2016年12月23日金曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年12月22日)



 12月22日のロンドン市場は円、ユーロともに方向感に欠ける動きとなった。ドル円は取引中盤まで117円台後半で小動き。下げて始まったドイツ株は前日終値水準まで買い戻され、米債利回りも底堅く推移したが、ドル円は上値が抑えられる格好となった。取引後半に入り、米債利回りの上昇が一服すると、ドル円は117円台半ばに下落。しかし終盤に米債利回りが再び上昇すると、ドル円も117円台後半に反発した。

 ユーロドルは取引中盤まで1.04ドル台半ば近辺で小動き。ECB経済報告は、来年の総合インフレは力強く上昇する見込みであると指摘。一部ドイツ誌は、ドイツ連銀バイトマン総裁とのインタビューで、財政政策が強まり、金融引き締めが正当化される状況になっても、利上げを見送る圧力がかかる事態を懸念していると述べたことを報じたが、いずれも大きく材料視されなかった。取引後半にユーロドルは1.04ドル台後半に上昇したが、終盤には1.04ドル台半ば近辺に反落した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年12月22日)

 新興国通貨は対ドルで小動き。様子見姿勢が目立った。

 TWDは対ドルで変わらず。11月の台湾失業率は3.84%と市場予想や前月を下回り、昨年10月以来の低水準に低下。台湾中銀は市場予想通り政策金利を1.375%で据え置き。同中銀は声明で金利水準は比較的低水準であると指摘。為替市場のボラティリティが上がった場合、同中銀は市場の秩序を保つ意向を表明した。また台湾経済における負のGDPギャップは依然として大きく、来年もインフレ圧力は限定的なものになるとの見方を示した。

 THBは対ドルでほぼ変わらず。11月のタイ自動車販売は前年比15.3%減と2カ月連続の前年割れだった。

 MYRも対ドルでほぼ変わらず。12月15日のマレーシア外貨準備高は964億ドルと11月末時点から変わらずだった。

 PHPは対ドルで変わらず。フィリピン中銀は市場予想通り政策金利を3.00%で据え置き。同中銀は声明でインフレは2017年、2018年ともに目標レンジ内に収まるとの見方を披露。現在の政策スタンスは適切であるとの認識を示した。

 BRLは対ドルで1.2%の上昇。ブラジル中銀は第4四半期のインフレ報告を公表。来年のGDP成長率見通しは0.8%へと下方修正。インフレ見通しは参照シナリオでは来年第4四半期に3.6%に鈍化するとなったが、市場シナリオは4.5%だった。

 MXNは対ドルで1.0%の下落。10月のメキシコ経済活動指数は前年比+1.23%と市場予想を下振れ。一方、12月上旬のメキシコCPIは前年比+3.48%と市場予想を小幅上回り、2年ぶりの高い伸びに加速した。

 ILSは対ドルで0.2%の上昇。11月のイスラエル失業率は4.6%と前月から小幅上昇した。

 TRYは対ドルでほぼ変わらず。12月16日までの週のトルコ非居住者によるトルコ債投資は3800万ドルの買い越しと、7週ぶりの買い越しとなった。

 ZARは対ドルで0.4%の下落。11月の南アフリカ財政収支は163.3億ランドの赤字と赤字額が前年同月比25.1%減となった。

 CZKは対ドルで小幅上昇。チェコ中銀は市場予想通りレポレートやCZKの対ユーロ上限策といった一連の金融政策を現状維持。同中銀は声明でCZK上限策は2017年央に解除されるだろうと見通しを表明した。

 PLNは対ドルで0.2%の下落。フィッチはポーランド債格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に上方修正。格付けは「BBB-」で維持とした。ポーランド中銀は会合議事録(12月7日結果発表分)を公表。政策金利は今後数四半期維持されるとの見方がもっともらしく、足元の景気減速は一時的で、2017年には持ち直すとの見方が示された。
 RUBは対ドルで0.3%の上昇。12月16日のロシア金・外貨準備高は3790億ドルと前週から減少し、今年3月第1週以来の低水準に落ち込んだ。

よいお休みをお過ごしください。

2016年12月22日木曜日

「人民元切り下げ―次のバブルが迫る」出版のお知らせ

私事で大変恐縮だが、12月16日に「人民元切り下げ―次のバブルが迫る」(東洋経済新報社)という書籍を出版した。本書のタイトルは、刺激的にみえるかもしれないが、本書には株や投資信託といった金融商品への投資を勧める意図は全くなく、本書には中国経済や当局を批判する意図も含まれていない。そのため、もしかしたら、本書の内容は一部読者の期待を裏切るものかもしれない。

本書で伝えたかったことは、通貨ストラテジストという仕事を通じて得られた知見や経験から組み立てたロジックでしかない。中国では大量の資本が国外に流出しており、今後も続く可能性が高いのであれば、たとえ中国当局が望んでいなくても、資本流出を促す元安抑制策(元の下落ペースを緩やかなものにする方策)は放棄せざるを得ないという考えだ。そこには、謎めいたものや願望めいたものもなければ、べき論や陰謀論もない。読者が筆者の意図を理解し、様々なデータを通じ中国経済の実情を知っていただくだけでなく、中国経済に関するロジックを楽しんでいただけたら、筆者として望外の喜びである。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年12月21日)



 12月21日のロンドン市場は取引中盤までユーロが上値の重い展開となったが、後半に持ち直し。一方、円は方向感に欠ける動きとなった。

 ユーロドルは取引前半に1.04ドル台前半から1.04ドルちょうど近辺に下落。イタリア大手行モンテ・パスキの流動性が4カ月後にマイナスに陥る可能性があると発表すると、同行株は急落し、一時取引停止。ユーロの重石となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年12月21日)

 新興国通貨は対ドルで底堅く推移した。

 MYRは対ドルで変わらず。11月のマレーシアCPIは前年比+1.8%と市場予想を大きく上回り、6カ月ぶりの高い伸びに加速した。

 THBは対ドルでほぼ変わらず。タイ中銀は市場予想通り政策金利を1.50%で据え置き。決定は全会一致だった。同中銀は声明で金融状態は依然として緩和的で、景気回復の道筋に導いているとの見解を表明。一部業界での融資の質が悪化し、長期化する低金利環境を背景に金利を探求する姿勢が強いといったリスクが依然として存在していると指摘した。

 IDRはBloombergによると対ドルで0.3%の下落。フィッチはインドネシア債格付け見通しを従来の「安定的」から「ポジティブ」に引き上げ。格付けは「BBB-」で据え置いた。同社は、「2015年9月以降の力強い構造改革が徐々に難しいビジネス環境を改善させており、中期的に成長見通しを支える公算が大きい」と説明した。

 BRLは対ドルで0.7%の上昇。12月のブラジルIPCA-15は前年比+6.58%と市場予想を小幅下回り、ほぼ2年ぶりに6%台に鈍化した。

 MXNは対ドルで0.4%の下落。第3四半期のメキシコ総受給額は前年比1.6%増と市場予想を下回り、4四半期連続で鈍化した。

 TRYは対ドルで0.4%の上昇。12月のトルコ消費者信頼感は63.38と市場予想を下回り、昨年10月以来の低水準に低下した。

 RUBは対ドルで0.6%の上昇。12月19日のロシアCPIは前週比+0.1%と前週から変わらずだった。

 ILSは対ドルで0.7%の上昇。11月のイスラエル先行S指数は前月比+0.34%と、5カ月ぶりの高い伸びに加速した。

私が自宅で使っている茶碗はITバブルのころに100円ショップで買ったもので、曜変天目ではないので安心してください。

2016年12月21日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年12月20日)



 12月20日のロンドン市場は取引前半に円安が進んだが、中盤以降に円は買い戻された。ドル円は取引前半に117円台後半から118円台前半に上昇。日銀・黒田総裁は決定会合後の会見で、現在の円の水準は驚くようなものではなく、今年2月と同じと発言。海外金利の上昇に応じて国内長期金利が上昇してもよいとは考えておらず、為替には金利格差も一定の影響を与えるかもしれないと述べるなど、円安容認姿勢を示したことが材料視された。

 ただ取引中盤に米債利回りが伸び悩むと、ドル円は118円ちょうど近辺に小幅下落。後半に米債利回りが低下に転ずると、ドル円は117円台後半とロンドン市場序盤の水準まで下落した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年12月20日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチ。変化幅は比較的小幅で、新興国通貨全体では方向感に欠ける展開となった。

 TWDは対ドルで小幅下落。11月の台湾輸出受注は前年比7.0%増と市場予想を上回り、3カ月ぶりの高い伸びに加速した。

 BRLは対ドルで0.6%の上昇。11月のブラジル税収は前年比7.1%増と市場予想を上回る伸び。同月同国の経常収支は8.8億ドルの赤字と赤字額が市場予想を上回ったが、同海外直接投資は87.5億ドルと市場予想を上回る流入となった。

 MXNは対ドルで0.3%の下落。10月のメキシコ小売売上高は前年比9.3%増と市場予想を上回り、4カ月ぶりの高い伸びに加速した。

 ZARは対ドルで1.1%の上昇。10月の南アフリカ先行指標は94.4と前月と変わらず、昨年6月以来の高水準を維持した。

 HUFは対ドルで小幅上昇。10月のハンガリー平均総賃金は前年比5.4%増と市場予想を下回り、2カ月連続の鈍化。ハンガリー中銀は市場予想通り政策金利を0.90%で据え置き。また同中銀は国内金融機関による中央銀行への預金預入上限額を今年第4四半期の9000億フォリントから来年第1四半期に7500億フォリントに縮小させるとした。

 TRYは対ドルでほぼ変わらず。トルコ中銀は市場予想通りレポレートを8.00%で据え置き。翌日物貸出金利と翌日物買入れ金利も据え置かれた。同中銀は声明でTRYの変動でインフレ見通しが上方修正されるリスクが強まったとしたが、総需要は抑制されたままであると指摘。今後の金融政策はインフレ見通しやインフレ期待などインフレ関連情報次第との見方を表明した。

「ムズキュン」や「恋ダンス」の由来を先ほど知りました。私はロスになれないようです。

2016年12月20日火曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2016年12月19日)




 12月19日のロンドン市場はドルが底堅く推移した。ドル円は取引中盤まで上昇基調で推移し、117円ちょうどから117円台半ば近辺に上昇。この日の東京市場では円買い優勢だったが、下げて始まったドイツ株は先週末終値水準に反発。米債利回りは下値の堅い動きとなり、ドル円はドルを買い戻す動きが続いた。ただ取引後半は伸び悩み、ドル円は117円台前半に反落した。

 ユーロドルは取引前半に1.04ドル台後半から1.04ドル台半ば近辺に下落したが、下げ一巡後は1.04ドル台後半に反発。中盤に近づき発表された12月のドイツIFO企業景況感は111.0と市場予想を上回り、2014年2月以来の高水準に上昇したが、ユーロドルは上値が重くなり、再び1.04ドル台半ばに下落した。取引中盤に発表された10月のユーロ圏建設業生産高は前年比2.2%増と前月から加速し、第3四半期のユーロ圏労働コストは前年比+1.5%と、こちらも前期から加速したが、ユーロドルは1.04ドル台前半で下落基調で推移した。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2016年12月19日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチだった。

 IDRはBloombergによると対ドルでほぼ変わらず。11月のインドネシア自動車販売は前年比14.9%増と前月から伸びが加速した。

 BRLは対ドルで0.6%の上昇。12月15日のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.35%、12月のブラジルIGP-M(二次速報値)も同+0.41%と、いずれも市場予想を小幅上回った。ブラジル中銀の週次エコノミストサーベイでは来年末時点のUSD/BRL見通しが3.49へと小幅上方修正。一方、GDP成長率見通しは0.58%に下方修正された。12月18日までのブラジル貿易収支は17.3億ドルの黒字と黒字拡大ペースが前月から大きく鈍化した。

 COPは対ドルで変わらず。10月のコロンビア貿易収支は7.7億ドルの赤字と赤字額が市場予想を下回り、5カ月ぶりの低水準に縮小した。

 HUFは対ドルで0.2%の下落。12月のハンガリー企業景況感は3.7、消費者信頼感は-14.1と、ともに前月から小幅改善した。

 PLNは対ドルで0.5%の下落。11月のポーランド鉱工業生産販売は前年比+3.3%、同月同国の小売売上高は同6.6%増と、いずれも市場予想を上回り、同月同国の建設業生産高は同12.8%減と市場予想ほど減少しなかった。同月同国のPPIは同+1.7%と市場予想を上回り、2012年9月以来の高い伸びに加速した。

 RUBは対ドルで0.3%の上昇。11月のロシア実質賃金は前年比1.7%増と市場予想下振れ。同月同国の失業率は5.4%と市場予想に反し、前月から変わらなかった。同小売売上高は前年比4.1%減と市場予想を上回る減少となった。

 ILSは対ドルで0.3%の上昇。12月のイスラエル予想CPIは前年比+0.6%と前月から鈍化した。

 TRYは対ドルで0.8%の下落。トルコの首都アンカラでロシアの駐トルコ大使が銃撃を受け死亡。銃撃犯はシリアの都市アレッポについて大声で叫んだと報じられた。

 一部報道で「東京の初乗り410円 1月末にも」との見出しがありましたが、初乗り料金が410円になるのはタクシーのようです。バスや地下鉄ではないようですのでご安心ください。

2016年12月19日月曜日

さらなる大幅下落は見込みにくい韓国ウォン(KRW)

 今年10月以降、韓国ウォン(KRW)が軟調な動きを続けている。10月初めから先週末(12月16日)までの対ドルでのパフォーマンスを見ると、KRWは7.0%の下落と、アジア通貨の中ではマレーシア・リンギット(7.6%の下落)に次ぐ下げを記録。USD/KRWは9月末の1100ちょうど近辺から上昇基調で推移し、11月21日には1180台と、今年6月下旬以来のKRW安を記録。12月に入り1160を割り込む場面もあったが、先週末には再び1180台に達した。

 KRW下落の背景には米債利回りの上昇がある。KRWは米債利回りの動きに脆弱で、利回り上昇で売られやすい傾向にある。米10年債利回りは、9月末時点で1.61%に過ぎなかったが、米FRBの利上げ再開観測を背景に10月には1.80%台に上昇。米大統領選で共和党のトランプ候補の勝利が決まると、同利回りは上昇基調となり、先週12月15日には2.64%近辺と、2014年9月以来の高水準に上昇した。

 KRWをサポートしてきた韓国の対外収支の改善に頭打ちの兆しが出てきたことも見過ごせない。11月の韓国貿易収支は80.0億ドルの黒字と、黒字額が前年同月比22.0%減と大きく減少。同国経常収支は、7月から4カ月連続で(10月まで)前年割れが続いている。

 韓国景気の伸び悩みも続いている。第3四半期の韓国GDPは前年比2.6%増と、昨年第2四半期以来の低い伸びに鈍化。韓国大手紙は、同国企画財政部高官の引用として、来年(2017年)の成長率見通しを従来の3%から2%台半ばに下方修正する可能性があると報じた。

 ただ、KRWがさらに売られたとしても、対ドルで1200ちょうど近辺がせいぜいで、今年2月末に記録した年初来安値水準(1245近辺)まで下げることはないと思われる。米債利回りがさらに上昇する可能性は否定しがたいが、米景気の加速期待はやや後退している。NY連銀が公表する経済モデル「ナウキャスト」によると、米GDP成長率見通しは、今年第4四半期が1.8%、来年第1四半期が1.7%と、ともに2%割れ。比較的高めの伸びを示すことが多いアトランタ連銀の経済モデル「GDPナウ」でも、第4四半期のGDP成長率見通しは2.6%と、前期(3.2%)から鈍化すると予想されている。足元では、南シナ海にて米中両海軍間での緊張が高まっていることもあり、米債利回りの上昇は一服しやすいとみられる。

 韓国の対外収支も、黒字額は拡大が止まったとはいえ、黒字額の縮小ペースは緩やかなものにとどまりそうだ。11月の韓国輸出物価は前年比+3.8%と、2011年10月以来の前年比プラスを記録。今後も輸出物価は、KRW安もあって上昇を維持するとみられ、原油価格の上昇を背景とした輸入増による貿易黒字の縮小を一部カバーするとみられる。

 景気伸び悩みによるディスインフレ圧力の強さもKRWをサポートするだろう。韓国のコアCPIは、11月に前月比-0.2%と3カ月ぶりの低下。韓国中銀は来年のコアCPI見通しを前年比1.8%に留まるとみている。