2015年6月12日金曜日

海外の利子・配当も為替に影響する(1)

 自分の国から外国に投資をした後で生まれた利子や配当金は、いずれ自分の国の通貨に換えられ、戻ってくる可能性があります。反対に外国から受け入れた投資のために生まれた利子や配当金は、いずれ外国の通貨に換えられ、外国に戻される可能性があります。こうしたことから海外の利子・配当の状況は、外国為替市場に影響を及ぼすと考えられます。

 外国に投資をした後で利子や配当金が生じることは、海外の利子・配当の受け入れといいます。反対に外国から投資を受けたことで外国に支払うべき利子や配当金が生ずることは、海外の利子・配当の支払いといいます。

 海外の利子・配当が為替市場に影響を与えることをイメージするために、日本の個人投資家が、米国の国債(米国債)を買った(投資をした)例を考えてみましょう。

 米国政府は、米国債を持っている投資家に、決まったタイミングでクーポンと呼ばれる利息を支払います。米国債を持っている日本の個人投資家も、米国政府から利息を受け取ることになります。これは日本からみた場合、海外の利子・配当の受け取りに当たります。

 ただ米国債は、米国で発行された債券ですので、支払われる利息も米ドル建てとなり、米国債を持っている日本の個人投資家も、米ドルで利息を受け取ることになります。

 しかし日本の個人投資家は、受け取った利息を日本で使うためには米ドルで受け取った利息を日本円に換える必要があります。このため日本の個人投資家は、米国債の利息として受け取った米ドルを日本円に換える為替取引をします。

 このように海外の利子・配当の受け取りでは、外貨(この例では米ドル)を自国の通貨(この例では日本円)に換える需要(必要性)が生じます。

●海外の利子・配当の受け取り=外貨を自国の通貨に換える需要が生ずる

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月11日)

 6月11日のロンドン市場はドルが上昇基調で推移。ドル円は123円台前半から123円台後半に上昇した。欧州株、日経平均先物はともに小幅ながらプラス圏で推移。米債利回りも短期債中心に底堅い動きとなり、東京市場からのドル買いの動きをサポートした。

 ユーロドルは取引前半に1.13ドルちょうど近辺から1.12ドル台前半に下落。ただ中盤には1.12ドル台半ば近辺で持ち直し、後半は1.12ドル台後半での推移となった。第1四半期のギリシャ失業率は26.6%と市場予想に反し2期連続で悪化。ドイツ政府報道官は、10日遅くに始まったドイツ・メルケル首相、フランス・オランド大統領、ギリシャ・チプラス首相の3者会談で、チプラス首相が合意に向け、さらに集中して取り組むと述べたとの声明を公表。メルケル首相は、ギリシャには債権者である3機関と協力する意思があると述べ、未解決の全ての問題をできるだけ解決するためギリシャが今後数日間に3機関と集中し、決意を持って交渉するという点で完全に意見が一致したと発言した。また、一部メディアはギリシャ政府が同国支援プログラムを6月末から来年9月末に延長することを要請したと報道。EUのトゥスク大統領はギリシャ政府が現実的になる必要性があると発言。ギャンブルをしている余地や時間はもうなく、ゲームオーバーを誰かが宣告する日が来ようとしていると述べた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月11日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。TRY、MXN、BRLは対ドルで上昇する一方、東欧通貨は下落。米債利回りが低下したものの、新興国通貨は方向感に欠ける動きとなった。

 BRLは対ドルで0.4%の上昇。6月7日までの週のFIPE・CPIは前月比+0.61%と市場予想を小幅上回ったが、前週から鈍化。6月のブラジルIGP-M(一次速報)も前月比+0.47%と市場予想を上回ったが、前月からは鈍化した。ブラジル中銀は会合議事録(6月4日開催分)を公表。インフレに対するリスクバランスは好ましいものではなく、金融政策は引き続き慎重である必要があると指摘。インフレに対する戦いは十分ではないとの見方が示されるなど、今後も利上げが続けられる見方を強めた。

 MXNは対ドルで0.5%の上昇。4月のメキシコ鉱工業生産は前年比+1.1%と市場予想を下回り、3カ月ぶりの低い伸び。メキシコのペニャニエト大統領は1期目が終わろうとしている同国中銀のカルステンス総裁に続投させる意向を示した。

 TRYは対ドルで1.2%の上昇。4月のトルコ経常収支は34.1億ドルの赤字と市場予想を上回る赤字。しかし前年同月比では赤字額が3割以上縮小した。トルコのエルドアン大統領は早期の内閣発足が必要と演説した。

 ZARは対ドルで0.3%の下落。4月の南アフリカ鉱物生産量は前年比7.7%増と市場予想を上振れ。一方、4月の同国製造業生産は前年比2.0%減と市場予想に反し前年割れ。南ア景気の回復期待を後退させた。

 ILSは対ドルで小幅下落。5月のイスラエル貿易収支は9.09億ドルの赤字と赤字額が前年同期比33.4%も縮小した。

 RUBは対ドルで0.4%の下落。6月5日時点のロシア金・外貨準備高は3616億ドルと前週から増加。4月のロシア貿易収支は150億ドルの黒字と市場予想を下振れ。輸出は前年比33.9%減と減少幅が2カ月連続で拡大した。

本日の東京地方は午後には晴れるとの予報。雨具をオフィスに忘れないようお気を付けください。

2015年6月11日木曜日

SDR見直しを機に進むかもしれない米国による世界経済支配の構図

 今年は国際通貨基金(IMF)で特別引き出し権(SDR)の構成通貨が見直される。

 SDRとは、IMFが1969年に固定為替相場制を維持されることを前提に国際的な準備資産として創設したもの。その後、為替相場が変動制に移行したため、SDRは必要性が低下したと長くいわれてきたが、2009年の世界的な金融危機においては、SDRがIMF加盟国の外貨準備を補完するものとして再評価された。現在は、約2,900億ドル規模のSDRがIMF加盟国で保有されている。

 SDRは、創設当初、純金0.88671グラム(もしくは当時の1ドル)に相当すると決められていたが、その後、為替相場が変動制に移行したため、通貨バスケットとして再定義。現在のSDRは、ドル41.9%、ユーロ37.4%、ポンド11.3%、円9.4%の割合で構成されている。SDRの通貨バスケットの構成割合は、世界の貿易及び金融システムにおける通貨の相対的重要性を反映したものであるよう、原則5年ごとにIMF理事会で見直されることになっている。現在の通貨バスケットは2010年11月に決められたため、5年後にあたる今年11月に、SDRの通貨バスケットが再び見直される。

 5月末に開催された- 主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、議長国ドイツのショイブレ財務相が会議後の会見で、SDRに人民元を採用する可能性について協議したことを表明。「原則的には(採用が)望ましく、技術面での条件を検討すべきとの見解で完全に一致している。この件をめぐり、政治的に意見が異なるということはない」と述べた。

 IMF事務局や英国、ドイツは、SDRに人民元を加えることを支持する意見をすでに表明しているが、このたびG7で一定のお墨付きが得られたということもあり、人民元がSDRに加わるとの見方が強まっている。そもそも5年前と違い、人民元(そして中国経済)の国際的地位は飛躍的に高まっており、人民元がSDRに加わることに問題はないとの見方には一定の説得力がある。中国では資本・金融市場の自由化が不十分であり、人民元はSDRに含まれる通貨の条件とされている自由利用通貨(Freely Usable Currency)の条件を満たしていないとの批判もあるが、中国当局は人民元がSDRに加わることを前提に資本・金融市場の自由化を進める意向を示している。

 ただ、それでも筆者は、人民元がSDRに組み入れられるかは、現時点では五分五分と考えている。IMFで事実上の拒否権を持つ米国が、SDRに人民元を含めることを了解するとは思えないからだ。米国はIMFの議決権を新興国により多く配分するガバナンス改革に一貫して反対している。

 仮に人民元がSDRに組み入れられなかった場合、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)への関与をさらに強め、IMF(ひいては米国)との対立姿勢を強める展開が考えられる。こうなった場合、注目されるのが英国やドイツといった欧州勢の動きである。AIIBの出資においては、米国の移行を裏切る形で英国など欧州勢がAIIBの出資に踏み切った。この流れが続くとすれば、欧州勢も中国の動きを見て、IMFから距離を取ろうとする可能性が出てくる。日本では、もはや当たり前とされてきた、米国による世界経済支配、の構図が少しずつ変わることも視野に入れておくべきだろう。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月10日)

 6月10日のロンドン市場は日本の甘利経済再生相の発言を受けてドル円が小幅上昇したものの上値は抑えられた。取引前半に一時122円台半ば近辺まで下落したドル円は、取引中盤に122円台後半に持ち直し。米債利回りが小幅上昇したことでドル円の下値が堅くなった。取引後半に入ると、一部メディアは甘利経済再生相が日銀・黒田総裁のコメントは趣旨が若干曲解されて市場に伝わったようだと発言したと報道。同報道が伝わるとドル円は123円台前半に上昇したが、取引終盤には123円ちょうど近辺に小幅下落。ドル円の上値の重さを印象付けた。

 一方、ユーロドルは1.13ドル台後半から1.12ドル台後半に下落基調で推移。ドイツ債利回りが上昇して始まると、取引序盤のユーロは買い優勢となったが、その後、ドイツ債利回りは反落。ギリシャ債務協議の進展がないこともあってユーロは軟調な推移となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月10日)

 新興国通貨はCLP、BRLが対ドルで下落したものの、他は対ドルで上昇した。

 BRLは対ドルで0.6%の下落。5月のブラジルIPCAは前年比+8.47%と市場予想を上回り、5カ月連続の加速。伸びは2003年12月以来の高さとなった。

 MXNは対ドルで0.7%の上昇。5月のメキシコ名目賃金は前年比4.3%増と前月から小幅加速した。

 TRYは対ドルで0.7%の上昇。第1四半期のトルコGDP(労働日数調整済み)は前年比2.4%増と市場予想を上回り、前期比では1.3%増と前期から加速。ただ業種別にみると製造業は前年比0.8%増と前期から大きく鈍化した。

 RUBは対ドルで2.3%の上昇。6月8日までの週のロシアCPIは前週比横ばいに鈍化。米ルー財務長官は米国がウクライナの経済改革を支援すると発言。また必要なら米国とG7はロシアに新たな制裁を実施する意向も示した。

 ZARは対ドルで1.0%の上昇。第2四半期の南アフリカBER企業信頼感は43.0と市場予想を大きく下回り、1年ぶりの低水準となった。

米カリフォルニア州北部で起きた停電の原因は1匹のリスが変電機に衝突したためとの発表がありました。ジェット飛行機のエンジンに鳥が吸い込まれて飛行機が失速することもあるそうで、小動物による予想外の事故は読みにくいですね。国会での発言も読みにくいな、とふと思ったりして。

2015年6月10日水曜日

外国と商売すれば通貨の実需も変わる~貿易による実需の変化(2)

 ここでは例として、日本の電機メーカーが米国のPCメーカーに電子部品を輸出する(売る)場合を考えてみます。電子部品を買う側にある米国のPCメーカーは、電子部品を買う代金として米ドルを日本の電機メーカーに支払います。ただ、日本の電機メーカーは、工場の経費や日本に住む従業員の給与を支払うために日本円を必要とします。このため日本の電機メーカーは、電子部品を売ることで得た米ドルを日本円に換える為替取引をします。

 このように輸出では外貨(この例では米ドル)を自国の通貨(この例では日本円)に換える需要(必要性)が生じます。

●輸出する=外貨を自国の通貨に換える需要が生ずる

 次に日本の食品企業が米国の商社からトウモロコシを輸入する(買う)場合を考えてみましょう。トウモロコシを売る側にある米国の商社は、トウモロコシと引き換えに米ドルを支払うよう求めます。そして日本の食品企業は、トウモロコシの代金として米ドルを用意します。日本の食品企業は保有している日本円を米ドルに換えるという為替取引をし、米国の商社に用意できた米ドルを支払い、代わりにトウモロコシを受け取ることで輸入が完了します。
 このように輸入では自国の通貨(この例では日本円)を外貨(この例では米ドル)に換える需要(必要性)が生じます。

●輸入する=自国の通貨を外貨に換える需要が生ずる

 人々や企業が集まった国全体では、輸出と輸入の両方がおこなわれています。そこで国全体での貿易の動きを知るために、輸出と輸入それぞれの金額だけでなく、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支も公表されています。輸出額が輸入額を上回る(貿易収支はプラスとなる)とき、貿易収支は黒字(もしくは貿易黒字)と呼びます。逆に輸入額が輸出額を上回る(貿易収支はマイナスとなる)とき、貿易収支は赤字(もしくは貿易赤字)と呼びます。

●貿易収支とは輸出額から輸入額を差し引いた金額
 貿易黒字=輸出額が輸入額を上回っている
 貿易赤字=輸入額が輸出額を上回っている

 貿易収支が黒字の国は、輸出が輸入を上回っているわけですから、国全体でみた場合、外貨を自国通貨に換える需要が、自国通貨を外貨に換える需要よりも強いことになります。逆に貿易収支が赤字の国は、自国通貨を外貨に換える需要が、外貨を自国通貨に換える需要よりも強いことになります。

●貿易黒字の国=外貨を自国通貨に換える需要が強い
●貿易赤字の国=自国通貨を外貨に換える需要が強い

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月9日)

 6月9日のロンドン市場は円買いの動きが進展。ドル円は124円台半ば近辺から下落基調で推移し、取引後半には124円割れ。終盤は124円ちょうど近辺でのもみ合いとなった。日経平均先物が取引後半に2万円割れとなるなどこの日は世界的に株式市場が下落。米債利回りは下げ渋ったものの、株価下落を背景に円買い優勢の展開が続いた。

 ユーロドルは取引前半に1.13ドルちょうど近辺に小幅反発する場面もあったが、中盤以降は1.12ドル台後半で上値の重い動き。ギリシャ政府は債権者に提示した案を補完する新提案を提出。、ギリシャの提案ではECBが持つ約67億ユーロ相当の債権の7、8月の償還にESMの資金を使うことやEFSFが管理している救済資金の利用、国内銀行による政府短期証券の購入上限引き上げを要求。しかし債権者側からは、救済資金の獲得を目指してギリシャ政府が提出した修正案は従来案の焼き直しにすぎないとの指摘がなされ、両者の合意は期待できない状態が続いた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月9日)

 新興国通貨は東欧通貨が対ドルで小幅下落したものの、他は対ドルで買い優勢の動きとなった。

 PHPは対ドルで0.4%の上昇。4月のフィリピン失業率は6.4%と前期から低下。フィリピン中銀の利下げ観測を後退させた。

 BRLは対ドルで0.4%の上昇。5月のブラジルIGP-DIは前年比+4.83%とほぼ市場予想通りで前月から大きく加速。ブラジルのインフレ懸念を強めた。

 MXNは対ドルで0.3%の上昇。5月のメキシコCPIは前年比+2.88%と市場予想を下回り、1974年の統計開始以来最低の伸びを更新。ただコアCPIは同+2.33%と前月とほぼ同じ伸びだった。5月のメキシコANTAD既存店売上高は前年比7.4%増と市場予想を上回り、2012年9月以来の高い伸び。メキシコ景気の先行き期待を強めた。

 PENは対ドルで変わらず。4月のペルー貿易収支は7.46億ドルの赤字とほぼ市場予想通りで、2003年の統計開始以来最大の赤字額を記録。輸出が前年比27.6%減と大きく落ち込んだことが響いた。

 CZKは対ドルで0.2%の下落。5月のチェコCPIは前年比+0.7%と市場予想を小幅上振れ。チェコ中銀のシンガー総裁はCZKの対ユーロ上限策の実施期間が短縮されることは想像できないと発言。ディスインフレ懸念は後退したものの、緩和的な金融政策を継続する意向を示した。

 HUFは対ドルで小幅上昇。5月のハンガリーCPIは前年比+0.5%と市場予想を上回る伸びとなり、昨年8月以来となる前年越え。ハンガリー中銀は同国インフレが今後も緩やかな伸びを続けるとの見通しを示した。

米オハイオ州の幹線道路で約2200匹の子豚を積んだトレーラーが横転。約200匹の子豚が死亡しましたが、残りは脱走したそうです。オチはありません。

2015年6月9日火曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月8日)

 6月8日のロンドン市場はドルが底堅く推移した。取引序盤はフランス政府高官の発言として米オバマ大統領がG7にて強いドルは問題と発言したと述べたとの報道を受けてドルが急落。ドル円は125円台半ば近辺から125円ちょうど近辺に下落したが、その後、一部メディアは米当局者の発言としてオバマ大統領は強いドルが問題だと発言していないと述べたと報道。これを受けて、ドル円は125円台半ば近辺まで反発した。ただ取引中盤以降は、米債利回りの上値が重く、欧州株や日経平均先物が小幅ながらマイナス圏で推移。ドル円は125円台前半で上値の抑えられる動きとなった。

 ユーロドルは米オバマ大統領の「強いドルが問題」発言報道を受けて、取引序盤に1.11ドルちょうど近辺から1.11ドル台後半に上昇。しかし米当局者がオバマ大統領の発言を否定する報道が広がると、ユーロドルもドルを買い戻す動きが強まり、ユーロドルは1.11ドル台前半に下落。取引中盤以降は同水準でもみ合いとなった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月8日)

 新興国通貨はアジア通貨とTRYを除き対ドルで上昇。原油先物価格は下落したものの、米債利回りの上昇が好感された。

 TWDは対ドルで0.8%の下落。5月の台湾貿易収支は54.2億ドルの黒字と市場予想を上回る黒字額を記録。輸入が前年比5.4%減と市場予想ほど落ち込まなかったが、輸出も同3.8%減と市場予想ほど落ち込まず、黒字額が予想を上回る結果となった。

 BRLは対ドルで1.0%の上昇。6月7日までの週のブラジルIPC-Sは前月比+0.85%と市場予想を小幅上振れ。5月のブラジル自動車生産は前年比25.3%減と減少基調に変わりはなかった。6月7日までのブラジル貿易収支は19.8億ドルの黒字と貿易黒字の拡大基調が継続。BRLを下支えした。

 MXNは対ドルで0.6%の上昇。メキシコ自動車生産台数は前年比0.3%増、同国自動車販売は同15.6%増とともに前月から大きく鈍化。メキシコ景気の先行き期待を後退させた。

 CLPは対ドルで0.9%の上昇。5月のチリCPIは前年比+4.0%と市場予想通りで前月から小幅鈍化。5月のチリ貿易収支は9.8億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下振れ。輸出が前年比22.0%減と大きく落ち込んだことが響いた。

 CZKは対ドルで1.7%の上昇。4月のチェコ鉱工業生産は前年比+4.3%と市場予想を小幅上振れ。4月のチェコ貿易収支は199億コルナの黒字と市場予想を上回る黒字。5月のチェコ失業率は6.4%と市場予想通り前月から低下するなど、総じて堅調な結果となった。

 TRYは対ドルで3.2%の下落。USD/TRYは一時2.80台と過去最高(TRY最安値)を更新した。4月のトルコ鉱工業生産は前年比+3.8%と市場予想を小幅上回ったが、トルコ総選挙で与党AKPが過半数割れとなったことが嫌気された。

 HUFは対ドルで0.9%の上昇。4月のハンガリー貿易収支は5.34億ユーロの黒字と黒字額が市場予想を下回った。

 ILSは対ドルで0.5%の上昇。イスラエル中銀は会合議事録(5月25日開催分)を公表。政策金利を0.10%で据え置いたのは全会一致の決定だったことが判明した。

米著名投資家ウォーレン・バフェット氏と昼食を共にする権利のオンラインオークションが5日夜に締め切られ234.7万ドルで落札されたそうです。落札者は7人まで友人を連れて行くことが可能とのこと。最大9人のランチですね。ほぼ毎日一人ランチの私とは違いますね。

2015年6月8日月曜日

売り優勢の展開が続きそうなトルコ・リラ(TRY)

 7日投開票のトルコ議会(一院制・定数550)の総選挙では、与党・公正発展党(AKP)が258議席を獲得し、第1党の座を守ったものの、単独過半数(278)を確保できない結果に終わった。一方、少数民族クルド人中心の国民民主主義党(HDP)は、議席獲得の制限ラインである得票率10%を初めて突破し、79議席を獲得。最大野党の共和人民党(CHP)は132議席、極右勢力として知られる民族主義者行動党(MHP)は81議席をそれぞれ獲得した。

 一部メディアはAKPがMHPと連立政権を樹立する可能性を指摘しているが、MHPのバフチェリ党首は、選挙前の演説でAKPが過半数割れとなっても連立政権に参加しないと明言。HDPのデミルタシュ党首もAKPとの連立を組むことを否定している。理屈の上では、CHP、MHP、HDPの野党3党が連立政権を樹立することもありえるが、MHPはAKP以上にHDPに対し嫌悪感を示していることもよく知られている。つまりAKPが少数与党として単独政権を樹立するしかなく、この場合、他野党から再選挙実施の要求が出され、今回の選挙から45日以内に再選挙となる可能性が高い。

 今回の選挙でAKPが事実上の敗北となった主因として指摘されるのが、イスラム国(IS)に対するAKP政権の弱腰対応。AKPの支持基盤の一つであるトルコ南東部や東部のクルド人が、ISへの弱腰対応を機にHDPに支持を切り替えたという見方だ。仮に、この見方が正しければ、再選挙でAKPが再び単独過半数を確保することは期待できない。

 トルコ景気の低迷が続いていることもAKPの支持低下につながっていると考えられる。5月のトルコ製造業PMIは50.2と今年初めて50越えとなったが、同月同国の消費者信頼感指数は64.3と2009年末以来の低水準で低迷。5月のトルコCPIは前年比+8.09%と原油価格の反転で再び加速。コアCPIは同+7.48%と下げ止まり、スタグフレーション色が強まっている。

 AKPが過半数割れとなったことで週明けのTRYは売りが先行。対ドルでは2.75台と過去最安値を更新した。世界的な債券売りの流れもあってトルコからの資本流出が強まる可能性もあり、トルコ中銀が23日の会合でTRY防衛のために利上げに踏み切る可能性もある。昨年1月29日の緊急利上げと同じ展開だ。この場合、TRYはいったん買い戻されるだろう。一方で、AKP政権が再選挙を意識し、トルコ中銀に利上げ阻止の圧力を強める場合も捨て切れない。この場合、TRY売りの流れが長期化することになる。

 緊急利上げがない中でTRYが買い戻されるとすれば、AKPが再選挙で単独過半数を確保し、政権基盤が安定化する場合だろう。再選挙でAKPがさらに敗北し、他党が第1党を確保したとしてもAKPが少数野党に転落するとは見込みにくい。この場合、AKP以外の党が勝っても、単独過半数を確保できない状況に変わりはなく、トルコの政局不透明感からTRYは軟調な動きが続くとみておくべきだろう。