2014年7月4日金曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月3日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。ユーロと連れ安となる格好で東欧通貨の多くが対ドルで下落する一方、中南米通貨は上昇した。

 BRLは対ドルで0.6%の上昇。6月のブラジルHSBC総合PMIは49.9と前月とほぼ変わらず。5月の同国設備稼働率は80.7%と4カ月連続で低下し、2009年8月以来の81%割れとなった。

 MXNは対ドルで0.3%の上昇。メキシコ中銀のエコノミストサーベイでは今年の成長率見通しが2.65%と6カ月連続で下方修正。同国景気の先行き懸念が示された。

 HUFは対ドルで0.3%の上昇。5月のハンガリー小売売上高は前年比5.1%増と市場予想を下振れ。前月分も下方修正され、ハンガリー景気の拡大ペースの鈍化懸念が強まった。

 ZARは対ドルで0.2%の下落。5月の南アフリカ発電量は前年比1.6%減と減少率が前月から拡大。南アフリカ金属労働組合(NUMSA)によるスト開始で発電所建設が滞るとの思惑もあって同国景気の先行き不透明感が強まった。

 TRYは対ドルで小幅上昇。6月のトルコCPIは前年比+9.16%と前月から鈍化したものの、市場予想に反し9%台を維持。同月同国のコアCPIやPPIは市場予想を下振れしたもののトルコのインフレ圧力の根強さが示された。

JR東日本の駅ごとの乗車人数ランキングで19年間3位を維持していた渋谷駅が昨年度は5位に低下したそうです。私は大学生のころ渋谷界隈で大変お世話になったので、これからはできる限り渋谷駅を使うようにしたいと思います。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月3日)

 7月3日のロンドン市場はドル、ユーロなど主要通貨は方向感に欠ける動きとなった。ドル円は102円手前、ユーロドルは1.36ドル台半ば近辺でそれぞれ推移した。ドイツ株、日経平均先物はともに小幅プラス圏で底堅く推移。一方、米債利回りは膠着感の強い動き。ECB理事会や米雇用統計の発表を控え市場は様子見姿勢が強かった。ECBは市場予想通り政策金利を0.15%で据え置き。限界貸出金利、中銀預金ファシリティ金利も市場予想通り据え置かれた。ただECBドラギ総裁の会見内容を見極めたいとの思惑もあって、政策金利等の発表に対する市場の反応は極めて限定的だった。

 NY市場は米雇用統計を受けてドルが上昇した。6月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が28.8万人増と市場予想を上回る伸び。前月分も上方修正された。一方、失業率は6.1%と市場予想に反し前月から低下。労働参加率は62.8%で前月から変わらずと、米雇用環境の改善が示された。米雇用統計の好結果を受けてドル円は101円台後半から102円台前半に上昇。一方、ユーロドルは1.36ドル台半ばから一時1.36ドルちょうどに下落。その後、1.36ドル台前半に小幅反発したが、ユーロドルの上値は抑えられた。しかし、米雇用統計後に発表された6月のISM非製造業景況指数は56.0と市場予想を下回り、前月から低下。米雇用統計を受けて上昇した米債利回りは上げ幅を縮める動きとなり、ドル買いの動きは一服。取引中盤以降、ドル円は102円台前半、ユーロドルは1.36ドル台前半で膠着感の強い動きを続けた。

 ECBドラギ総裁は米雇用統計の発表と同時に理事会後の会見を開催。同総裁はECBの政策金利は長期にわたり現行水準にとどまると言明。先月決定された金融政策措置の組み合わせは一段の金融政策スタンスの緩和につながっており、今後数カ月に実施される措置が一段の緩和をもたらし、銀行の融資を支えるだろうと述べた。また、低インフレの期間が長すぎるリスクに対処するため必要なら非伝統的措置を講じる用意があると発言。
理事会は非伝統的措置を講ずるコミットメントについて全員一致しており、ABS買い入れの準備作業を加速させたことを明らかにした。長期リファイナンスオペ(TLTRO)の規模は、今年9月と12月の当初のプログラムの他に、その後四半期ごとに実施される追加分を合わせ計1兆ユーロに達する可能性があると発言。また来年よりECBの政策決定は現行の月1回から6週間に1回とし、政策委員会の議事録公表も来年開始予定と説明した。

 米雇用統計は強い内容と言えたが、平均時給や週平均労働時間はほぼ市場予想通り。米利上げ時期に対する期待を大きく変える内容ではなく、米債利回りの上昇も結局、小幅に終わった。本日(7月4日)は米国が独立記念日で米金融市場が休場。週末ということもあって、本日東京市場でのドル円、ユーロドルはともに様子見姿勢の強い動きとなりそうだ。アジア通貨も対ドルで方向感に欠ける動きが予想される。

2014年7月3日木曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月2日)

 新興国通貨は対ドルで売り優勢。米ADP雇用統計を受けて米債利回りが上昇。新興国通貨を下押しした。

 SGDは対ドルで小幅下落。6月のシンガポール購買部景気指数は50.5と市場予想を下振れ。内訳をみると新規受注が51.0、新規輸出受注が51.2といずれも前月から低下。シンガポール景気の回復ペースの遅さが示された。

 BRLは対ドルで1.0%の下落。6月のブラジルFIPE消費者物価は前月比+0.04%と市場予想とほぼ同じ結果。その後発表された5月の同国鉱工業生産は前年比-3.2%とこちらも史上予想とほぼ同じ結果。ブラジル景気の低迷継続が示された。ブラジル中銀のトンビニ総裁は同国消費者物価は今後数カ月抑制されるだろうとの見方を表明。ただ高めの政策金利が消費者物価の抑制に完全に寄与しておらず、金融政策は引き続き慎重な姿勢が必要との認識を示した。

 ZARは対ドルで0.9%の下落。南アフリカ金属労働組合(NUMSA)によるスト開始で発電所建設がストップ。南アフリカの電力不足が解消せず、同国生産活動が抑制されるとの見方が広がった。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月2日)

 7月2日のロンドン市場はドル、ユーロともに方向感に欠ける動き。ドル円は101円台半ば近辺での推移。ユーロドルは1.36ドル台後半で上値が抑えられた。ドイツ株は底堅い動きとなったものの、日経平均先物と米債利回りは上値の重い動き。市場は様子見姿勢が強く、ドル、ユーロなど主要通貨の多くは小動きとなった。

 こうした中、ポンドは英経済指標を受けて買いが先行。ポンドドルは1.71ドル台半ばから1.71ドル台後半に上昇した。6月の英建設業PMIは62.6と市場予想を大きく上回り、4カ月ぶりの高水準に上昇。東京時間に発表された6月の英全国住宅価格指数が前年比+11.8%と市場予想を上回り、2005年1月以来の高い伸びとなったこともあってポンドは買いが先行した。

 NY市場は米ADP雇用統計を受けてドルが上昇した。6月の米ADP雇用統計では民間雇用者数が28.1万人増と市場予想を上回り、2012年11月以来の伸びを記録。同指標発表後、ドル円は101円台半ばから101円台後半に上昇。ユーロドルは1.36ドル台後半から1.36ドル台半ば近辺に下落するなどドル買いの動きが強まった。その後発表された5月の米製造業受注は前月比0.5%減と市場予想を上回る落ち込みとなったが前月分は上方修正。取引中盤以降も米債利回りが上昇基調で推移したこともあってドル円、ユーロドルともに米ADP雇用統計発表直後の水準を維持しての推移を続けた。

 FRBイエレン議長はIMF主催の講演で金融政策運営で金融安定に一層注力することは適切だが、安定リスクへの対応に政策をシフトすることは特別な状況に限るべきと発言。米国は現時点で金融安定をめぐる差し迫った懸念に直面していないとした上で、金融政策が足元、物価安定と最大雇用という主要目標から外れる必要はないと考えるとの認識を示した。また同議長は、金融政策は金融安定を促進する手段としては相当な制約を抱えているとし、過度のレバレッジや満期変換といった金融の脆弱性への効果はあまり深く理解されておらず、規制・監督面でのアプローチほど直接的ではないとも述べた。

2014年7月2日水曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年7月1日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。米債利回りの上昇が新興国通貨の重石となったものの、中南米通貨は買い優勢の動きとなった。

 BRLは対ドルで0.4%の上昇。6月のブラジルHSBC製造業PMIは48.7と前月とほぼ変わらず。同月同国の貿易収支は236.5億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下回った。ただ黒字下振れの主因は輸入の拡大で、ブラジル景気の先行き期待を高める内容と言えた。

 MXNは同0.2%の上昇。5月のメキシコ労働者送金は前年比4.6%増と市場予想を下回る伸び。6月の同国IMEF製造業指数は50.3と市場予想に反し前月から低下。メキシコ景気の先行き懸念を強める内容となった。

 COPは同0.9%の上昇。コロンビア中銀は日次平均1970万ドル規模だったドル買い介入を同3190万ドルに拡大したと発表。コロンビアのカルデナス財務相はCOP安に促すための追加措置を検討していると発言。ただ資本規制は考えていないと、財政、金融政策をより中立的なものに進めていく方針を示した。

 PENは対ドルで小幅上昇。6月のペルーCPIは前年比+3.45%と市場予想を下振れ。同月同国のWPIは前月比-0.15%となり、ペルーのインフレ圧力が緩和しつつあることが示された。

 RUBは対ドルで1.0%の下落。ウクライナのポロシェンコ大統領はウクライナ東部での停戦を打ち切ることを表明。反政府勢力は停戦に10回余り違反したと非難した。ロシアのプーチン大統領は、ポロシェンコ大統領に停戦期限を延長するよう説得することに失敗したと述べ、在外ロシア系市民の権益を引き続き守る姿勢を示した。ロシア中銀のナビウリナ総裁はロシア景気は内需を中心に減速しているとし、週次インフレは安定しつ
つあるが、インフレ期待は依然として強いとの認識を示した。IMFは今年のロシア成長率見通しを0.2%で据え置き。IMFはウクライナ危機がこれ以上悪化しなくても、長引く不透明感や、その結果としての信頼感低下により、消費や投資の減少、為替レートへの圧力増大や資本流出の加速といった状況が、基本シナリオで見込まれている以上に下振れする可能性があると指摘。ロシア中銀に対しては、利上げでインフレ抑制を図るよう促し、利上げは、地政学的な緊張や世界的な流動性の引き締まりを背景とする資本流出も和らげるとした。

 HUFは同0.8%の下落。6月のハンガリー製造業PMIは51.5と前月から低下し、昨年12月以来の低水準を記録。ハンガリー景気の先行き期待を後退させた。

 TRYは同0.5%の下落。6月のトルコHSBC製造業PMIは48.8と昨年7月以来となる50割れ。トルコ中銀のバシュチュ総裁はTRY安のインフレに対する影響は低下していると発言。トルコ公正発展党(AKP)は同国エルドアン首相を次期大統領選の候補に選んだ。同大統領選の第1回投票は8月10日の予定。

 ZARは同0.4%の下落。6月の南アフリカ・カギソ製造業PMIは46.6と前月から上昇したものの、市場予想を下振れ。同月同国の自動車販売台数は前年比2.3%減と市場予想ほどの落ち込みを示さなかった。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年7月1日)

 7月1日のロンドン市場では、ドル円が101円台半ば近辺で底堅い動きとなった。ドイツ株、日経平均先物は小幅ながらもプラス圏で推移。米債利回りは緩やかに上昇し、ドル円をサポートした。日本政府は、これまでの政府解釈で違憲とされてきた集団的自衛権の行使を限定的に容認する憲法解釈の変更を決定。安倍首相は会見
で、いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしは守り抜いていく、私にはその大きな責任があると発言。集団的自衛権の行使は、他に手段がない時に限られ、かつ、必要最小限度でなければならないとし、万全の備えをすること自体が日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく大きな力を持っているとの認識を示した。

 ユーロドルは1.36ドル台後半で方向感に欠ける動き。6月のユーロ圏製造業PMI(確報値)は51.8と速報値から小幅下方修正。一方、5月のユーロ圏失業率は11.6%と市場予想を下回り、前月分も下方修正された。

 ポンドは英製造業PMIを受けて上昇。ポンドドルは1.71ドルちょうどから1.71ドル台前半に上昇した。6月の英製造業PMIは57.5と市場予想や前月を上回り、昨年11月以来の高値を記録。英景気の拡大を背景としたBOE利上げ期待が強まり、ポンドは指標発表後、買いが先行した。

 NY市場はドル、ユーロともに方向感に欠ける動き。ドル円は101円台半ば近辺、ユーロドルは1.36ドル台後半で、それぞれ推移した。6月のISM製造業景況指数は55.3と市場予想を小幅下回る結果。ただ内訳をみると景気の先行指標とされる新規受注は58.9と前月から上昇。雇用は52.8と前月から変わらず、米景気の堅調地合いが示された。同時に発表された5月の米建設支出は前月比0.1%増と市場予想を下回ったが、前月分が大きく上方修正されたため、5月分は実質的には市場予想を上振れ。取引終盤に発表された6月の米自動車販売台数は1692万台と市場予想を上回り2006年7月以来の高水準に達した。

2014年7月1日火曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年6月30日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。米債利回りは上値が抑えられたものの、米国株は伸び悩み。新興国通貨買いの動きを抑えた。

 BRLは対ドルで0.8%の下落。5月のブラジル基礎的財政収支は110億レアルの赤字と市場予想を上回る赤字。同月同国の名目予算収支は324億レアルの赤字と赤字額が市場予想を上回り2008年12月以来の赤字額を記録した。

 CLPは同0.2%の下落。5月のチリ製造業指数は前年比+1.2%とほぼ市場予想通りの低い伸び。同月同国の小売売上高は同4.9%増と市場予想を上回る伸びとなった。

 RUBは対ドルで0.8%の下落。ムーディーズは27日、ロシア債格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ。同社は見通し引き下げの理由としてロシアが地政学リスクの影響を一段と受けやすくなっていることや、同国の中期経済成長見通しが悪化していることを指摘した。

 ZARは同0.5%の下落。5月の南アフリカM3は前年比7.59%増と市場予想に反し、前月から加速。同月同国の貿易収支は66億ランドの赤字と赤字額が市場予想を下振れした。

 TRYは同0.2%の上昇。5月のトルコ貿易収支は71.1億ドルの赤字とほぼ市場予想通りの結果。トルコの対外収支の改善傾向が示された。

 PLNも同0.2%の上昇。6月のポーランド・インフレ予想は前年比+0.2%と市場予想を下回り、昨年8月以来の低い伸び。ポーランドのディスインフレ傾向が強まりつつあることが示された。
 HUFは同0.3%の上昇。5月のハンガリーPPIは前年比-1.1%と前月より低下幅が縮小したが、市場予想ほどの縮小とならず。ハンガリーでもディスインフレ傾向の継続が示された。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年6月30日)

 6月30日のロンドン市場はドル、ユーロなど主要通貨は小動き。ドル円は101円台前半、ユーロドルは1.36ドル台半ば近辺での推移が続いた。ドイツ株は取引序盤に値を上げたものの、その後は上値の重い動き。日経平均先物と米債利回りは小動きが続くなど、市場は総じて様子見姿勢の強い展開となった。6月のユーロ圏CPIは前年比+0.5%と市場予想通り前月から変わらず。コア指数は同+0.8%と市場予想に反し、前月から小幅加速したが市場の反応は限定的だった。

 NY市場ではドルが下落。ドル円は101円台前半で、この日の安値圏に小幅下落。ユーロドルは1.36ドル台半ば近辺から1.37ドルちょうど近辺に上昇。ポンドドルは1.70ドル台前半から1.71ドル台ちょうど近辺と2008年10月以来の高値圏に上昇した。6月のシカゴPMIは62.6と市場予想を下振れ。その後発表された5月の米中古住宅販売は前年比6.9%減と市場予想ほどの落ち込みを示さず、6月のダラス連銀製造業活動指数は+11.4と市場予想を上回ったが、指標発表後にドルは売り優勢の動きとなった。

 サンフランシスコ連銀のウィリアム総裁は講演で量的緩和は今年終了する可能性が高いと言明。米GDPは年内、2015、16年と年率3%超で推移し、失業率は今年末に6%程度が予想されるが、インフレは依然として弱く、当面は低金利を続ける意向を示した。

 カナダドルは底堅い動き。ドルカナダは取引前半に1.06台後半で小幅上昇したが、取引中盤には一時1.06台半ばまで下落。後半は1.06台後半での推移となった。4月のカナダGDPは前年比2.1%増と市場予想を下回り前月と変わらず。GDPを受けカナダドルはやや売られたが、その後のドル下落の流れを受けてカナダドルも買い戻された。

 国際テロ組織アルカイダの流れを組むイスラム教スンニ派武装組織の「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」は、武力によって掌握したイラク北部からシリアにかけた地域に「イスラム国」を樹立したと宣言。ISILはシリア北部のアレッポからイラク東部のディヤラまでをイスラム国と定義し、アブバクル・バグダディ師を国家の最高指導者である「カリフ」に任命した。

2014年6月30日月曜日

ドル供給を絞ったら要注意のIDR相場

 IDRが5月後半から売りの動きが続いている。年初のUSD/IDRは12200台での推移が続いていたが、2月後半からIDR買いが先行し、3月半ばに11300台までIDR高が進展。その後、USD/IDRは5月半ばまで11300~11600で方向感に欠ける動きが続いたが、5月後半からはIDR売りの動きが続き、6月下旬には節目とされる12000を上回る推移が続いている。    

 IDRの売り材料の一つは原油価格の上昇だ。年初には1バレル91ドル台まで下落したWTI原油価格は3月初めには104ドル台まで上昇。その後は102ドルを挟んでの上下動が続いていたが、6月に入ると騰勢を強め、足元では105ドルを上回る水準で推移している。   

 インドネシアは産油国ではあるが、石油の純輸入国である。このため原油価格の上昇は貿易収支(ならびに経常収支)の悪化につながる。ただインドネシアの石油純輸入額は名目GDP比2.8%程度であり、仮にWTI原油価格が第3四半期に平均120ドル(107ドルから12%上昇に相当)になったとしても、貿易収支の悪化幅は対GDP比0.3%程度である。今年第1四半期のインドネシア経常赤字はGDP比2.1%だったことから、原油価格の上昇だけで第2四半期や第3四半期の同国経常赤字がGDP比3%を超えるとは考えにくい。      

 原油価格の上昇で懸念すべきは、貿易収支の悪化ではなくインフレの加速である。筆者のラフな試算によると、7月平均でUSD/IDRが12500、WTI原油価格が120ドルまでそれぞれ上昇したと仮定すると、7月のインドネシアCPIは前年比10%近辺まで加速することになる。インフレの加速はインドネシア景気を下押しするとともに、IDR売りの動きを強め、IDR安がインフレを刺激するという悪循環に陥るリスクを高める。        

 7月9日に投開票が予定されているインドネシア大統領選の先行き不透明感もIDRの下押し材料となっている。大統領選開始当初は、闘争民主党のジョコ・ウィドド・ジャカルタ特別州知事が優位との見方が強かったが、足元では対立候補であるグリンドラ党のプラボウォ元陸軍戦略予備軍司令官が猛追しているとの情報も流れている。ただ両候補の経済政策に関する公約は、インフラの整備や貧困削減、外資依存からの転換など共通する部分が多い。本来であれば、同大統領選の行方がIDRを大きく下押しするのは不自然に思われる。     

 しかしインドネシア次期政権に関する先行き不透明感が、海外投資家のインドネシアに対するセンチメントを悪化させているのは事実だ。いずれの候補が勝利するかは現時点では見通しが立てにくく、7月9日に大統領選の結果が判明するまで、為替市場は同大統領選の先行き不透明感を嫌気するだろう。         

 同大統領選が終了した後もIDRが急速に買い戻されるには、原油価格の安定が必要となる。また(年初の予想を裏切る形で)低位安定している米債利回りが、今後も大きく上昇しないことも求められるだろう。両者はいずれもインドネシアの外部要因だけに、インドネシア当局の努力だけでは対応しきれない。         

 仮にIDRが(インドネシア当局の期待を裏切る形で)下落傾向を続けるようだと、インドネシア当局は利上げが必要となるだろう。利上げにより海外からの資本流入を促し、IDRをサポートすることになる。ただ利上げはインドネシア景気を下押しする可能性が高く、株式市場から海外資本が流出する展開も想定すべきだろう。       

 インドネシア当局が利上げではなく、ドル供給を絞ることでIDR安に歯止めをかけようとした場合、IDR安がさらに進む可能性もある。インドネシア当局は昨年6月から8月にかけてIDR売りを防ぐべく、IDR買い介入をする一方でドル供給を絞ったが、この結果、海外投資家はIDR相場の先行き不透明感を嫌気し、IDR売りの動きを加速させた。昨年の学習効果もあって、インドネシア当局が今回も同じ愚を繰り返すとは思えないが、IDR安が進むなか、当局がIDR安を容認するかのように市場へのドル供給を強めるには、それなりの決断が必要である。とくに大統領選が終わり、新大統領が就任する10月までの間は、当局の決断が鈍る可能性もあるだけに注意が必要である。

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年6月27日)

 新興国通貨は対ドルで小幅高。米債利回りが落ち着いた動きを示したこともあり、新興国通貨は買い戻し優勢となった。

 BRLは対ドルで小幅上昇。6月のブラジルIGP-Mは前年比+6.24%と市場予想を下振れ。5月の同国PPIは同+6.59%と5カ月ぶりの低い伸びとなった。5月の同国中央政府財政収支は105億レアルの赤字と2011年6月以来の赤字を記録。ただBRLは取引後半にかけて買い優勢となった。サッカー・ワールドカップのブラジル対チリでは1対1で終了後、PK戦に。ブラジルのGKジュリオセザールが2本のシュートを止め3対2でブラジルが勝利した。ブラジルは7月4日にコロンビアと対戦する予定。

 MXNは同0.4%の上昇。5月のメキシコ貿易収支は1.32億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下振れ。ただMXNは取引後半から上昇基調で推移した。

 COPは同0.2%の上昇。4月のコロンビア貿易収支は9.06億ドルの赤字と1995年の統計開始以来最大の赤字を記録。輸入が市場予想を上回る拡大となり貿易赤字が広がった。5月の同国鉱工業信頼感は+2.9、小売業信頼感は+22.6といずれも前月から低下した。

 CLPは同0.4%の下落。チリ中銀は会合議事録(6月13日開催分)を公表。金利据え置きの決定は全会一致ではなく反対が1票あったことが判明。反対票は25bpの利下げを主張していた。また政府関係者は追加利下げの可能性があると発言。一方で、CLP安によるインフレ押し上げ効果は予想以上であるとの指摘もあった。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年6月27日)

 6月27日のロンドン市場はユーロが軟調な推移。ユーロドルは1.36ドル台前半でじり安の動きとなった。第1四半期フランスGDP(確報値)は前年比0.7%増と速報値から下方修正。5月のスペイン小売売上高は同0.5%増(季調済み)と前月から鈍化した。6月のユーロ圏景況感は102.0と市場予想を下回り、前月から低下。6月のドイツ各州のCPIは前月比プラスとなったが、ユーロ買いの反応は見られなかった。

 ドル円は101円台前半での推移。米債利回りは方向感に欠ける動きとなるなか、ドイツ株は小幅プラス圏での推移。ただ一方で日経平均先物は取引後半に小幅安。ドル円は材料難の様相が強まり、方向感に乏しい動きとなった。

 ポンドも方向感に欠ける動きが続き、ポンドドルは1.70ドル台前半での推移となった。第1四半期の英GDP(確報値)は前年比3.0%増と速報値から下方修正。同期同国の経常収支は185.0億ポンドの赤字と前年同期から赤字額が拡大。前期も赤字額が上方修正された。一方、同期同国の総合事業投資(確報値)は前年比10.6%増と速報値から上方修正。英経済指標がマチマチの結果だったことでポンドは反応薄となった。

 NY市場に入るとユーロは上昇基調で推移。ユーロドルは1.36ドル台前半から1.36ドル台半ばに上昇した。6月のドイツCPIは前年比+1.0%と市場予想通りだったが前月から加速。前月比は+0.3%と市場予想を上回った。指標発表後、ユーロは買い戻し基調となった。

 一方、ドル円は101円台前半でロンドン市場に引き続き方向感に乏しく推移。引けにかけて101円台半ば近辺に上昇したが、週明けは101円台前半での推移となっている。6月のミシガン大消費者信頼感(確報値)は82.5と市場予想を上回ったが市場の反応は限定的だった。

 米債利回りは低位で推移する一方で、米国株は高止まり。米国景気の先行き期待は続いている様子だがドル買いの動きは強まりにくいまま。本日東京市場でのドル円は上値の重い動きとなりそうだ。一方、ユーロはドイツCPIが前月比プラスとなったこともあって底堅い動きとなる見込み。アジア通貨は対ドルで様子見姿勢の強い展開が予想される。