2014年6月13日金曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年6月12日)

 新興国通貨は対ドルで買い戻しの動き。米国株は下げたものの、米債利回りが低下したことが新興国通貨を下支えした。

 IDRは対ドルで0.2%の上昇。インドネシア中銀は市場予想通り政策金利を7.50%で据え置き。同中銀はインドネシアの貿易収支は改善する見通しを示し、足元のIDR安の動きは輸入企業のドル需要によるものとの認識を示した。また第2四半期の同国成長率は輸出の改善を背景に5.3%増程度になるとの見方も示した。

 INRは対ドルでほぼ変わらず。5月のインドCPIは前年比+8.28%と市場予想を下回る一方、同時に発表された4月の同国鉱工業生産は前年比+3.4%と市場予想を上振れ。インド中銀による利下げや景気拡大に対する期待を高める内容となった。

 BRLは対ドルで小幅上昇。この日はブラジルでサッカー・ワールドカップが開催。開催国ブラジルがクロアチアと対戦することから取引は午前だけの短縮取引となった。4月のブラジル小売売上高は前月比0.4%減と市場予想を上回る落ち込み。ブラジル景気の弱さが示された。

 ZARは対ドルで0.7%の上昇。4月の南アフリカ鉱物生産量は前年比0.2%増と市場予想に反し前年割れを回避。同国プラチナ大手3社は労働スト指導者側の賃金交渉で基本合意に達したと発表。南アフリカのプラチナ鉱山ストが終結に向かうとの期待感からZARは買い優勢となった。

 TRYは対ドルで変わらず。4月のトルコ経常収支は47.9億ドルの赤字と市場予想を下回る赤字。トルコの対外収支改善が好感され、TRYは指標発表後に買い優勢となったが、米国のイラクへの軍事介入懸念が強まるとTRYは上げ幅を縮めた。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年6月12日)

 6月12日のロンドン市場はユーロが軟調な推移。ユーロドルは1.35ドル台前半で上値の重い動きとなった。この日実施されたイタリア3年債入札では平均落札利回りが0.89%とユーロ導入以来の最低水準を更新。4月のユーロ圏鉱工業生産は前年比+1.4%と市場予想を上回ったが、国別ではドイツが同+1.7%と3カ月連続で鈍化。EONIAは低位安定となり、ユーロの上値を重くした。

 ドル円は102円ちょうど近辺で東京市場に引き続き膠着感の強い展開。ドイツ株、日経平均先物はいずれも小動き。米債利回りはじり高の推移となったが、この日発表される米小売売上高の結果を見極めたいとの思惑もあり、ドル円は様子見姿勢が強かった。

 NY市場ではドルが下落基調で推移した。5月の米小売売上高は前月比0.3%増、コア指数は同0.1%増といずれも市場予想を下振れ。同時に発表された米新規失業保険申請件数は31.7万件と市場予想を小幅上回る結果。米小売売上高は前月分が上方修正されたため、水準としてはほぼ市場予想通りの結果となったが、米債利回りは低下。米国株も下落基調で推移したこともあり、ドル円は取引中盤にかけて102円を割り込んだ。取引後半に入ると、ロシアから複数の戦車が国境を越えてウクライナ東部に侵入し、ウクライナ側と交戦状態になったとウクライナ大統領府が発表。米オバマ大統領はイラク政府の支援を目的にイスラム過激派への対応で空爆を含むすべての選択肢を検討していることを表明。地政学的リスクの高まりが嫌気され米債利回りは低下基調で推移。ドル円も下落基調での推移が続き、引けにかけては101円台後半と5月30日以来の安値水準に下落した。

 ユーロドルは1.35ドル台前半から1.35ドル台後半に上昇。スロベニア中銀のヤズベツ総裁はECBによる量的緩和(QE)について効果を発揮できるようしっかりと準備され、実際に必要になるようであれば、無論支持すると発言。ただ一方で追加緩和の必要性について入念に確認しているとも述べ、追加緩和に慎重な姿勢を示した。ドイツ連銀のバイトマン総裁はECBによる国債買い入れはリスク伴い、金融政策を財政ファイナンスに限りなく近づけると発言。QE実施に対して否定的な姿勢を示し、ユーロ買いをサポートした。

 ポンドは底堅い動き。ポンドドルは1.68ドル台半ば近辺まで上昇した後、1.68ドルちょうど近辺まで売られる場面もあったが、取引後半には1.68ドル台前半で買い戻しの動きとなった。英国のオズボーン財務相は不動産市場が「目前の脅威」をもたらしている現状はないものの将来的にそうなる可能性はあると発言。所得や不動産価値に対する住宅ローンの割合に上限を設けることが可能とするよう英中銀の金融行政委員会(FPC)に新たな権限を付与する意向を示すことが伝わると、ポンドは一時的に売りが先行した。

 カナダドルは買い優勢。ドルカナダは1.08台後半から1.08台半ば近辺に小幅下落した。4月のカナダ新築住宅価格指数は前月比+0.2%と市場予想通り。第1四半期の同国設備稼働率は82.5%と市場予想を上回り、前月分も上方修正された。

 持ち直したと思われた米債利回りは再び低下。米国景気の先行き期待が大きく後退したとは考えにくいものの、世界的な債券需要の根強さを感じさせる相場展開となった。日本株は下げて始まる見込みということもあって、本日東京市場でのドル円は上値の重い動きが予想される。一方、ユーロはECBによるQE実施期待の後退もあって底堅い動きとなる見込み。アジア通貨はウクライナ、イラク両国での地政学的リスクの高まりを背景に対ドルで慎重な値動きになると思われる。

2014年6月12日木曜日

ペルー・政策金利(現在4.00%)

 明日午前8時にペルー中銀は政策金利を発表する。政策金利は4.00%で据え置かれる見込みである。5月のペルーCPIは前年比+3.56%と2カ月連続で加速し、目標レンジ(1~3%)の上限を上回ったままである。このためペルー中銀は当面、政策金利を据え置く見込みだが、同中銀の次のアクションは利下げだろう。

チリ・政策金利(現在4.00%)

 明日午前7時にチリ中銀は政策金利を発表する。政策金利は4.00%で据え置かれる見込みである。5月のチリCPIは前年比+4.7%と2010年12月の統計開始以来、最も高い伸びとなり、目標レンジ(2~4%)の上限を2カ月連続で超えた。

 ただ、チリ中銀は景気低迷を背景にハト派寄りの姿勢を続けている。インフレに改善の兆しは見られないものの、年後半には利下げが再開される可能性があるとみている。

ブラジル・小売売上高(2014年4月)

 本日午後9時に4月のブラジル小売売上高が発表される。市場予想では前年比6.2%増と大きく増加する見込みである。ただ、これは前年同月の減少の反動で、前月比では0.1%減と引き続き伸び悩む見込みとなっている。

 本日(12日)よりサッカー・ワールドカップが開催され、12日のBRLの取引時間は短縮(午後休場)となる。

 ブラジルのインフレはピークに達したと思われ、ブラジル中銀の金利据え置き姿勢をサポートしている。ブラジル中銀の会合議事録(5月29日開催分)では、インフレ圧力の強まりは一服感がみられると指摘。これまでの利上げ効果は強まる傾向にあるとの見方も示されたが、2014年と2015年のインフレは目標レンジの上限を上回る見通し。金融政策は引き続き慎重なものである必要があるとの認識も示され、追加利上げの可能性が示唆された。

トルコ・経常収支(2014年4月)

 本日午後4時に4月のトルコ経常収支が発表される。市場予想では49.0億ドルの赤字と前年同月(81.1億ドルの赤字)から赤字額が大きく縮小する見込みである。ただ、4月のトルコ貿易赤字は市場予想を大きく上回ったため、経常赤字も市場予想を上回る可能性もある。

 一部メディアはトルコ中銀において5人の高官が更迭されたと報じた。トルコのエルドアン首相は同中銀に対し利下げの圧力を強めている。ただ、インフレは依然として高い水準にある。

インド・鉱工業生産(2014年5月)、CPI(2014年4月)

 本日午後9時に5月のインド鉱工業生産と4月の同国CPIが発表される。鉱工業生産は前年比+1.9%と前月(同-0.5%)からプラス転換。一方、CPIは同+8.40%と前月(同+8.59%)から鈍化する見込みである。

 インド中銀はインフレ見通しの改善が続くようであれば利下げの余地が増えるとの認識を強調している。インフレ次第の面が強いが、年後半にも利下げが始まる可能性もある。

インドネシア・政策金利(現在7.50%)

 インドネシア中銀は本日、政策金利を発表する。政策金利は7.50%で据え置かれる見込みである。5月の同国CPIは前年比+7.32%と前月(同+7.25%)から小幅加速し、IDRは最近、軟調な推移となっている。ただ現時点ではインドネシア中銀が利上げに踏み切る必要性はないとみている。

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年6月11日)

 新興国通貨は対ドルで売り優勢の動き。米債利回りは小幅低下したが、世界銀行は世界経済の成長率見通しを下方修正。欧米株の下落もあって新興国通貨を回避する姿勢が強まった。

 INRは対ドルでほぼ変わらず。5月のインド輸出は前年比12.4%増と7カ月ぶりの高い伸びを記録する一方、同月同国の輸入は同11.4%減と2カ月連続の二桁減。この結果、貿易赤字は112.3億ドルと前年同月の半分近くまで縮小した。

 MXNは対ドルで変わらず。4月のメキシコ鉱工業生産は前月比+0.6%と市場予想を下回る伸び。前月分が小幅上方修正されたが、メキシコ景気の低迷継続を印象付けた。

 TRYは対ドルで1.7%の大幅下落。トルコのダウトオール外相は、イラク北部の主要都市モスルにあるトルコの領事館がアルカイダ系武装組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に襲撃され、総領事を含む領事館の関係者らが連れ去られたことを公表。また一部メディアはISILがイラクの首都バクダッド北方の要衝ティクリートに進撃したと報道。イラクのマリキ首相の治安維持能力の低下も指摘されている。トルコの地政学的リスクの高まりが嫌気され、この日のトルコ株は3%を超える大幅下落。TRYは下落基調での推移が続いた。

 HUFは対ドルで0.4%%の下落。5月のハンガリーCPIは前年比-0.1%と市場予想通り2カ月連続の前年比マイナス。ハンガリー中銀は会合議事録(5月27日開催分)を公表。10bpの利下げは賛成7反対2での決定だったことが判明した。反対2名は金利据え置きを主張していた。

ロンドン・NY市場の主要通貨(2014年6月11日)

 6月11日のロンドン市場は円買いが進展。ドル円は取引中盤までに102円台前半から102円ちょうど近辺に下落。取引終盤には102円割れとなった。ドイツ株、日経平均先物はいずれも下落基調で推移。小動きを続けていた米債利回りも取引終盤にかけて低下し、ドル円を下押しした。

 一方、ユーロドルは1.35ドル台前半で上値の重い動きを続けたが、取引終盤には1.35ドル台半ば近辺に反発した。ECBメルシュ専務理事はECBによるABS買い入れについて、かつては問題の一端と見られた手段だが、実際には、問題の解決に役立つ可能性がある、とのコンセンサスが出来つつあると発言。ABSの透明性やディスクロージャーをEU全体で向上させるための取り組みが現在行われていると述べ、ユーロ圏の物価安定という目標を達成するためECBはシンプルで透明性の高いABSを買い入れる可能性があるとの見方を示した。またエストニア中銀のハンソン総裁はECBは大規模な資産買い入れを検討すべきと思うと発言。実際に発動する場合に向けて準備をすべきとの考えを示し、今後の措置に関して重要なことは、必要な場合に向けて技術的な準備をすることだと述べた。

 ポンドは買い優勢の動き。ポンドドルは取引前半に1.67ドル台後半から一時1.68ドルちょうど近辺に上昇。後半も1.67ドル台後半で底堅く推移した。5月の英失業率は3.2%と市場予想通り前月より低下。同月同国の失業保険申請件数は2.74万件の減少と市場予想を上回る減少となるなど英雇用環境の改善傾向を示した。

 NY市場ではドル円が102円ちょうど近辺で様子見姿勢の強い動きとなった。この日は主だった米経済指標の発表がなく材料難。米国のルー財務長官はより大幅な成長率を維持できなければ、労働市場の低迷や格差拡大といった深刻な課題に直面する恐れがあると指摘。経済の恩恵がいかに多くの人々に行き渡るかが我々すべてにとって究極の試練になるとの考えも語ったが、市場の反応は限定的だった。

 ユーロドルは取引中盤に1.35ドル台半ば近辺から1.35ドル台前半に下落。後半は同水準でのもみ合いが続いた。ロンドン市場取引終盤から低下していた米債利回りはNY市場取引中盤に下げ止まり、後半は小幅反発。ECBによる追加緩和実施の思惑も根強く、ユーロは上値が抑えられる動きとなった。

 世界銀行の世界経済成長率見通しでも、米国景気の先行き期待は維持。市場のリスク回避姿勢が大きく強まったようには見受けられない。ただ、欧米株は反落となり、米債利回りも小幅低下。本日東京市場でのドル円は慎重な姿勢が続くと思われる。一方、ユーロはEONIAの下げ止まりもあって下値の堅い動きとなる見込み。アジア通貨は市場のリスク選好姿勢の後退を背景に対ドルで軟調な推移が予想される。なお本日は韓国とインドネシアの両中銀が政策金利を発表するが、両中銀とも政策金利を据え置くとの見方が大勢である。

2014年6月11日水曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年6月10日)

 新興国通貨は対ドルで軟調な動き。ユーロと連れ安となる格好で東欧通貨が売り優勢。米債利回りの上昇も嫌気された。

 BRLは対ドルで小幅上昇。6月のブラジルIGP-M(速報値)は前月比-0.64%と市場予想を上回る落ち込み。ブラジルのインフレ圧力の後退が示された。

 MXNは対ドルで変わらず。5月のメキシコ名目賃金は前年比4.4%増と前月より加速。同月同国の国内自動車販売は同0.8%増と前年越えとなった。ただ5月のANTAD既存店売上高は同0.2%減と市場予想に反し前年割れ。メキシコ景気の低調ぶりを示した。

 COPは対ドルで0.2%の上昇。4月のコロンビア輸出(ドル建て)は前年比13.1%減と大幅な落ち込み。コロンビア景気の先行き懸念を強めた。

 TRYは対ドルで0.4%の上昇。第1四半期のトルコGDPは前年比4.3%増と市場予想を上回ったものの前期より減速。トルコのシムシェキ財務相はトルコの個人消費は金融緩和によって上昇し、TRY安は第1四半期の輸出増を促したとの認識を示した。また同国ゼイベクチ経済相はトルコ中銀が即座に利下げに踏み切るべきと発言した。

 ZARは対ドルで0.7%の下落。南アフリカ中銀のマーカス総裁は今年の成長率が昨年を超えることは難しいと発言。同中銀による低金利政策は持続可能ではないとしながらも、同中銀は景気低迷と高インフレの二つを同時に対処するジレンマに直面しているとも述べた。新興国に多額の資本が流入する時代は終わったとの認識も示された。4月の南アフリカ製造業生産は前年比1.5%減と市場予想ほどの落ち込みを回避。指標発表後、ZARは下げ止まった。

ロンドン・NY市場の主要通貨(2014年6月10日)

 6月10日のロンドン市場はユーロが下落。ユーロドルは1.35ドル台後半から1.35ドル台前半とECB理事会後の安値を更新した。EONIAは0.053%と過去最低水準での取引。欧州債利回りは引き続き低下基調で推移。ユーロ売りを後押しした。フィンランド中銀のリーカネン総裁は低インフレの長期化が物価安定や景気回復に及ぼすリスクを我々は意識していると発言。2016年末まで市中銀行に低利の融資を提供するECBの取り組みについて、現在のインフレ見通しを考慮し、極めて緩和的な金融政策を維持する決意を明示するものだと説明した。スロバキア中銀のマクチ総裁は金利を現水準からさらに引き下げても追加緩和の余地はあると指摘。さらなるインフレ促進策が必要となった場合、ECBは量的緩和として知られる大規模な資産買い入れの実施を検討する可能性があると述べた。

 一方、ドル円は102円台前半で方向感に欠ける動き。寄り付きは下落となったドイツ株は取引中盤にかけてプラス圏に浮上。米債利回りもじり高の推移となったが、ドル円は伸び悩む展開が続いた。

 ポンドは下落基調で推移。ポンド/ドルは1.68ドルちょうど近辺から1.67ドル台後半に小幅下落した。ユーロと連れ安となる格好でポンドは対ドルで下落。ただ、4月の英鉱工業生産は前年比+3.0%と市場予想を上振れ。指標発表後、ポンドは対ユーロでは買い優勢となった。

 NY市場ではドル、ユーロともに方向感に乏しい動き。ドル円は102円台前半、ユーロドルは1.35ドル台前半でそれぞれ推移した。5月のNFIB中小企業楽観指数は96.6と市場予想を上回り、2007年9月以来の高水準に上昇。4月の米求人件数は446万件とこちらも2007年9月以来の水準に増加。4月の米卸売在庫は前月比1.1%増と市場予想を大きく上回り、第2四半期の米成長率の加速期待を強めた。ただ、米債利回りは上値の重い動き。ドル買いの動きが強まることはなかった。

 欧米株は高値圏を維持し、米債利回りも緩やかながらも上昇基調で推移。本日の日本株次第の面もあるが、本日東京市場でのドル円は下値の堅い動きが期待される。一方、ユーロはEONIAの低下を受けて上値の重い動きとなる見込み。アジア通貨は対ドルで底堅い動きが予想される。

2014年6月10日火曜日

メキシコ・ANTAD既存店売上高(2014年5月)

 本日、5月のメキシコANTAD既存店売上高が発表される。市場予想では前年比3.0%増と2カ月連続の前年越えとなる見込みである。メキシコ景気は回復の兆しが出ている。

 メキシコ中銀は6日、市場予想に反し政策金利を50bp引き下げ3.00%とした。同中銀は追加利下げに否定的だが、過去には2013年3月に50bpの利下げを実施した後に、同年9月、10月にそれぞれ25bp追加利下げを実施した例もある。

ブラジル・IGP-M(2014年6月)

 本日午後8時に6月のブラジルIGP-M(速報値)が発表される。市場予想では前月比-0.34%と2012年11月以来の前月比マイナスが見込まれている。ブラジルのインフレはピークに達したと思われ、ブラジル中銀の金利据え置き姿勢をサポートしている。

 ブラジル中銀の会合議事録(5月29日開催分)では、インフレ圧力の強まりは一服感がみられると指摘。これまでの利上げ効果は強まる傾向にあるとの見方も示されたが、2014年と2015年のインフレは目標レンジの上限を上回る見通し。金融政策は引き続き慎重なものである必要があるとの認識も示され、追加利上げの可能性が示唆された。

南アフリカ・製造業生産(2014年4月)

 本日午後8時に4月の南アフリカ製造業生産が発表される。市場予想では前年比-4.9%と前年割れとなる見込みである。南アフリカ中銀は同国経済のファンダメンタルズの弱さを指摘し、利上げの必要性も示しているが、現実には景気減速によって利上げは困難な状況にある。

トルコ・GDP(2014年第1四半期)

 本日午後4時に第1四半期のトルコGDPが発表される。市場予想では前年比4.2%増と前期(同4.4%増)から鈍化する見込みである。昨日発表された4月のトルコ鉱工業生産は前年比+4.6%と市場予想(同+4.0%)を小幅上回り、前月(同+4.2%)から加速した。第2四半期のトルコ成長率は第1四半期から改善する可能性が出てきた。一方、インフレは依然として高い水準にある。

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年6月9日)

 新興国通貨は方向感に欠ける動き。欧米株は小幅高となったが、米債利回りは小動き。ユーロの下落で東欧通貨が下押しされるなど、新興国通貨はマチマチの動きとなった。

 BRLは対ドルで0.7%の上昇。ブラジル中銀の週次サーベイではIGP-DI見通しが下方修正されたが、成長率見通しも下方修正。インフレ懸念は後退したものの、景気低迷観測は続いている。6月8日までのブラジル貿易収支は7.26億ドルの黒字と黒字基調での推移。BRLをサポートした。

 MXNは対ドルで0.7%の下落。USD/MXNはNY市場に入ると上昇基調で推移し、取引終盤には13.0ちょうどを上抜けした。5月のメキシコCPIは前年比+3.51%と市場予想を小幅上回る伸び。5月のメキシコ自動車生産は前年比12.5%増、輸出は同23.0%増といずれも堅調な推移となった。

 CLPは対ドルで変わらず。5月のチリ貿易収支は14.53億ドルの黒字と市場予想を上回る黒字。輸出は全円日0.7%減と小幅ながら2カ月連続の前年割れとなったが、輸入が同17.6%減と大きく落ち込んだことで貿易黒字が膨らんだ。

 CZKは対ドルで0.4%の下落。5月のチェコCPIは前年比+0.4%と市場予想通りの伸び。同月同国の失業率は7.5%と9カ月ぶりの低水準に改善した。チェコ中銀は5月のCPIが同中銀の見通しを0.2%pt下回っていると指摘。ただ、食品価格の下振れがCPIを下押ししたものの、燃料を除いたCPIは同見通しを小幅上回っているとも指摘。主因はCZK安によるものとの認識を示した。

 TRYは同0.5%の下落。4月のトルコ鉱工業生産は前年比+4.6%と市場予想を小幅上振れ。イランのロウハニ大統領はトルコを公式訪問。トルコのエルドアン首相は価格交渉が決着すればイラン産のガス購入を拡大させる意向を示した。

ロンドン・NY市場の主要通貨(2014年6月9日)

 6月9日のロンドン市場はユーロが下落基調で推移。ユーロドルは1.36ドル台後半から1.36ドル台前半に下落した。第1四半期のスペインINE住宅価格指数が前年比-1.6%と下落率を大きく縮小させ、取引序盤のユーロは買い優勢となったが、買い一巡後は一転して売り優勢の展開。6月のユーロ圏センティックス投資家信頼感が8.5と市場予想に反し前月から低下し、6カ月ぶりの低水準。欧州債利回りの低下が進んだこともユーロの下押し要因となった。

 一方、ドル円は102円台半ば小幅下回る水準でのもみ合い。ドイツ株は小幅プラス圏で推移したが、日経平均先物は上値が重い動き。米債利回りは方向感に欠ける推移となり、ドル円は様子見姿勢が強かった。

 日本政府は6月下旬にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針2014(仮称)」(骨太の方針)の骨子案を提示。同案では名目GDP比でみた国・地方の基礎的財政収支の赤字を15年度までに10年度の半減、20年度までに黒字転換するという従来の方針を堅持。2015年10月に予定されている消費税率10%への引き上げについては2014年中に判断する方針が示された。また50年後に1億人程度の安定した人口構造保持、法人税改革を推進して民間投資喚起、対日投資促進、原子力規制委の判断を尊重し原発を再稼働、といった方針も示された。

 中国人民銀行は農業部門や中小企業へ多く融資を行う一部銀行に対し預金準備率を50bp引き下げる方針を発表。同銀行は声明で対象を絞った今回の引き下げで、実体経済で支援を必要とする分野に、商業銀行が資金配分を増やすことを促し、金融政策が実体経済により円滑な形で波及するようにすると説明した。なお4月に預金準備率がすでに引き下げられた地方銀行は今回の対象外となった。

 NY市場は取引前半を中心にドル買い優勢の動き。取引前半にドル円は102円台半ば近辺に小幅上昇する一方、ユーロドルは取引前半に1.36ドル台前半から1.35ドル台後半に下落した。ただ取引中盤以降はドル円が102円台半ば近辺、ユーロドルは1.35ドル台後半でのもみ合いを続けた。セントルイス連銀のブラード総裁はFOMCは過去5年間でマクロ経済の目標達成にかなり近づいていると発言。年末までの成長率が3%となり、失業率が6%未満に低下し、NFPの伸びが20万人以上を続け、インフレ率が目標に向け回復し続ける、という同総裁の予期する事象が今秋の時点で起きていれば、金融政策をめぐる議論は変わり、より早期の利上げに向け機運が高まるだろうとも述べ、米利上げ期待を高めた。またボストン連銀のローゼングレン総裁はFRBのバランスシートの最適な縮小は、金融混乱のリスクを最小化できるような予測可能かつ透明性の高いやり方で実施は可能と発言。現在進められている証券買入枠の縮小が終われば、FRBは再投資せずに償還させる保有証券の割合を明示し、景気動向によってはこの割合を引き上げることができると指摘した。

 カナダドルは強含みの動き。ドルカナダは1.09台前半から1.09ちょうど近辺に小幅下落した。5月のカナダ住宅着工件数は19.8万戸と6カ月ぶりの高水準に拡大。単身世帯向け住宅が2カ月連続の増加となり、持ち直し基調が強まった。

 欧米株は小幅高となるなど市場のリスク選好姿勢は続いている様子。ただ米債利回りは引き続き上値が重く、本日東京市場でもドル円は伸び悩みの動きが続くと思われる。一方、ユーロは欧州債買いの動き継続を背景に下値は堅く推移すると予想。アジア通貨は市場のリスク選好姿勢の強まりを背景に対ドルで買い優勢の展開が予想される。

2014年6月9日月曜日

メキシコ景気の動向に左右されるMXN

 メキシコ中銀は6日、政策金利であるレポレートを50bp引き下げ過去最低となる3.00%とした。Bloomberg調査によると、予測回答者20名全員が金利据え置きを予想。メキシコ債は利下げ発表後に買いが先行。同国10年債利回りは5.90%ちょうど近辺から5.60%ちょうど近辺と昨年6月以来の低水準に急落した。

 市場関係者のほとんどがメキシコ中銀の利下げを考えなかったのは、メキシコ景気が非常に緩やかながらも回復基調で推移していたからだろう。5月のメキシコIMEF製造業指数は52.2と7カ月連続で50超え。4月のメキシコ輸出(MXN建て)は前年比11.0%増と3カ月連続で加速し、2012年7月以来の高い伸びを記録した。

 ただメキシコ中銀が声明で指摘したようにメキシコの内需が弱く、同国経済に弛み(スラック)が依然として存在するのも事実だろう。3月のメキシコ小売売上高は前年比1.7%増と市場予想に反し前年越えとなったが伸びは決して強くない。4月のANTAD既存店売上高が同2.4%増にとどまったことも考慮すると、メキシコ個人消費が強く拡大しているようにはみえない。企業部門をみても、3月の鉱工業生産は前月比-0.1%と伸び悩んだままである。

 一方でメキシコのインフレは伸びが一服している。4月の同国CPIは前月比-0.19%と9カ月ぶりに前月から下落。5月上旬の同CPIは前月比-0.37%の低下を記録した。MXN相場はメキシコ債買いの動きにサポートされ底堅い動き。メキシコのインフレは当面、強まることはないとする見方も否定しにくい。

 ここで検討すべきは、今回の利下げによってメキシコ景気の拡大ペースが強まるかという点だ。4月時点で11.56%の水準にある銀行融資金利は、50bpの利下げによって11%ちょうど近辺と過去2年間で最低水準に低下する見込み。メキシコの設備投資が拡大する可能性がある。ただ個人消費は、利下げによって消費者信用が拡大する可能性はあるものの、伸び悩む名目賃金が加速するとは考えにくい。個人消費の拡大ペースは引き続き緩やかなものにとどまると思われ、メキシコ景気の先行きは製造業の設備投資の拡大に依存する格好となるだろう。

 メキシコの輸出依存度(名目GDPに対する輸出額の割合)は30%程度と、チリやフィリピンと同程度でしかないが、メキシコの個人消費に大きな期待が持ちにくい以上、輸出がメキシコ製造業の設備投資に大きな影響を与えると思われる。結局、メキシコ景気は今後も米国の輸入需要次第となり、MXNの上昇はメキシコ景気の重石となる。利下げ発表後のMXNはメキシコ債買いの動きもあって小幅安にとどまったが、今後はメキシコ景気の動向に左右される傾向が強まると思われる。

2014年6月8日日曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年6月6日)

 新興国通貨は対ドルで上昇。米雇用統計は総じて良好な結果に終わったが米債利回りの上昇は限定的。一方で欧米株が堅調に推移したことで新興国通貨買いの動きも強まった。

 BRLは対ドルで0.7%の上昇。5月のブラジルIPCAは前年比+6.37%と市場予想を上振れ。調査会社Datafolhaの世論調査によるとブラジル・ルセフ大統領の指示率は34%と前回調査の37%から低下。ただ社会民主党(PSDB)のアエシオ・ネベス氏は20%から19%、ブラジル社会党のカンポス氏は11%から7%にそれぞれ低下した。一方、支持候補者なし・未定の回答は30%と1989年以来最も高い水準となった。

 MXNは対ドルで0.5%の下落。メキシコ中銀は市場予想に反し政策金利を50bp引き下げ3.00%にすると発表。同中銀は声明で経済に著しい緩みが存在する中、金利を引き下げてもインフレは3%に向け落ち着いていくことが見込まれると説明。ただ、米国の金融引き締め開始とメキシコ経済の成長持ち直しが見込まれるとも指摘。金利を一段と引き下げることは賢明ではないとの考えも示した。

 CLPは対ドルで0.4%の上昇。5月のチリCPIは前年比+4.7%と市場予想を上回り、2010年12月の統計開始以来最も高い伸びを記録。チリ中銀の金利据え置き観測を強めた。

 COPは同0.5%の上昇。5月のコロンビアCPIは前年比+2.93%と市場予想を上回り、6カ月連続の加速。同月同国のコアCPIは同+2.76%と前月から鈍化したが高止まり。コロンビア中銀の追加利下げ観測を後退させた。

 HUFは対ドルでほぼ変わらず。4月のハンガリー貿易収支は6.25億ユーロの黒字と市場予想を下振れ。ハンガリー中銀は四半期貸出報告を公表。同国企業への融資は第1四半期に前年比1.3%減と企業向け融資の縮小が続いていることが明らかとなった。

 CZKも対ドルで変わらず。4月のチェコ貿易収支は165億CZKの黒字と市場予想を下振れ。一方、同月同国の鉱工業生産は前年比+7.7%と市場予想を上回った。

 ZARは対ドルで0.9%の上昇。南アフリカ中銀のKganyago副総裁はインフレ見通しから利上げ局面が求められていると発言。同国経済は高インフレと低成長に対応すべく構造改革を実施する必要があるとの認識を示した一部メディアはS&Pとフィッチが13日の金曜日に南アフリカを格下げする可能性があるとする記事を報じた。S&Pの格付け見通しは「ネガティブ」。フィッチは「安定的」で、ともに外貨建て長期債格付けは「BBB」である。

ロンドン・NY市場の主要通貨(2014年6月6日)

 6月6日のロンドン市場はユーロが軟調に推移。ユーロドルは取引前半に1.36ドル台半ば近辺から1.36ドル台前半に下落。中盤以降は持ち直したが、1.36ドル台前半で上値が抑えられた。ドイツ連銀は半期に一度の経済見通しで今年のGDP成長率を従来の1.7%増から1.9%増へ上方修正。一方でインフレ見通しは従来の1.3%から1.1%に引き下げた。オーストリア中銀のノボトニー総裁はユーロ圏インフレ率はECBの目標を大幅に下回っていると発言。ECBコンスタンシオ副総裁は同ドラギ総裁が金利は事実上、下限に達したと発言したことに対し、状況の変化に応じ行動することも排除しなかったと説明。必ずしも政策金利を変更するわけではないが、コリドーを微調整
することは可能との認識を示した。

 一方、ドル円は102円台前半で小動き。ECB利下げを受けてドイツ株は小幅プラス圏で推移する一方、米債利回りはじり安の動き。この日発表される米雇用統計を控えドル円は様子見姿勢の強い展開となった。

 NY市場では米雇用統計を受けてドル、ユーロともに大きく動いたが、取引中盤以降は落ち着いた値動きとなった。

 5月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が21.7万人増とほぼ市場予想通りの結果。失業率は6.3%と市場予想に反し前月と同じ。労働参加率も62.8%と前月から変わらず。平均時給は前月比0.2%増と米雇用・所得環境の改善継続を示す内容となった。

 米雇用統計発表後、ドル円は102円台前半で大きく上下動。ただ、同指標発表後に低下した米債利回りが一転して上昇基調で推移すると、ドル円は102円台後半に反発。取引後半は同水準での小動きが続いたが、引けにかけては102円台半ば近辺に小幅下落した。

 ユーロドルは米雇用統計発表直後に1.36ドル台前半から1.36ドル台後半に上昇したが、上昇基調は続かず、その後1.36ドル台前半に下落。取引中盤以降は同水準でのもみ合いを続けた。