2016年3月18日金曜日

チャートとは

 チャートとは、為替レートの過去の動きを記したグラフのことです。通常、グラフの横軸に時間を示し、縦軸に為替レートの水準を示します。

 チャートの横軸では一定の期間で目盛りがふられています。多く使われる期間は、1分、5分、15分、30分、60分、1日、1週間、1カ月です。そして使われる期間によってチャートには名前がつけられています。たとえば1分ごとに為替レートの動きを示すチャートは「分足(ふんあし)」、1日ごとのチャートは「日足(ひあし)」、1週間の場合は「週足(しゅうあし)」、1カ月の場合は「月足(つきあし)」と呼ばれます。縦軸には為替レートが示されます。

 チャートをみると、為替レートが過去にどのように動いたかがよくわかるほか、今後どのように動くかを考えるヒントが得られます。

 たとえば、チャートで為替レートが上昇を続けていることが分かったとします。このチャートをみることで、これまで上昇が続いているのだから、今後も当分は上昇が続くだろう、と考える人が多くなるかもしれません。逆に、上昇が長く続いているから、しばらくしたら今度は為替レートが下落するかもしれない、と考える人が増えるかもしれません。

 チャートを根拠とした為替の取引は、為替取引の必要にもとづく実需取引ではありませんので、投機の一つと言えます。そして、ここでは、チャートを根拠とした為替の投機取引を「値動き期待」と呼ぶことにします。

 為替や株式などの金融市場での取引では、チャートから今後の値動きを予測する方法として「テクニカル分析」と呼ばれる方法が使われています。

 チャートはあくまで為替の過去の値動きを示すだけですが、誰が見ても過去の値動きは同じです。しかし今後の値動きについては、過去の値動きの解釈の違いによって、見方や予想が異なってしまいます。しかしテクニカル分析の方法は数多くありますが、代表的なものは為替取引をする市場参加者の間でよく知られています。このためテクニカル分析から得られる予想は、市場参加者の間である程度、共有されることになります。結果として、チャートで示される為替レートの値動きが、投機取引をする市場参加者の思惑を刺激し、為替レートの値動きに影響を与えることも珍しくありません。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月17日)

 3月17日のロンドン市場は米債利回りの低下を背景にドルが下落基調で推移した。ドル円は112円ちょうど近辺から下落基調で推移し、取引後半には111円台前半での推移。取引終盤には110円台後半と2014年10月末以来の低水準に下落した。プラスで始まったドイツ株はすぐにマイナス圏に落ち込み、その後も下落基調で推移。ドル円の重石となった。

 ユーロドルは取引後半まで上昇基調が続き、1.12ドル台前半から1.13ドル台半ば手前へと2月11日以来の高水準に上昇。1月のユーロ圏貿易収支(季調値)は212億ユーロの黒字と黒字額が市場予想を上振れ、前月分は225億ユーロの黒字と過去最高水準に次ぐ大きさに上方修正。同時に発表された2月の同圏CPI(確定値)は前月比+0.2%と市場予想を上回り、前月の同-1.4%から反発。ユーロ買いの動きをサポートした。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月17日)

 新興国通貨は対ドルで上昇。原油先物価格の上昇と米債利回りの低下が新興国通貨買いの動きをサポートした。

 SGDは対ドルで1.1%の上昇。2月のシンガポール輸出(除く石油)は前年比2.1%増と市場予想に反し5カ月ぶりの前年比プラス。ただ電子機器輸出は同0.7%増と市場予想に反し伸び悩んだ。

 IDRはBloombergによると対ドルで1.3%の上昇。インドネシア中銀は市場予想通り政策金利を25bp引き下げ6.75%にすると発表。中銀貸出金利、同預金金利もそれぞれ25bp引き下げられた。同中銀は声明で今回の利下げはインフレ圧力の低下に沿ったものだと説明。今後は追加利下げにより慎重になるとの見方を示した。また今年のGDP成長率は5.2~5.6%、インフレは3~5%になるとの見通しを示した。

 BRLは対ドルで2.8%の上昇。ブラジルのルセフ大統領は大規模汚職への関与が疑われているルラ前大統領を官房長官に起用すると発表。ルラ氏を閣僚の地位につかせることで捜査をかわす狙いがあるとの見方が有力視されている。

 COPは対ドルで2.8%の上昇。1月のコロンビア貿易収支は15.2億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下振れ。輸入が前年比28.0%減と市場予想を上回る落ち込みとなり貿易赤字を抑制した。

 PLNは対ドルで1.1%の上昇。ポーランド中銀は会合議事録(3月11日結果発表分)を公表。一部委員は金利据え置きでショックに対応する余地が生まれると主張。しかしデフレが強まれば、利下げは排除しないとの見方も示された。2月のポーランド鉱工業生産販売は前年比+6.7%と市場予想を上振れ。一方、同月同国の建設業生産高は同10.5%減と市場予想を上回る落ち込み。同月同国のPPIは同-1.4%と市場予想を上回る低下。同月同国の小売売上高は同3.9%増と市場予想を上回った。

 RUBは対ドルで1.5%の上昇。2月のロシア鉱工業生産は前年比+1.0%と市場予想に反し、昨年1月以来の前年比プラスを記録。3月11日のロシア金・外貨準備高は3811億ドルと前週から増加した。

 ZARは対ドルで3.4%の上昇。南アフリカ中銀は政策金利を25bp引き上げ7.00%にすると発表。同中銀のクガニャゴ総裁はZAR安の物価への影響(パススルー)が強まっている証拠があると発言。インフレは2017年第3四半期には目標レンジに戻るとの見方を示した。ZARは依然としてボラタイルであり、国内外イベントに脆弱であると指摘。食品とZARがインフレリスクの主因であるとも指摘した。なお今回の利上げ決定は賛成3反対3の投票の末決定。反対3名は金利据え置きを主張した。

マスクネタは、もういいです、というメールが届きました。

2016年3月17日木曜日

金融政策限界論の広がりがドル反転のタイミングか

最近になって金融政策の限界を指摘する声が広がっているように感じる。スイス中銀のジョルダン総裁は、2月下旬の講演で金融政策の選択肢が無限にあるわけではないとし、金融政策措置の効果は導入期間と度合いにより徐々に薄れていくと発言。マイナス金利といった非伝統的な金融政策には限界があり、継続的に評価を続けていく必要があるとの認識も示した。

2月末に上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は共同声明で、債務残高対GDP 比を持続可能な道筋に乗せることを確保しながらも、経済成長、雇用創出及び信認を強化するため機動的に財政政策を実施すると明言。一方で金融政策のみでは、均衡ある成長に繋がらないだろうと指摘した。

コロンビア大のスティグリッツ教授は昨日(3月16日)、安倍首相や政府関係者と世界経済情勢について意見を交わす「国際金融経済分析会合」にて、日本景気低迷の原因は総需要の不足によるもので、日銀などの金融政策には限界があると指摘した。

為替市場は、こうした声を意識してか、中央銀行の金融政策の意図とは逆の動きを示している。欧州中央銀行(ECB)は3月10日の定例理事会で追加緩和を決定。しかしユーロは、ECBドラギ総裁の会見中に上昇基調に転じ、ユーロドルは1.12ドルちょうど近辺と約1カ月ぶりの高値に上昇した。

日本銀行は15日、金融政策決定会合でマイナス金利付き量的・質的金融緩和の継続を決定。声明文では、前回会合と同様に、必要な場合には「量」・「質」・「金利」の3つの次元で追加的な金融緩和を講ずると明言。日銀の黒田総裁は、金融政策決定会合後の会見で、金融政策の効果がフルに分かるまで常に待っていなくてはいけないものでもないと述べ、今後の追加緩和に前向きな姿勢を示した。しかしドル円は、日銀の声明発表後に114円ちょうど近辺から下落基調で推移。黒田総裁の会見が終了する頃には113円ちょうど近辺まで下落した。

米連邦準備理事会(FRB)は日本時間17日早朝に米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を発表。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を据え置くなど金融政策の現状維持を決定した。声明では、米国の経済活動が「最近の世界経済・金融動向にもかかわらず」緩やかなペースで拡大していると指摘。労働市場は力強さをさらに増したと評価され、インフレはエネルギー・輸入物価下落による一時的な影響が剥落し、労働市場がさらに力強さを増せば、中期的には2%の目標に達するとの見方も維持された。しかしドル円は、声明発表後に113円台後半から112円台半ば近辺に下落。翌東京市場では午後に入りドル円の下落基調が再開。ロンドン市場に入るとドル円は111円台半ばと2月24日以来の安値に下落。ユーロドルは1.13ドルちょうど近辺と2月12日以来の高値に上昇した。

こうした市場の反応を見ると、金融政策の限界論がもっともらしく思える。明日以降もメディアでは、金融政策限界論がキャッチーな言葉として重宝されるだろう。しかしユーロ圏、日本、米国の金融政策当局者が、こうした限界論を素直に甘受するとは考えにくい。

ユーロ圏、日本の両中央銀行がともにデフレ脱却を目指している以上、リスクを承知で思考錯誤しながらも金融緩和を強化するのは自然の流れ。一方、米国では景気拡大が今年3月で81カ月目と、第二次大戦後の平均拡大期間(58カ月)を優に超えたまま。FRBとしては、中央銀行の本能として、次なる景気後退に備え、今のうちから少しでも利下げ余地を確保したいと考えても不思議ではない。
ユーロ圏や日銀が追加緩和を、FRBが利上げを、それぞれ続ける意向である以上、米国への資本流入が強まるのは避けられない。金融政策の限界論というフレーズが今後も世の中に広がるだろうが、ドルはその時こそ底固さを増すのではないだろうか。今後も労働市場の拡大を通じ、米景気の堅調地合いが続けば、6月FOMCでの追加利上げが視野に入る。ドル円は足元の上値の目途となっている114円を上抜け、早ければ夏場にも116~120円のレンジに移行すると予想される。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月16日)

 3月16日のロンドン市場は取引序盤に円が小幅下落し、その後、ユーロも小幅下落するなど、ドル買い優勢の動き。ただ中盤以降はドルがやや軟調になるなど、総じてみれば主要通貨は方向感に欠ける動きとなった。

 ドル円は取引序盤に113円台前半から113円台後半に上昇。ドイツ株は上昇して始まり、米債利回りも底堅い動き。ドル円の上昇をサポートした。ただ、その後、ドイツ株は上げ幅を縮め、米債利回りは上値が重くなる動き。ドル円も上値が重く、終盤は113円台半ば近辺での推移となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月16日)

 新興国通貨は対ドルで買い優勢。米債利回りの低下や原油先物価格の上昇が新興国通貨をサポートした。

 KRWは対ドルで0.5%の下落。2月の韓国失業率は4.1%と市場予想を大きく上回り、2010年2月以来の高水準。韓国景気の減速を示唆した。

 BRLは対ドルで0.6%の上昇。3月のブラジルIGP-10は前月比+0.58%とほぼ市場予想通りで前月から鈍化。3月のブラジルCNI産業信頼感は37.4と前月とほぼ同じだった。

 CZKは対ドルで1.0%の上昇。2月のチェコPPIは前年比-4.0%と市場予想を上回る落ち込みとなった。

 ZARは対ドルで1.7%の上昇。1月の南アフリカ小売売上高は前年比3.1%増と市場予想を小幅下回り、4カ月ぶりの低水準を記録した。

 PLNは対ドルで1.1%の上昇。2月のポーランド雇用は前年比2.5%増と市場予想を上回り、2011年11月以来の高い伸び。同月同国の平均賃金は同3.9%増と市場予想通り。コアCPIは同-0.1%と市場予想に反し前年割れを続けた。

 RUBは対ドルで2.7%の上昇。3月14日のロシアCPIは前週比+0.1%と前週から鈍化した。

近所の子供に「マスクのおじさん」と呼ばれたことがあります。

2016年3月16日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月15日)

 3月15日のロンドン市場は円が底堅く推移。ドル円は取引前半に113円台前半から113円ちょうど近辺に下落。中盤以降は113円ちょうど近辺での小動きを続けた。寄り付きに下落したドイツ株は、その後もマイナス圏での推移。米債利回りは原油安を背景に低下基調で推移。日銀の追加緩和見送り観測もあってドル円は上値の重い動きが続いた。

 ユーロドルは1.11ドルちょうどを挟んで方向感に欠ける動き。昨年第4四半期のユーロ圏雇用は前年比1.2%増と前期から小幅加速し、2008年第2四半期以来の高い伸び。1.10ドル台後半に下落していたユーロドルは、これを受けて1.11ドルちょうど近辺に反発した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月15日)

 新興国通貨は対ドルで下落。昨日に引き続きZARとBRLの下げが目立った。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.9%の下落。2月のインドネシア自動車販売は前年比0.6%減と、前年比プラスを記録した2014年8月以降、減少率が最も小幅となった。

 INRは対ドルで0.4%の下落。2月のインド貿易収支は65.4億ドルの赤字と赤字額が市場予想を小幅下振れ。輸出前年比5.7%減、輸入が同5.0%減といずれも前月から減少率が縮小した。

 BRLは対ドルで2.7%の下落。12月のブラジル失業率は9.0%と市場予想に反し前月から変わらず。現地メディアはルラ前大統領が入閣する見込みと報道。ブラジルのクーニャ下院議長は、最高裁がルセフ大統領の弾劾手続きに関し新たな指針を提示すれば、迅速に手続きを進めると発言。先週末に過去最大規模となった全国的な反政府デモをきっかけにルセフ大統領への支持を見直す議員が増える可能性が高いとの報道もあった。

 PENは対ドルで0.7%の下落。1月のペルー経済活動は前年比+3.4%と市場予想を下回り、3カ月ぶりの低い伸び。2月の同国失業率は6.9%と市場予想を下回ったが、前月から上昇した。

 PLNは対ドルで0.3%の下落。ポーランド中銀は経済見通しを公表。今年の成長率見通しは3.8%増と従来の3.3%増から上方修正。一方、インフレ見通しは前年比-0.4%と従来の+1.1%から大きく下方修正された。1月のポーランド経常収支は7.6億ユーロの黒字と黒字額が市場予想を上振れ。2月の同国CPIは前年比-0.8%と市場予想を上回る落ち込み。前月分も同-0.9%に下方修正された。

 CZKは対ドルで小幅上昇。1月のチェコ建設業生産は前年比10.4%減と2013年11月以来の大幅減。同月同国の鉱工業生産は前年比+1.0%と2カ月連続で低い伸び。同月同国の経常収支は323.6億コルナの黒字と黒字額が市場予想を上回り、過去最高を記録した昨年2月に次ぐ高水準となった。

 TRYは対ドルで1.0%の下落。12月のトルコ失業率は10.8%と市場予想を下回ったが、前月からは上昇。2月の同国中央政府財政収支は24.2億リラの黒字と前年同月の赤字から黒字に転換した。

 ILSは対ドルで小幅下落。2月のイスラエルCPIは前年比-0.2%と低下率が市場予想を小幅下回った。

花粉症対策でマスクをしたまま顔を洗ったことは1回しかありません。

2016年3月15日火曜日

テクニカルとは

 テクニカルとは、為替レートの過去の値動きに注目し、過去の値動きから今後の値動きを予想することです。テクニカルでは、実需期待のように実需の変化を考えることはしません。あくまで為替レートの過去の値動きだけを判断の根拠とします。

 テクニカルにはいくつかの考え方が基礎となっています。
 一つは過去の値動きがもっとも重要である、という考え方です。過去の値動きは、どれも通貨の買い手と売り手が為替取引をした時の価格を示しています。買い手も売り手もいろいろな理由で為替取引をしたのでしょうが、その根拠や理由などはいくら推測しても最後まで不確かな部分が残ってしまいます。むしろ、そうした不確かな部分は気にせず、確実な事実である値動きだけに注目し、そこから得られる結論の方が将来の値動きを予想するうえで有効である、という考え方がテクニカルにはあります。

 テクニカルには、過去は繰り返される、という考え方も基礎となっています。過去であれ現在であれ、為替取引をするのは人間ですから、過去に起こったことは、その後もある程度同じような形で繰り返される、と考えることもできます。テクニカルの中には、過去にみられたいくつかのパターンが今後も繰り返される、という考えから今後の値動きを予想する方法もあります。

 しかし、テクニカルのこうした考え方には否定的な見方もあります。実需は為替取引の必要があり、実需期待は実需に働きかけることから、どちらも通貨の需要を変え、最終的には為替レートに大きな影響を与えると考えられます。

 一方、テクニカルは為替レートの過去の値動きを根拠としているだけですから、為替取引の必要性に関係なく、実需に影響を与えるわけでもありません。このため、一部の方からは、テクニカルの有効性を否定する見方も出されています。

 しかし為替市場の市場参加者のほとんどは、チャートと呼ばれる為替レートの過去の値動きを記したグラフをみて、過去の値動きを確認しています。またテクニカルに関するノウハウは、世界各国に普及しており、差こそあれ、市場関係者の多くはテクニカルに関する知識を持っています。チャートは、経済指標と同じように誰がどこで見ても同じものであり、そのチャートを対象としたテクニカルに関するノウハウも広く共有されているわけですから、チャートから予想される為替レートの先行きに関する結論は、ある程度、同じものになると考えられます。

 テクニカルを通じて、市場参加者の多くが為替レートの先行きについて同じことを考えるのであれば、その考えを先回りすることで利益を得ることができると考えられます。こうしたことからテクニカルは為替の投機取引において重要な役割を果たすと考えられます。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月14日)

 3月14日のロンドン市場はドルが対欧州通貨を中心に底堅く推移する展開となった。ユーロドルは取引前半に1.11ドル台半ば近辺から1.11ドル台前半に下落。原油先物価格はイランが増産凍結案に従わない方針を示したことで下落。米債利回りは短期債が低下したが、長期債は下値の堅い動き。一方、ドイツ債は小幅ながら低下し、ユーロドルを下押しした。取引中盤のユーロドルは1.11ドル台前半で推移。1月のユーロ圏鉱工業生産は前年比+2.8%と市場予想を上回り、ユーロをサポートした。しかし取引後半に入ると米短期債利回りの反転上昇を受けてユーロドルはドル買い優勢。終盤には1.11ドルちょうどに下落した。

 ドル円は概ね113円台後半で方向感に欠ける動き。中盤に一時113円台半ば近辺に下げる場面もあったが、後半には盛り返した。ドイツ株は大きく上げて始まり、その後もプラス圏で推移。ドル円を下支えした。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月14日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。ZAR、BRLの下げが目立った。

 KRWは対ドルで0.6%の上昇。2月の韓国輸出物価は前年比-2.0%と低下率が前月から小幅拡大。一方、輸入物価は同-7.4%と比較的大きな低下が続いた。

 INRは対ドルで小幅下落。2月のインドWPIは前年比-0.91%と低下率が市場予想を上回り、前月並みの落ち込み。同月同国のCPIは前年比+5.18%と市場予想を下回り、4カ月ぶりの低い伸びに鈍化した。

 BRLは対ドルで1.7%の下落。ブラジル中銀の週次サーベイでは今年末時点の見通しでインフレ、USD/BRLの両見通しがともに下方修正。1月のブラジル経済活動指数は前年比-8.12%と過去最大の落ち込み。3月13日までのブラジル貿易収支は20.7億ドルの黒字と黒字基調を維持した。現地メディアは、ルセフ大統領が検察当局に一時拘束されたルラ前大統領から大臣ポストを受け入れる電話を待っていると報道。仮にルラ前大統領が大臣職につくとルセフ大統領の弾劾手続きが一時休止となるとも報じられた。

 COPは対ドルで小幅下落。1月のコロンビア小売売上高は前年比2.2%増と市場予想に反し前月より加速。同月同国の鉱工業生産は同+8.2%と市場予想を上回り、2014年3月以来の高い伸びに加速した。

 CZKは対ドルで0.4%の下落。1月のチェコ小売売上高は前年比5.5%増と市場予想を下振れ、5カ月ぶりの低い伸びとなった。

 PLNは対ドルで小幅下落。2月のポーランドM3は前年比10.0%増と市場予想通り、前月並みの伸びを維持した。

 ZARは対ドルで2.0%の下落。一部メディアは南アフリカのゴードハン財務相が税務当局に対する捜査の一環で警察からの嫌がらせに悩んでいると報じた。

花粉症対策でマスクをしていることを忘れてコーヒーを飲んでしまいました。

2016年3月14日月曜日

上昇継続は期待しにくいブラジル・レアル(BRL)

 ブラジル・レアル(BRL)が1月下旬から堅調に推移している。年初来の対ドル・パフォーマンス(先週末時点)は、10.6%と新興国通貨でトップ。上昇率では二位のインドネシア・ルピア(5.5%)、三位のロシア・ルーブル(5.3%)を大きく引き離している。USD/BRLは3.58台と、昨年8月末以来のBRL高水準に低下した。

 BRL買いの材料とされているのが、ブラジルの政権交代期待。ブラジル・サンパウロ州検察局は、3月9日、マネーロンダリングなどの容疑でルラ前大統領の訴追手続きを開始した。ルラ氏は、汚職問題への関与の可能性で4日に連邦警察に拘束されたばかりだった。ルラ氏はルセフ現大統領の後ろ盾とも言われていることもあり、同氏のスキャンダルがルセフ大統領の退陣要求運動を刺激。昨日(13日)には、ルセフ大統領の退陣を求める大規模なデモがブラジル全土で発生し、現地メディアは参加者が350万人程度になったと報じた。

 ルセフ大統領は議会に弾劾請求が提出されており、現在は最高裁が過程を審査。ルセフ大統領が所属する労働党と連立を組むブラジル民主運動党(PMDB)は12日、連立を維持するかどうかを今後30日以内に決める方針を示しており、仮に連立解消となれば、与党は過半数割れとなり、弾劾請求の行方の不透明感が強まる。

 対外収支の改善が続いていることもBRLの買い戻しに貢献しているようだ。1月のブラジル経常収支は48.2億ドルの赤字と、赤字額が前年同月の121.7億ドルから60%超も縮小。2月の同国貿易収支は30.4億ドルの黒字と、前年同月の28.4億ドルの赤字から黒字に転換。貿易黒字は12カ月連続となった。

 高止まりしているインフレにも(ようやく)改善の兆しが見られるようになった。2月のIPCAは前年比+10.36%と5カ月ぶりに前月から鈍化。週次のFIPE・CPIは前月比+0.80%と昨年10月第10週以来の低さに鈍化した。

 しかしブラジルのファンダメンタルズが大きく改善しているとは言い難く、今後もBRLの上昇が続くと期待することは難しいように思える。ブラジル景気は回復の見込みが立たないままで、ブラジルの財政悪化から追加格下げリスクも高いからだ。

 1月のブラジル失業率は7.6%と前月の6.9%から大きく上昇。依然として2010年春程度の高水準で推移している。実質賃金は前年比1.5%程度と弱い伸び。1月の鉱工業生産は前年比-13.8%と2009年4月以来の落ち込みとなり、2月の自動車生産は同36.4%減と減少率が前月から拡大した。

 1月のブラジル税収は1293.9億レアルと市場予想を下振れ。インフレを考慮すれば、実質で前年割れである。2月24日にムーディーズがブラジル債格付けを「Ba2」と2段階引き下げたことで、格付け主要3機関すべてがブラジル債を投機的水準に格下げ。また3機関とも格付け見通しを「ネガティブ」にしていることから、3機関とも景気と財政の悪化を理由に追加格下げに動く可能性が高いとみられる。

 現時点ではブラジル政権交代期待がBRLのサポート材料となっているが、仮に期待通りに政権交代となっても景気や財政の悪化に歯止めがかかるとは考えにくい。新政権が民衆デモを理由に誕生したとなると、いわゆるポピュリズム的な政策が施行される可能性が高く、財政改善はさらに期待しにくくなる。

 上述したようにUSD/BRLは3.58台まで低下したが、これは昨年4月の安値(2.88近辺)から昨年9月の高値(4.25近辺)の半値戻しの水準。政権交代期待などでBRLがさらに上昇する可能性は否定しないまでも、あくまで期待に基づく買い戻しでしかないと思われ、USD/BRLの下値は61.8%戻しの3.40近辺がせいぜいと思われる。

2016年3月13日日曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年3月11日)

 3月11日のロンドン市場はドルが上昇基調で推移した。ドル円は取引前半に113円台半ばから113円台後半に上昇。取引中盤以降は、同水準で底堅く推移した。欧州株はプラスで始まり、その後もした稲の堅い動き。米債利回りは上値の重い動きとなったが、市場のリスク回避姿勢は後退気味。ドル円は底堅さを維持した。

 ユーロドルは取引前半に1.11ドル台後半から1.11ドル台前半に下落。中盤に1.11ドル台半ば近辺に反発したが、後半は再び下落基調で推移し、終盤は1.10ドル台後半で推移した。前日のECB追加緩和後に上昇したドイツ債利回りは、この日は小幅低下。ユーロを下押しした。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年3月11日)

 新興国通貨は一部東欧通貨を除き対ドルで大きく上昇した。

 PHPは対ドルで0.2%の上昇。1月のフィリピン失業率は5.8%と昨年10月の5.6%から小幅上昇した。

 MYRは対ドルで0.3%の上昇。1月のマレーシア鉱工業生産は前年比+3.2%と市場予想を上回り、2カ月連続で加速。ただ同月同国の製造業売上高は同3.4%減と2カ月連続の前年割れとなった。

 INRは対ドルで変わらず。1月のインド鉱工業生産は前年比-1.5%と市場予想を上回る落ち込みとなった。

 PENは対ドルで2.0%の大幅上昇。USD/PENは3.34台と昨年11月以来のPEN高水準に下落した。ペルー中銀は市場予想に反し政策金利を4.25%で据え置き。同中銀は声明でインフレは一時的な供給制約による影響を受けていると指摘。景気は回復しているが、インフレは目標レンジ(1~3%)に緩やかに戻るとの見方を示した。

 MXNは対ドルで0.6%の上昇。1月のメキシコ鉱工業生産は前年比+1.1%と市場予想を上回り、4カ月ぶりの伸びとなった。

 CZKは対ドルで0.2%の下落。昨年第4四半期のチェコ平均実質賃金は前年比3.8%増と市場予想通り5期連続で加速し、6年ぶりの高い伸びとなった。

 HUFは対ドルで小幅上昇。ハンガリー中銀は家計の住宅ローン不良債権問題について会見。不良債権はGDP比4%に達し、持続的な債務再編や、不動産の国営企業への売却や個人破産が解決策として考えれるとの見方を示した。

 RUBは対ドルで2.2%の上昇。USD/RUBは昨年12月下旬以来の70割れとなった。3月9日のロシアCPIは前週比+0.2%と前週から小幅加速。1月のロシア貿易収支は78.9億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下回り、1年ぶりの低水準に落ち込んだ。

 PLNは対ドルで0.8%の上昇。ポーランド中銀は市場予想通り政策金利を1.50%で据え置き。同中銀は声明で商品市況の下落でデフレが強まっていると指摘。コアCPIは緩やかに改善するとの見方も示した。同時に発表された経済見通しでは、今年のインフレ見通しが-0.9~+0.2%に下方修正。一方で成長率見通しは3.0~4.5%に上方修正された。同中銀のベルカ総裁は、年内の利下げの可能性は排除しないと発言した。

明日もよろしくお願いいたします。