2015年7月10日金曜日

景気を確認するための経済指標(3)

雇用

 景気の良し悪しを判断する基準の一つに雇用があります。雇用とは「雇って用いる」の言葉通り、会社が人を雇って労働してもらうことです。雇用が良い、ということは、会社で働く人が多い、という意味になります。

 雇用の良し悪しは、人々の気持ち(マインド)に影響します。働く人が増えれば、社会に活気が生まれ、より多くの買い物(消費)をすることに前向きになります。逆に自分や周りの人々がリストラされ失業の身となれば、将来に備えて、買い物(消費)を手控える気持ちが強まるでしょう。

 結果として、雇用の良し悪しは景気にも大きな影響を与えます。雇用が良くなることは、消費者の気持ちが前向きになるだけでなく、会社から給料をもらう人が多いことを意味しますので、消費が増えることになります。消費が増えれば、企業の売り上げや利益が増え、企業はより多くの人を雇ったり、設備により多くのお金を使うようになると期待されます。

 雇用に関する経済指標はたくさんありますが、代表的なものは、失業率と雇用者数の二つです。失業率とは、働くことができ、かつ働く意思のある人(労働力人口)に対する失業者(職のない人)の割合です。失業率が高ければ高いほど、職のない人の割合が高いことを意味しますので、雇用は悪いと判断されます。逆に失業率が低ければ低いほど、職のない人の割合は低く、雇用は良いと判断されます。

 雇用者数とは、その名の通り、雇用されている人の数、つまり会社で働いている人の数です。雇用者数では、○○万人と水準でみるのではなく、前月や前年から、どの程度増えたか、もしくは減ったかが注目されます。雇用者数が増えていれば、雇用は良いと判断され、逆に雇用者数が減っていれば、雇用は悪いと考えます。

 失業率が市場予想よりも下がったり、雇用者数が市場予想を上回るペースで増えるなど、国全体の雇用が良いと判断されれば、その国の景気は良いといえますので、その国の通貨は上がりやすくなります。逆に雇用が悪いと判断された国の通貨は下がりやすくなります。

 米国や欧州での雇用に関する経済指標は、為替市場で大きく注目されます。米国や欧州では経済全体に占める消費の割合が高く、消費動向が景気全体に大きな影響を与えるからです。なかでも米国の雇用情勢を示す「雇用統計」は、為替だけでなく、株式や債券といった様々な金融市場で大きく注目されます。雇用統計の結果が発表された後、為替レートがドルを中心に大きく動くことは珍しくありません。

●失業率が市場予想よりも下がった(上がった)国の通貨=上がりやすい(下がりやすい)
●雇用者数の伸びが市場予想を上回った(下回った)国の通貨=上がりやすい(下がりやすい)

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月9日)

 7月9日のロンドン市場はユーロが軟調な動きとなった。ユーロドルは取引前半に1.11ドルちょうど近辺から1.10ドル台前半に下落した。ドイツ連銀のバイトマン総裁はギリシャ市中銀行向けELAの上限は新たな支援プログラムが合意に至るまで拡大すべきではないと発言。一部イタリア紙はECBのドラギ総裁がギリシャ危機の解決は本当に難しいと述べたと報道。エストニア中銀のハンソン総裁はギリシャがユーロから離脱した場合、ECBは様々な非伝統的措置を活用する用意があると発言。ユーロ圏当局者からギリシャに関する後ろ向きな発言が続いたことでユーロは売りが先行した。

 しかし取引中盤のユーロドルは1.10ドル台前半でのもみ合い。取引終盤に1.10ドル台半ばに小幅反発したが、小幅な値動きは変わらなかった。EUのトゥスク大統領はギリシャのチプラス首相と電話会談をし、ギリシャは現実的な計画を提出するよう要請。一部メディアはギリシャ株式市場と債券電子取引の停止を7月13日まで延長すると報じたが、この日に提出する意向が示されたギリシャによる新しい提案の内容を見極めたいとの思惑からユーロは様子見姿勢が強まった。

 ドル円は121円台前半でもみ合い。取引終盤に121円台半ば近辺に小幅上昇したが、大きな動きには至らなかった。欧州株は緩やかながら上昇基調で推移したが、米債利回り、日経平均先物は動意に欠ける動き。ドル円は様子見姿勢が続いた。

 ポンドは上値の重い動き。ポンドドルは1.54ドルちょうど近辺から1.53ドル台後半にじり安の動きとなった。BOEは市場予想通り政策金利を0.50%、資産買入枠を3750億ポンドでそれぞれ据え置いた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年7月9日)

 新興国通貨は対ドルで買い戻しの動き。一部東欧通貨は対ドルで反落したが、市場のリスク回避姿勢の後退を背景に新興国通貨の多くは対ドルで上昇した。

 MYRは対ドルで0.3%の上昇。マレーシア中銀は市場予想通り政策金利を3.25%で据え置き。同中銀は声明でMYR相場は秩序だった動きを示しており、第2四半期の経済指標は同国成長が緩やかなものであることを示していると指摘。また金融政策は緩和的な状態が続いているとの認識を示した。

 BRLは対ドルで0.5%の上昇。7月のブラジルIGP-M(一次速報)は前月比+0.65%と市場予想を上回り、3カ月ぶりの高い伸び。5月のブラジル失業率は8.1%と市場予想通り前月から上昇。2012年の統計開始以来最高水準を更新した。

 MXNは対ドルで0.3%の上昇。6月のメキシコCPIは前年比+2.87%と市場予想や前月とほぼ同じ伸び。6月のANTAD既存店売上高は前年比5.0%増と市場予想を小幅上回ったが前月から鈍化した。

 CLPは対ドルで0.9%の上昇。6月のチリ自動車販売は前年比12.3%減と10カ月連続の前年割れとなった。

 PENは対ドルで小幅上昇。5月のペルー貿易収支は3.42億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下振れ。ただ輸出、輸入ともに前年比で18%程度の減少。ペルー景気の低迷ぶりを示した。

 CZKは対ドルで0.2%の下落。6月のチェコCPIは前年比+0.8%と市場予想を下回ったものの4カ月連続で加速。同月同国の失業率は6.2%と市場予想通り5カ月連続で低下。2011年10月以来の低水準となった。

 HUFは対ドルで0.3%の上昇。5月のハンガリー貿易収支は5.05億ユーロの黒字と、前年同月比79.7%増。輸出が前年比2.5%増となる一方で、輸入は0.7%減となった。

 ZARは対ドルで0.5%の上昇。5月の南アフリカ製造業生産は前年比1.4%減と市場予想に反し2カ月連続の前年割れとなった。

 RUBは対ドルで0.3%の上昇。7月3日時点のロシア金・外貨準備は3596億ドルと2週続けての減少。第2四半期のロシア経常収支は192億ドルの黒字と黒字額が市場予想を上回った。

本日の東京地方は晴れて、気温も27度くらいまで上がる見込みです。ようやく晴れ間が見られそうですね。

2015年7月9日木曜日

景気を確認するための経済指標(2)

景況感調査

 GDPは国全体の経済活動を示す経済指標として広く使われていますが、3カ月に一度しか発表されないほか、発表されるまでに時間がかかるという欠点があります。金融市場関係者は、常に最新の情報を求める動きをするため、GDP以外の経済指標で景気動向を確認しようとします。

 市場関係者が重要視する景気関連の経済指標の代表例は景況感調査です。景況感調査とは、景気の状況についての感覚をアンケート形式で尋ねた結果をまとめたもので、「マインド(調査)」と呼ばれることもあります。

 景況感調査は大きく二つに分かれます。一つは、企業経営者や企業の仕入れ(購買)担当者を対象に自分の事業の状況を中心に尋ねた企業景況感調査です。一般に、企業経営者や購買担当者は、自分の事業の状況やモノやサービスの流れを日々実感する立場にいると考えられ、こうした方々から得られた回答は、各企業の経済活動状況を表していると考えられます。そして、各企業の回答を取りまとめることで、国全体の経済活動、つまり景気を知ることができます。

 もう一つは、いわゆる消費者(個人)を対象に自身の給与や買い物に対する意欲などを尋ねた消費者マインド調査です。消費者は、日々の買い物などを通じて景気に対する感覚を知ることができる立場にあります。人によっては景気に対する見方は異なるかもしれませんが、数多くの回答を取りまとめることで、消費者の平均的な実感を知ることができ、その動きをみることで景気の変化を知ることができます。

 景況感調査は先進国を中心に数多く公表されています。その多くは、毎月発表されており、発表されるタイミングは調査が実施された翌月となっています。このため、GDPよりも頻繁にかつ早いタイミングで各国の景気動向を知ることができます。

 景況感調査の多くは水準で示されます。水準が高ければ、それだけ景気が良く、逆に水準が低くなれば、それだけ景気が悪くなっていることを意味します。よって景況感調査が市場予想を上回る水準に上がった時、その国の通貨は上がりやすく、逆に市場予想を下回った時は、その国の通貨は下がりやすい傾向にあります。

●景況感調査が市場予想を上回った(下回った)国の通貨=上がりやすい(下がりやすい)

下値余地は依然あるものの、急上昇の展開も想定すべきドル円

ギリシャ情勢の混迷や中国株のバブル崩壊懸念を背景に、本日(7月9日)東京市場序盤はリスク回避姿勢が強まった。日経平均株価は一時600円超の下げ。東証マザーズ指数は一時9.6%安と昨年2月以来の下げを記録した。

ただ一方で為替市場や債券市場は落ち着いた値動き。東京市場序盤のドル円は120円台後半と、前日NY市場終値とほぼ同じ水準。米10年債利回りも一時2.18%台まで低下する場面もあったが、すぐに2.19%台と前日NY市場終値水準に反発している。

午後に近付くと、下げて始まった中国株はプラスに転換。中国現地メディアは、警察当局が悪質な株の空売りを捜査すると報じるなど、中国当局は株安阻止の姿勢を強めている。中国株が(ようやく)下げ止まるとの見方から、日本株は下げ幅を急速に縮め、ドル円は121円台前半に反発。リスク回避姿勢の強まりを背景とした円買いの動きは一服となった。

ただ、ここからのドル円の反発は、テクニカルの視点でみると短期的に難しそうだ。ドル円は昨日(7月8日)に雲の下限(121.69円)を大きく下抜けたまま。90日移動平均水準(121.25円)が次のレジスタンスとなる。

ギリシャ情勢の先行き不透明感の強まり、中国株のさらなる下落、はともに今後も起こりうる話で、市場のリスク回避姿勢が再び強まり、円買いの動きが再開される可能性は十分にある。ドル円は119.68(年初来安値から年初来高値への上昇局面の61.8%戻し水準)や119円台半ば近辺くらいまで下値余地があるとみるべきだろう。

ただ一方で、市場のリスク回避姿勢がこのまま後退を続ければ、ドル円はこのまま買い戻しが進む可能性も十分ある。本日未明に公表されたFOMC議事録(6月16、17日開催分)では、1人を除く全メンバーが、利上げのために新たな情報が必要になると指摘したことが判明。メンバーの一部からは、ギリシャや中国に対する懸念が表明されたことも明らかとなったことで、9月の利上げが遠のいたとの声も出ているようだ。しかし、今回公表された議事録の中身の多くはFOMC声明とほぼ同じもの。市場のリスク回避姿勢が強まるなかで公開されただけに、今回のFOMC議事録を弱気に解釈したくなる気持ちは理解できなくもないが、フェアにみれば、今回の議事録で利上げのタイミングに関する新たな材料は特になかったとみるべきだろう。

むしろ、今回の下げを機に、ドル円が一気に上昇する余地が広がったとも言える。NY連銀のダドリー総裁やFRBフィッシャー副総裁が指摘した利上げ開始条件の一つである「第2四半期の米GDP成長率2.5%超」の確度が高まれば、ドル買いが進む展開も期待できる。そのタイミングは、早ければ6月の米小売売上高が発表される7月14日となる。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月8日)

 7月8日のロンドン市場はドルが下げ渋る動きとなった。ギリシャ・チプラス首相は欧州議会で演説し、ギリシャ国民の選択は欧州との決裂のためではなく、同国政府は最終的な決裂を回避するための努力をしていると説明。また事前の報道通り正式に3年間の融資ファシリティをEMSに申請したことを明らかにした。これを受けてユーロドルは取引前半に1.10ドルちょうど近辺から1.10ドル台半ば近辺に上昇。ただ取引後半に入りチプラス首相が、ユーロ圏に留まる意思を表明するとともに、詳細な改革案を翌9日に提出する意向を示すと、米債利回りは上昇。ドル買いの動きが強まり、ユーロドルは再び1.10ドルちょうど近辺に反落した。

 ドル円は121円台後半で上値の重い動き。取引後半には一時121円台前半に下落する場面もあったが、後半には米債利回りの上昇を受けてには再び121円台後半に反発した。欧州株は前日終値水準でに推移し、日経平均先物は軟調な推移。中国株の大幅続落を受けて市場のリスク回避姿勢は根強いままだったが、米債利回りの上昇がドル円をサポートした。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年7月8日)

 新興国通貨は対ドルで売り優勢。一部東欧通貨は対ドルで上昇したものの、多くは原油先物価格の伸び悩みもあって下落となった。

 BRLは対ドルで1.4%の下落。USD/BRLは一時3.24台と3月末以来のBRL安水準に上昇した。7月7日までの週のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.43%と市場予想や前月を小幅下振れ。同日までの週のブラジルIPC-Sは同+0.82%と前週から鈍化するとした市場予想に反し前月と同じ伸びとなった。6月のブラジルIPCAは前年比+8.89%と市場予想を下回ったが、2003年12月以来の高い伸びに加速した。

 CLPは対ドルで0.4%の下落。6月のチリCPIは前年比+4.4%と市場予想を上回り、4カ月ぶりの高い伸びとなった。

 TRYは対ドルで小幅下落。5月のトルコ鉱工業生産は前年比+2.4%とほぼ市場予想通りの伸びとなった。

 HUFは対ドルで0.2%の上昇。6月のハンガリーCPIは前年比+0.6%と市場予想通り前月から小幅加速。ハンガリー中銀は会合議事録(6月23日開催分)を公表。15bpの利下げは全会一致。メンバーの一人は利下げ局面を終了させたい意向を示し、メンバー全員はフォワードガイダンスを「小幅な」利下げの継続に変更することを決定した。

 PLNは対ドルで0.2%の下落。ポーランド中銀は市場予想通り政策金利を1.50%で据え置き。同中銀は声明で最新の経済指標はGDP成長率の加速を示しておらず、第2四半期の成長率は前期と同程度になるとの見通しを提示。同中銀のベルカ総裁は利下げ局面に戻る見込みはないが、政策金利が変更される可能性は非常に低いとの認識を示した。

 RUBは対ドルで1.3%の下落。7月6日までの週のロシアCPIは前週比+0.7%と大きく加速。6月のロシア軽自動車売上高は前年比30%減と市場予想ほどの落ち込みとならなかった。

米マンハッタン連邦地裁は、同じ女性の携帯電話に1年弱で153回のオートコールを掛けた米ケーブルテレビ局に対し、この女性に約23万ドルを支払うよう命じたそうです。私のところにも、こんな間違い電話が来てほしいものです。

2015年7月8日水曜日

景気を確認するための経済指標(1)

 景気は人々や企業の経済活動全般を意味しますが、経済活動には様々な種類があります。日々の生活での買い物のほか、会社などで働くことなどは経済活動の一つです。企業の場合、モノやサービスを作り出すだけでなく、作り出したモノやサービスを取引先や一般の人々に販売することも経済活動です。

 こうしたことから、経済活動をひとまとめにした景気に関する経済指標は数多くあります。ここでは、景気に関する代表的な経済指標であり、為替市場で注目を集めるものとしてGDP、景況感、雇用、小売売上高、鉱工業生産をご紹介します。

GDP

 GDPとは国内総生産という言葉の英語の名称を略した用語です。GDPはその国で作り出されたモノやサービスの価値を合計したもので、多くの国では三カ月間(四半期)のGDPが発表されます。

 GDPには名目と実質の二種類があります。景気の実勢を知るには物価変動の影響を取り除いた実質の方が適しているとされており、為替市場でも実質GDPに注目が集まります。

 為替市場に限らず株式や債券といった金融市場では、500兆円といったGDPの水準ではなくGDPの伸びが注目されます。特に前の四半期(前期)からの伸びを示した前期比は、直近の景気動向を示す指標として大きな注目を集めます。

 GDPが増えることは、その国の景気が良くなっていることを意味します。逆にGDPが増えにくくなっている国の景気は悪くなっていると判断されます。

 こうしたことから、GDPが市場予想を上回る伸びを示した国の通貨は、為替市場で上がりやすくなり、逆にGDPの伸びが市場予想を下回った場合、その国の通貨は下がりやすくなると考えられます。

●GDPの伸びが市場予想を上回った(下回った)国の通貨=上がりやすい(下がりやすい)

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月7日)

 7月7日のロンドン市場は円買い優勢の展開。ドル円は122円台後半から122円台前半に下落した。欧州株、日経平均先物はともに上値の重い動き。米債利回りはロンドン市場に入ると低下基調で推移。ドル円の重石となった。

 ユーロドルは1.10ドル台前半から1.09ドル台半ば近辺に下落。一部独紙は、ギリシャ・チプラス首相がユーロ圏首脳会議で提示する新提案がギリシャ国民投票前に提示した内容と大差ないと報道。一部伊メディアはギリシャが債権団に対し70億ユーロのつなぎ融資を要請したと報道。ギリシャ情勢の先行き不透明感を背景にユーロは売りの動きが続いた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年7月7日)

 新興国通貨は対ドルで続落。原油先物価格は下げ止まったものの、ギリシャ情勢の先行き不透明感を背景に売り優勢の展開となった。

 IDRはBloombergによると対ドルで小幅上昇。6月のインドネシア外貨準備は1080.3億ドルと4カ月連続で減少し、1年ぶりの低水準。インドネシア当局によるIDR買い介入が続いていることが示された。

 BRLは対ドルで1.4%の下落。USD/BRLは一時3.20台と6月1日以来のBRL安水準を記録した。6月のブラジルIGP-DIは前年比+6.22%とほぼ市場予想通りで、昨年5月以来の高水準に加速。ブラジル中銀による追加利上げ観測をサポートした。

 CLPは対ドルで1.3%の下落。6月のチリ貿易収支は7.8億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下振れ。5月のチリ名目賃金は前年比6.2%増と昨年3月以来の低い伸びとなった。

 MXNは対ドルで0.4%の下落。6月のメキシコ消費者信頼感は94.7と市場予想を上回り、2013年8月以来の高水準を記録した。

 CZKは対ドルで小幅下落。5月のチェコ鉱工業生産は前年比+2.0%と市場予想を下振れ。一方、同月同国の小売売上高は同7.9%増と市場予想を上回り、前月から加速した。

 HUFは対ドルで0.5%の下落。5月のハンガリー鉱工業生産は前年比+6.2%と市場予想を下回ったが、前月並みの伸びを確保した。

 ZARは対ドルで0.5%の下落。6月の南アフリカSACCI企業景況感は84.6と2カ月連続で低下し、12年ぶりの低水準を記録した。

生存する世界最高齢者として認定された米国の女性は、長生きの秘訣として、たくさん寝ることだと話しているそうです。私もオフィスで秘訣を日々実践したいと思います。

2015年7月7日火曜日

景気が良くなると実需はどうなる?

 景気は、天気や病気などと同じくらい人々の話題にされることが多い言葉です。ただ天気や病気と違い、景気という言葉の定義をきちんと説明できる方はあまり多くありません。

 景気は、人々や企業の経済活動全体を意味します。よって、よく目や耳にする「景気が良い」という言葉の意味は、景気=経済活動全体、から考えて、「経済活動が活発である(良い)」と考えることができます。

 景気が良い国では、その国の通貨の需要は強まりやすい傾向にあります。景気が良くなる、つまり、経済活動が活発になれば、それだけビジネスチャンスも広がりますので、その国の人々や企業だけでなく、海外の人々や企業も、その国に投資をする動きを強めようとします。結果として、その国への直接投資や間接投資が増えることになり、その国の通貨の需要が強まるのです。

 注意が必要なのは、景気が良い国の貿易収支が悪化する(貿易収支の黒字が減ったり、貿易収支の赤字が増える)傾向にあるということです。な景気が良い国では、企業が事業を拡大させようと、より多くの人を雇い入れ、より多くの方が給料を受け取ることになります。受け取る給料が多くなれば、それだけ買い物の動き(消費)が強まります。このため、景気の良い国の輸入が増えやすくなり、結果として貿易収支が悪化するのです。

 貿易収支が悪化すれば、自国通貨を外貨に換える需要がより強くなりますので、景気が良い国の通貨の需要は強まりやすい、という先程の説明と矛盾することになります。しかし、為替レートが市場によって変動する変動相場制を採用している国のほとんどでは、景気が良くなることで直接投資や間接投資が増え、外貨を自国通貨に換える需要の強まりが、景気が良くなることで貿易収支が悪化し、自国通貨を外貨に換える需要の強まりを上回ることが多いのです。このため、景気が良い国での通貨の需要は強まる、と考えて問題ありません。

●景気が良くなる=その国の通貨の需要は強まる

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月6日)

 7月6日のロンドン市場はユーロを買い戻す動きが後退。ユーロドルは取引前半に1.10ドル台半ば近辺から1.11ドルちょうど手前まで上昇したが、中盤以降は一転して下落基調での推移。取引終盤は1.10ドル台前半での推移となった。フランス中銀のノワイエ総裁はECBが保有するギリシャ債の再編は不可能と発言。ドイツ政府報道官はギリシャ国民投票の結果を尊重するとしながらも、ギリシャのユーロ残留はギリシャ次第とクギを刺す発言。ユーログループのデイセルブルム議長もギリシャの国民投票が終わってもギリシャには改革推進が引き続き必要との認識を示し、ギリシャ債務協議の先行き不透明感を高めた。6月のユーロ圏センティックス投資家信頼感は18.5と市場予想や前月を上回ったが市場の反応は限定的だった。

 ドル円は取引中盤まで122円台半ば近辺で方向感に欠ける動きを続けたが、後半に小幅上昇し、終盤には123円ちょうど手前まで上昇。ギリシャ国民投票の予想外の結果を受けて強まった市場のリスク回避姿勢は一服し、米債利回りは東京市場で反発した水準を維持。ただ欧州株が下落したことでドル円の上値は抑えられた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年7月6日)

 新興国通貨は対ドルで下落。ギリシャ国民投票で緊縮財政策反対の意思が示されたことで市場のリスク回避姿勢は強まる展開。原油先物価格の大幅下落もあって新興国通貨は売りが先行した。

 BRLは対ドルで0.4%の下落。ブラジル中銀の週次サーベイでは年末までのUSD/BRL見通しが3.22に上方修正。鉱工業生産見通しも3週連続で下方修正された。6月のブラジル自動車生産は前年比14.8%減と二桁減。7月5日までの週のブラジル貿易収支は6.36億ドルの黒字と黒字基調が続いた。

 MXNは対ドルで小幅下落。6月のメキシコ自動車生産は前年比6.7%増と伸びが持ち直した。

 CLPは対ドルで0.7%の下落。5月のチリ経済活動指数は前年比+0.8%と市場予想を下回り、昨年8月以来の低い伸びとなった。

 RUBは対ドルで1.4%の下落。6月のロシアCPIは前年比+15.3%(前月比+0.2%)と市場予想を小幅下振れた。

 ILSは対ドルで変わらず。イスラエル中銀は会合議事録(6月22日開催分)を公表。会合メンバーからはILS高の継続は輸出の重石となるだろうとの指摘がなされた。

パリで離陸直前の航空機内でチベット語の教典を眺めながら祈りを口ずさんでいたポルトガル人俳優がコーランを読み上げるテロリストと間違えられて連行されたそうです。この俳優さんは、6時間の尋問とビデオ検証後に釈放されたとのこと。ちなみに彼は仏教徒だそうです。私もたまにオフィスで目を閉じて瞑想することがありますので、連行される前に、単なる居眠りだということを明示したいと思います。

2015年7月6日月曜日

さらに下落する余地がありそうなマレーシア・リンギット(MYR)

 マレーシア・リンギット(MYR)の下落が続いている。USD/MYRは本日、ギリシャ国民投票の結果を受けて、取引開始直後に3.81ちょうど近辺と、2005年のMYRペッグ制廃止以降、MYR最安値を更新。年初来の対ドル下落率は8.1%と、アジア通貨の中ではIDR(7.2%)を超え最大となっている。

 MYRの下落が続く背景には、マレーシアの投資収支(Financial Account)の大幅な赤字がある。マレーシアの公的年金基金は対外証券投資を、同国銀行や企業は対外直接投資を、それぞれ積極的に実施。昨年第4四半期と今年第1四半期の投資収支は、経常収支黒字を大きく上回る赤字となっている。

 マレーシアの資本流出をカバーするのは、海外機関投資家による債券投資。マレーシア債の売り圧力が強まったり、MYR安観測が強まると、海外機関投資家はマレーシア債の保有を続けるものの、先物のドル買いでMYR安をヘッジ。結果として、MYRは米債利回りの上昇に脆弱な動きを示す。

 足元ではマレーシアの政府系投資ファンド1MDBによる政治的スキャンダルがMYR売りの圧力を強めている。一部米経済紙は2日、1MDBからマレーシア・ナジブ首相のものとみられる個人口座に7億ドル近い資金が流入していたと報道。同国の法務長官も、1MDBの資金の流れを調べている特別捜査本部がナジブ首相の銀行口座への資金移動を示す書類を押収したと発表した。これに対しマレーシア首相府と1MDBは、政治的な妨害工作などとして事実関係を全面的に否定。しかし、捜査当局がまとめたフローチャートや銀行振込用紙など関連書類はすでに押収されており、ナジブ首相の支持率低下が進む可能性もある。

 フィッチは3日、マレーシア債の信用格付けを「A-」で据え置くとともに、同国債格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。これによりMYRは買い戻されたが、弊社ソブリン格付けモデルによるとマレーシア債格付けは「BBB+」と現状水準より一段階の低い水準。上述した国際収支の悪化や景気の軟化がマレーシアのファンダメンタルズの弱体化につながっている。

 MYRの下落は、国際収支の改善を促すとともに、マレーシア主要輸出品の一つである一次産品価格の下落を相殺。製品輸出を下支えするなどメリットも大きい。現状水準でMYRが下げ止まれば、時間とともにマレーシアのファンダメンタルズ改善が確認され、MYRを買い戻す動きも出やすくなるだろう。しかし、こうした動きが確認されるまで、それなりの時間も必要。短期的には、米債利回りの上昇や1MDB関連報道などで、MYRが一段安となる可能性も視野に入れておくべきだろう。

BISの実質実効レートでみたMYRは、今年5月時点で97.7と2009年の安値(93.7)から4%程度高い水準。仮に2009年の安値水準までMYRが下落すると想定すると、USD/MYRは3.95近辺に達することになる。その次の上値の目途は4.00ちょうど近辺となるだろう。

 

為替のルール(仮題)のゲラチェック4校

7月出版予定だった

●名門外資系アナリストが実践している為替のルール

は8月6日出版になりそうです。

とはいえ、まだゲラチェック終わっていません。。。

 

ギリシャ国民投票は財政緊縮「反対」が多数 為替市場はユーロ売り、円買い、ドル買いの反応

 EUが求める財政緊縮策の受け入れについて賛否を問うギリシャ国民投票は、日本時間6日午前1時に投票を締め切り。ギリシャ内務省によると、日本時間6日午前2時40分時点(開票率21%)の段階で、財政緊縮策に反対する回答が60.4%と賛成(39.58%)を上回った。日本時間午前4時15分時点(開票率58.3%)での同内務省による発表でも反対票が61.29%、賛成票が38.71%と、反対票が6割を超え、ギリシャの国民投票は反対多数となる見込みが強まった。

 為替市場は、ギリシャ国民投票の結果を受けてユーロ安、円高、ドル高の反応。以下は、先週末(左の値)と日本時間午前5時15分ころ(右の値)の、各通貨ペアの水準。

ユーロドル:1.11ドルちょうど近辺、1.10ドルちょうど近辺
ドル円:122円80銭台、122円ちょうど近辺
ユーロ円:136円30銭台、134円30銭台
ポンドドル:1.558ドル台、1.555ドル台
豪ドル/ドル:0.751ドル台、0.745ドル台(←2009年5月以来の安値)

 本日東京市場でも市場のリスク回避姿勢が強まる展開となる見込み。アジア通貨は対ドルで売り優勢が見込まれる。

 ギリシャ国民投票を受け、チプラス政権はEUに対し、債権団が提示した財政緊縮策を改めて反対したうえで、EFSFの枠組みを利用した第3次支援プログラムを要請する見込み。しかしEUは従来の緊縮策を求める意向を示しており、協議は難航する見通し。
 ギリシャ市中銀行の破たんリスクも高まる。ECBはELAの上限を据え置いたまま。ギリシャ中銀は改めてECBにELAの上限引き上げを求める見込みだが、ECBはギリシャ市中銀行の信用リスクの悪化を理由に上限引き上げを拒むと予想される。時間の経過とともにギリシャ市中銀行の資金繰りが行き詰る可能性は高い。一部では今週半ばにはギリシャ市中銀行の資金が枯渇するとの見方も示されている。

 今週水曜日(8日)にギリシャ政府は6カ月物短期債入札を実施する。これまでギリシャ債入札ではギリシャ市中銀行が主要の買い手として応札していた。しかし銀行再度も資金繰りの行き詰まっているだけに入札が未達となる可能性は十分にある。

 ギリシャの7月の債務返済スケジュールは以下の通りだが、いずれも支払遅延(事実上のデフォルト)となり、外部から資金アクセスは時間とともに難しくなる。ギリシャ政府はIOU(借用証書)を発行し、事実上の二重通貨制に移行する可能性も高まるだろう。

7月
10日:短期証券、20億ユーロ
13日:IMF、4.5億ユーロ
14日:サムライ債、120億円
17日:短期証券、10億ユーロ
20日:ECB、36.2億ユーロ
20日:欧州投資銀行、2500万ユーロ

 (事実上の)二重通貨制の導入は、ユーロ使用ルール違反でもあるが、多くが指摘するようにユーロにいったん加盟した国をユーロから強制的に排除する仕組みは存在しない。またギリシャ政府も国民もギリシャがユーロ圏から離脱することも望んでいない。市場ではギリシャのユーロ圏離脱シナリオを指摘する声が増えるだろうが、現実にはギリシャが(少なくとも今年くらいまで)ユーロ圏に留まるとみて問題ないように思われる。

2015年7月5日日曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年7月3日)

 7月3日のロンドン市場は円がじり高の動き。ドル円は123円を小幅上回る水準から122円台後半に小幅下落した。米国が3連休に入る直前であるほか、5日のギリシャ国民投票に関する世論調査では賛否が拮抗。欧州株、日経平均先物がともに上値の重い動きとなるなど、市場のリスク回避姿勢も根強く、ドル円は円買い優勢の展開となった。

 一方、ユーロドルは取引序盤に1.11ドルちょうど近辺から1.11ドルを小幅上回る水準まで上昇。その後は同水準でのもみ合いとなったが、引けにかけて1.11ドルちょうど近辺に下落した。5月のユーロ圏小売売上高は前年比2.4%増と市場予想を小幅上回り、前月分も同2.7%増に上方修正。ユーロ圏景気の回復基調が鮮明になりつつあるが、ユーロ相場への影響は限定的だった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年7月3日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。東欧通貨が対ドルで底堅く推移する一方、BRL、RUB、ZARなどは下げが目立った。

 MXNは対ドルで0.5%の下落。4月のメキシコ総設備投資は前年比5.3%増と市場予想を上回る伸びとなった。

 COPは対ドルで0.2%の下落。4月のコロンビア経済活動指数は前年比+3.6%と市場予想を上回り、昨年8月以来の高い伸び。6月のコロンビアPPIは前月比+2.05%と急伸。同月同国のCPIは前年比+4.42%と前月と変わらず高止まり。コロンビアのインフレ圧力の高まりを示した。

 CZKは対ドルで0.7%の上昇。5月のチェコ貿易収支は173億コルナの黒字と黒字額が市場予想を上振れ。輸出が前年比3.1%増と輸入の伸び(同2.9%増)を小幅上回った。

 HUFは対ドルで0.3%の上昇。5月のハンガリー小売売上高は前年比5.2%増と市場予想を小幅下回り、前月分も小幅下方修正された。

 TRYは対ドルで0.2%の下落。6月のトルコCPIは前年比+7.20%と市場予想を下回り、2013年5月以来の低い伸び。コアCPIも同+7.51%と市場予想を小幅下回った。

東京地方では雨が続いておりますが、よい日曜日をお過ごしください。