2015年6月19日金曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月18日)

 6月18日のロンドン市場はドルが下落。ドル円は123円ちょうど近辺から122円台後半に下落する一方、ユーロドルは1.13ドル台半ば近辺から取引中盤には一時1.14ドル台前半に上昇。後半は1.14ちょうどを挟んでの上下動となったが、下値の堅い動きとなった。取引前半は東京市場の流れを引き継ぎ、ドル売り優勢の展開。ただ、東京市場でじり安の動きとなった米債利回りは、取引中盤に下げ止まり、後半は持ち直しの動き。取引後半のドルは下げ渋る動きとなった。

 ポンドは英小売売上高を受けて上昇した。5月の英小売売上高は前年比4.6%増と市場予想通りの堅調な伸び。自動車を除くコア売上高も同4.4%増と堅調に推移。英景気の先行き期待と、インフレ圧力の強まりに対する見方をサポートした。ポンドドルは英小売売上高を受けて1.58ドル台前半から1.59ドル台前半と昨年11月以来の高値に上昇。取引中盤に1.59ドルちょうど近辺に反落する場面もあったが、後半には持ち直し、1.59ドル台前半での推移となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月18日)

 新興国通貨は対ドルで買い優勢。ただユーロと連れ安となる格好で東欧通貨など一部は対ドルで下落した。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.3%の上昇。インドネシア中銀は市場予想通り政策金利を7.50%で据え置き。預金ファシリティー金利(FASBI)は5.50%、貸出ファシリティー金利は8.00%でそれぞれ据え置かれた。

 BRLは対ドルで変わらず。6月15日までの週のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.54%と市場予想や前週の伸びを下振れ。一方、6月のブラジルIGP-M(二次速報値)は前月比+0.59%と市場予想や前月を上回った。

 MXNは対ドルで0.5%の下落。メキシコ中銀は会合議事録(6月5日開催分)を公表。今年のインフレは3%を下回り続けるとの見方が共有され、メンバーの過半は景気は緩やかな回復が続くと指摘。米国との金利差を引き続き重視する必要があるが、米利上げに先んじる形でのメキシコが利上げすることはメリットよりもデメリットの方が大きいとの認識も示された。またMXN安のインフレに対する影響は予想の範囲内との見方も示された。

 PLNは対ドルで0.2%の下落。ポーランド中銀は会合議事録(6月3日開催分)を公表。ポーランドのインフレは今後当面、マイナスでの推移が続くものの、次第に目標レンジ内に戻るとの見方が示された。5月のポーランド鉱工業生産販売は前年比2.8%増と市場予想を下振れ。同月同国の小売売上高は同1.8%増と市場予想並みの伸びに回復。ただ同月同国のPPIは同-2.2%と落ち込み幅が前月から縮小したものの、31カ月連続で前年割れとなった。

 RUBは対ドルで0.4%の上昇。6月12時点のロシア金・外貨準備は3606億ドルと前週から減少。5月のロシア実質賃金は前年比7.3%減と市場予想ほどの落ち込みとならず。同月同国の実質小売売上高も9.2%減と市場予想ほど落ち込まず、同月同国の失業率は5.6%と市場予想を下回った。

今朝は寒くて起きてしまいました。

2015年6月18日木曜日

今年は2回と思われる米利上げ回数

昨日(17日)のNY市場では、米FOMC声明と米FRBイエレン議長の会見を受けてドルが売られた。ドル円はFOMC声明の発表後、124円台前半から123円台後半に下落。FRBイエレン議長の会見中には123円台前半まで下落した。本日(18日)の東京市場でもドルは売り優勢。ドル円は朝方に123円台後半に反発したが、仲値公示前には失速。ドル円は原稿執筆時点(日本時間午後1時頃)には123円ちょうど近辺と、昨日の安値圏を割り込んだ。

債券市場では米国債利回りが低下した。米2年債利回りはFOMC声明とイエレン議長の会見を受けて0.73%台から0.64%台と6月2日以来の低水準に下落。東京市場に入っても米債利回りは低下しており、原稿執筆時点では0.63%台での推移となっている。

市場の反応を見る限り、足元では米利上げ開始は先送りされるとの見方が強まっているようだ。FOMC声明と同時に発表された米経済見通しでは、将来適切と見なせるFFレート水準に関する回答(いわゆるドットチャート)で、年内の25bpの利上げ回数を1回、2回、3回と見込む回答が、(見通し回答者17名中)それぞれ5名ずつ。利上げなしを見込む回答は2名だった。前回3月時点では、今年1回の利上げを見込む回答は1名のみ(年内の利上げなし回答は今回と同じ2名)。FOMC内で「年内の利上げは(せいぜい)1回」の考えが広がったことになる。

利上げ開始の時期は、米経済指標の結果次第とするFOMCの姿勢が変わらなかったことも、市場の利上げ開始期待を後退させたようだ。今回のFOMC声明では、景気の現状認識が上方修正されたものの、他文言は前回(4月)と変わらず。利上げ開始の条件として、労働市場のさらなる改善と、インフレが目標とする2%に達すると考えられる合理的な自信、の2点の指摘は残されたままだった。

イエレン議長は会見で、米景気の持続的な回復の「決定的」な証拠をもっと見極めたいと発言。質疑応答では、「利上げ開始時期が9月なのか12月なのか3月なのか」を過度に述べるべきではないとも述べた。あくまで例えでしかないのかもしれないが、イエレン議長が利上げ開始時期の例として(来年)3月を口にしたことが、市場の利上げ開始先送り観測を刺激した可能性もある。

今回のFOMC声明の発表前、市場関係者の一部からは、9月の利上げ開始の地ならしとして、今回のFOMC声明で景気の現状認識の上方修正だけでなく、今後の景気拡大にも自信を示す文言が追加されるとの見方も示されていた。こうした見方を支持していた者からすれば、今回のFOMC声明とイエレン議長の会見は期待外れの内容といえる。

市場のこうした見方は、ある意味、素直なものといえ、足元の市場の反応も理解できなくもない。しかし筆者は、今回公表されたドットチャートで、年2回の利上げの道筋は(むしろ)より鮮明になったと考えている。

たしかに、年内の利上げは1回とする回答が1名から5名に急増したが、予測回答者17名中10名は、2回ないしは3回の利上げを見込んでいるのも事実。今年だけでなく来年(2016年)末までの期間における利上げ見込み回数を見ると、4回以下の利上げを見込む回答が3名であるのに対し、5回の利上げを見込む回答が4名、6回以上の利上げを見込む回答が10名となっている。利上げ回数が今年は1回だが、来年は4回とすると、来年の利上げペースはFOMC2回に1回と、今年から急にピッチが上がることになる。

来年以降のドットチャートは、FOMCメンバーの希望的観測が過分に含まれた結果、との見方もあるが、利上げペースについて慎重な姿勢を続けているFOMCが、来年になって急に利上げペースを上げると考えるのも無理がある話。イエレン議長も今回の会見で、想定される米経済は漸進的な利上げしか正当化しない、と明言している。今年から来年末にかけて(少なくとも)5~6回の利上げを考えているのであれば、今年は2回利上げしておくのが無難、と考えるのが自然ではなかろうか。

もちろん、こうした見方は、米雇用ならびに景気の拡大ペースが現在程度の水準を維持されることが前提。今後発表される米経済指標が市場予想を裏切る形で弱い結果となれば、利上げ先送り観測がさらに強まる展開も想定される。

ただ、米新規失業保険申請件数は28万件割れを続けるなど、米雇用環境は改善傾向のまま。5月の米自動車販売や米小売売上高も市場予想を上回るなど、米個人消費も第1四半期から反発している。雇用拡大を背景に個人消費が堅調に推移する、という見方が早期に崩れる展開も想定しにくく、9月のFOMCが近づくにつれ、市場は今年2回の利上げを織り込みにかかるだろうと思われる。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月17日)

 6月17日のロンドン市場は円がじり安の動き。ドル円は123円台後半から取引後半には124円ちょうど近辺に上昇。ただ、終盤は123円台後半で上値が抑えられた。米FOMCの結果発表を前に米債利回りは底堅く推移。欧米株、日経平均先物は
方向感に欠ける動きとなったが、円売りの動きは緩やかに続いた。

 ユーロドルは1.12ドル台後半で方向感のない動き。4月のユーロ圏建設業生産高は前月比0.3%増と小幅ながら2カ月連続のプラス。ユーログループのデイセルブルム議長は、ギリシャ支援のプロセスは6月3日の会談後にとん挫したと発言。ただギリシャの新提案にユーログループはオープンであるとの認識も示した。またギリシャ政府と債券団との間には、依然として大きな相違があり、万が一の備えも出来ていると述べ、仮に一国がユーロ圏を離脱しても、債務は残ると、ギリシャ側をけん制。議会の関与ないし承認が必要なことも考慮すると、IMFへの返済期日である6月30日当日にギリシャ支援について合意するのは無理だとギリシャ政府に伝えたことを明らかにした。ギリシャのチプラス首相は、債権者側が要求する救済条件について、受け入れられないものであれば拒否し、その責任を負う用意があると表明した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月17日)

 新興国通貨はCOP、CLPが対ドルで下落したが、他は対ドルで上昇。米FOMCを受けて米債利回りが低下したことが好感された。

 COPは対ドルで0.5%の下落。4月のコロンビア小売売上高は前年比1.0%減と市場予想に反し、2012年10月以来の前年割れ。同月同国の鉱工業生産は同-3.6%と3か月ぶりの大きな落ち込み。コロンビア景気の先行き懸念を強めた。

 ZARは対ドルで0.7%の上昇。5月の南アフリカCPIは前年比+4.6%と市場予想を上回り、今年最も高い伸びに加速。コアCPIも同+5.7%と市場予想に反し前月から加速した。一方、4月の同国小売売上高は前年比3.4%増と市場予想や前月を上回った。

 PLNは対ドルで0.5%の上昇。5月のポーランド平均総賃金は前年比3.2%増と市場予想に反し前月から鈍化。同月同国の雇用は同1.1%増と市場予想通り前月と変わらなかった。

 RUBは対ドルで小幅上昇。6月15日までの週のロシアCPIは前週比+0.1%と前週から小幅伸びたが、日次平均ベースでは前週と変わらず。EUはウクライナ問題に関する対ロシア経済制裁を2016年1月末まで半年間延長することで合意。ロシアのシルアノフ財務相は、制裁延長は経済政策にすでに織り込まれていると述べた。

 ILSは対ドルで0.6%の上昇。6月のイスラエル予想CPIは前年比+1.0%と前月から鈍化。5月の同国M1は同46.9%増と前月から鈍化した。

英中部で足指相撲の世界選手権が開かれ、英国人男性が12度目の優勝に輝いたそうです。水虫の人は参加できるのだろうか?と思ったのですが、場者は試合前に衛生状態のチェックを受けるとのこと。メディアの方も私と同じような疑問を持たれたのかもしれません。

2015年6月17日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月16日)

 6月16日のロンドン市場はユーロが下落基調で推移。ユーロドルは1.13ドル台前半から1.12ドル台前半に下落した。取引序盤はユーロ圏周縁国債利回りが上昇したことでユーロは買われたが、すぐに反落。ギリシャのデフォルト懸念を背景にユーロは売り優勢の展開が続いた。6月のドイツZEW景況感は31.5と市場予想を下回り、昨年11月以来の低水準。ZEWは発表文でギリシャの先行き不安や世界経済のモメンタムの抑制がドイツ経済の改善余地を狭めているとの見方を示した。

 ポンドは英CPIを受けて下落したものの、取引後半には反発。下に往って来いの展開となった。5月の英CPIは前年比+0.1%と市場予想通り前年比プラスに復帰。しかしコアCPIは同+0.9%と市場予想を小幅下振れ。小売物価指数も市場予想を下回るなど英国のインフレ圧力は弱く、同時に発表された4月の英住宅価格は前年比+5.5%と前月から鈍化し、2013
年12月以来の低い伸び。これらを受けてポンドドルは1.56ドルちょうど近辺から1.55ドル台半ば近辺まで下落した。ただ、ポンドドルはポンド売りが一巡すると買い戻しの動きに。取引後半のポンドドルは上昇基調で推移し、取引終盤には1.56ドル台前半と英CPI発表前の水準を上回った。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月16日)

 新興国通貨はRUB、BRLが対ドルで大きく上昇したほかは小動き。米債利回り、原油先物価格がともに方向感に欠ける動きとなったことで新興国通貨も全体では方向感に欠けた。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.2%の下落。5月のインドネシア自動車販売は前年比22.9%減と4カ月ぶりの大幅な落ち込み。インドネシア景気の先行き懸念を強めた。

 BRLは対ドルで1.1%の上昇。6月のブラジルIGP-10は前月比+0.57%と市場予想に反し前月から小幅加速。6月上旬のブラジルIPC-Sも前月比+0.86%と市場予想や前月を小幅上回った。一方、4月のブラジル小売売上高は前年比3.5%減と落ち込み幅が市場予想を上回り、2003年8月以来の大幅な落ち込み。ブラジルのスタグフレーション化は加速した。

 PLNは対ドルで0.2%の下落。5月のポーランド・コアCPIは前年比+0.4%と市場予想通り、前月と変わらなかった。

 CZKは対ドルで0.3%の下落。5月のチェコPPIは前年比-2.1%と市場予想ほど落ち込まず、3カ月連続でマイナス幅が縮小。チェコのデフレ圧力の後退が示された。

 RUBは対ドルで1.5%の上昇。ロシア中銀のナビウリナ総裁はRUBの変動相場制への以降は金融の安定化のためにも必要と発言。また同中銀は中期的な4%インフレ目標に達するため物価安定の優先順位を高めたままであるとも述べた。またロシアのオレシュキン経済副大臣はロシアのインフレ圧力は強いままで、ロシア中銀によるドル買い介入は柔軟に行われる兆しがみられると発言した。

日本のある外食チェーン企業によると、ケニアでは照り焼きチキンの添え物として提供していた「焼きうどん」が大人気だそうです。日本企業の外国での活躍を見習いながら、私も頑張っていきたいと思います。

2015年6月16日火曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月15日)

 6月15日のロンドン市場はユーロが上値の重い動きとなった。ユーロドルは取引序盤に1.12ドルちょうど近辺から1.12ドル台前半に上昇。中盤には1.12ドル台半ば近辺で推移したが、後半は1.12ドル台前半に失速した。週明けの欧州株は週末のギリシャ債務協議が決裂したため全面安。ドイツ債利回りは小幅低下での推移となる一方で、ギリシャ債利回りは欧州債務危機後のピークだった4月下旬以来の高水準に上昇。ギリシャのデフォルト懸念の強まりを示唆した。ギリシャ政府・報道官は会見で、債券団との協議再開のために提案を再提出する可能性を否定。ただ今月末のIMFへの債務返済について合意に達すると引き続き確信していると発言した。一方、欧州委員会の報道官は債券団がギリシャに対し大幅な譲歩をしたと主張。ギリシャ政府が訴えている債券団による一方的な年金・賃金カットの要求は事実でないと否定した。4月のユーロ圏貿易収支(季調値)は243億ユーロの黒字と市場予想を上回り、過去最高を更新した。

 一方、ドル円は123円台前半から123円台後半に小幅上昇。欧州株は下げたものの、日経平均先物は下値の堅い動き。米債利回りもじり高の動きとなりドル円の下値を堅くした。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月15日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。RUBが大きく上昇し、東欧通貨も底堅い動きを示す一方でTRYや中南米通貨は軟調な推移となった。

 BRLは対ドルで小幅下落。ブラジル中銀の週次サーベイでは今年末のIPCA見通しが9週連続で上方修正。6月14日までのブラジル貿易収支は26.5億ドルの黒字と黒字の拡大傾向が続いていることが示された。

 PENは対ドルで0.2%の下落。5月のペルー失業率は7.0%と市場予想に反し前月から悪化。4月の同国経済活動指数は前年比+4.3%と市場予想を上回り、2カ月連続で加速した。

 TRYは対ドルで0.8%の下落。トルコでは政権樹立が遅々として進まない状況。早期の再選挙観測から、この日のTRYは売り優勢となった。3月のトルコ失業率は10.6%と市場予想を下回り、5か月ぶりの低水準に低下した。

 CZKは対ドルで0.3%の上昇。4月のチェコ経常収支は205.5億コルナの黒字と、市場予想に反し経常黒字を維持した。

 RUBは対ドルで1.2%の上昇。ロシア中銀は市場予想通り政策金利を100bp引き下げ11.50%にすると発表。同中銀は声明でインフレ圧力の低下と景気冷え込みのリスクが高まっていることを利下げの理由として指摘した。

 PLNは対ドルで小幅下落。4月のポーランド経常収支は11.4億ユーロの黒字と黒字額が市場予想を下回った。輸出の伸び悩みを主因に貿易黒字が大きく縮小したことが響いた。5月の同国CPIは前年比-0.9%と落ち込み幅が市場予想を上回った。

 ILSは対ドルで小幅上昇。5月のイスラエルCPIは前年比-0.4%と市場予想通りで、前月から小幅ながらこち込み幅が縮小した。

サッカーの南米選手権が行われているチリでは一部地方都市のバス停にサッカーゴールが設置されたそうです。日本でもオリンピックの時にいろいろな競技の道具をバス停に設置すると良いかもしれませんね。

2015年6月15日月曜日

下落歯止めのきっかけは予想外の利上げとなりそうなマレーシア・リンギット(MYR)

 マレーシア・リンギット(MYR)が軟調な推移を続けている。本日(15日)のMYRは、対ドルで3.75台前半で始まったが、その後はじり安の動き。日本時間午前11時過ぎには3.76台半ば近辺と2006年1月以来の安値圏まで下落している。MYRの対ドルでの年初来パフォーマンスは7.2%の下落と、アジア通貨の中ではIDR(同7.1%の下落)に並ぶ最悪となった。
      
 マレーシアの元首相であるマハティール氏は先週、MYRが対ドルで軟調な動きを続けていることを受け、MYRの対ドルでの再ペッグがMYR安定策の一つであると発言した。同氏の発言は、同国ナジブ現首相を非難することが主目的であり、MYRの再ペッグを真剣に検討した結果であるとは思えないが、マハティール氏(そして同氏の影響下にある政治家)のMYR安に対する強い危機感の表れと解釈することは可能だろう。

 MYRを取り巻く環境は厳しい。米債利回りは、利上げ開始観測を背景に上昇基調で推移。米債利回りの上昇に脆弱なMYRの重石となっている。今週の米FOMC次第の面はあるとはいえ、年後半の米利上げ開始観測が短期間で後退するとは考えにくく、米債利回りの上昇基調も続くと思われる。

 マレーシアのインフレ圧力の強まりがMYRを下押しする可能性にも留意したい。4月のマレーシアCPIは前年比+1.8%と2カ月連続で加速し、今年最も高い伸びを記録。今月19日発表予定の5月同国CPIは同+2.1%と、さらに加速することが見込まれている。マレーシア景気が減速していることから、CPIの伸びは3%を下回り続けるとの見方が強いものの、MYR安による輸入物価の上昇を通じて、マレーシアのインフレ圧力が強まる展開も考えられる。インフレの進展は、マレーシア債の売り圧力を高め、同国からの資本流出を促す恐れもある。この場合、MYRの売り圧力も強まり、輸入インフレがさらに進むという、いわゆる悪循環に陥ることになる。

 マレーシアの外貨準備が低水準のままであることも懸念される。マレーシアの外貨準備は、3月末の1051億ドルで下げ止まったものの、5月末時点でも1064億ドルと2010年12月末以来の低水準のまま。マレーシアの短期対外債務の水準(今年3月末時点で935億ドル)も考えると、マレーシア当局によるMYR安防衛余力が大きいとは言えない。今後の外貨準備の動向次第ではあるが、外貨準備の不足感を背景に投機的なMYR売りの動きが強まる可能性もある。

 MYR安に歯止めがかかるきっかけの一つはマレーシア中銀による利上げだろう。マレーシア中銀は昨年7月以降、政策金利を3.25%で据え置き。マレーシア政府が財政引き締め姿勢を維持していることもあって、利上げは政治的に難しいとの見方が優勢だけに、同中銀が利上げを実施するとともにMYR防衛姿勢を鮮明にすれば、MYRを買い戻す動きも出やすい。

2015年6月14日日曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月12日)

 6月12日のロンドン市場はドイツ・メルケル首相の発言でユーロが下落する一方、ドル円は底堅く推移した。

 取引前半のユーロドルは1.12ドル台前半で方向感に欠ける動き。ドイツ・メルケル首相はベルリンでの講演でユーロ高局面では(スペインやポルトガルなどの国が)改革の成果を得るのが難しくなると発言したと伝わると、ユーロドルは1.11ドル台半ばに急落。4月のユーロ圏鉱工業生産が前年比+0.8%と市場予想を下回ったこともユーロの上値を抑えた。ただ、取引後半に入ると、欧州債利回りは底堅く推移したこともあって、ユーロドルは1.12ドルちょうど近辺まで上昇した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月12日)

 新興国通貨は一部を除き対ドルで下落。米債利回りが底堅く推移する一方で、原油先物価格は下落。新興国通貨を下押しした。

 INRは対ドルで小幅下落。4月のインド鉱工業生産は前年比+4.1%と市場予想を大きく上回り、前月分も上方修正。一方、5月のインドCPIは前年比+5.01%とほぼ市場予想通りで前月から小幅加速。インド中銀の追加利下げ観測を後退させた。

 COPは対ドルで0.2%の上昇。第1四半期のコロンビア土木工事支出は前年比6.9%増と前期から加速。しかし4期平均の伸びは8.9%増と3期連続で減速した。第1四半期のコロンビアGDPは前年比2.8%増と市場予想を上回ったが、2期連続で減速し、2012年第3四半期以来の低い伸び。コロンビア景気の低迷が改めて示された。

 CLPは対ドルで0.2%の下落。チリ中銀は市場予想通り政策金利を3.00%で据え置き。同中銀は声明でインフレは当初の見通し通り推移しているものの引き続き注視していくと指摘。今後の金融政策は内外経済状況によるとの判断を据え置いた。

 PENは対ドルでほぼ変わらず。ペルー中銀は市場予想通り政策金利を3.25%で据え置き。同中銀は声明で現在の金融政策はインフレ目標と整合的で、ペルー経済は潜在成長率を下回ったままとの認識を示した。

 PLNは対ドルで0.3%の下落。5月のポーランドM3は前年比7.7%増と前月から小幅加速。ポーランド中銀の追加利下げ観測を後退させた。

よい週末をお過ごしください。