2016年7月1日金曜日

急落リスクが高まった中国・人民元(CNY)


 昨日(6月30日)に発表された2016年1-3月期の中国・国際収支統計は、中国の資本流出が依然として続いていることを示す結果となった。

 経常収支は393億ドルの黒字と、5月6日に発表された速報値(481億ドルの黒字)から黒字額が下方修正。前年同期比では53.8%の大幅減少となった。貿易収支は1,039億ドルの黒字と、黒字額が前年同期比10.8%減と減少基調が続く一方で、サービス収支は576億ドルの赤字と、赤字額が前年同期比46.8%増と拡大。一次所得収支も41億ドルの赤字と前年同期の73億ドルの黒字から赤字に転換した。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月30日)


 6月30日のロンドン市場はユーロが底堅く推移した。ユーロドルは1.11ドルちょうど近辺から1.11ドル台半ばに上昇。ただ終盤にかけて1.11ドルちょうど近辺へと下落し、上げ幅を失った。5月のドイツ小売売上高は前年比2.6%増と市場予想とほぼ同じ伸び。6月のドイツ失業者数は6千人減と市場予想に比べ減少幅は大きかったが、前月からは縮小した。6月のユーロ圏CPI(速報値)は前年比+0.1%と市場予想に反しプラスを記録。コアCPIは同+0.9%と市場予想や前月を小幅上回り、ユーロを下支えした。

 ドル円は取引序盤に102円台後半から102円台半ば近辺に小幅下落。中国人民銀行は人民元が対ドルで今年6.8元程度まで下落すること容認する意向と一部米系メディアが報道。人民元はオフショア市場で急落し、円買いの動きもやや強まった。しかしオフショア人民元が反発したことで、下げて始まったドイツ株も前日終値水準に回復。米債利回りの上昇もあってドル円は102円台後半に反発。中盤以降は同水準で底堅く推移した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月30日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチだった。

 KRWは対ドルで0.7%の上昇。5月の韓国鉱工業生産は前年比+4.3%と市場予想を大きく上回り、2013年1月以来の高い伸びを記録した。

 SGDは対ドルで小幅上昇。5月のシンガポールM2は前年比3.1%増と前月から小幅加速した。

 THBは対ドルで0.3%の上昇。5月のタイ製造業生産は前年比2.6%増と市場予想を小幅上振れ。同月同国の設備稼働率指数は67.5と前年同月から小幅上昇した。同月同国の経常収支は22.3億ドルの黒字と黒字額が市場予想を下回った。

 PHPは対ドルで0.4%の下落。5月のフィリピンM3は前年比13.5%増と3カ月連続で加速し、2014年10月以来の高い伸びとなった。

 TWDは対ドルで0.2%の上昇。台湾中銀は市場予想通り政策金利を12.5bp引き下げ1.375%にすると発表。同中銀は声明で現在の台湾金融政策は非常に緩和的で、拡張的な財政政策や構造改革へのコミットと合わせ、台湾経済が引き続き成長することに寄与することを表明した。

 MYRは対ドルで0.2%の上昇。5月のマレーシアM3は前年比2.2%増と2カ月連続で加速した。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.4%の下落。5月のインドネシアM2は前年比7.6%増と前月から小幅加速した。

 CLPは対ドルで0.2%の下落。5月のチリ鉱工業生産は前年比-2.0%と市場予想に反し2カ月連続の前年割れ。同月同国の小売売上高は同0.6%増と市場予想を大きく下振れ。同月同国の失業率は6.8%と市場予想を上回った。

 COPは対ドルで0.2%の下落。5月のコロンビア失業率は8.8%と前月から低下した。

 MXNは対ドルで1.0%の上昇。メキシコ中銀は政策金利を50bp引き上げ4.25%にすると発表。市場予想では金利据え置きや25bpの利上げを見込む声が大勢だった。同中銀は声明でMXN安の物価波及効果(パススルー)に強い注意を払うことを表明。今年末にインフレは3%を超えるとの見方を示し、インフレリスクは悪化したと指摘した。

 ZARは対ドルで0.4%の上昇。5月の南アフリカM3は前年比7.79%増と市場予想を下回り、昨年3月以来の低い伸びに鈍化。同月同国PPIは前年比+6.5%と3カ月連続で鈍化。5月の南アフリカ貿易収支は187億ランドの黒字と黒字額が市場予想を大きく上振れ。同月同国の財政収支は228.4億ランドの赤字と赤字額が市場予想を小幅上回った。

 HUFは対ドルで0.2%の上昇。5月のハンガリーPPIは前年比-2.2%と昨年3月以来の大幅低下となった。

 TRYは対ドルで0.5%の上昇。5月のトルコ貿易収支は50.5億ドルの赤字とほぼ市場予想通りで赤字額が前年同月比25.5%減少した。

 CZKは対ドルで小幅下落。5月のチェコM2は前年比9.6%増と6カ月ぶりの高い伸びだった。チェコ中銀は市場予想通り政策金利やCZKの対ユーロ上限策を現状維持。同中銀は声明でCZKの対ユーロ上限策は2017年半ばに終了するだろうとの見方を示した。

 PLNは対ドルで0.7%の上昇。6月のポーランドCPIは前年比-0.8%と市場予想通り。6月のインフレ予想は同+0.2%と市場予想や前月と同じだった。

 RUBは対ドルで0.2%の下落。ロシアの金・外貨準備高は3951億ドルと3週連続で増加した。

英国のエリザベス女王は、マクギネス自治政府副首相にご機嫌はいかがと尋ねられ、「ええ、まだ生きているわ」、「いろいろあって、私も結構忙しいのよ」と答えたそうです。絶好調でなによりです。

2016年6月30日木曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月29日)



 6月29日のロンドン市場は円が下落した。ドル円は102円台前半から上昇基調で推移し、取引後半には102円台後半と東京市場序盤の水準に到達。ただ終盤は同水準で伸び悩んだ。ドイツ株は続伸で始まり、その後も上昇幅を広げる堅調な推移。日経平均先物も上昇基調で推移し、円売りを後押しした。ただ米債利回りは取引中盤に上値が重くなり、長期債は低下。ドル円の上値を抑えた。

 ユーロドルは取引序盤に1.10ドル台後半から1.11ドルちょうどに上昇。7月のドイツGfK消費者信頼感は10.1と市場予想を上回り、昨年8月以来の高水準。その後発表された6月のドイツ・ザクセン州CPIは前年比+0.4%と前月から加速し、ユーロ買いをサポートした。ただユーロ買いが一巡すると、ユーロドルは一転して下落。6月のユーロ圏景況感が104.4と小幅ながら市場予想を下回ると、ユーロドルは1.10ドル台半ばまで下落した。取引後半は米債利回りの低下を背景にユーロドルは1.10ドル台後半に上昇した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月29日)

 新興国通貨は対ドルで4日続伸。欧米株や原油先物価格の上昇が新興国通貨をサポートした。

 KRWは対ドルで1.0%の上昇。7月の韓国景況判断は製造業、非製造業ともに72と前月から低下。5月の韓国百貨店売上高は前年比2.7%減、同月同国のディスカウントストア売上高は同6.3%減とともに前年割れとなった。

 BRLは対ドルで2.0%の上昇。USD/BRLは一時3.22台と、昨年7月以来のBRL高水準を記録した。6月のブラジルIGP-Mは前年比+12.21%と市場予想を上回り、2008年10月以来の高い伸び。5月の同国失業率は11.2%と市場予想に反し前月から変わらず。5月のブラジル基礎的財政収支は181億リアルの赤字と赤字額が市場予想を上回った。

 TRYは対ドルで0.4%の上昇。6月のトルコ経済信頼感は83.3と5カ月ぶりの高水準に上昇した。トルコ中銀は会合議事録(6月21日結果発表分)を公表。今後の金融政策はインフレ見通し次第だが、引き締め気味の金融政策姿勢は維持されるだろうとの見通しが示された。トルコ・イスタンブールのアタチュルク国際空港で日本時間29日未明、自爆テロが発生。41人が死亡し、239人が負傷したと報じられた。

 RUBは対ドルで0.3%の上昇。6月27日のロシアCPIは前週比+0.1%と前週から変わらなかった。

現在、英国で開催されているテニスのウィンブルドン選手権2回選で世界ランク772位のマーカス・ウィリス選手が、世界ランク3位のロジャー・フェデラーと対戦します。ウィリス選手の活躍が楽しみです。

2016年6月29日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月28日)


 6月28日のロンドン市場は円売り優勢の展開となった。ドル円は取引前半に102円ちょうどから102円台前半に上昇。欧州株は反発して始まり、日経平均先物も小幅高。欧米債利回りの低下も一服するなど市場のリスク回避姿勢も和らぎ、円を売り戻す動きが強まった。取引中盤にドル円は102円台前半で上値が重くなったが、後半に入り日銀と政府が市場動向について29日に協議をすると報じられると、ドル円は102円台半ば手前に上昇。その後は102円台前半で小動きを続けた。

 ユーロドルは取引前半に1.10ドル台半ば近辺から1.10ドル台後半に上昇したが、中盤に再び1.10ドル台半ば近辺に下落。後半には1.11ドルちょうどを上抜ける場面もあったが、ユーロ買いの動きは続かず、終盤は1.10ドル台後半での推移となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月28日)

 新興国通貨は対ドルで3日続伸となった。

 KRWは対ドルで1.0%の上昇。6月の韓国消費者信頼感は99と前月と同じ。韓国政府は今年の成長率見通しを従来の3.1%から2.8%に下方修正。また今年下半期に20兆ウォン(約1.7兆円)超相当の経済対策を実施すると発表した。

 THBは対ドルで0.2%の上昇。5月のタイ自動車販売台数は前年比16.0%増と2013年4月以来の大幅増を記録した。

 BRLは対ドルで2.6%の上昇。USD/BRLは3.30ちょうど近辺と昨年7月以来のBRL高水準に下落した。ブラジル中銀は四半期インフレ報告を公表。同中銀は金融条件を緩和する余地はないと明言。来年にインフレを4.5%に戻すために必要な施策を講ずるとした。同中銀のゴールドファイン総裁は、BRLは変動相場制であり、インフレを鈍化させるために為替レートを活用することができると発言した。5月のブラジルPPIは前年比+5.53%と前月から加速。5月のブラジル中央政府財政収支は155億レアルの赤字とほぼ市場予想通りの結果だった。

 MXNは対ドルで1.9%の上昇。5月のメキシコ失業率は4.00%と前月から小幅上昇した。

 HUFは対ドルで0.8%の上昇。5月のハンガリー失業率は5.5%と市場予想を下回り、2003年12月以来の低水準に低下した。

ポンドが大きく下げたことで英国への旅行を計画する人が増えているそうです。機関車トーマスのグッズが日本にたくさんやってくるかもしれませんね。トーマスファンの私は期待します。

2016年6月28日火曜日

ポンドドルの下の節目は1.300、1.275、1.200あたりか

 英国の最大野党・労働党のコービン党首の辞任圧力が強まっている。EU離脱の是非を問う英国民投票前の残留支持を求めた運動でコービン党首は不熱心だったとの批判が噴出。影の内閣で外務相を務めるベン下院議員が、英BBCの番組でコービン党首はリーダーにふさわしくないと発言すると、コービン党首はベン氏を影の内閣から解任した。

 ベン氏の解任が伝わると、影の内閣の他閣僚は次々と辞任を表明。31人の閣僚のうち20人以上が辞任したと報じられている。コービン党首は自ら党首を辞任する意向はないとしているが、229人の下院議員のうち150名程度はコービン党首の辞任を求めているという。

 一方、英国与党・保守党もキャメロン首相の後継選びで党内対立が強まっている。保守党は27日、党首選の立候補を29日、30日に受け付けると発表。9月2日前に新党首が選ばれる見込みとなった。キャメロン首相の後継としてジョンソン前ロンドン市長が有力視されているが、英国民投票でEU離脱を先導した張本人としての悪評もあって、保守党内で支持が広がると言いきれない。ジョンソン氏の党首就任を阻止すべく、オズボーン財務相や女性のナイ内相が、次期党首に選出される可能性もある。ちなみに保守党の党首選は、下院議員による候補者の絞り込みを経て、桐蔭の一般投票で決まるが、国民投票直前の調査によると、保守党の下院議員330人のうちEU離脱を支持したのは138人と、残留支持の185人を下回っている。

 労働党、保守党の二大政党でリーダーシップの先行き不透明感が高まれば、ポンド安が進んでも不思議ではない。ポンドドルは昨日(27日)、一時1.31ドル台前半と1985年9月以来の安値を記録。年初来の下落率は11.4%に達した。

 英政局の先行き不透明感が早期に解消されることは見込みにくく、ポンドのさらなる下落も視野に入れる必要がある。心理的な節目である1.300ドルが次の節目となるだろうが、英国民投票当時の高値である1.50ドルから15%下落の1.275ドルや、20%下落の1.200ドルも節目として有力と思われる。


■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年6月27日)


 6月27日のロンドン市場はポンドが下落。ポンドドルは1.34ドル台半ばから下落基調で推移し、引けにかけては1.31ドル台半ば近辺での推移。ポンド円は137円台半ばから終盤には133円台前半に下落。引けにかけては134円ちょうど近辺に反発した。英オズボーン財務相は会見で国民投票の結果判明後、BOEカーニー総裁や欧州の財務相・中央銀行総裁、IMFラガルド専務理事、米国のルー財務長官、国内主要金融機関の首脳らと連絡を取っていると説明。金融市場のさらなる変動が予想されるが、英経済は先行きの困難に対処できるほどに強固であるとの認識を示した。ただ自身が保守党の次期首相候補に名乗りを上げるかどうかについては、数日中に説明するとしただけで明確な回答は見送り。英国の先行き不透明感が高まったとの見方から英10年債利回りは過去最低を更新し、ポンドを下押しした。

 ユーロドルは取引前半に1.10ドル台半ば近辺から1.10ドル台後半に上昇。26日投開票のスペイン再総選挙では左派新党でEUが課す緊縮財政に反対するポデモスは2議席増の71議席と第3党に留まる結果。中道右派の国民党が14議席増の137議席と第1党、中道左派の社会労働党が5議席減の85議席で第2党をそれぞれ守った。5月のユーロ圏M3は前年比4.9%増と市場予想を上回る伸び。ユーロをサポートした。しかし取引中盤からはドイツ債利回りの低下を背景にユーロは下落基調で推移。ユーロドルは引けにかけて1.10ドルを割り込んだ。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年6月27日)

 新興国通貨は対ドルで続落となった。

 BRLは対ドルで0.7%の下落。6月のブラジルFGV消費者信頼感は71.3と2カ月連続で上昇し、1年ぶりの高水準を回復。同月同国のFGV建設コストは前月比+1.52%と市場予想を上回り、こちらも1年ぶりの高い伸びとなった。ブラジル中銀の週次サーベイでは年末までの政策金利見通しが13.25%と前週から上方修正。5月のブラジル融資残高は前月比0.1%増と5カ月ぶりのプラス。6月26日までのブラジル貿易収支は34.5億ドルの黒字を記録した。

 MXNは対ドルで1.3%の下落。5月のメキシコ貿易収支は5.3億ドルの赤字と赤字額が市場予想を大幅に下回った。

 HUFは対ドルで1.3%の下落。6月のハンガリー消費者信頼感は-19.2、同月同国の企業景況感は+1.7といずれも前月から小幅低下した。

 ILSは対ドルで0.3%の上昇。イスラエル中銀は市場予想通り政策金利を0.10%で据え置き。同中銀は声明で輸出の弱さに対する懸念を改めて示し、英国のEU離脱が緩和的な金融政策を正当化すると説明した。

 PLNは対ドルで1.3%の下落。ポーランド中銀・金融政策決定委員会のロン委員はGDPの減速懸念が生じた場合、利下げの可能性があると発言。現時点では非伝統的な金融政策の必要性はないが今後、必要になる可能性もあると発言した。

米カリフォルニア州ロサンゼルスにある73階建てビル「USバンクタワー」の建物外側に、全面ガラス張りの密閉式滑り台「スカイスライド」が完成したそうです。地上からの高さは約305メートルで、長さは14メートルとのこと。一般公開もされています。罰ゲームに使えそうですね。

2016年6月27日月曜日

たとえ利上げでも上昇継続は期待しにくいメキシコ・ペソ(MXN)

 メキシコ中銀は、日本時間7月1日、政策金利を発表する。Bloomberg調査によると、予想回答者15名中、7名は3.75%での据え置きを予想しているが、5名は25bpの利上げ、3名は50bpの利上げを見ている。英国民投票でEU離脱派が勝利したことでメキシコ・ペソ(MXN)が大きく下落したことで、メキシコ中銀が通貨防衛的な利上げに踏み切るとの見方が強まったように思われる。

 MXNは、英国民投票でEU離脱支持が優勢となると下落基調が強まり、東京市場の終盤には対ドルで19.5を上抜け過去最安値を更新。ロンドン市場に入るとMXNは落ち着きを取り戻し、メキシコ政府が16.8億ドル規模の歳出削減を発表したことで買い戻し基調が強まったが、対ドルで18.7台に達すると、MXNは下げ渋り。NY市場後半は19ちょうど手前でもみ合い、週明けの本日(6月27日)は、19ちょうど近辺で推移。対ドルでのパフォーマンスは年初来9.6%下落と、新興国通貨の中ではアルゼンチン・ペソ(ARS)の13.4%下落に次ぐ下げである(ちなみにポンドの対ドルでの下げは年初来9.2%)。

 メキシコ中銀は2月17日、緊急会合を開催し、政策金利を50bp引き揚げ3.75%にすると発表。2月に入りMXNは対ドルで一時19.4台まで下落するなど売り優勢となったことで、緊急利上げに踏み切った。今回のBloomberg予想で利上げの見方が増えたのも、この2月の緊急利下げの印象が強いためと推察される。

 ただMXN下落の原因の一つは、原油先物価格の下落。NY原油先物価格(WTI)は、英国民投票でEU離脱が優勢との報道が広がると、1バレル50ドル台前半から46ドル台後半まで大きく下落。ロンドン市場に入り48ドル台前半に反発したが、NY市場取引後半は47ドル台半ば近辺で推移。週明けは一時47ドルちょうど近辺と一段安となった。MXNは、他新興国通貨に比べ流動性が高く、資源国通貨の代替通貨として取引されることが多い。原油安がMXNを過度に下押しした面もある。

 メキシコの対外収支が赤字基調のままであることも、MXNの重石となっている。本日(27m日)発表される5月のメキシコ貿易収支は21.6億ドルの赤字の見込みと前年同月から赤字額が倍近くに拡大する見込み。第1四半期の経常収支は94.5億ドルの赤字と高水準の赤字が続いている。

 一方でメキシコ景気は、製造業を中心に伸び悩んだままである。第1四半期のメキシコGDPは前年比2.6%増と7四半期連続で2%台のまま。製造業は同1.0%増と2期連続で減速し、2013年第1四半期に前年割れ(前年比1.4%減)を記録してから最も低い伸びにとどまった。6月のメキシコIMEF製造業指数は52前後と伸び悩む見込みで、第2四半期も製造業がGDP成長率を抑制する恐れがある。

 対外収支が赤字で景気も伸び悩んでいれば、MXNが下落を続けるのは自然のこと。インフレは依然として3%を下回っており、製造業が景気の足を引っ張っていることも考慮すれば、MXN安はむしろ歓迎すべきことに思える。しかしメキシコ当局は、MXN安を背景とした資本流出や対外債務の利払い負担の増大などから、利上げでMXN安を抑制したいのだろう。

 ただ原油先物価格の一段高が期待しにくくなっている状況の下、MXNが人為的に抑制されれば景気減速のリスクが強まるだけで、結局、MXNは再び売られることになる。英国のEU離脱手続きの先行き不透明感もあり、メキシコ中銀が利上げに踏み切ったとしてもMXN買いの動きが続くとは考えにくい。USD/MXNの下値の目途は、4月29日の安値(17.05近辺)から6月24日の高値(19.52近辺)の38.2%戻し水準にあたる18.6近辺と半値戻しの水準の18.3近辺。そして61.8%戻し水準で心理的な節目でもある18ちょうど近辺だろう。一方、上値の目途は6月24日の高値(19.52近辺)で、ここを上抜ければ次は20ちょうどがターゲットとなる。