2015年8月28日金曜日

政府・中銀が望む為替レートとは

 このように自分の国の通貨の為替レートが変わることで、経済には様々な影響が生まれます。ただ、経済に関することのうち景気と物価に絞って考えると、次のように整理することができます。

 自分の国の通貨が安くなる(日本の場合は円安になる)場合、その国の輸出企業や国産製品を作る企業の採算性は良くなりますが、反対に輸入企業の採算性は悪くなります。しかし、ほとんどの国では、輸出企業と国産企業の両方を足し合わせた売上高、利益、企業で働く人々の数などは、輸入企業よりも大きいのが一般的です。このため国全体で考えた場合、自分の国の通貨が安くなることで、その国の景気は良くなると考えられます。

 一方、物価については、日本のように一般に出回る商品や原料の多くを輸入に頼る国ほど、為替レートが物価に与える影響は大きくなります。ただ世界の多くの国は、グローバル経済化の進展もあって、商品や原料を輸入しています。自分の国の通貨が安くなれば、その国の物価は上がりやすくなる一方、自分の国の通貨が高くなれば、その国の物価が下がりやすくなる傾向は、国によって違いはありません。

 為替レートが景気や物価に与える影響を考えれば、景気の悪い国ほど、政府・中銀は自分の国の通貨が安くなることが好ましいと考えるだろうと推測できます。反対に、物価が上がり過ぎる(インフレの)国では、政府・中銀は自分の国の通貨が高くなることが好ましいと考えるだろうと推測できます。

●景気が悪い国の政府・中銀=自分の国の通貨が安くなることが望ましいと考える
●物価が上がり過ぎる(インフレの)国の政府・中銀=自分の国の通貨が高くなることが望ましいと考える

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年8月27日)

 8月27日のロンドン市場は、ドルが対ユーロ中心に底堅く推移した。ユーロドルは1.13ドル台前半から取引後半には1.12ドル台後半に下落。終盤には1.13ドルちょうど近辺に反発したものの上値は抑えられた。7月のユーロ圏M3は前年比5.3%増と市場予想を上回る伸び。ECBによるテーパリングを意識させる内容と言えたが、欧州株は大きく反発し、米債利回りは短期債中心に下値の堅い動きとなり、ユーロドルはドル買い優勢の動きが続いた。

 一方、ドル円は取引序盤に120円台前半から120円台半ばに上昇する場面もあったが、その後は120円台前半で上値が抑えられる動き。カンザスシティ連銀のジョージ総裁は、一部メディアとのインタビューで現時点では経済動向をめぐる私自身の判断を変えるようなものは見当たらないと発言。ただ9月のFOMCでは、出席者の考えがどのようなものであるか様子を見ることになるだろうと述べ、9月の利上げ開始にやや慎重な姿勢をしめした。この日発表される米経済指標の結果を見極めたいとの思惑もあって、ドル円は様子見姿勢が強まった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年8月27日)

 新興国通貨は原油先物価格の上昇を受けてRUBなど資源国通貨が対ドルで上昇。一方、東欧通貨はユーロの下落を背景に対ドルで下落した。

 PHPは対ドルで変わらず。第2四半期のフィリピンGDPは前年比5.6%増と市場予想を小幅下回ったものの、前期から加速。個人消費が同6.2%増と3期連続で加速したほか、投資が17.4%増と急増した。

 THBは対ドルで0.2%の下落。7月のタイ貿易収支(通関ベース)は7.7億ドルの黒字と市場予想上回る黒字。輸入が前年比12.73%増と市場予想を小幅上回る落ち込みとなった一方で、輸出は同3.56%減と市場予想ほど落ち込まなかったことで黒字が拡大した。

 BRLは対ドルで1.3%の上昇。8月のブラジルFGV建設コストは前月比+0.80%と市場予想や前月を上振れ。7月のブラジル中央政府財政収支は72億レアルの赤字と市場予想を上回る赤字となると、BRLはやや売られた。

 MXNは対ドルで0.9%の上昇。7月のメキシコ貿易収支は22.7億ドルの赤字と市場予想を大きく上回る赤字。輸出が前年比2.6%減と再び前年割れとなったことが響いた。

 ZARは対ドルで0.4%の下落。7月の南アフリカPPIは前年比+3.3%と市場予想に反し、前月から鈍化した。

 RUBは対ドルで4.1%の上昇。8月21日時点のロシア金・外貨準備高は3646億ドルと3週連続で増加した。

スペイン東部のブニョールで毎年恒例のトマト投げ祭り「ラ・トマティーナ」が行われ、国内外から集まった観光客ら数万人が熟れすぎたトマト170トンを投げ合ったそうです。後片付けが大変そうですね。

2015年8月27日木曜日

大きく低下していない9月の米利上げ開始の可能性

 市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが始まるとの見方が後退しているようだ。FF金利先物市場から算出される9月FOMCでの利上げ確率は、先週月曜日(8月17日)の48%から、昨日(26日)には24%に低下。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、昨日の講演での質疑応答で、年内に利上げが可能になることを希望するとしながらも、9月の利上げ開始の可能性は依然に比べ説得力を欠くとの見方を示したことも響いているのかもしれない。

 市場が9月の利上げ開始期待を後退させている最大の理由は、金融市場の混乱。先週初めに17500ドル台で推移していたダウ工業株30種平均は、週明けの24日に一時15370ドルと2000ドル以上も下落。米10年債利回りは、一時1.90%ちょうど近辺と、4月27日以来の低水準に急低下した。こんな状況では、利上げに前向きなFRBイエレン議長も利上げ開始に躊躇し、FOMCでは利上げを見送るとの見方がもっともらしく見える。

 ただ金融市場が混乱している間も、米経済指標は米国景気が底堅さを増していることを示している。7月の米住宅着工件数は120.6万戸と市場予想を上回り、2007年10月以来の高水準。同月の米中古住宅販売件数は559万戸と、こちらは2007年2月以来の高水準を記録した。昨日発表された7月の米耐久財受注は前月比2.0%増と、前月に4.0%増となったにもかかわらず2カ月連続のプラス。GDP算出に用いられるコア資本財出荷は同0.6%増と同じく2カ月連続のプラスとなり、第3四半期の米GDP成長率が前期に続き堅調に推移するとの期待を高めた。

 FRBイエレン議長が議会証言などで繰り返し表明しているように、利上げ開始のタイミングは米雇用ならびに景気の状況次第。米景気に変調の兆しが見られないのであれば、利上げ開始のタイミングにも大きな変化がないとみるのが自然となる。

 利上げ開始のタイミングを見定める上でもう一つの重要なポイントである米国の雇用環境にも大きな変化は見られない。8月15日の週の米新規失業保険申請件数は27.7万件と、市場予想(27.0万件)や前週(27.3万件)を超え、1973年11月24日週以来の低水準となった7月18日週から4週連続で増加。しかし8月の米雇用統計のサンプル週に該当する8月15日の週の水準は、前月の同時期にあたる27.8万件よりは低水準。9月4日に発表される8月の米雇用統計は、7月と同様に底堅い結果になるとの見方が強まっている。

 もちろん、たとえ8月の米雇用統計が底堅い結果に終わったとしても、市場は9月のFOMCまで慎重な見方を続けるだろう。昨日のダウ工業株30種平均は16285.51ドルと、前日から4%(619.ドル)も上昇した。しかし昨日の日中高値や終値は、前日(25日)の高値を越えられず、チャート上では米国株の下落トレンドが続いた格好のまま。米国株の先行き懸念が続く中、9月のFOMCで利上げ開始が決まると、米国株が再び大きく売られるとの見方も成り立つ。

 しかし米国債市場は、米国株と違い一時期のような混乱から立ち直りつつある。昨日の米10年債利回りは2.175%と、先週初め(17日)の水準近くまで上昇。同国2年債利回りも0.672%と先週初めの水準(0.706%)まで戻していないものの、今週記録した最低水準(0.535%)からは大きく反発している。原油先物価格は、先週初めの42ドル台から38ドル台まで低下したことも考えると、米国債市場は9月の利上げ開始の可能性を捨てていないと推察される。

 ニューヨーク連銀のダドリー総裁も、昨日の講演で9月の利上げ開始の可能性が低下した背景として金融市場の混乱を指摘した。言い換えれば、金融市場の混乱が収束に向かえば、以前と同じように9月の利上げ開始に前向きな姿勢を示すと予想される。

為替が経済に与える影響

 世界各国の政府・中央銀行の要人たち(以下、政府・中銀とします)の間では、為替レートの水準に関してコメントを出したり、為替レートを都合よく動かそうとすることが、マナーに反することであるとされています。たとえば、サミットなどと呼ばれる世界の要人たちが集まる場では、声明文の中で、「為替レートの動きは市場に委ねられるもの」などと書かれることが慣例となっています。為替レートは、二つの国・地域の通貨の交換比率ですから、為替レートが変わることは、自分の国だけでなく、他の国にも何らかの影響を及ぼすことになるからです。

 しかし、建前ではともかく本音の部分では、どんな国であれ、政府・中銀は為替レートに対し強い興味を持っています。為替レートは、その国の貿易だけでなく、景気、物価などを変え、最終的には、その国の国民生活に大きな影響を及ぼすからです。

 たとえば、1ドル=100円だったドル円レートが、ある日、1ドル=200円に変わった、つまり円安になった場合を考えてみましょう。この場合、日本の輸出企業は利益が増えると期待できます。輸出される製品(たとえばリンゴ)の価格がドル建て(1個1ドル)だとすると、円建てでみた価格は、以前の価格(100円)の2倍(200円)に変わるからです。製品(リンゴ)を作るコストは急には変わりませんから、価格が2倍に上がった分の多くは、そのまま日本の輸出企業の利益となります。

 日本の輸出企業の採算性が改善したり、輸出される製品の販売額が増えれば、日本の輸出企業の利益も増えることになります。利益の一部は、日本の輸出企業で働く人々のボーナスや賃上げに回ることも考えられます。

 一方で日本の輸入企業の採算性は大きく悪化します。ドル建てでみた輸入製品の価格は、為替レートが変わる前と変わった後とでは同じでしょうから、円建てでみた価格は以前の2倍となってしまいます。輸入された製品を日本で販売する時の価格は、(為替レートが変わったからといって急に変えられるわけではありませんから)同じであるとすると、仕入価格(輸入製品の価格)が2倍に上がった分のほとんどは日本の輸入企業の損になります。輸出の場合の逆のことが起きるわけです。

 日本の輸入企業の中には、円建てでみた輸入製品の価格が、円安によって上がってしまったため、日本で販売する時の価格を引き上げるところも出てくるでしょう。ただ、価格が上がってしまえば売れ行きが以前よりも悪くなるでしょうから、たとえ日本で販売する時の価格を引き上げたとしても、全体の販売額は以前に比べ減ってしまうと考えられます。

 円安によって日本に輸入される製品の価格が上がるということは、輸入製品と競合する国産製品の立場が以前よりも有利になることも意味します。為替レートが変わったからといって、日本国内での製品そのものに対する需要(ニーズ)が急に変わることはないでしょうから、日本での販売価格が上がったことで輸入製品の売れ行きが悪くなる代わりに、国産製品の売れ行きは良くなるでしょう。国産製品を作る日本企業は、以前に比べ忙しくなり、企業で働く人々の残業代が増えたり、国産製品を作る日本企業がより多くの人を雇うことが期待されます。

 ただ円安は良いことばかりではありません。日本の物価は以前に比べて上がる傾向が強まり、消費者は以前と同じ買い物であっても、より多くのお金を用意する必要があります。

 特に原油を始めとする天然資源の価格は、円安と同じ(1ドル100円が200円に2倍となる)ほどではないにせよ、他の商品に比べ価格が大きく上がる可能性があります。日本は天然資源の多くを輸入に頼っているため、輸入価格が上がったからといって天然資源を輸入から国産に切り替えることが非常に難しく、円安による価格の上昇分を販売価格に反映させても、短期間で売れ行きが大きく落ち込むことは考えにくいからです。原油価格が上がれば、ほぼ自動的に電気やガスの料金も上がります。

 また日本は小麦や果物、乳製品、肉・魚といった食料品でも多くを輸入に頼っています。円安によってスーパーや商店街での普段の買い物でもより多くのお金を支払うことになります。人々は食べていかなければ生きていけませんから、円安であろうと何であろうと、価格が上がったとしても食料品を買わざるを得ません。

 為替レートが円安ではなく円高に変わった場合は、円安とは逆のことが起こります。日本の輸出企業の採算性は悪くなる一方、輸入企業の採算性は良くなります。輸入製品と競合する国産製品の立場は、以前よりも価格面で不利になりますので、国産製品を作る日本企業も時間とともに採算性が悪くなると考えられます。

 ただ物価は以前に比べ下がりやすくなるでしょう。特に原油などの天然資源や輸入品の割合が高い食料品の価格は円高によって下がることになります。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年8月26日)

 8月26日のロンドン市場は、ドルが対欧州通貨中心に上昇した。ユーロドルは1.15ドルちょうど近辺から1.14ドルちょうど近辺に下落。ECBのプラート専務理事は世界経済と商品市場の動向により、インフレ率を持続的に2%に引き上げる目標が下振れするリスクが増大したと発言。ECB理事会は必要に応じて対策を講じる意欲と能力があり、これに関してあいまいな部分はないと言明し、資産買い入れプログラムは規模や仕組み、期間について十分な柔軟性を備えていると述べ、同プログラムを強化する用意があることを表明した。

 ポンドドルは1.57ドルちょうど近辺から1.55ドル台後半へと大きく下落。7月の英BBA住宅ローン承認件数は4.6万件とほぼ市場予想通りで7カ月連続の増加。8月の英CBI小売売上調査は+24と市場予想に反し前月から上昇。いずれも英利上げ期待をサポートする結果となったが、ポンドはユーロと連れ安となる形で対ドルでの下落基調が続いた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年8月26日)

 新興国通貨はEMEA通貨が対ドルで大きく下落。一方、中南米通貨は底堅く推移した。

 KRWは対ドルで0.8%の上昇。8月の韓国消費者信頼感は102と前月から上昇。7月の韓国ディスカウントストア売上高は前年比1.8%減、同月同国の百貨店売上高は同0.7%増と、いずれも大きく減少した前月から持ち直した。

 SGDは対ドルで小幅下落。7月のシンガポール鉱工業生産は前年比-6.1%と市場予想を下回り、6カ月連続の前年割れとなった。

 THBは対ドルで0.2%の下落。7月のタイ自動車販売は前年比12.5%減と前月から減少幅が縮小した。

 BRLは対ドルで0.3%の上昇。7月のブラジルPPPI製造業は前年比+7.62%と5カ月連続で加速し、昨年3月以来の高い伸び。8月のブラジルCNI消費者信頼感は98.9と2カ月連続で上昇した。

 RUBは対ドルで小幅下落。8月24日までの週のロシアCPIは前週比+0.1%となったが、日次平均では前週とほぼ変わらずだった。

ビッグベンの愛称で知られる英国会議事堂の時計台の鐘の音が、毎時最大で6秒遅れていたことが分かったそうです。1週間あたり3回だった定期検査は、週末を含め毎日することにしたとのこと。英国の雇用情勢はさらに改善ですね。

2015年8月26日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年8月25日)

 8月25日のロンドン市場は、中国人民銀行による利下げと預金準備率の引き下げを受けてドル買いの動きが強まった。取引前半のドル円は119円ちょうど近辺から119円台後半に上昇。この日の欧州株は上昇基調で推移し、東京市場では軟調に推移していた米債利回りもロンドン市場では同じく上昇基調で推移。ドル買いの動きをサポートした。ただ取引中盤に入り米債利回りの上昇が一服すると、ドル円は119円台半ば近辺に反落した。

 取引後半に入ると、中国人民銀行は1年物の貸出基準金利と預金基準金利をそれぞれ25bp引き下げ、全ての銀行を対象に預金準備率も50bp引き下げると発表。この発表で欧州株、米国株先物、米国債利回りなどはいずれも上げ幅を広げる動き。ドル円は120円台前半と、この日の高値を更新したが、終盤は120円ちょうど近辺での推移となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年8月25日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。原油価格の反発を受けてRUBやCOPは対ドルで上昇する一方、ユーロの下落に合わせ東欧通貨は対ドルで下落。BRLも軟調な動きとなった。

 BRLは対ドルで1.5%の下落。8月23日までの週のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.67%と市場予想を下回り、4週ぶりの低い伸び。8月のブラジルFGV消費者信頼感は80.6と2005年9月の統計開始以来最低を更新。6月のブラジル全国失業率は8.3%と市場予想通り前月から上昇した。7月のブラジル経常収支は、61.6億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下回る一方、同月同国の海外直接投資は59.9億ドルと市場予想を上振れ。ただBRLの反応は限定的だった。

 MXNは対ドルで小幅上昇。第2四半期のメキシコ経常収支は79.8億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下回り、前期の赤字額も下方修正された。

 PLNは対ドルで0.8%の下落。7月のポーランド失業率は10.1%と市場予想通り前月から低下した。

 CZKは対ドルで1.2%の下落。8月のチェコ企業景況感は13.1と前月から小幅低下。一方、同月同国の消費者信頼感は1.3と前月から変わらなかった。

 ZARは対ドルで0.5%の上昇。6月の南アフリカ鉱物生産量は前年比4.0%増と市場予想を上回る伸びとなったが、その後発表された第2四半期の同国GDPは前年比1.2%増、前期比年率1.3%減と市場予想を大きく下回る弱い伸び。製造業や農業が2期連続のマイナス成長となったことが響いた。

 TRYは対ドルで変わらず。8月のトルコ企業景況感は103.0と前月とほぼ変わらず。同月同国の設備稼働率は74.8%と4カ月ぶりの低水準に低下した。

 HUFは対ドルで1.7%の下落。ハンガリー中銀は市場予想通り政策金利を1.35%で据え置き。同中銀は声明で緩和的な金融政策は必要であり、現在の政策金利水準はインフレ目標に合致したものであると指摘。当面は政策金利を据え置くことを強調した。

 今朝は寒くて起きました。気温もボラが高まっています。

2015年8月25日火曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2015年8月24日)

 8月24日のロンドン市場は、東京市場に引き続き市場のリスク回避姿勢を背景に円買い優勢の展開となった。ドル円は121円ちょうど近辺から取引終盤には119円台半ば近辺に下落。引けにかけて119円台後半に小幅反発したが上値は抑えられた。欧州株は軒並み3%を超える下落。日経平均先物も取引後半から下げ幅を広げ、終盤には1万8千円割れ。米債利回りは下げ渋る動きとなったものの、ドル円は下落基調での推移が続いた。

 ユーロドルは1.14ドル台半ば近辺から取引終盤に1.15ドル台半ば近辺と1月22日以来の高水準に上昇。引けにかけては1.15ドル台前半で下値の堅い動きとなった。この日はユーロ圏主要国で主だった経済指標の発表がなく、市場の注目が他金融市場の動向に集まりやすい状況。欧州株が売り先行の展開となり、ユーロのショートポジションを解消する動きが続いた。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2015年8月24日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。ユーロと連れ高となる格好で東欧通貨が対ドルで1%超の上昇となる一方、COP、RUBなど資源国通貨は対ドルで1%を超える下落となった。

 BRLは対ドルで1.7%の下落。8月23日までの週のブラジルIPC-Sは前月比+0.27%とほぼ市場予想通りで前週から鈍化。ブラジル中銀の週次サーベイでは年末までのUSD/BRL見通しが3.50に上方修正。成長率見通しや鉱工業生産見通しも小幅ながら下方修正された。8月23日までの週のブラジル貿易収支は7.0億ドルの黒字と前週を小幅上回る黒字を記録。貿易収支の改善傾向を示した。

 MXNは対ドルで1.2%の下落。8月上旬のメキシコCPIは前年比+2.64%と市場予想を小幅下回り、過去最低の伸びを更新した。

 CLPは対ドルで0.6%の下落。7月のチリPPIは前月比-2.8%と2カ月連続のマイナスとなった。

 COPは対ドルで4.0%の下落。USD/COPは3230台に上昇。年初からの下落率は26.6%に達した。7月のコロンビア小売業信頼感は18.2と3カ月ぶりの低水準。同月同国の鉱工業信頼感は0.1と前月から変わらなかった。

 ILSは対ドルで1.0%の上昇。7月のイスラエル失業率は5.3%と上方修正された前月と変わらず。イスラエル中銀は大方の予想通り政策金利を0.10%で据え置き。ILSは金利据え置きの発表直後、急落したが、すぐに買い優勢の動き。その後は底堅い動きが続いた。

 いつも使っているドル円チャートの目盛りが1円刻みになっていたので、パソコンが壊れたかと思いました。

2015年8月24日月曜日

新興国通貨売りの流れに飲み込まれそうなポーランド・ズロチ(PLN)

 堅調に推移してきたポーランド景気に減速の兆しがみられるようになってきた。第2四半期GDPは前年比3.3%増と前期から鈍化。需要項目別データは公表されていないものの、個人消費と設備投資は前期から減速したと思われる。

 減速の兆しは7月の経済指標でも確認できる。7月の鉱工業生産販売は前月比1.3%減と2カ月ぶりの減少。同指標は3月に前月比13.4%増と急増したが、その後は伸び悩みの様相を強めている。同月の建設売上高は前月比0.1%減と2カ月連続のマイナス。小売売上高は同2.1%増と2カ月連続で加速したが、市場予想を大きく下回っている。

 これまで実質所得を押し上げてきた小幅なディスインフレも、これからは解消する見込みである。7月のCPIは前年比-0.7%と市場予想に反し5カ月連続で落ち込み幅が縮小。今後は原油安による物価押し下げ効果が剥落するため、CPIはプラス圏に浮上すると思われる。

 5月に実施されたポーランド大統領選では、決選投票の結果、最大野党「法と正義」のドゥダ氏が勝利。最近の支持率調査によると、法と正義が30%台半ばと、与党「市民プラットフォーム」(20%台前半)をリードしており、10月に予定されている総選挙でも法と正義が勝利するとの見方が強まっている。

 法と正義は、市民プラットフォームに比べ大衆迎合(いわゆるポピュリスト)姿勢が強く、ドイツを中心としたEUに対し懐疑的。総選挙でも法と正義が勝利すれば、市民プラットフォームが進めてきた財政改善や親EU姿勢が一転する可能性が高くなる。

 PLNは8月に入り対ドルで上昇基調での推移。新興国通貨売りの流れが強まった本日(8月24日)でもPLNは上昇。対ドルでは一時3.68台と6月23日以来のPLN高水準を記録した。しかし足元のように、市場のリスク回避姿勢に大きな変わりがなく、ポーランドの景気や政局に対する先行き不透明感が強まれば、PLNの売り圧力が強まると考えるのが自然だろう。

 USD/PLNの上(PLN安方向)の節目は、年初の高値(3.968近辺)から安値(3.522近辺)の50%戻し水準である3.745台と61.8%戻し水準である3.798台近辺と思われる。