅で市場は慎重な姿勢が続いている。日銀による追加緩和期待の後退もあって、本日東京市場でのドル円は上値の重い展開となりそうだ。一方、ユーロは本日発表されるドイツIFO企業景況感の発表を控え様子見姿勢が強まる見込み。アジア通貨はタイのクーデターを受けて対ドルで軟調な動きが予想される。

2014年5月22日木曜日

メキシコ・CPI(2014年5月前半)

本日午後10時に5月前半のメキシコCPI(隔週)が発表される。市場予想では前年比+3.43%と4月前半の同+3.52%から鈍化する見込みである。

昨日発表されたメキシコ中銀の四半期インフレ報告にはサプライズ材料は何もなかった。今年のメキシコ成長率見通しは従来の3.0~4.0%から2.3~3.3%に下方修正されたが、来年見通しは3.2~4.2%に据え置かれた。またメキシコのインフレが短期的には目標レンジ(2~4%)の上限を上回る場面もあるとの見方も示された。

南アフリカ・政策金利(現在5.50%)

本日、南アフリカ中銀は政策金利を発表する。一部からは25~50bpの利上げを見込む声も出ているが、政策金利は5.50%で据え置かれるとの見方が大勢である。

昨日発表された4月の南アフリカCPIは前年比+6.1%と目標レンジ(3~6%)の上限を突破した。レンジの上限突破は昨年8月以来である。南アフリカの経済指標は4月以降、軟化が続いている。インフレ圧力が強いのは事実だが、南アフリカ中銀は利上げが難しいと思われる。現に昨年もインフレが目標レンジの上限を突破したにもかかわらず、同中銀は利上げに踏み切らなかった。

トルコ・政策金利(現在10.00%)

本日午後8時にトルコ中銀はレポレートなど主要3金利を発表する。Bloomberg予想によると、主要3近隣の見通しは以下の通り。

レポレート:金利据え置き(13名)、50bpの利下げ(2名)
翌日物貸出金利:金利据え置き(8名)、50bpの利下げ(6名)
翌日物借入金利:金利据え置き(11名)、50bpの利下げ(2名)

4月のトルコCPIは前年比+9.38%、コアCPIは同+9.74%と、トルコのインフレ圧力は強いままで、トルコ中銀は利下げの動きがとりにくい状況にある。トルコ鉱山事故によるエルドアン政権への非難の声がどの程度、トルコ政局に影響を及ぼすか不透明なままである。ただ、政局がどのような展開になろうとも、エルドアン首相はトルコ中銀に利下げの圧力をかけ続けるだろうと思われる。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月21日)

 5月21日のロンドン市場はドルが緩やかに買い戻される展開。ドル円は100円台後半から101円台前半に上昇する一方、ユーロドルは1.37ドル台前半から1.36ドル台後半に下落した。東京市場取引終盤に低下した米債利回りはロンドン市場に入ると上昇基調で推移。ドル買いの動きを後押しした。

 ポンドは買い先行の動きとなった。4月の英小売売上高は前年比6.9%増、コアは同7.7%増とともに市場予想を上回る高い伸び。ポンドドルは1.68ドル台前半から一時1.69ドル台前半まで上昇。その後、いったんは1.68ドル台後半に下押しされたが、終盤にかけては1.69ドルちょうど近辺での推移となった。なお英小売売上高と同時に発表されたBOE金融政策委員会(MPC)議事録では金融政策の現状維持が全会一致で決まったことが判明。MPCは利上げが始まっても政策金利引き上げは段階的としたほか、金利もしばらく過去の平均を下回る水準にとどまる公算が大きいとの認識を示した。また住宅市場で不均衡リスクがあると指摘した上で、こうした脅威に対しては同中銀の金融行政委員会(FPC)がまず対応すると説明した。

 NY市場でもドル買い優勢の動き。ドル円は取引中盤までに101円台前半から101円台半ば近辺に上昇。ユーロドルは1.36ドル台後半での推移となった。この日は主だった米経済指標の発表がなかったが米債利回りはNY市場に入っても底堅く推移。米国株が寄り付きにプラスで始まるなど市場のリスク回避姿勢はやや後退。ロンドン市場からのドル買いの動きが続いた。

 NY連銀のダドリー総裁は講演後の質疑応答で国債やMBSの償還差益の部分は、利上げを実施した後も、再投資を継続すべきと慎重な姿勢を表明。ここ数年続いている米労働参加率の低下については、数%ポイントは職探しを諦めた労働者の増加が要因との見方を示した。ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁はFOMCが目標に満たない物価水準を補うため、2018年以降の数年間は目標値を若干上回るインフレ率を目指してもいいだろうと発言。FRBイエレン議長はNY大学の卒業式でスピーチしたが米経済の現状と金融政策についてはコメントしなかった。米上院はイスラエル中銀前総裁のスタンレー・フィッシャー氏のFRB理事就任を承認。これにより同氏は6月のFOMCへの参加が可能となった。

 取引終盤にかけて米FRBはFOMC議事録(4月29、30日開催分)を公表。同議事録によると、FOMCでは今後の金融政策の正常化について議論。短期金利を上げるためのいくつかの政策が提案されたが、現段階ではあくまでも将来に備えた議論であり、必ずしも正常化がすぐに始まるということではないとした。経済見通しについては3月会合から大きく変わらず。米経済が持続的な成長軌道に戻ったか判断は時期尚早であり、住宅部門の減速などが成長下振れ原因となる可能性があるとの指摘があった。雇用所得環境については、労働市場の一段の緩やかな回復を予想するものの、失業率が示す以上に労働市場には停滞があるとし、賃金上昇は当分、比較的緩やかなものに留まるとの見方が示された。インフレについては目標の2%を大きく下回る状況が続くみているが、参加者の大半が今後数年以内に2%へ戻ると予想。ただ参加者の数人は2%へ戻る過程は緩やかとの見方を示した。また利上げ着手時期が近付いたらもっと意図を明確にすべきとの指摘があり、利上げ時期が予想より早い場合には特に透明性を増す必要があるとされた。

 同議事録公表後、ドル買いが強まり、ドル円は101円台後半に上昇する一方、ユーロドルは1.36ドル台前半に下落。ただ、議事録では経済見通しに大きな変化が示されなかったほか、利上げのタイミングについても特段の言及がなく新たな材料は見当たらない内容。ドル買いの動きは一時的なものとなり、取引終盤にはドル円は101円台前半に反落。ユーロドルは1.36ドル台後半に上昇した。

 米債利回りが再び上昇したことでドルは持ち直し。ドル円は再び200日移動平均(101.25)を上回る水準に値を戻した。ただ一方で日銀による追加緩和期待は後退。本日東京市場でのドル円は方向感に欠ける動きが予想される。一方、ユーロは本日発表されるドイツやユーロ圏の製造業PMIの発表を前に様子見姿勢が強まる見込み。アジア通貨は市場のリスク回避姿勢の後退を受けて買い優勢の動きが期待される。

2014年5月21日水曜日

メキシコ・小売売上高(2014年3月)

本日午後10時に3月のメキシコ小売売上高が発表される。市場予想では前年比0.9%減と前月(同1.7%減)から減少率が縮小する見込みである。3月のANTAD既存店売上高は前年比2.4%減と2月の同0.2%減から落ち込み幅が拡大した。このため本日発表される3月のメキシコ小売売上高は市場予想に反し前月から落ち込み幅が拡大する可能性もある。

しかし4月のANTAD既存店売上高は同2.4%増と5カ月ぶりの前年越えとなり、4月のメキシコ消費者信頼感は90.3と2カ月連続で上昇した。本日から明日にかけてメキシコ中銀は四半期インフレ報告を公表するが、同中銀はハト派寄りの姿勢を続けると予想される。

ブラジル・IPCA(2014年5月)

本日午後9時に5月のブラジルIPCAが発表される。市場予想では前年比+6.29%と前月(同+6.19%)から小幅加速する見込みである。ブラジル経済を見る上ではインフレ指標が引き続き重要となっている。

4月、5月の各種インフレ指標はブラジルのインフレ圧力の緩和を示しており、5月28、29日に予定されているブラジル中銀の金融政策委員会(COPOM)で政策金利が据え置かれる可能性が高まっているように思える。

マレーシア・CPI(2014年4月)

本日午後6時に4月のマレーシアCPIが発表される。市場予想では前年比+3.5%と前月と同じ伸びが見込まれている。

マレーシア中銀はインフレターゲットを設定していないが、インフレが加速気味で推移していることから、同中銀はタカ派寄りの姿勢を強めると思われる。実際、同中銀は5月8日に政策金利を3.00%で据え置いたが、声明で現行の低金利を続ければ、家計の債務拡大など不均衡を招く恐れがあると指摘。利上げの可能性を示唆した。次回中銀会合は7月10日である。

南アフリカ・CPI(2014年4月)

本日午後5時に4月の南アフリカCPIが発表される。市場予想では前年比+6.0%と前月と同じ伸びが見込まれている。

南アフリカの経済指標は4月以降、軟化が続いている。南アフリカ中銀は5月22日に金融政策決定会合を開催するが、同国インフレが目標レンジ(3~6%)の上限に達したことから、追加利上げは難しいだろう。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月20日)

 5月20日のロンドン市場はユーロが持ち直し。ユーロドルは取引前半に1.37ドルちょうど近辺から1.36ドル台後半に下落したが、中盤には1.37ドルちょうど近辺に反発。その後は同水準でのもみ合いとなった。3月のイタリア鉱工業生産は前年比+2.8%と市場予想を下振れ。ただ同月同国の経常収支は10.05億ユーロの黒字と黒字基調を維持した。一部メディアはECBが理事会開催頻度を毎月から6週間ごとにすることを検討すると報道。景気動向を見極める時間を確保することが狙いと報じられた。6月理事会でのECB追加緩和観測が根強いものの、今週末に予定されている欧州議会選挙の結果を見極めたいとの思惑も強まっている状況。ユーロは下値の固い動きとなった。

 ドル円は101円台前半で方向感に欠ける動き。ドイツ株、日経平均はともに小幅マイナス圏での推移。米債利回りは小動きが続き、ドル円は様子見姿勢が強かった。

 ポンドは小幅上昇。ポンドドルは1.68ドル台前半から一時1.68ドル台後半に上昇。ただ買い一巡後は再び1.68ドル台前半での推移となった。4月の英CPIは前年比+1.8%と市場予想を小幅上振れ。同月同国のコアCPIは同+2.0%と7カ月ぶりの高い伸びとなったことが材料視された。ただ同時に発表された同月同国の小売物価指数は市場予想を小幅下回り、3月の英地方住宅価格も市場予想を下回る伸び。ポンド買いの動きは長続きしなかった。

 NY市場はドル、ユーロともに小動き。ドル円は101円台前半、ユーロドルは1.37ドルちょうど近辺での推移が続いた。この日も米国では主だった経済指標の発表がなく材料難の展開。フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は講演原稿で、景気が拡大し、雇用市場の改善が継続する中、現行の超緩和的な金融政策を維持すれば、FRBはインフレ対応で後手に回るリスクがあると指摘。インフレ率が目標の2%に向かって上昇し、雇用情勢が改善する中、FRBは適切に政策を調整する用意を整えるべきとし、遅いよりはより早い時期に利上げを開始する必要が出てくる可能性があるとの認識を示した。ただ一方で、その後、NY連銀のダドリー総裁は金融引き締めに対する金融環境の反応が非常に穏やかであれば、ある程度のペース加速を促す可能性はあるとしながらも、昨年春に実際に起こったように、債券利回りが急上昇するようであれば、より慎重なアプローチが正当化されるだろうと発言。FRBの金利上昇に対する慎重な姿勢を示した。

 底打ちしたと思われた米債利回りは再び低下。欧米株もさえない動きで市場のリスク回避姿勢の根強さが印象付けられた。明日未明に発表されるFOMC議事録を見極めたいとの思惑も強く、本日東京市場でのドル円は200日移動平均(101.25)を下値の目途として、方向感に欠ける動きが続きそうだ。一方、ユーロはECBによる追加緩和観測が上値を抑える見込み。アジア通貨は欧米株の下落を受けて慎重な値動きが続くと思われる。

2014年5月20日火曜日

ポーランド・鉱工業生産販売(2014年4月)

本日午後9時に4月のポーランド鉱工業生産販売が発表される。市場予想では前年比5.1%増と前月(同5.4%増)並みの伸びとなる見込みである。

第1四半期のポーランドGDPは前年比3.3%増と市場予想(同3.1%増)を上回った。一方で4月のポーランドCPIは前年比+0.3%と、市場予想(同+0.7%)を大きく下回った。このためポーランド中銀は6月の会合でフォワードガイダンスを変更し、利上げ開始時期を早くても2015年初めとする内容に変更する可能性が高まったと言える。

ポーランド中銀は7日、政策金利を2.50%で据え置き、政策金利を今年第3四半期末まで据え置くとするフォワードガイダンスも変更しなかった。5月22日にはポーランド中銀は7日の会合の議事録を公表する予定である。

台湾・輸出受注(2014年4月)

本日午後5時に4月の台湾・輸出受注が発表される。市場予想では前年比5.7%増と前月(同5.9%増)並みの伸びを確保する見込みである。

ここ数カ月の台湾経済指標は改善傾向を示している。台湾GDPは昨年第4四半期、今年第1四半期と2期連続で前年比3%近辺の伸びを示した。台湾のインフレ圧力は低いままだが、台湾中銀は年内、政策金利を1.875%で据え置き続けるとみている。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月19日)

 5月19日のロンドン市場は円買い優勢の展開。ドル円は101円台前半で上値の重い動きとなった。取引中盤までドイツ株、日経平均先物は下げ幅を徐々に広げ、米債利回りは伸び悩む動き。週末のウクライナ大統領選の成否や中越間の緊張の強まりを背景としたリスク回避姿勢は根強く、ドル円は取引中盤まで円買い優勢の動き。後半にかけてドル円は下げ止まったものの上値は抑えられたままだった。

 ユーロドルは1.37ドル台前半で方向感に欠ける動き。ドイツ連銀のバイトマン総裁はECBが為替相場の目標を設定していないとしながらも、為替はユーロ圏の物価動向に影響を与えると指摘。低インフレ状況は当面続く可能性が高いとして、金融政策決定にあたりECB理事会は為替レードの動向を一段と注視するとした。しかし同総裁は一方で、為替水準だけを目標とする金融政策は近視眼的との見方も示したため、同総裁の発言に対し市場は大きな反応を示さなかった。

 NY市場はドルが小幅上昇したものの、主要通貨は総じて小動きだった。この日は米国で主だった経済指標の発表がなく材料難の展開。ドル円は取引中盤から101円台前半で緩やかながら上昇基調で推移した。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁はFRBは債券買い入れプログラムを今年中に終了するとの見通しを示した上で、利上げ開始時期について真剣に検討しており、おそらく来年あたりになるだろうと発言。ダラス連銀のフィッシャー総裁はFRBの超緩和政策によって積み上がった米銀の超過準備預金はインフレの導火線のようなものとし、FRBはこれらがインフレを引き起こすことを回避する必要があるとの考えを示した。両総裁の発言を受けて米債利回りは上昇基調で推移。ドル買いの動きを後押しした。

 ユーロドルは1.37ドル台前半で引き続き方向感に欠ける動き。ECBのメルシュ専務理事は6月の次回理事会でECBが行動に出る可能性が著しく高まったと発言。ECBは追加緩和の手段を手元に備えているとも述べた。オーストリア中銀のノボトニー総裁はユーロ圏は現在、デフレに陥っていないが、長期的に物価が低水準で推移する状態になっていると発言。そのうえで同総裁はECBが為替を政策目標としていないとしながらも、ユーロ相場は物価動向に影響を及ぼすとの認識を示した。

 先週後半から大きく低下した米債利回りも底打ちの兆し。ウクライナ大統領選や中越間の緊張など地政学的リスクを意識させる材料があるものの、ドルを買い戻す動きをサポートした。米国株も下げ止まったこともあり、本日東京市場でのドル円は下値を固める動きが強まると思われる。一方、ユーロはECBによる追加緩和観測を背景に上値の重い動きが続く見込み。アジア通貨は米債利回りの反発を受けて対ドルで軟調な推移が予想される。

2014年5月19日月曜日

強含みの展開が予想されるPLN

 第1四半期のポーランドGDPは前年比3.3%増と市場予想(同3.1%増)を上回り、2年ぶりの3%台を記録した。前年比でみたGDPは4四半期連続の加速。26日に発表予定の4月のポーランド小売売上高は前月比2.9%増と、3月の同12.5%増に引き続きプラスの見込み。ポーランド景気は拡大基調での推移を続けていると言える。

 ただ一方でポーランド経済はディスインフレの様相が強まっている。4月のポーランドCPIは前年比+0.3%と昨年6月以来の低い伸び。ポーランド中銀のベルカ総裁はハンガリーのディスインフレを無視することはできず、ポーランドはディスインフレを甘受する方法を学ばなければならないと発言。同国の弱いCPIは利上げ観測を後退させるとも述べた。

 ポーランド中銀は5月7日、市場予想通り政策金利を2.50%で据え置き、政策金利は第3四半期末まで維持されるとするフォワードガイダンスも維持した。6月3日の次回会合でも政策金利は据え置かれる見込みだが、同中銀ベルカ総裁の発言などを考慮すると、同中銀は政策金利の据え置き期間を年内もしくは来年(2015年)第1四半期末まで延長すると予想される。

 ただハンガリーでは小幅ながら追加利下げを継続。ECBも6月理事会で何らかの追加緩和を実施する可能性が高いとみられ、ポーランド中銀の姿勢は相対的にはタカ派的に見える。米債利回りが市場関係者の大方の見方に反し低位安定。高金利を求める投資家の姿勢は根強いとみられ、ポーランド債を指向する動きがさらに続く展開も考えられる。

 ポーランドにおいて景気が回復基調にある一方でディスインフレは続いたまま。中央銀行の姿勢が(相対的にとはいえ)タカ派的であることも考慮すれば、PLNが対ユーロ、対ドルいずれも強含む可能性は十分にある。現にポーランドと同様に「景気回復&ディスインフレ&タカ派的な中銀」の組み合わせを持つKRWは上昇基調で推移している。

 ウクライナ情勢は依然として先行き不透明感が強いが、ロシアがウクライナ東部を超えた地域での実効支配を強めようとしていないこともあり、25日の大統領選を通過すれば、市場の懸念も徐々に後退すると思われる。仮にこの見方が正しければ、PLN買いの動きも強まると思われる。

ロンドン・NY市場の為替相場(2014年5月16日)

 5月16日のロンドン市場はユーロが下落。ユーロドルは1.37ドル台前半から1.36ドル台後半に値を下げた。4月のユーロ圏自動車販売は前年比4.6%増と前月から鈍化したが増勢を維持。3月のユーロ圏貿易収支は171億ユーロの黒字と市場予想を上回り、前月分も上方修正。ユーロ圏景気の拡大基調が確認された。しかしECBクーレ専務理事は金利は長期にわたって低水準もしくは現行を下回る水準に維持されると明言。潤沢な流動性と超低金利が金融市場のリスクとなることもわかっているとしながらも、ECBはそうしたリスクを避ける手段があり、基本的には問題ないとの認識を示し、6月理事会でのECB追加緩和期待をサポートした。

 ドル円は101円台半ば近辺での推移から101円台前半に小幅下落。米債利回りは下げ止まったものの、ドイツ株、日経平均先物はともに小幅マイナスでの推移。市場のリスク回避姿勢は根強く、ドル円は上値の重い展開となった。

 NY市場はドルが伸び悩む一方でユーロは反発。ドルの上値の重さが意識される展開となった。4月の米住宅着工件数は前月比13.2%増と市場予想を大きく上回る伸び。同月同国の住宅建設許可件数も同8.0%増となり米住宅市場の先行き期待が強まった。両指標発表後、ドル円は101円台前半から101円台後半に上昇。しかし、その後発表された5月のミシガン大消費者信頼感は81.8と市場予想に反し前月から低下。ドル円は一転して上値が重くなり、取引中盤以降は101円台半ばを挟んでの小動きに終始した。

 一方、ユーロドルは1.36ドル台後半から1.37ドル台前半に反発。引けにかけて1.37ドルちょうど近辺に下押しされたものの下値は堅かった。ECBの追加緩和観測を背景に欧州債は底堅い動き。ドルの上値の重さも意識され、ユーロドルはユーロ買戻しの動きとなった。

 米FRBによる低金利姿勢は強いとの見方から米債利回りは上値が抑えられたまま。米国株のもたつきもあってドル買いの動きが強まりにくい。中国政府がベトナムとの一部交流計画を当面停止すると発表するなど中越間の地政学的リスクも高まっている。本日東京市場でもドル円は上値の抑えられやすい展開が予想される。ユーロはECBによる追加緩和観測を背景に軟調な推移が続く見込み。アジア通貨は米債利回りの反発もあって対ドルで上値の重い動きが予想される。