2014年8月22日金曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年8月21日)

 新興国通貨は対ドルで反発。前日公表のFOMC議事録を受けて上昇した米債利回りは小幅低下。欧米株の上昇もあって新興国通貨は買い戻し優勢となった。

 BRLは対ドルで0.2%の上昇。ブラジル社会党(PSB)は、同党の大統領選候補として、事故死したカンポス党首の代わりにマリナ・シルバ元環境相を支持することを正式に決定した。

 MXNは対ドルで0.3%の上昇。第2四半期メキシコGDPは前年比1.6%増と市場予想とほぼ同じで、前期からは小幅減速。ただ6月の同国経済活動指数は前年比+2.7%と2カ月連続の加速。メキシコ景気の回復期待を維持した。

 ILSは対ドルで0.5%の上昇。6月のイスラエル製造業生産は前月比0.6%減と冴えない結果。イスラエル軍は21日、パレスチナ自治区ガザ南部などを空爆し、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの軍事部門の司令官ら3人を殺害したと公表。イスラエルとハマスとの間の停戦期待は後退した。

 PLNは対ドルで0.2%の上昇。ポーランド中銀は会合議事録(7月2日開催分)を公表。一部メンバーが短期的には利下げの必要性があると主張したことが判明。インフレが同中銀のスタッフ予想を下回るとの見方も示された。

ブッシュ前米大統領が、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を支援する活動「アイス・バケツ・チャレンジ」に参加し、ローラ夫人がバケツから放った氷水を頭からかぶったそうです。ブッシュ氏は次の挑戦者にクリントン元大統領を示したとのこと。私はいつ指名されるのでしょうか。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年8月21日)

 8月21日のロンドン市場はドル、ユーロともに方向感に欠ける動き。ドル円は103円台後半での推移が続いた。寄り付きこそ下落で始まった欧州株は小幅プラス圏に浮上。米債利回りはこの日の高値圏を維持し、ドル円をサポートした。

 ユーロドルは1.32ドル台後半で下値が堅い動き。8月のユーロ圏製造業PMIは50.8と市場予想を下回ったが、同月ドイツ製造業PMIが52.0と市場予想を上回っていたこともあって市場の反応は限定的だった。

 ポンドも方向感に欠ける動き。7月の英小売売上高が前年比2.6%増と市場予想を下回ると、ポンドドルは1.66ドルちょうど手前1.65ドル台後半に下落。ただ英小売売上高の落ち込みの主因はガソリン。燃料を除くベースでの売上高は前年比3.4%増と堅調な伸びを維持。ポンドドルは取引中盤以降、1.65ドル台後半でじり高の動きとなった。

 NY市場はドルがやや軟化した。米新規失業保険申請件数は29.8万件と市場予想を下回り30万件割れ。米雇用環境の堅調ぶりが示されたがドル円は103円台後半で反応薄。その後発表された8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は28.0と市場予想に反し前月から上昇。7月の米中古住宅販売は515万戸と市場予想を上回りったが、在庫は237万戸と2012年8月以来の高水準。米住宅市場の先行き懸念がやや強まり、ドルは一時売られたが、ドル円は103円台後半を維持するなど、ドル売りの動きは限定的。取引中盤以降、ドルは持ち直したが、米債利回りの低下を受けてドル円は103円台後半で上値が抑えられる動きを続けた。

 ユーロドルは1.32ドル台後半で底堅く推移。8月のユーロ圏消費者信頼感は-10.0と市場予想を上回るマイナスとなったが、ユーロ売りの反応は見られず、ユーロドルは取引中盤にかけて一時強含んだ。

 FOMC議事録を通過して米債利回りは再び低下。欧米株が続伸するなど、米FRBによる早期の利上げ期待は後退したままだ。ドル円104円台を望む声は強いものの、日米金利が縮小した以上、上値を追うのは難しい状況。本日東京市場でのドル円は104円手前で上値が抑えられる展開が予想される。一方、ユーロは米債利回りの低下が下支え材料だが、ユーロ圏景気の先行き懸念から引き続き下押し圧力がかかりやすい動きとなる見込み。アジア通貨は欧米株の上昇を受けて対ドルで買い戻し優勢の展開となりそうだ。

2014年8月21日木曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年8月20日)

 新興国通貨は対ドルで続落。米利上げ期待の強まりで新興国通貨は売り優勢となった。

 BRLは対ドルで0.7%の下落。8月のブラジルIPCA-15は前年比+6.49%とほぼ市場予想通りの結果。ブラジル中銀は、民間金融機関が中銀に預け入れる所用準備額を約150億レアル引き下げ、そのうち60%(約100億レアル)を融資に回すことを認める与信促進策を発表した。また同国マンテガ財務相は住宅購入者向け融資を支援するための新しいカバードボンドを創設すると発表。同ボンドは満期2年以上の中長期債で、購入住宅を担保とすることを奨励。同ボンドにより外国人が同国住宅を購入する意欲を強める狙いがあることも示された。

 COPは対ドルで0.8%の下落。6月のコロンビア貿易収支は6400万ドルの赤字と赤字額が市場予想を下振れ。輸入の伸びが抑えられたことで貿易赤字が抑制された。

 ZARは対ドルで0.9%の下落。7月の南アフリカCPIは前年比+6.3%と市場予想を下回ったが、同月同国のコアCPIは同+5.7%と市場予想に反し前月から加速。ムーディーズは同国4大銀行の長期預金格付けを一斉に一段階引き下げ。同国中銀は同国銀行業界は健全で頑健であるとし、同社の判断に異議を唱えた。

 PLNは対ドルで0.8%の下落。7月のポーランド鉱工業生産販売は前年比2.3%増と市場予想を上回る伸び。ただ、同月同国PPIは同-2.0%と市場予想を上回る落ち込みとなり、ポーランドのディスインフレ懸念を強めた。

英誌エコノミストの調査部門(EIU)がまとめた世界で最も住みやすい都市ランキングでオーストラリアのメルボルンが4年連続の1位となったそうです。残念ながら東京はベスト10に入っていませんでした。たしかに昨夜は暑くて寝苦しかったですからね。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年8月20日)

 8月20日のロンドン市場はドルが底堅く推移。ドル円は103円台前半でじり高の動き。欧州株は軟調だったが、米債利回りは下値の堅い動き。日本の厚生労働省が社会保障審議会・年金部会でGPIFは資産構成見直しとあわせ、ガバナンス体制の強化を検討したことを明らかにしたことで円売りの動きがやや強まった。

 ユーロドルは1.33ドルちょうど近辺から1.32ドル台後半に下落。6月のユーロ圏建設支出は前月比0.7%減と2カ月連続の減少。フランスのオランド大統領は現地メディアとのインタビューでユーロが依然として過大評価れているとの認識を示し、ECBはユーロ高抑制に向けた一段の措置を講じるよう求めた。

 ポンドはBOE議事録を受けて上昇した。BOEは会合議事録(8月6、7日開催分)を公表。政策金利据え置きは賛成7反対2での決定だったことが判明。反対2票は25bpの利上げを主張した。政策委員の意見が分かれたのは昨年7月にカーニー総裁が就任してから初めて。反対票を投じたウィール、マカファティー両委員は、英経済が政策金利を直ちに引き上げることを妥当とするのに十分な状況にあるとした上で、雇用市場で圧力が高まる可能性に触れ、これに先駆けて行動する必要があると論じ、25bpの利上げをしても政策は依然、極度に景気刺激的とも述べた。ただカーニー総裁ら7委員は、時期尚早な利上げは英経済をショックに対し脆弱にするとともに、債務を抱えた家計を脅かす可能性があると指摘し、金利据え置きを支持。ポンドドルは議事録公表後、1.66ドル台前半から1.66ドル台後半に上昇したが、買い一巡後は反落。取引後半は1.66ドル台半ば近辺での推移となった。

 NY市場はFOMC議事録公表まで様子見姿勢。ドル円は103円台前半、ユーロドルは1.32ドル台後半で動意に欠ける動きを続けた。この日は主だった米経済指標の発表もなく、FOMC議事録の中身を見極めたいとの見方から様子見姿勢が強かった。

 FRBはFOMC議事録(7月31日開催分)を公表。議事録では、FRB当局者の多くが米雇用の拡大が利上げを早める可能性があると判断し、余剰労働力の文章を近く変更する必要性があることを指摘したことが判明。FOMC参加者は米雇用市場が正常化に大きく近づいていると見ていることも示し、参加者の多くは、雇用と物価安定が想定よりも早く改善し、FOMCの目標へと近づくならば、利上げなど緩和脱却を前倒しすることが適切になる可能性があると指摘した。数人は、現時点の雇用や物価の目標に向けた進展と今後の見通しからみて、比較的速やかな動きが既に必要になっているとした。また参加者の大半はインフレの下方リスクは消えつつあるとの認識を示したことも明らかとなった。ただ参加者の大半は、利上げ時期の見通しのどんな変更も、今後の経済情勢次第との見方を示し、指標などをさらに見極める必要があるとの姿勢を示した。

 FOMC議事録で参加者の多くが利上げに前向きな姿勢を示したことが判明したことで、議事録公表後にドル買いが先行。ドル円は103円台後半と4月4日以来の高値に上昇。一方、ユーロドルは1.32ドル台後半で下落した。

 FOMC議事録は利上げ期待を高めるのに十分な内容といえたが、米債利回りの上昇はドル買いの動きに比べれば小幅。米国株の上昇も限定的だったこともあり、本日東京市場でのドル円は上値が抑えられる展開が予想される。一方、ユーロはユーロ圏景気の先行き懸念から引き続き下押し圧力がかかりやすい動きとなる見込み。アジア通貨は米利上げ期待の高まりを受けて対ドルで軟調な推移となりそうだ。

2014年8月20日水曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年8月19日)

 新興国通貨は対ドルで下落。米住宅市場の拡大を背景に米債利回りは反発。新興国通貨は売り優勢となった。

 BRLは対ドルで0.3%の上昇。10月のブラジル大統領選での政権交代期待がBRL買いの動きをサポートした。ブラジルFIPE消費者物価(週次)は前月比+0.34%と市場予想を小幅上振れ。ただ8月の同国IGP-M(改定値)は前月比-0.35%とほぼ市場予想通りの落ち込みと
なった。

 COPは対ドルで0.7%の下落。コロンビア中銀のカノ政策委員は現地メディアとのインタビューで政策金利が中立水準に近づいていると指摘。残り1回の利上げで中立金利水準に達するとの見方を示した。同中銀のウリベ総裁は今年の同国成長率は5%を超えるだろうと発言。今年の海外からの直接投資は昨年を下回るとの見方を示し、インフレは3%をわずかに超えるだろうと述べた。

 CLPは同0.7%の下落。チリ中銀のモンテス総裁は第2四半期の同国成長率が当局見通しを下回ったと指摘。同中銀は引き続き金融緩和姿勢を続けるとの意向を示した。

 RUBは対ドルで0.3%の下落。7月のロシア実質可処分所得は前年比2.3%増と市場予想に反し前年越え。同月同国の実質小売売上高は同1.1%増と市場予想を小幅上回ったが、弱い伸びに留まった。

 PLNも対ドルで0.3%の下落。7月のポーランド平均総賃金は前年比3.5%増と市場予想を下回り、前月と同じ伸び。雇用は同0.8%増と市場予想通りの伸びとなったが、同国景気の先行き懸念を強める内容となった。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年8月19日)

 8月19日のロンドン市場は円売り優勢の動き。ドル円は102円台後半でじり高の推移となった。前日に引き続き、この日も欧州株は堅調な推移。市場のリスク選好姿勢が徐々に強まりドル円をサポートした。

 ユーロドルは1.33ドル台半ば近辺で揉みあい。6月のユーロ圏経常収支は208億ユーロの黒字と前年同月からは黒字額が縮小。ただ米債利回りが低下基調で推移したこともあってユーロドルはの下値は堅かった。

 ポンドは英CPIを受けて下落。ポンドドルは1.67ドルちょうど近辺から1.66ドル台前半に下落した。7月の英CPIは前年比+1.6%と市場予想を下振れ。同時に発表された同月同国PPI(投入)も同-7.3%と市場予想を上回る落ち込み。英国のインフレ圧力の鈍化を受けてBOEによる利上げ期待が後退した。

 NY市場は米経済指標を受けてドルが上昇した。7月の米CPIは前年比+2.0%と市場予想通りの伸び。同時に発表された同月同国の住宅着工件数は109.3万戸と市場予想を上回り、昨年11月以来の高水準を記録。前月分も上方修正されたほか、先行指標とされる同月同国の住宅建設許可件数も105.2万件と市場予想を上回る強い結果となった。米住宅市場の拡大を受けてドルは買い先行の展開。ドル円は102円台後半で上昇基調での推移。ユーロドルは1.33ドル台半ば近辺から1.33ドル台前半と昨年11月以来の低水準に下落した。

 前日海外市場は欧米株は続伸。米債利回りは下げ渋ったことでドル買いが強まる展開。ただ日経平均先物(夜間取引)の終値は40円高と伸び悩み。市場のリスク選好姿勢が強まった印象はない。本日東京市場でのドル円は103円突破を試す動きが出るか注目される。一方、ユーロはユーロ圏景気の先行き懸念から引き続き上値が重く推移する見込み。アジア通貨は米債利回りの上昇を受けて対ドルで軟調な推移となりそうだ。

2014年8月19日火曜日

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年8月18日)

 新興国通貨は対ドルで売り優勢。米債利回りの上昇を受けて新興国通貨は上値の重い展開となった。

 BRLは対ドルでほぼ変わらず。ブラジル中銀の週次サーベイではGDP成長率と鉱工業生産見通しが小幅下方修正され、同国景気の先行き懸念の強さが示された。一部現地メディアは、ブラジル社会党が事故死したカンポス氏に代わり、副大統領候補だったマリナ・シルバ氏を大統領候補に指名する方針だと報道。18日公表の支持率調査ではルセフ現大統領が36%であったのに対し、シルバ氏は21%に達した。

 CLPは対ドルで小幅上昇。第2四半期のチリGDPは前年比1.9%増と市場予想を小幅上回ったが前期が下方修正。同期同国の経常収支は2800万ドルの黒字と市場予想に反し2012年第1四半期以来の黒字を記録した。ただ7月のチリ消費者信頼感は47.5と7カ月連続の低下。チリ景気の減速感の強さが示された。

 PENは対ドルで0.4%の下落。USD/PENは一時2.82台と今年2月以来のPEN安水準に達した。ペルー中銀は1千万ドル相当のドル買い介入を実施した。

 RUBは対ドルで0.4%の上昇。ロシア中銀は通貨バスケットに対するRUB変動幅を従来の7RUBから9RUBに広げると発表。同中銀は変動幅の拡大がRUBの完全変動相場制への移行を年内に完了させるための措置と説明した。7月のロシアPPIは前年比+9.0%と市場予想に反し前月から小幅加速。伸びは2012年9月以来の高さに達した。

 ILSは対ドルで0.8%の下落。USD/ILSは3.51台と2月下旬以来のILS安水準に達した。8月のイスラエルCPI予想は前年比+1.1%と2009年4月以来の低い伸び。一方、7月の同国M1は前年比19.0%増と前月から加速。イスラエル当局によるILS売り介入の思惑も強くILSは軟調な推移となった。

イタリアのスーパーカーメーカー・フェラーリの1962年製のクラシックカーが、自動車オークション史上最高値の39億円で落札されたそうです。うちにも何かないかなぁ、と探してみたのですが、リーマンショック前に買ったウスターソースくらいしか見つけられませんでした。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年8月18日)

 8月18日のロンドン市場はドル、ユーロなど主要通貨は小動き。ドル円は102円台半ば手前、ユーロドルは1.34ドルちょうど手前でそれぞれ推移した。欧州株はウクライナ情勢の落ち着きが好感され1%を超える上昇。米債利回りも底堅い動きとなるなど市場のリスク回避姿勢は一服したものの、動意に欠ける展開となった。

 6月のユーロ圏貿易収支は168億ユーロの黒字と市場予想を上回ったが、季調値では市場予想を下振れ。ムーディーズはフランスが2014年の財政赤字目標を達成できないことは格付けにマイナスと警告。ドイツ連銀は8月の月報でドイツ経済に関する見通しは、望ましくない国際情勢によって年央に曇ったとし、現在の指標は、基調的な景気動向が年後半に力強さを増すという春季見通しの基盤となった想定に疑問を投げかけるものだと指摘し、ドイツ成長率の見通し下方修正を示唆した。ただいずれの材料に対しても市場の反応は限定的だった。

 NY市場はドルが小幅上昇した。NY市場取引序盤に米株先物が買い優勢となったことを受けてドル円は102円台半ばを小幅上回る水準に上昇。8月の米NAHB住宅市場指数は55と市場予想を上回り、3カ月連続の上昇。同指標発表後に米債利回りは上昇し、ドル円は102円台半ばを小幅上回る水準で底堅い動き。一方、ユーロドルは1.33ドル台後半に下落した。

 欧米株は上昇し、米債利回りも反発したが、ドル買いの動きは限定的。ウクライナやシリアを中心とした地政学的リスクへの警戒感は根強い様子。本日東京市場でのドル円は方向感に欠ける動きが予想される。一方、ユーロはユーロ圏景気の先行き懸念から上値の重い動きとなる見込み。アジア通貨は米債利回りの上昇を受けて対ドルで軟調な推移となりそうだ。

2014年8月18日月曜日

7月のCPI鈍化なら金融緩和観測が強まると予想されるSGD

 本日午前に発表された7月のシンガポール輸出(除く石油)は前年比3.3%減と市場予想(同4.0%減)ほどの落ち込みとならず、前月比では2.5%増と2カ月連続のプラスとなり、市場予想(同0.9%増)を上回る伸びとなった。ただ水準でみると、昨年来の最高水準を下回ったまま。総じてみれば、同国輸出は横ばい圏での推移が続いていると思われる。

 7月のシンガポール購買部景気指数(PMI)は51.5と市場予想を上回り、昨年7月以来の高水準を記録。ただ内訳をみると、新規受注や新規輸出受注は前月から上昇したものの、今年4月や5月の水準を下回ったまま。シンガポール鉱工業生産は6月まで3カ月連続でマイナスとなっている。中国政府による景気対策などを主因にシンガポールの製造業セクターは、底打ちの気配を強めているが、回復ペースは弱いままといえる。

 シンガポール製造業セクターの回復が遅れている理由の一つにシンガポールドル(以下Sドル)の高止まりが考えられる。Sドルは今年年初に対ドルで1.280を上抜けする水準まで下落したが、その後は上昇基調で推移。今年7月には対ドルで1.23台後半と昨年10月下旬以来のSドル高水準に達した。Sドルは8月に入り1.25台前半まで売られる場面もあったが、先週は上昇基調で推移し、本日は1.24台半ば近辺での推移となっている。

 BISが公表する実質実効為替レート(2010年=100)をみると、今年のSドルは概ね113台での推移。シンガポールと輸出競合の関係にあると考えられるマレーシア(MYR)や台湾(TWD)の実質実効為替レートが100近辺で推移していることも考えると、Sドル高がシンガポールの輸出競争力を抑制しているといえそうだ。

 MASは4月の金融政策決定会合でSドルの緩やかな上昇を容認する現行の金融政策を維持すると発表。声明では、外的環境で大きな衝撃がなければ、シンガポール経済は今年、緩やかなペースで拡大。賃金圧力は根強く残り、企業がコストを販売価格に転嫁させることが考えられ、コアインフレ率は高止まりすると指摘した。

 ただ実際にはシンガポールのインフレ圧力は急速に後退。6月の同国CPIは前年比+1.8%、前月比-0.7%と前月から鈍化した。5月のシンガポールM3は前年比0.1%減と2003年3月以来の前年割れ。翌月(6月)は同0.7%増と反発したが伸びは弱いまま。シンガポールの金融環境は一気に引き締まっている。

 第2四半期のシンガポール失業率は2.0%と前期と変わらず。MASが重視する労働市場の需給は依然として引き締まったままといえ、10月の会合でMASが金融政策を現状維持とする可能性は依然として高い。しかし8月25日に発表される7月のシンガポールCPIでも鈍化するようになれば、10月会合での金融緩和観測が強まると予想される。

韓国ウォンに関するコメント(時事通信)

先週末、時事通信社の記者さんからの電話インタビューを受けました。以下の記事は同インタビューをもとにした記事。ご紹介いたします。

2014/08/18 09:11
◎〔外為ウオッチ〕韓国ウォン高、年内は継続か=利下げでも買い優勢

 韓国のウォン高基調が止まらない。韓国銀行(中央銀行)が14日、政策金利を引き下げたが、先週はその後、むしろウォン買い優勢となった。日本の市場関係者の間では、年内はウォン高が継続するとの見方が強まっており、心理的な節目である1ドル=1000ウォン超えもあり得るとの声もある。

 韓国ウォンは2013年6月から上昇基調が続く。今年7月初めには一時、08年のリーマン・ショック後で最も高い水準となる1ドル=1007ウォン台を付けた。その後は韓国中銀による利下げ観測が強まって上げ一服。しかし今月14日、実際に政策金利が0.25ポイント引き下げられ、年2.25%になると、市場では「材料出尽くし」(国内証券)と受け止められてウォンを買い戻す動きが広がった。

 ウォン高の背景として、みずほ総合研究所の宮嶋貴之主任エコノミストは、韓国の経常黒字が状態的に高水準となっていることを挙げる。先進国の金融緩和が続き、リスクマネーは新興国へ流入。米国が量的緩和終了、利上げへと向かう見通しの中、投資先の新興国を選別する動きも出ているが、経常収支はその選別基準となっているという。宮嶋氏は「経常黒字が高水準の韓国は、他のアジア・新興国に比べて安心感があり、海外からの資金流入は根強い」と指摘し、今後もウォン高傾向が継続するとみている。

 三菱東京UFJ銀行の天達泰章アナリストも、「ウォン高の中でも韓国の輸出は堅調であり、さらなるウォン高に進む圧力は強い」との見方を示し、年内に1ドル=950ウォン程度まで上昇する可能性もあると予想する。

 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン・インベストメント・サービスの村田雅志通貨ストラテジストは年内のレンジを1ドル=1000~1040ウォンと予想し、「年内のウォンは、歴史的に見れば高い水準で終わる」と見通しを語る。

 村田氏は、韓国当局がウォン売り・ドル買い介入を続けており、足元では韓国中銀による利下げが実施されたことなどから、「1000ウォン超えのハードルは高い」と考えている。ただ、米長期金利が当面は上昇しにくく、ドルの上値は重いとみており、対ドルでのウォン安には向かいづらいという。また、米国や中国の景気の安定感が増していることを背景に、韓国の輸出が好調に推移するとみて、経常黒字の高水準は維持されると見込む。さらに韓国は内需も、4月の客船沈没事故以降の自粛ムードに伴う不振から改善する公算が大きいとして、「韓国景気が回復すれば追加利下げの可能性は低い」ことから、ウォンの高止まり基調は続くとみている。(小・8月18日)

ロンドン・NY市場の新興国通貨(2014年8月15日)

 新興国通貨は対ドルで売り優勢。ウクライナ情勢の緊張を受けて新興国通貨はEMEA通貨中心に軟調な動きとなった。

 BRLは対ドルで0.3%の上昇。8月のブラジルIGP-10は前月比-0.55%と市場予想を上回る落ち込み。6月の同国経済活動指数は前年比-2.15%と市場予想通り。ただ第2四半期のブラジル成長率がマイナスとなる可能性が高くなった。

 COPは対ドルで小幅下落。7月のコロンビア消費者信頼感は26.7と市場予想を小幅上振れ。6月の同国小売売上高は前年比2.2%増と市場予想を大きく下回り、昨年3月以来の低い伸び。同月同国の鉱工業生産は同-0.6%と市場予想に反し前年割れ。コロンビア景気の軟調ぶりが示された。

 PENは対ドルで0.3%の下落。6月のペルー経済活動指数は前年比+0.3%と2009年9月以来の低い伸び。7月の同国失業率は5.7%と市場予想に反し前月から変わらずだったが、ペルー中銀による利下げ観測が強まった。

 CLPはこの日、休場。日本時間15日の朝にチリ中銀は市場予想通り政策金利を25bp引き下げ3.50%にすると発表。同中銀は声明で生産・需要の拡大ペースは当初の見込みよりも急激に減速していると指摘。インフレは当分、許容できる範囲の上限で推移するものの、いずれ目標レンジ内に戻るとの見方を示した。また同中銀は前回会合と同様に追加利下げの可能性を示した。

 ILSは対ドルで0.4%の下落。7月のイスラエルCPIは前年比+0.3%と2007年7月以来の低い伸び。ただILSの反応は限定的だった。第2四半期のイスラエルGDPは前期比年率1.7%増と市場予想を下回り、2009年第2四半期以来の1%台に鈍化。内需は前期比年率6.6%増と前期から加速したが、外需が輸出の大幅減少に伴い成長率を大きく下押しした。

 RUBは対ドルで0.7%の下落。7月のロシア鉱工業生産は前年比+1.5%と市場予想を上回ったが、ロシア軍がウクライナに侵入したとの報道を受けてRUBは下落した。

 東京地方では朝晩がだいぶ涼しくなってきました。寝やすくなったのはいいことですが、起きるのがつらいです。。。

ロンドン・NY市場の主要国通貨(2014年8月15日)

 8月15日のロンドン市場はドル、ユーロなど主要通貨は小動き。ドル円は102円台半ばを小幅上回る水準で膠着。ユーロドルは1.33ドル台後半で方向感に欠ける動きとなった。ドイツ株、日経平均先物はともに小幅プラス圏で推移。市場のリスク回避姿勢は一服したままだったが、米債利回りは動意薄。この日はユーロ圏主要国で主だった経済指標の発表もなく、総じて材料難の展開となった。

 ポンドは英GDPを受けて小幅上昇したが、上値は抑えられる動き。ポンドドルは英GDPを受け1.66ドル台後半から1.67ドルちょうど近辺に上昇したが、買い一巡後は1.67ドル手前での方向感に欠ける動きを続けた。第2四半期の英GDPは前年比3.2%増と市場予想を小幅上回る伸びとなった。

 NY市場はウクライナ情勢の緊張を背景に円買いの動きが強まった。8月のNY連銀製造業景気指数は14.69と市場予想を上回る落ち込みとなり、4カ月ぶりの低水準に低下。ただ、その後発表された7月の米鉱工業生産は前月比+0.4%と市場予想を小幅上回り、前月分も上方修正。8月のミシガン大消費者信頼感は79.2と市場予想に反し前月から低下した。米債利回りはミシン岩大消費者信頼感を受けて小幅下落したが、が、米国株が小幅プラスでの推移を維持したこともあり、ドル円は102円台後半で底堅く推移。一方、ユーロドルは1.34ドルちょうど近辺でのもみ合いとなった。

 取引中盤に入り、ウクライナ大統領府がロシア軍の装甲兵員輸送車が14日夜にウクライナに越境し、同国軍は装甲車の大半を撃破したと発表。NATOのラスムセン事務総長もロシア軍の侵入を目撃したと述べた。これに対しロシア国防相は同国装甲車がウクライナとの国境を越えたことを否定したが、一部メディアがロシアによるウクライナ侵入を報ずると、米長期債利回りは急低下。ドル円は102円台前半に急低下。一方、ユーロドルは1.33ドル台後半に小幅下落。円買いの動きが強まる展開となった。取引後半にはウクライナ情勢に対する市場の警戒感が一服し、ドル円は102円台前半で小幅反発したが、上値は抑えられる動き。ユーロドル1.34ドルちょうど近辺まで買い戻された。

 シカゴ連銀は報告書で現在の労働市場が2008年の金融危機に見舞われる前と同等の水準にあると仮定すると、今年6月の実質賃金の上昇率は0.5~1.0%ポイント高かったと試算。正規雇用を望みながらもパートタイム勤務に従事している労働者が多いことが、賃金の伸びが鈍いことに密接に関連していると指摘された。

 週明けの為替市場ではユーロが下落。ユーロドルは1.33ドル台後半で推移している。ウクライナ東部のドネツク市当局は17日、ウクライナ政府軍と親ロ派武装勢力との戦闘で少なくとも10人の市民が死亡したと発表。ウクライナ軍当局は同日、同国東部のルガンスク州で同国空軍の戦闘機が撃墜されたと発表し、親ロ派武装勢力はウクライナ軍の戦闘機2機を撃墜したと主張した。ウクライナ情勢の緊張が続いていることがユーロの重石となっている様子。ドル円は先週末終値水準とほぼ同じ102円台前半での推移。

 カナダドルはカナダ経済指標を受けて一時買われたが、ウクライナ情勢の緊張を受けて売り戻された。7月のカナダ雇用者数は4.17万人増と市場予想を上回る伸び。同月同国の失業率は7.0%と前月から低下し、労働参加率は66.1%と前月から変わらずだった。今回発表された指標は集計ミスを理由に8日に発表されたものが再集計された結果。正規雇用が減少したもののパートタイマーの伸びが全体をカバーした。ドルカナダはカナダ雇用環境の改善を受けて1.09ちょうどから1.08台後半に急落。ただNY市場取引中盤には1.09台前半に急上昇。その後は1.09ちょうど近辺での推移となった。

 米10年債利回りは一時2.30%台まで低下。米景気は堅調だが、これではドル買いの動きを期待することは難しい。ウクライナを中心に地政学的リスクに対する警戒感から本日東京市場でのドル円は上値の重い動きが予想される。一方、ユーロはユーロ圏景気の先行き懸念があるものの、対ドルでは底堅い動きとなる見込み。アジア通貨は地政学的リスクの高まりが嫌気され対ドルで軟調な推移となりそうだ。