2015年7月3日金曜日

9月利上げ開始の見方は大きく変わらず:6月の米雇用統計を受けて

7月2日に発表された6月の米雇用統計は、総じて弱い結果。これを受けて為替市場ではドル売りの反応が目立った。しかし、米短期金融市場などを見る限り、9月のFRB利上げ開始観測は大きく変わらず。来週以降に発表される米経済指標で強い結果が続くようだと、ドルを買い戻す動きが加速する可能性も考えられる。

6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が22.3万人増と、ほぼ市場予想通りの結果となったが、4月、5月分あわせて6.0万人の下方修正。失業率は5.3%と前月(5.5%)から低下したが、低下の主因は労働参加率が62.6%と前月(62.9%)から大きく低下したため。仮に労働参加率が前月と同じであれば、失業率は5.7%に上昇していた。

週平均時間は34.5時間と前月から変わらず。この結果、第2四半期の労働投入量(雇用者数×労働時間)は、前期比年率1.0%と前期(同2.2%)から大きく鈍化する。生産性の改善が相当進まない限り、第2四半期の米GDP成長率は前期比年率2%程度に留まる可能性が高い。

アトランタ連銀が公表する経済予測モデル(GDPナウ)は、第2四半期の米GDP成長率を7月1日時点で2.2%と予測。同モデルは、米GDP成長率の予測精度が高いことで知られており、労働投入量の低い伸びと整合的な結果を示している。今後の米経済指標の結果次第とはいえ、第2四半期の米GDP成長率が3%台に加速するとは期待しにくく、2.5%ですら難しいとの見方が優勢となりつつある。

興味深いのは、6月の米雇用統計が総じて弱く、第2四半期の米GDP成長率が2%台前半に伸び悩む可能性が高まったにも関わらず、9月の利上げ開始観測に大きな変化は見られないこと。ロイターがプライマリーディーラー(米公認政府証券ディーラー)を対象に6月米雇用統計発表後に実施した調査によると、20社中16社が9月の利上げ開始を予想。15社が年内2度の利上げがあるとの見方を示した。

米短期金融市場から計測される利上げ確率を見ても、9月の利上げ開始が優勢のままだ。市場による将来の政策金利に関する観測を反映するとされるオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)による9月の米利上げ確率は、米雇用統計発表前の7月1日時点で56.8%だったが、7月3日時点では57.3%。フェデラルファンド(FF)金利先物市場による9月の利上げ確率は、7月1日時点の52.4%から7月3日時点で52.9%と、両者とも確率が下がるどころか、若干ではあるものの上がっている。

経済指標を丹念に読み解くエコノミストなどからすれば、こうした結果は理解しがたいものかもしれないが、市場関係者の多くは、金融政策の正常化に向けたFRB主要メンバーの強い意気込みを意識しているのだろう。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、6月28日付の英紙フィナンシャル・タイムズに掲載されたインタビューで、データがこれまでのような形で推移するなら、9月に利上げに踏み切る可能性は大きいと発言。FRBフィッシャー副議長は、6月30日の講演で、利上げ時期について言及を避けつつも、目標達成まで政策調整を待つべきではないとし、FRBは金融政策運営で先手を打つ必要があると指摘。早期の利上げ開始に前向きな姿勢を示した。

ただ注意すべきは、両者とも(6月の米雇用統計発表前だったこともあり)第2四半期の米GDP成長率は2.5%程度と見ていたこと。またダドリー総裁は、9月の利上げ開始の想定として、2.5%程度の成長が第2四半期だけでなく、第3四半期も続くことを示している。

米雇用統計の発表後、ドル円は123円台後半から123円ちょうど近辺に下落するなど、為替市場はドル売りの動きを強めた。しかし、これは9月の利上げ開始期待が後退したため、というよりも、米国の三連休やギリシャの国民投票を前にドル買いポジションを調整した結果と思われる。今後発表される米経済指標を通じ、米GDP成長率が2.5%程度まで回復する見込みが強まることで、ドルが大きく買い戻される展開を期待してもいいだろう。

実需の先行きを読むには

 実需と投機の違いの一つに取引のタイミングがあります。実需の場合、通貨を買ったり売ったりする必要がありますから、為替レートが短期間で大きく変わるといったことでもない限り、為替取引は取引のタイミングに強くこだわることなく、計画通りに坦々と実施される傾向にあります。

 一方、投機による為替取引の場合、利益を得るのに有利なタイミングを慎重に選ぶ必要があります。実需による為替取引(実需取引)の先行きを予想した投機、つまり実需期待による取引であれば、実需取引より一歩から二歩くらい先に取引をすることが大事となります。

 たとえば、実需でドルの需要が高まりそうだと予想される場合を考えてみましょう。この場合、実際にドルの需要が高まる前にドルを買っておき、実際に実需によってドルの需要が高まり、ドルが上がったところで、あらかじめ買っておいたドルを売れば、そこで利益を得ることができます。つまり実需期待で利益を得るためには、実需の先行きを予想することが必要となります。

●実需と投機では取引のタイミングが違う

実需:タイミングに強くこだわることはない
投機:利益を得るために有利なタイミングを選ぶ必要がある。
→実需期待の場合、実需より先んじて動く(取引をする)ことが大事

 国際収支統計は実需の動向を確認するうえで非常に役に立つ統計ではありますが、残念ながら国際収支統計だけで実需の先行きを予想するのは難しいです。なぜなら国際収支で示されるデータは、すべて過去のものですから、国際収支統計だけから実需の先行きを予想することは、過去の傾向が今後も続く、ということを前提としなければなりません。なんらかの事情で実需の先行きが、結果的に過去の傾向と大きく異なる場合、国際収支統計から得られる情報をもとにした予想は大きく外れることになります。

 ただ、実需を生み出す貿易や海外との投資は、勝手気ままに変わるわけではなく、何らかの理由に基づいて変わります。貿易や海外との投資は経済活動の一つですので、貿易や海外との投資に深く関係する別の経済活動を考えることで、最終的には実需の先行きを予想することが可能となります。

●実需を生み出す貿易や海外投資は何らかの理由に基づいて変わる
→どのような理由(経済活動)で変わるかを考えることが実需の先行きを予想するヒントとなる

 しかし実需の影響を及ぼす理由は、たくさんあります。考えられる理由をすべてチェックすることは、非常に時間のかかることですし、仮にチェックできたとしても、チェックしている間に実需が変わってしまい、実需よりも先んじて取引をすることが重要である投機の役に立ちません。実際の投機では、市場関係者が大きく注目する材料に注目することが効率的となります。

 そこで、ここでは、実需に大きな影響を与えるだけでなく、市場参加者も材料と見なすことが多い経済活動として、景気、物価、金利の3つを紹介します。この3つと実需との関係が分かるようになると、実需の先行きを考えるのが楽になります。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月2日)

 7月2日のロンドン市場は取引序盤にドル買いの動きがやや強まったが、その後はドル、ユーロともに様子見姿勢が強まった。ドル円は取引序盤に123円台前半から123円台半ば近辺に小幅上昇。その後は123円台半ばを挟んでの小動きとなった。米雇用統計の発表を前に米債利回りは東京市場の水準から小幅上昇後、底堅く推移。ドル買いの動きをサポートしたものの、欧州株や日経平均先物は小動き。米雇用統計の結果を見極めたいとの思惑もあって、ドル円は方向感に欠ける動きとなった。

 ユーロドルは取引序盤に1.10ドル台後半から1.10ドル台半ば近辺に小幅下落したが、取引中盤には再び1.10ドル台後半に持ち直し。取引後半は同水準でのもみ合いとなった。ギリシャのバルファキス財務相は、5日の国民投票で緊縮策に国民が「イエス」を選らんだ場合、自らは辞任すると表明。欧州委員会の報道官は、国民投票の前にギリシャと協議することはないと発言した。ユーログループのデイセルブルム議長はギリシャ国民投票で「ノー」が支持されたとしても、交渉においてギリシャの立場が強まることはないと述べた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年7月2日)

 新興国通貨は対ドルで上昇。米債利回りの低下が好感された。

 SGDは対ドルで0.3%の上昇。6月のシンガポール購買部景気指数は50.4と市場予想や前月を小幅上振れ。同時に発表された同月同国の電子産業指数は50.3と3カ月ぶりの50超えとなった。

 BRLは対ドルで1.7%の上昇。6月のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.47%と市場予想を下回り、2カ月連続で鈍化。5月のブラジル鉱工業生産は前年比-8.8%と市場予想ほど落ち込まなかったが、15カ月連続の前年割れ。5月のブラジル設備稼働率は80.1%と2カ月連続で低下。ブラジル大手世論調査会社が公表したルセフ政権の支持率は前回3月の12%から9%に低下し、同政権の支持率の過去最低を更新。過去の政権との比較でも1989年11月以来の低い支持率となった。

 MXNは対ドルで0.7%の上昇。5月のメキシコ景気先行指数は前月比-0.05と9カ月連続の低下となった。

 ZARは対ドルでほぼ変わらず。第2四半期の南アフリカBER消費者信頼感は-15.1と市場予想を大きく下回り、2000年第4四半期以来の低水準。5月の同国発電量は前年比3.5%減と8カ月連続の前年割れとなった。

 RUBは対ドルで0.6%の上昇。6月26日時点のロシア金・外貨準備は3620億ドルと前週から減少した。

一部メディアによると、ギリシャがユーロを導入する直前の2000年に、ギリシャの当時の通貨ドラクマを印刷する輪転機がすべて壊されたと、ギリシャのバルファキス財務相が発言したとのこと。真偽は不明ですが、本当に壊されたのであれば、もったいなかったですね。

2015年7月2日木曜日

外貨投資が盛んな国は通貨が安くなる(2)

 米国の機関投資家が、日本の株式(日本株)を買う場合を考えてみましょう。これは日本からみた場合、間接投資の受け取りに当たります。

 日本株を買うためには日本円を使う必要があります。このため米国の機関投資家は、米ドルを日本円に換える必要が生まれ、米ドルを日本円に換える為替取引をします。

 このように間接投資の受け取りでは、外貨(この例では米ドル)を自国の通貨(この例では日本円)に換える需要(必要性)が生じます。

●間接投資の受け入れ=自国の通貨を外貨に換える需要が生ずる

 間接投資も直接投資と同じように、受け取り額から支払額を差し引いた額もみることも大事となります。これは専門用語で間接投資収支と呼ばれます。

 間接投資収支は、間接投資の受け取りが、間接投資の支払いを上回る(間接投資収支はプラスとなる)とき、間接投資収支は黒字といいます。逆に支払いが受け取りを上回る(間接投資収支がマイナスとなる)とき、間接投資収支は赤字といいます。

●間接投資収支とは間接投資の受け取りから間接投資の支払いを差し引いた金額
 間接投資収支が黒字=間接投資の受け取りが間接投資の支払いを上回っている
 間接投資収支が赤字=間接投資の支払いが間接投資の受け取りを上回っている

 間接投資収支が黒字の国は、間接投資の受け取りが間接投資の支払いを上回っているわけですから、国全体でみた場合、外貨を自国通貨に換える需要が、自国通貨を外貨に換える需要よりも強いことになります。逆に間接投資収支が赤字の国は、自国通貨を外貨に換える需要が、外貨を自国通貨に換える需要よりも強いことになります。

●間接投資収支が黒字の国=外貨を自国通貨に換える需要が強い
●間接投資収支が赤字の国=自国通貨を外貨に換える需要が強い

 為替市場で注目を集める間接投資の一つに個人投資家の動きがあります。日本では長い間、銀行預金の金利がゼロに非常に近い状態が続いているため、より高い金利収入を得ようと、外国の債券を買い入れる個人投資家層が増える傾向にあります。

 新聞や雑誌などで「ミセス・ワタナベ」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。ミセス・ワタナベとは主に為替市場で使われる言葉で、高い金利を求め、円を売り、代わりに外貨を買う個人投資家を指しています。外国為替証拠金取引(FX)が流行した2006年から2007年に、日本の主婦がFXを通じて為替取引をする状況に驚いた海外メディアが、日本の個人投資家を指す名称として使い始めたと言われています。今でも、東京市場で円を売る動きが強まると、ミセス・ワタナベ(つまり日本の個人投資家)が円売り取引を主導した、などと報じられることもあります。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月1日)

 7月1日のロンドン市場はドルが主要通貨に対し上昇する展開となった。ユーロドルは取引序盤に1.11ドル台前半から1.11ドルちょうど近辺に下落。この日予定されていたユーロ圏財務相会合の開始時刻が遅れることが明らかとなったほか、スペイン、イタリア両国製造業PMIが市場予想を下回ったことが嫌気された。その後、ユーロドルは1.11ドルちょうど近辺でもみ合い。取引中盤に入り、一部メディアはギリシャのチプラス首相が週末に債権団から提示された支援策の条件の大半を受け入れる準備があると報道。これを受けユーロドルは一時1.11ドル台後半まで急伸した。しかし、その後の報道でチプラス首相が提示した書簡では、ギリシャ離島向けの付加価値税優遇措置の継続や年金支給年齢引き上げの延期などが含まれており、ユーロ圏財務相は、こうした内容を受け入れがたい認識でいることが判明すると、ユーロは再び下落。取引後半のユーロドルは再び1.11ドルちょうど近辺まで下落。その後は同水準でのもみ合いとなった。

 ドル円は122円台後半から123円ちょうど近辺に上昇。ギリシャ・チプラス首相が債権団から提示された条件の大半を受け入れる準備があるとの報道で欧州株、日経平均先物は上昇。米債利回りも上昇したことで、ドル円はドル買い・円売り優勢となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年7月1日)

 新興国通貨は対ドルで下落。米債利回りが上昇したほか、原油先物価格がNY市場で下落したことが嫌気された。

 BRLは対ドルで1.3%の下落。6月30日までの週のブラジルIPC-Sは前月比+0.82%と市場予想を上振れ。6月のブラジル・マークイット製造業PMIは46.5と過去最低を記録した前月からは上昇した。6月のブラジル貿易収支は45.3億ドルの黒字と市場予想を上回る黒字。ただ主因は輸入の減少で輸出も市場予想を下振れした。

 MXNは対ドルで0.3%の下落。5月のメキシコ海外労働者送金は前年比2.4%増と市場予想を下振れ。6月のメキシコIMEF非製造業指数も51.3と市場予想を下回ったが、同製造業指数は53.1と市場予想を上回り、昨年10月以来の高水準に上昇した。

 PENは対ドルでほぼ変わらず。6月のペルーCPIは前年比+3.54%と市場予想を上回り、前月から加速。同月同国のWPIも同+1.68%と前月から加速し、ペルー中銀の追加利下げ観測を後退させた。

 PLNは対ドルで0.8%の下落。6月のポーランド・マークイット製造業PMIは54.3と市場予想を上回り、3か月ぶりの高水準に回復。ポーランド景気の堅調ぶりが示された。

 CZKは対ドルで0.8%の下落。6月のチェコ・マークイット製造業PMIは56.9と市場予想を上回り、過去最高だった昨年5月以来の高水準。チェコ景気も堅調に推移している。

 HUFは対ドルで0.5%の下落。6月のハンガリー製造業PMIは55.1と前月とほぼ変わらずだった。

 TRYは対ドルで0.4%の下落。6月のトルコ・マークイット製造業PMIは49.0と市場予想に反し50割れ。トルコ景気の回復期待を後退させた。

 ZARは対ドルで0.8%の下落。6月の南アフリカ・カギソPMIは51.4と市場予想に反し、前月から上昇。一方、同月同国のNaamsa自動車販売は前年比4.8%減と減少幅が前月から拡大した。

 RUBは対ドルで0.8%の下落。6月29日までの週のロシアCPIは前週比0.0%と前週から鈍化。ロシアのインフレ懸念を後退させた。

ムーミンパークが2017年に開業するようです。どうでもいいことですが、私はムーミンに似ていると、子供のころからよく言われていましたが、おっさんになってきた最近数年は言われなくなってきました。ちょっとさびしいです。

2015年7月1日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月30日)

 6月30日のロンドン市場はユーロが取引中盤に下げ止まり、後半はやや買い戻される動きとなった。取引前半に発表された6月のドイツ失業者数は1千人減と市場予想ほど減少せず、同月同国の失業率は6.4%と市場予想通り前月から変わらず。市場の反応は限定的で、ユーロドルは1.11ドル台後半での揉み合いを続けた。

 中盤に入りユーロドルは1.11ドル台前半に下落したが、一部メディアがギリシャ政府が一度拒否した欧州委員会ユンケル委員長の提案を再考していると報ずると、ユーロは下げ止まり。また別メディアはギリシャ・チプラス首相が同委員長、ECBドラギ総裁、欧州議会シュルツ議長と電話会談したと報道。取引後半に入るとユーロドルは一時1.12ドルちょうど近辺まで上昇。終盤はギリシャのバルファキス財務相が本日IMFへの返済を行わないことを言明したこともあり、ユーロドルは1.11ドル台後半に小幅下落し、同水準でもみ合いとなった。なお取引後半に発表された5月のユーロ圏失業率は11.1%と市場予想や前月と変わらず。6月のユーロ圏CPIは前年比+0.2%と市場予想通りで前月から小幅鈍化した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月30日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。東欧通貨が下落する一方、RUB、TRY、ZARは対ドルで上昇した。

 THBは対ドルで変わらず。5月のタイ経常収支は21.3億ドルの黒字と市場予想を上回る黒字。貿易黒字の拡大が経常収支黒字を押し上げた。

 MYRは対ドルで0.3%の上昇。5月のマレーシアM3は前年比5.7%増と2カ月連続で鈍化し、昨年10月以来の低い伸びとなった。

 INRは対ドルで0.3%の上昇。5月のインド財政収支赤字は8110億ルピーと過去最高を記録した前月から縮小したものの、高水準のままだった。5月のインド・インフラ産業8業種は前年比+4.43%と昨年11月以来の高い伸びとなった。

 COPは対ドルで0.6%の下落。5月のコロンビア都市部失業率は9.6%と市場予想を大きく下回り、昨年12月以来の低水準に改善した。

 ZARは対ドルで0.6%の上昇。5月の南アフリカ民間部門信用は前年比9.53%増と市場予想を上回り、昨年7月以来の高い伸び。同月同国の財政収支は185.2億ランドの赤字と赤字額が市場予想を下振れ。同月同国の貿易収支は50億ランドの黒字と市場予想に反し黒字を記録した。

 TRYは対ドルで0.9%の上昇。5月のトルコ貿易収支は67.5億ドルの赤字と赤字額が市場予想を上回ったが、前年同月からは縮小した。

 HUFは対ドルで0.7%の下落。5月のハンガリーPPIは前年比+1.0%と5カ月ぶりの前年比プラスとなり、伸びは2013年9月以来の高さとなった。

 CZKは対ドルで0.7%の下落。5月のチェコM2は前年比5.3%増と2013年11月以来の高い伸びとなった。

英国では生卵投げ選手権が開催されたそうです。毎年恒例とのこと。選手権では、野球のキャッチボールのように二人一組で卵を落とさずに長い距離でパスできるかを競うそうです。食べ物で遊ぶな、とよく言われたのを思い出しました。

2015年6月30日火曜日

外貨投資が盛んな国は通貨が安くなる(1)

 間接投資は、外国で実際にビジネスをすることを目的としていませんが、利益を得るために、外国で発行された株式や債券を買ったり売ったりすることを意味します。自分の国の投資家が、海外の株式や債券を買う(投資をする)ことを間接投資の支払いといいます。反対に海外の投資家が、自分の国の株式や債券を買う(投資をする)ことを間接投資の受け取りといいます。

 株式や債券を買えば(投資をすれば)、価格が上がることで利益を得る可能性があるほか、株式から得られる配当、債券から得られる金利を得ることもできます。

 外国の株式や債券などを買う時には、自分の国の通貨を外貨に換える必要があります。逆に海外の株式や債券を売却し、利益を自分の国に戻そうとする時には、外貨を自分の国の通貨に換える必要があります。このため間接投資の動向も、為替市場に影響を及ぼすと考えられます。

 たとえば日本の個人投資家が、より高い金利を求めてオーストラリアの国債を買う場合を考えてみます。これは日本からみた場合、間接投資の支払いに当たります。

 オーストラリアの国債は、オーストラリア政府が借金をするために発行される債券ですので、使われる通貨はオーストラリアの通貨である豪ドルとなります。

 このため、オーストラリアの国債を買う日本の個人投資家には、日本円を豪ドルに換える必要が生まれ、日本円を豪ドルに換える為替取引をします。

 このように間接投資の支払いでは、自国の通貨(この例では日本円)を外貨(この例では豪ドル)に換える需要(必要性)が生じます。

●間接投資の支払い=外貨を自国の通貨に換える需要が生ずる

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年6月29日)

 6月29日のロンドン市場はユーロが底堅く推移。ユーロドルは1.11ドルちょうど近辺から1.11ドル台前半にじり高の推移となった。取引序盤より欧州要人やECB幹部はギリシャのユーロ残留を望む姿勢を表明。明日の支援終了期限を前に交渉の余地はあるとの発言もあったが、どの当局者もギリシャ支援を緩和する姿勢は見せず。欧州株は3%近く下げ、ユーロ圏周縁国債利回りは大きく上昇したが、株式市場、債権市場の反応はともに東京市場と大きく変わらず。スイス中銀がユーロ買い介入に踏み切ったこともあり、ユーロは買い戻し優勢の展開となった。6月のユーロ圏景況感は103.5と市場予想に反し前月から低下したが市場の反応は限定的だった。

 一方、ドル円は123円手前で方向感に欠ける動き。米債利回りや日経平均先物は東京市場から小幅高となったが、欧州株、ユーロ圏周縁国債は大きく下落するなど市場のリスク回避姿勢は根強いまま。ドル円は様子見姿勢が強かった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年6月29日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。ユーロが買い戻されたことで東欧通貨も対ドルで底堅く推移。一方、TRY、RUBは下げが目立った。

 BRLは対ドルで0.5%の上昇。6月のブラジルIGP-Mは前年比+5.59%とほぼ市場予想通りで1年ぶりの高い伸び。ブラジル中銀の週次サーベイでは年末時点の政策金利見通しが14.50%に上方修正。一方、成長率見通しや鉱工業生産見通しは下方修正された。6月のブラジルCNI消費者信頼感は96.2と3カ月連続で低下し、2001年6月以来の低水準を記録した。

 TRYは対ドルで1.4%の下落。5月のトルコ外国人観光客数は前年比2.5%減と2カ月連続の前年割れとなった。

一部テーマパークでは自撮り棒の使用が禁止されているそうですね。私はあいにく持っていないのですが、テーマパークに行く予定もありません。ちょっと寂しいので、近いうちに自撮り棒を買って、オフィスで自撮りに励もうかと思います。

2015年6月29日月曜日

金融政策の違いに注目したTWD/KRWトレード

 韓国と台湾は、両国とも景気悪化が目立ってきた。韓国の企画財政部は25日、下半期の経済政策方向を発表し、今年の経済成長率見通しを従来の3.8%から3.1%に下方修正した。同部は、下方修正の主因として、輸出不振と中東呼吸器症候群(MERS)の感染拡大を指摘。MERSによって成長率は0.2~0.3%下押しされたと説明した。また同部は、韓国景気の減速を受けて、総額15兆ウォンを超える景気対策を近くまとめることも発表した。

 韓国景気は6月に入って景況感の悪化が目立っている。6月の韓国・消費者信頼感は99と、前月の105から大きく低下し、2012年12月以来の100割れを記録。補正予算の策定で韓国債の売り圧力が強まるとみられたが、景気悪化に伴うディスインフレ圧力の強まりなどもあって韓国債利回りは上値が抑えられている。

 一方、台湾景気もここにきて悪化が目立っている。先週発表された5月の台湾輸出受注は前年比5.9%減と2013年2月以来の大幅な落ち込み。同月同国の鉱工業生産は前年比-3.18%と市場予想に反し前年割れ。同月同国の商業売上高も前年比4.27%減。両指標の落ち込み幅も輸出受注と同じように2013年2月以来の大きさとなった。

 興味深いのは、両国ともに景気が悪化する中、中央銀行の対応が分かれていることだ。韓国中銀は11日、市場予想通り25bpの利下げを実施。同中銀の李総裁は利下げ後の17日、韓国議会にて現在の金融政策は緩和的であると述べたものの、追加利下げに関するコメントはできないとも述べ、追加利下げに含めを持たせている。

 一方、台湾中銀は、利下げを含めた金融緩和に消極的だ。同中銀は25日、政策金利を1.875%で据え置き。同中銀は声明で年後半のインフレは原油安効果の一巡で上昇基調を強めると指摘。雇用環境の改善は続いており、内需は緩やかながら拡大基調で推移しているなどを理由に追加緩和を暗に否定した。

 韓国と台湾の金融政策の違いは、同じように景気が悪化し、同じアジア圏で、同じ輸出主導経済の国での違いとして、為替市場で注目されやすい材料と思われる。週明けのTWD/KRWは、ギリシャ懸念を背景に36.4台と2013年10月以来のTWD高・KRW安水準を記録。その後、KRWが買い戻されたものの、原稿執筆時点(29日午前11時頃)でも36.2台と3週間ぶりのTWD高・KRW安水準を維持しており、今後も上昇基調が期待できる。上値の次の節目は2013年6月の高値(38.63近辺)から2014年7月の安値(33.73近辺)の61.8%戻しの水準となる36.76近辺と思われる。

2015年6月28日日曜日

ギリシャはデフォルトへ 予想される週明けの為替市場の反応

 ギリシャでは、同国チプラス首相が現地時間27日未明、テレビ演説で、ギリシャは緊縮策の継続をEUなどから強要されており、国民の意思に逆らう要求に対して回答を迫られていると述べ、金融支援の条件としてEUなどから求められている財政緊縮策について賛否を問う国民投票を7月5日に実施する意向を表明した。

 ユーログループのデイセルブルム議長は、27日のユーロ圏財務相会合を前に、さらなる対話の扉は閉ざされたと発言。その後開催されたユーロ圏財務相会合では、ギリシャ政府が求めた同国に対する金融支援プログラムの1カ月延長を拒否することを決定。ギリシャとの支援交渉を事実上、打ち切ることを決めた。これにより金融支援プログラムは6月30日に失効する。また同日が期限のIMFからの約15億ユーロの債務が返済される見込みは薄くなり、事実上のデフォルトとなる可能性が高まった。

 デイセルブルム議長は、会合の途中で記者会見をし、あらゆる努力にもかかわらず、提案がギリシャ政府に拒否されたと発言。ユーロ圏各国は、ギリシャの銀行から預金の流出が加速するなどの混乱を招く恐れがあるため、引き続き、緊急の対応策を協議する意向を示した。なおギリシャ政府は、先に表明した国民投票の結果を見極めるまで支援プログラムの延長を要求。支援側はこれを拒否し、交渉が打ち切られたことを明らかにした。

 ギリシャのチプラス首相は、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領と電話会談。ユーロ圏財務相会合の結果にかかわらず国民投票を実施する意向を示した。

 一部メディアはECBが28日にギリシャ市中銀行の流動性の状況をレビューすると報道。ECBは早期の理事会を28日の早期に招集し、状況を精査する予定であることを明らかにした。

 ギリシャ議会は、同国チプラス首相が表明した国民投票の実施に関する議論を開始。日本時間28日午前にも結果が判明する見込みだが、国民投票の実施が否決される可能性もある。ギリシャ野党の多くは、国民投票の実施で財政緊縮策が拒否された場合、ギリシャのデフォルトならびにユーロ圏からの離脱が現実味を帯びると批判している。

 今後考えられる展開は以下3つとなる。

(1)ギリシャ国民投票実施決定→デフォルト
(2)ギリシャ国民投票は実施見送り→しかし支援延長は認められず→デフォルト
(3)ギリシャ国民投票は実施見送り→一転して支援延長が決定→デフォルト回避

 上記(1)、(2)の場合、週明け29日にギリシャ市中銀行で現金引き出しが殺到するといった取り付け騒ぎが激しくなるだろう。またECBは当然、ELAの上限引き上げを見送ることとなり、ギリシャ市中銀行のほとんどが破たんすることになる。ギリシャ政府が国民投票の実施まで臨時のバンクホリデーを決定する可能性もあるが、それは単なる時間稼ぎでしかなく、ギリシャ経済が事実上ストップすることも意味する。

 上記(3)の展開の現実可能性は低い。国民投票の実施を会合前に表明したことでドイツなどユーロ圏主要国のギリシャに対する信認は大きく低下。ユーログループが、ギリシャの支援プログラムの延長を認めるとは考えにくい。

 なおギリシャの金融システムが事実上機能しなくなり、30日に事実上のデフォルトが決まった場合、国民投票では緊縮財政路線が承認される可能性が高まると思われる。6月上旬に実施された現地世論調査によると、国民の70%が「いかなる犠牲を払ってでも」ユーロ圏残留を望むと回答している。金融システムの機能不全が目の前で起きる中、その混乱を続け、ユーロ圏から離脱する選択を選ぶギリシャ国民は少ないと思われる。

 仮に国民投票で緊縮財政路線の継続が決まった場合、チプラス首相は辞意を表明するのではないだろうか。この場合、ギリシャ政局の混乱は増すことになるだろうが、緊縮財政路線を公約化した政権の樹立後、ユーログループがギリシャに対し新たな支援策の枠組みを提示する可能性も出てくる。

 なお週明けの為替市場の反応だが、現時点では明確に予想しがたいものの、市場はギリシャのデフォルトを織り込む形で反応するとみられる。ユーロは大きく下落する一方、円は買い戻される展開が予想される。