2016年6月25日土曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月24日)




 6月24日のロンドン市場は英国民投票でのEU離脱派の勝利を受けた円買い、ポンド売りの動きが取引序盤に一服。中盤まで緩やかな巻き戻しが続いたが、取引後半には再び円買い、ポンド売りの動きがみられた。

 ドル円は取引序盤に102円台半ばから103円ちょうど近辺に上昇。欧州株は大幅安で始まったが、寄り付いた後は下げ幅を縮める動き。東京市場の取引中盤で大きく低下した米債利回りも取引後半から上昇基調で転じ、ロンドン市場に入っても上昇。ドル円は円を売り戻す動きとなった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月24日)

 新興国通貨は対ドルで全面安。EMEA通貨の下げが目立った。

 PHPは対ドルで1.0%の下落。4月のフィリピン貿易収支は22.8億ドルの赤字と赤字額が市場予想を上振れ。輸入が前年比29.2%増と市場予想を上回り、2010年11月以来の大幅増となったことで貿易赤字が膨らんだ。

 THBは対ドルで0.5%の下落。5月のタイ貿易収支(通関ベース)は15.4億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下振れ。輸出が前年比4.40%減と市場予想を上回る落ち込みとなる一方、輸入は同0.50%増と市場予想に反しプラスとなったことが響いた。

 SGDは対ドルで1.1%の下落。5月のシンガポール鉱工業生産は前年比0.9%増と市場予想とほぼ同じ結果だった。

 BRLは対ドルで1.2%の下落。6月22日のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.42%とほぼ市場予想通りで前週とほぼ同じ伸び。5月のブラジル経常収支は12.0億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下振れ。一方、同月同国の海外直接投資は61.5億ドルと市場予想を上回った。

 MXNは対ドルで3.7%の下落。USD/MXNは一時19.5近辺と過去最高(MXN最安値)を記録した。4月のメキシコ小売売上高は前年比10.6%増と市場予想を上回り、2009年の統計開始以来、最大の伸びとなった。

 CLPは対ドルで1.6%の下落。5月のチリPPIは前年比-9.3%と昨年12月以来の大幅低下となった。

 CZKは対ドルで2.3%の下落。6月のチェコ企業景況感は12.3、同月同国の消費者信頼感は1.5と、いずれも前月から小幅低下した。

 TRYは対ドルで2.5%の下落。6月のトルコ企業景況感は104.3と3カ月ぶりの低水準。同月同国の設備稼働率は76.1%と4カ月連続で上昇し、2013年10月以来の高水準に達した。

よい週末をお過ごしください。

2016年6月24日金曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月23日)


 6月23日のロンドン市場は円安、ドル安の展開となった。取引前半のドル円は104円台半ば近辺で小動き。東京市場終盤にドル円は特段の材料がない中、104円台後半から104円ちょうど近辺に急低下するなど円買いの動きが強まる場面もあったが、ロンドン市場に入ると円相場は落ち着いた値動きとなった。

 一方、ユーロドルは取引前半に1.13ドル台半ば近辺から1.13ドル台前半に下落。6月のドイツ製造業PMIは54.4と市場予想を上回り、2014年2月以来の高水準。しかし同月同国の非製造業PMIは53.2と市場予想を下回り、昨年5月以来の低水準。同月のユーロ圏製造業PMIは52.6と昨年12月以来の高水準に上昇したが、同月同圏の非製造業PMIは52.4と2014年12月以来の低水準。米債利回りは小幅低下したが、ユーロドルはユーロ売り優勢となった。なお取引前半のポンドドルは1.47ドル台後半で方向感に欠ける動きだった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月23日)

 新興国通貨は対ドルで上昇。英国のEU離脱懸念の後退が新興国通貨をサポートした。

 SGDは対ドルで小幅上昇。5月のシンガポールCPIは前年比-1.6%と市場予想を大きく下回り、1986年8月以来の大幅な落ち込み。コアCPIは同+1.0%と前月から加速したが市場予想は下回った。

 TWDも対ドルで小幅上昇。5月の台湾鉱工業生産は前年比1.89%増と市場予想に反し、2015年4月以来の前年比プラスとなった。

 PHPは対ドルで小幅下落。フィリピン中銀は市場予想通り政策金利を3.00%に据え置き。同中銀は声明でフィリピン内需は底堅く、流動性は十分に供給されていると指摘。今年のインフレは2.0%、来年は3.1%になるとの見通しを示した。

 MXNは対ドルで1.4%の上昇。4月のメキシコ経済活動指数(IGAE)は前年比+2.99%と市場予想を下振れ。6月上旬のメキシコCPIは前年比+2.55%と市場予想を下回った。

 COPは対ドルで0.8%の上昇。5月のコロンビア小売業信頼感は28.5と前月を上回り、2014年3月以来の高水準に上昇。一方、同月同国の鉱工業信頼感は5.2と前月から低下した。

 PLNは対ドルで0.9%の上昇。5月のポーランド失業率は9.1%と市場予想通りで前月から改善。ポーランド中銀は会合議事録(6月8日結果発表分)を公表。利下げは投資に限定的な影響しか与えないだろうとメンバーは指摘。デフレは今年末頃には終わるだろうとの見通しが示された。

 ILSは対ドルで0.9%の上昇。5月のイスラエル失業率は4.8%と前月から小幅低下した。

 RUBは対ドルで1.6%の上昇。6月17日のロシア金・外貨準備は3947億ドルと2週連続で増加した。

クラブなどダンス営業の規制を緩和する改正風俗営業法が23日、施行されました。店内の明るさなどの基準を満たせば「風俗営業」の枠組みから外れ、原則午前0時(最長午前1時)までの営業時間の規制がなくなり、24時間営業が可能になるとのこと。為替市場はどこかの国が明るいので24時間OKなんでしょうね。

2016年6月23日木曜日

大勢判明には午後2時くらいまでかかるかもしれない明日の英国民投票



 英国では、日本時間の本日(6月23日)午後3時(現地時間・23日午前7時)から明日(24日)午前6時(現地時間・23日午後10時)の間にEU離脱の是非を問う国民投票が実施される。

 一部メディアは、英国民投票の大勢が判明するのは日本時間午前と報じているが、「大勢」が一般の選挙のように短時間で確定するとは考えにくい。今回の国民投票では、英国政府やメディアによる出口調査が実施される予定はなく、382地区の開票結果を見ながら、結果を推測するしかない。

 今回の国民投票は、「英国はEUメンバーに残るべきか、それともEUから離脱すべきか」の二者択一に答える形式で、英国全土でどちらの票が多いかを競う。一般の選挙のように、狭い地区で複数の候補者から特定の一名を選ぶものとは違うため、一般の選挙の感覚で「大勢」が判明すると見込むのは早計のように思える。

 国民投票前日の現時点でも、各種世論調査でのEU残留支持とEU離脱支持の割合は、ほぼ拮抗している。このため明日も賛否の割合がほぼ同じのまま開票作業が進む可能性も十分ある。また開票作業が進み、仮に(残留/離脱)いずれかの賛成票が50%を数%程度超えたとしても、EU残留/離脱の割合は地区によって大きく異なるため、開票結果が判明していない地区の状況次第で途中結果が覆ることも考えられる。

 このためかメディアは、日本時間の明日午後に大勢が判明しそうだと報じているが、「午後」が具体的に何時頃なのかを明確に示していない。ただ市場関係者の立場から考えれば、「午後」が何時頃なのか、おおよその目途を持ちたいところだ。

 英選挙管理委員会は、今回の国民投票の開票作業について簡単なガイダンス(以下、ガイダンス)を公表している(http://www.electoralcommission.org.uk/__data/assets/pdf_file/0013/206113/Media-briefing-EU-Referendum-count-processes-and-results.pdf)。このガイダンスによると、開票作業は、投票が締め切られる日本時間24日午前6時から始まる。開票は英全国382地区ごとに実施され、各地区で、まずは投票率が公表され、開票・集計作業が終わり次第、結果が発表される。各地区で発表された開票結果は、全国12地域ごとに集計し、それぞれ発表。さらに全地域の結果が確定した後に、首席集計官(Chief Counting Officer)が日本時間24日の午後に英中部マンチェスターで最終結果を発表する計画となっている。最終結果は、英選挙管理委員会のウェブサイト(http://www.electoralcommission.org.uk/find-information-by-subject/elections-and-referendums/upcoming-elections-and-referendums/eu-referendum/electorate-and-count-information)でも公表される。

 英選挙管理委員会のガイダンスでは、382地区ごとに投票率と開票結果のそれぞれが判明する見込み時刻を公表している。この見込みを使うことで、投票率もしくは開票結果が判明した地区と投票登録人口の割合が、時間経過とともにどのように変化するかを試算することができる。以下はその結果である。

●英国民投票の投票率が判明する時刻(見込み)




●英国民投票の開票結果が判明する時刻(見込み)




 市場関係者の一部は、英国民投票の結果は投票率次第との声が出ている。各種世論調査によると、若年層ではEU残留支持が多く、高齢になるに従い離脱支持の割合が高くなる傾向にある。また一般の選挙の場合、若年層の投票率は高齢層に比べ低い傾向にある。たとえば2015年の英総選挙の時、平均の投票率は66%だったが、投票率を年齢別にみると、18-24歳:43%→25-34歳:54%→35-44歳:64%→45-54歳:72%→55-64歳:77%→65歳以上:78%、となった。今回の国民投票でも、全体の投票率が低くなればEU離脱支持の割合が高くなり、投票率が高くなればなるほどEU残留支持の割合が高くなると考えられている。

 このため英国民投票終了後の市場は、開票結果の前に判明する投票率に対して反応する可能性がある。投票登録者の半分(50%)の投票率が判明するのは、日本時間24日午前8時30分から9時の間で、登録者の80%の投票率が判明するのは同日9時半から10時の間の見込みである。この時間帯は、日本の金融市場が始まり、為替市場で仲値が公示される時間帯だ。

 ただ投票率は、開票結果の指針となるだろうが、結果を確約するものではなく、投票率が極端なものにならなければ、市場は開票結果を待つ可能性もある。開票結果が判明するのは、投票率よりも遅れ、投票登録者数の40%が判明するのは、日本時間24日午前11時から11時半の間。60%が判明するのは、同日午前11時半から正午の間で、80%が判明するのは、同日12時半から午後1時の間の見込みである。ただ、開票結果でEU離脱の賛否が拮抗するようだと、登録者の90%超が判明する同日午後1時半から2時の間まで市場は神経質な動きを続ける可能性もある。


■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月22日)


 6月22日のロンドン市場は円、ユーロ、ポンドいずれも値動きが小幅にとどまった。ドル円は取引前半に104円台半ば近辺から104円台前半に下落。欧州株は小幅高で始まったが、その後は伸び悩み。米債利回りが小幅低下したことでドル円も下落した。しかし中盤に入り米債利回りが下げ止まると、ドル円は104円台半ば手前でもみ合い。後半に入り欧州株が上げ幅を広げ、米債利回りも上昇に転ずると、ドル円は104円台半ばを小幅上回る水準に上昇した。

 ユーロドルは取引中盤まで1.12ドル台後半で小動き。後半に欧州株が上昇すると、ユーロドルは1.13ドルちょうど近辺に上昇したが、終盤は1.12ドル台後半に小幅反落した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月22日)

 新興国通貨はRUBなど一部を除き対ドルで上昇した。

 TWDは対ドルで小幅上昇。5月の台湾失業率は3.96%と前月とほぼ同じだった。

 THBは対ドルで0.2%の下落。タイ中銀は市場予想通り全会一致で政策金利を1.50%で据え置き。同中銀は声明で政策金利の余地を確保したいとし、現在の金融政策は緩和的であると指摘。インフレは年後半には目標水準に回復するとの見方を示した。

 COPは対ドルで1.9%の上昇。コロンビア中銀は市場予想通り政策金利を25bp引き上げ7.50%にすると発表。同中銀のウリベ総裁は、決定は全会一致ではなかったことを明らかにし、依然として高いインフレは今後鈍化するとの見方を示した。コロンビア政府と左翼ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)は22日、停戦で合意し、共同で声明を発表した。

 TRYは対ドルで0.7%の上昇。6月のトルコ消費者信頼感は69.43と前月から小幅改善した。

 ZARは対ドルで0.6%の上昇。5月の南アフリカCPIは前年比+6.1%と市場予想や前月を下回る伸び。コアCPIも同+5.5%と市場予想に反し前月と同じだった。

 RUBは対ドルで1.6%の下落。6月20日のロシアCPI(週次)は前週比+0.1%と前週と同じだった。

 ILSは対ドルで0.2%の上昇。5月のイスラエル先行S指数は前月比+0.13%。ただ前月分は同+0.05%に下方修正された。

 今朝の東京地方は雨。通勤時間帯に雨は強さを増すとみられています。湿度も高く梅雨らしい気候といえますが、快適な通勤・通学・移動を願っております。

2016年6月22日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月21日)


 6月21日のロンドン市場はポンドが一段高となる一方、円は取引後半に小幅下落した。ポンドドルは取引中盤まで上昇基調が続き1.47ドル台前半から1.47ドル台後半と1月4日以来の高値に上昇。2月に英キャメロン首相が6月23日の英国民投票日程を発表した後の高値を更新し、英国のEU離脱懸念の後退を印象づけた。取引後半に発表された6月の英CBI製造業受注は-2と市場予想に反し前月から改善したが、ポンドの反応は限定的。終盤のポンドドルは1.47ドル台半ば手前に下落した。

 ドル円は取引中盤まで104円台半ば近辺で上値の重い動き。米債利回りは底堅く推移していたが、ドイツ株は前日終値水準で小動き。ドル円の上値を抑えた。ただ後半に入り、ドイツ株が小幅上昇し、米債利回りも上昇基調に転ずると、ドル円は104円台後半に上昇した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月21日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。東欧通貨が対ドルで下げたが、ZAR、RUBは上昇した。

 BRLは対ドルで0.3%の下落。6月のブラジルIPCA-15は前年比+8.98%と市場予想を上回る鈍化となった。

 COPは対ドルで変わらず。第1四半期のコロンビア経常収支は33.8億ドルの赤字と、赤字額が2013年第4四半期以来の低水準に縮小した。

 ZARは対ドルで0.8%の上昇。4月の南アフリカ景気先行指数は90.9と2009年10月以来の低水準に低下した。

 ILSは対ドルでほぼ変わらず。4月のイスラエル製造業生産は前月比1.8%減と減少に転じた。

 TRYは対ドルで小幅下落。トルコ中銀は市場予想通りレポレートと翌日物借入金利を据え置く一方、翌日物貸出金利を50bp引き下げ9.00%にすると発表。同中銀は声明でコリドー金利幅の縮小は金融政策の単純化に向けた動きと説明した。

 HUFは対ドルで1.1%の下落。ハンガリー中銀は市場予想通り政策金利を0.90%で据え置き。同中銀は声明で同中銀が今後、非伝統的な手法を使う可能性があると指摘。金融政策は当面の間、緩和が維持されるとし、ディスインフレは弱まるとの見方を示した。

官民ファンドのクールジャパン機構は、約3億円を出資し、中東や北アフリカなどイスラム諸国に日本の外食や小売り産業が進出することを支援する枠組みを発表。たこ焼きチェーンによるUAEドバイへの出店も明らかとなりました。ドバイに行ったら食べに行きたいと思います。

2016年6月21日火曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月20日)



 6月20日のロンドン市場はポンドが底堅い動き。ポンドドルは取引前半に1.45ドル台後半から1.46ドル台半ば近辺に上昇。中盤には1.46ドル台前半に下落し、後半は1.46ドル台半ばに反発後、1.46ドルちょうど近辺に下落する場面もあったが、終盤には再び1.46ドル台半ば近辺に上昇した。23日の英国民投票でEU残留派勝利への期待感から、この日もポンドは買い優勢。ただ短期間での上昇ということもあり高値警戒感も強く、ポンドドルは1.46ドル台半ばに近付くと上値が重くなった。

 ユーロドルは取引序盤に1.13ドル台前半から1.13ドル台半ば近辺に上昇したが、その後は下落基調が続き、終盤は1.13ドル台前半での推移。5月のドイツPPIは前年比-2.7%と市場予想ほど落ち込まず。4月のユーロ圏建設業生産高は前年比0.4%減と前年割れだったが、前月分は前年比プラスに上方修正された。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月20日)

 新興国通貨は対ドルで上昇。英国のEU離脱懸念後退で新興国通貨を買い戻す動きが広がった。

 TWDは対ドルで0.4%の上昇。5月の台湾輸出受注は前年比5.8%減と市場予想ほど減少しなかった。

 BRLは対ドルで0.6%の上昇。ブラジル中銀の週次サーベイは年末までの見通しが前週からほぼ変わらず。6月19日までのブラジル貿易収支は23.5億ドルの黒字と、黒字増ペースが前月から鈍化した。

 COPは対ドルで1.2%の上昇。4月のコロンビア貿易収支は11.2億ドルの赤字と赤字額が市場予想を上回った。

 RUBは対ドルで0.9%の上昇。5月のロシア失業率は5.6%と市場予想を上回る改善。同月同国の実質可処分所得は5.7%減と市場予想を上回る減少となったが、実質賃金は同1.0%減と市場予想ほど減少せず。同月同国の実質小売売上高は前年比6.1%減と市場予想を上回る減少だった。

日本の大手携帯キャリアが開発した人型ロボットが、ベルギーの病院で受付係として採用されたそうです。ロボットは来院者に自己紹介し、情報を提供したり、適切なフロアや部屋に案内する役割を果たすことになるそうです。ベルギーでも働けるように私も頑張ります。

2016年6月20日月曜日

ラジャン氏の後任しだいで売り続く可能性もあるインド・ルピー(INR)



 インド中銀のラジャン総裁は18日、同行職員向けの声明で1期3年の任期が満了する9月4日での退任を表明した。ラジャン氏は1991年にMITでPh.D.を取得。1991年からシカゴ大学経営大学院で助教授、教授を歴任し、2003~06年にはIMFチーフエコノミストに就任。2013年にインド中銀の総裁に就任した。同中銀の総裁は正式には3年間だが、1992年12月以降の過去4総裁は、いずれも2年の任期延長が認められている。任期延長なく総裁を退任するのは異例だ。

 インド中銀職員向け声明を読む限り、ラジャン氏は総裁退任を自発的に決めたわけではなさそうだ。同氏は声明で、インフレ目標の導入、インド・ルピー(INR)の安定、国営銀行の改革支援といった業績を列挙。インフレ抑制や銀行の不良債権処理など今後も実施すべき作業が残されており、同氏も今後の進展見守る意向だったしながらも、政府との協議後に、9月4日の任期をもって総裁を退任し、学界に戻ると明言している。

 同声明では総裁退任の理由が明記されていないが、一部報道が指摘するように、与党インド人民党(BJP)の支持基盤であるヒンズー教至上主義団体・民族義勇団(RSS)がラジャン氏の任期延長に強硬に反対したことが背景にあるようだ。ラジャン氏は昨年10月のデリーでの講演で、経済発展のために他者に対する寛容さと敬意が欠かせないと発言。RSSのヒンズー教主義を批判する形となってしまった。

 ラジャン氏が利下げに対し慎重な姿勢を取り続けたこともBJPの不満につながったようだ。BJPのスワミー下院議員は、モディ首相への書簡でラジャン氏の総裁任期を延長すべきではないと主張。その理由として、金利を不要に高く保ち、経済成長を圧迫していると指摘した。インド実業界では高金利に対する批判が根強い。

 ラジャン氏が金融政策の透明性を高めるための新制度の提唱が、BJP内でのラジャン氏退任論を後押しした可能性もある。ラジャン氏は、総裁一人が金融政策を決める現在の方式を改め、合議制の導入を提唱。委員会の過半を準備銀が出し残りを外部から招くとしたが、政府は委員会の過半数を政府指名とする案を昨年夏に公表した。ラジャン氏と政府との間の意見の違いは現時点でも解消していない。

 市場関係者から改革姿勢が評価されていたインド・モディ首相が、ラジャン氏の総裁退任を止められなかった点も今後、指摘されるだろう。そもそもラジャン氏をインド中銀の総裁に任命したのはシン前首相ゆえに、モディ首相としてはラジャン総裁に強い思い入れがなかったのかもしれないが、市場ではモディ首相とラジャン総裁のコンビが、インドの改革推進の象徴だったのも事実だ。

 ラジャン氏の後任として、インド中銀・副総裁のウルジット・パテル(Urjit Patel)氏を有力視する声もあるようだが、パテル氏はボストン・コンサルティング・グループでアドバイザーを務め、ラジャン氏とともにインフレ目標を導入した人物。同氏が与党BJPにとって望ましい人物と言い難い。同中銀の元副総裁で現在でもインド政府で複数の顧問を務めるラケシュ・モハン(Rakesh Mohan)氏や、インド財務省・首席経済顧問のアルビンド・サブラマニアン(Arvind Subramanian)氏といった政府や官僚組織に近い人物の方が、次期総裁として有力と思われる。

 仮にインド政府・与党の意向を汲む(であろうとみなされる)人物が、ラジャン氏の後任となれば、改革期待の後退からINRは売りの動きが続くだろう。週明け(6月20日)のINR1カ月物NDFは68ちょうど近辺に上昇。USD/INRの上の節目は、3月の高値(68.36近辺)、2月の高値(68.79近辺)、2013年8月に記録した過去最高値(68.85近辺)と考えられる。