2017年1月28日土曜日

米景気の拡大とともに続くドル上昇

 昨夜発表された第4四半期の米GDPは前期比年率1.9%増と市場予想(同2.2%増)を下回った。需要項目別にみると、設備投資が同2.4%増と3期連続で加速し、5四半期ぶりの高い伸びを記録したが、個人消費は同2.5%増と2期連続で鈍化。純輸出が1.7%ptも成長率を下押ししたのが響いた。

 ただ純輸出や政府支出、在庫投資を除いた国内最終需要は、同2.5%増と3期連続で2%を超える伸び。これまで低迷が続いていた設備投資が加速していることで、景気拡大の動きが企業部門に広がりつつあることが確認された。個人消費は2期連続で鈍化したが、米所得・雇用環境は好調を維持しており、さらに悪化するとは考えにくい。日本時間2月2日午前4時に発表されるFOMC(2月FOMC)声明では、米景気の現状認識が上方修正される可能性もある。

 米国のインフレ期待が高まる動きも続いている。昨夜発表された1月のミシガン大消費者マインド調査によると、インフレ期待は1年後、5年後ともに2.6%と、昨年12月時点から加速。米インフレ連動債(2年物)から算出されるインフレ期待は1.89%と、2014年6月以来の高水準に上昇している。おそらく2月FOMC声明でも、インフレ期待の持ち直しが指摘されると思われる。

 米国にて景気拡大とインフレ期待の高まりが確認されたことで、追加利上げ観測も強まりつつある。FF金利先物市場から算出される次の利上げ確率を見ると、3月FOMC時点で35%、6月FOMC時点では75%に達している。今後の米経済指標次第とはいえ、米国の追加利上げは、そう遠くない将来のイベントになると予想される。

 一般に、長期金利の均衡水準は、実質経済成長率、期待インフレ、リスクプレミアムの合計であるといわれている。米長期債(10年債)利回りは、足元で2.50%を下回っているが、米成長率が2.0%程度、期待インフレが1.5%、リスクプレミアムがゼロ、と、すべてを低めに見積もったとしても合計3.5%となり、現在の長期債利回りの低さが目立つ。米国での追加利上げが視野に入れば、米長期債利回りも上昇圧力が強まるだろう。

 興味深いのは、こうした環境下でも、ドルが足元で伸び悩んでいることだ。ドル円は年初に118円台をつけたものの、その3週間後には112円台半ばまで下落。昨夜は115円台前半まで戻したが上値は抑えられ、結局115円ちょうどで引けた。

 新興国通貨は、今年に入って多くが対ドルで上昇している。対ドルで下落している主な新興国通貨はメキシコ・ペソ(0.8%安)とトルコ・リラ(9.0%安)くらいだ。なおメキシコ・ペソは、トランプ米大統領の「壁発言」が伝わったにもかかわらず、先週は対ドルで3.4%の上昇と、主要国通貨も含め最も高い上昇率を記録した。

 金利上昇にかかわらずドルが伸び悩んだことで、市場の注目点が景気や金利ではなく、トランプ米大統領を中心とした政治問題であるとの見方もあるようだ。たとえばトランプ政権は、ドル安指向であり、さらなるドル上昇を望まないとの指摘がある。同大統領による保護主義的な発言が、世界経済の重石となり、市場のリスク回避姿勢を強めるとの見方もある。

 しかしトランプ米大統領は、アメリカン・ファースト(米国第一)を主張しているが、ドル安指向を明言しているわけではない。ドル高により米景気が悪化すれば、同大統領がドル高をけん制する姿勢を示す可能性は否定しがたいが、米景気が拡大を続けるなか、あえてドル高けん制姿勢を示す必要性は現時点では薄い。米財務長官候補のムニューチン氏が述べたように、長期的なドル高政策を維持することは、経常赤字国である米国への安定的な資本流入を確保するためにも必要といえ、トランプ米大統領がドル高政策を即座に放棄すると決めつけるのは早計だろう。

 ダウ工業株30種平均が2万ドルを突破したように、世界の株式市場は米大統領選以降、高水準で推移している。あまり注目されていないようだが、昨年12月や今年1月の製造業PMIをみると、米国だけでなく日本、中国、ドイツ、英国は全て上昇基調のままだ。米国だけでなく世界の経済大国で景気が軒並み拡大している状況で、市場が世界景気の先行きを懸念し、リスク回避姿勢に動くとは考えにくい。

 足元のドル伸び悩みは、米景気の先行きに対する自信のなさの表れなのかもしれない。今後もトランプ米大統領の発言などでドル相場は右往左往する場面を多々目にするかもしれないが、米経済指標を通じ米景気の拡大が確認されれば、ドルの上昇も続くと考えるのが自然と思われる。

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年1月27日)




 1月27日のロンドン市場はドルの上値が重い動きとなった。

 ドル円は取引前半こそ115円台前半で方向感に欠ける動きとなったが、中盤には115円割れへと下落。ロンドン市場に入り米債利回りは上昇したが、欧州株は下落基調で推移。中盤に入り米債利回りが低下に転ずると、ドル円はドル売り優勢となった。ただ取引後半に米債利回りが下げ止まると、ドル円は115円ちょうどを小幅上回る水準まで小反発となった。

 ユーロドルは取引中盤まで上昇基調で推移し、1.06ドル台後半から1.07ドルちょうど手前に上昇。12月のユーロ圏M3は前年比5.0%増と市場予想を上回り、2カ月連続で加速。ユーロをサポートしたが、取引後半に入り米債利回りが下げ止まると、ユーロドルは1.06ドル台後半で伸び悩んだ。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年1月27日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチだった。

 BRLは対ドルで1.1%の上昇。
1月のブラジルFGV建設コストは前月比+0.29%と市場予想通りで前月から小幅鈍化。12月のブラジル税収はインフレ調整後で前年比1.2%減と3カ月ぶりの前年割れ。1月のブラジルCNI消費者信頼感は103.8と市場予想を上回り、3カ月ぶりの高水準に上昇した。

 MXNは対ドルで1.6%の上昇。USD/MXNは21を割り込んだ。
メキシコのペニャニエト大統領は米国のトランプ大統領と電話で会談。アメリカのメキシコに対する貿易赤字や両国関係の重要性、薬物や武器の違法な流入を止めるために協力する必要性などをめぐって協議。トランプ大統領が、国境沿いに建設するとしている壁の費用負担については立場の隔たりを認識する一方、今後、協議を通じて解決を目指すことで一致。壁の建設費の負担について公の議論を控えることでも合意した。

 COPは対ドルで0.3%の上昇。
12月のコロンビア失業率は8.7%と4カ月ぶりの高水準に悪化。コロンビア中銀は市場予想に反し政策金利を7.50%で据え置き。決定は賛成4反対3だった。市場関係者の大半は25bpの利下げを見込んでいた。同中銀は声明でインフレ期待の上昇と、国際経済の先行き不透明感の高まりを金利据え置きの理由として指摘した。

 TRYは対ドルで0.5%の下落。
11月のトルコ住宅価格指数は前年比+12.26%と3カ月連続で鈍化。S&Pはトルコ債格付けを「BB」で維持したものの、格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ。フィッチは同国債格付けを従来の「BBB-」から「BB+」に引き下げ。見通しは「安定的」とした。

 ZARは対ドルで0.9%の下落。
南アフリカのズマ大統領が与党ANCのエグゼクティブコミッティで昨年にズマ大統領を不信任とする動きを取った大臣数名を更迭する意向を示したと報じられた。

よい週末をお過ごしください。

2017年1月27日金曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年1月26日)



 1月26日のロンドン市場はドルが上昇基調で推移した。

 ドル円は取引中盤まで113円台後半で上値が抑えられる展開。ロンドン市場に入り米債利回りは小幅高。ドイツ株は小幅プラス圏で推移したが、他欧州通貨は伸び悩み、ドル円の重石となった。しかし取引後半に入り米債利回りが一段高となると、ドル円は114円台前半に上昇した。

 ユーロドルは1.07ドル台半ば近辺から1.07ドル台前半に下落。ただ取引終盤には同水準で下げ渋った。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年1月26日)

 新興国通貨は対ドルで売り優勢となった。

 KRWは対ドルで0.6%の上昇。
2月の韓国景況判断は製造業が76と2015年6月以来の高水準に改善。非製造業も73と前月から小幅ながら改善した。

 SGDは対ドルで0.8%の下落。
第4四半期のシンガポール失業率は2.2%と市場予想に反し前期から小幅悪化。12月の同国鉱工業生産は前年比21.3%と市場予想を大きく上回り、2011年12月以来の大幅上昇となった。

 CNYは対ドルで変わらず。
12月の中国工業利益は前年比2.3%増と前年割れを記録した2015年12月以来最も低い伸びに鈍化。S&Pは中国の「AA-」の格付けを維持する一方で見通しを「ネガティブ」に引き下げた。

 PHPも対ドルで変わらず。
第4四半期のフィリピンGDPは前年比6.6%増と市場予想通り。家計消費は同6.3%増、総固定資本形成は同18.7%増と、いずれもと2015年第3四半期以来の低い伸びに鈍化した。

 BRLは対ドルで0.2%の下落。
12月のブラジル融資残高は前月比0.1%増と前月から鈍化した。

 MXNは対ドルで0.9%の下落。
12月のメキシコ貿易収支は2820万ドルの黒字と市場予想に反し小幅ながら黒字を維持した。

 ZARは対ドルで0.9%の下落。
12月の南アフリカPPIは前年比+7.1%と市場予想を上回り、前月から小幅加速した。

 TRYは対ドルで0.7%の下落。
1月20日までの週のトルコ非居住者による国債投資は1.57億ドルの売り越しだった。

 PLNは対ドルで0.4%の下落。
ポーランド中銀は会合議事録(1月11日開催分)を公表。今後数四半期の間、政策金利は据え置かれるとの見方が示されたが、メンバーの数名はインフレが上昇に転じた際には利上げが正当化されるとの認識を示した。

 RUBは対ドルで1.5%の下落。
1月20日のロシア金・外貨準備高は3859億ドルと前週から小幅増加した。

予報によると本日の東京地方は最高気温が15度くらいになる見込み。寒暖の差が大きくなりますので、体調管理に注意ください。

2017年1月26日木曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年1月25日)



 1月25日のロンドン市場はドルが対欧州通貨を中心に軟調な展開となった。

 ドル円は113円台半ばを小幅上回る水準で方向感に欠ける動き。ロンドン市場に入り、米債利回りはじり高の動きとなり、欧州株はドイツ株を中心に堅調に推移。しかしトランプ米大統領が、SNSにてメキシコとの国境沿いに壁を建設する意向を示したこともあり、米政策の先行き不透明感は根強いまま。ドル円は上値の抑えられる展開となった。

 ユーロドルは1.07ドル台前半から1.07ドル台半ば近辺、ポンドドルは1.25ドルちょうどから1.26ドルちょうど手前に、それぞれ上昇した。1月のドイツIFO企業景況感は109.8と市場予想や前月を下回ったが、ユーロ売りの動きは見られず。むしろユーロドルはユーロ買い・ドル売り優勢のままだった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年1月25日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチだった。

 KRWは対ドルで変わらず。
第4四半期の韓国GDPは前年比2.3%増と市場予想を小幅上回ったが、前期から鈍化した。

 TWDは対ドルで0.2%の上昇。
第4四半期の台湾GDPは前年比2.58%増と市場予想を下振れ。ただ前期からは加速した。

 BRLは休場。
1月のブラジルFGV消費者信頼感は79.3と3カ月ぶりの高水準に反発した。

 MXNは対ドルで1.2%の上昇。
11月のメキシコ小売売上高は前年比11.2%増と市場予想を上回り、2009年の統計開始以来最大の伸びを記録した。

 PLNは対ドルで0.4%の上昇。
12月のポーランド失業率は8.3%と市場予想通りで、前月から小幅悪化した。

 TRYは対ドルで1.1%の下落。
1月のトルコ企業景況感は100.5と市場予想を下回り、2015年9月以来の低水準に悪化した。同月同国の設備稼働率は75.5%と5カ月ぶりの低水準に悪化した。

 RUBは対ドルで0.5%の下落。
1月23日のロシアCPIは前週比+0.1%と前週と変わらず。12月のロシア失業率は5.3%と市場予想に反し前月から改善。同月同国の実質賃金は前年比2.4%増と市場予想を上回ったが、同月同国の小売売上高は同5.9%減と市場予想を下振れ。同月同国のPPIは同+7.4%と市場予想を上回り、1年ぶりの高い伸びに加速した。

イスラエルの企業が開発した超小型ドローンは、スマホケースに装着することで空中からの撮影を可能にするそうです。自撮り棒業界は苦境に陥りそうです。

2017年1月25日水曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年1月24日)

 1月24日のロンドン市場はドル買い優勢の展開となった。

 ドル円は取引序盤に113円台前半から113円ちょうど近辺に下落したが、中盤に近づくと113円台前半に反発。その後は同水準で小動きを続けた。ロンドン市場に入り米債利回りが上昇基調で推移。この日はドイツなど欧州株がプラス圏で推移し、ドル円の下値を堅くした。

 ユーロドルは取引中盤まで1.07ドル台半ば近辺で方向感に欠ける動き。1月のドイツ製造業PMI(速報値)は56.5と市場予想を上回り、3年ぶりの高水準。その後発表された同月のユーロ圏製造業PMI(速報値)も55.1と市場予想を上回りユーロをサポートした。しかし取引後半に入ると、ユーロドルは上値が重くなり、終盤は1.07ドル台前半での推移となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年1月24日)

 新興国通貨は対ドルでマチマチだった。

 KRWは対ドルで変わらず。
1月の韓国消費者信頼感は93.3と3カ月連続で悪化し、2009年3月以来の低水準を記録した。

 THBは対ドルで小幅上昇。
12月のタイ貿易収支は9.4億ドルの黒字と、黒字額が市場予想を大きく下振れ。輸出が前年比.2%増と市場予想を下回る一方、輸入は同10.3%増と市場予想を上回った。

 BRLは対ドルで0.2%の下落。
1月23日のブラジルFIPE・CPIは前月比+0.58%と市場予想や前週を下振れ。12月のブラジル経常収支は58.8億ドルの赤字と、赤字額が市場予想を上回り、2015年4月以来の大きさに拡大。一方、同月同国の海外直接投資は154.1億ドルと市場予想を大きく上回り、6年ぶりの高水準を記録した。

 MXNは対ドルで0.3%の下落。
1月上旬のメキシコCPIは前年比+4.78%と市場予想を上回り、2012年9月下旬以来の伸びに加速。11月のメキシコ経済活動IGAEは前年比+3.69%と市場予想を上回り、9カ月ぶりの高い伸びを記録した。12月のメキシコANTAD既存店売上高は前年比5.3%増と市場予想に反し前月並みの伸びにとどまった。

 CLPは対ドルで0.3%の上昇。
12月のチリPPIは前年比+10.2%と2011年8月以来の高い伸びに加速した。

 COPは対ドルで小幅上昇。
12月のコロンビア小売業信頼感は20.3と前月から悪化する一方、同月同国の鉱工業信頼感は-1.2と前月から改善。11月のコロンビア貿易収支は12.9億ドルの赤字と赤字額が市場予想を上回った。

 ZARは対ドルで0.9%の上昇。
11月の南アフリカ先行指標は95.6と4カ月連続で改善し、2015年4月以来の高水準。南アフリカ中銀は市場予想通り政策金利を7.00%に据え置き。同中銀のクガニャゴ総裁は足元のインフレ加速は供給側のショックによるもので、今後は燃料価格上昇による副次的なインフレ加速を注視すべきとの認識を示した。

 TRYは対ドルで0.8%の下落。
12月のトルコ住宅販売は前年比0.1%増と急鈍化。
トルコ中銀は市場予想に反しレポレートを8.00%、翌日物借入金利を7.25%にそれぞれ据え置き。一方、翌日物貸出金利を9.25%へと75bp引き上げ、後期流動性貸出金利を11.00%と100bp引き上げると発表した。同中銀は声明で足元でのTRY急落に言及し、インフレ見通しの悪化を封じ込めるため金融引き締めの強化を決めたと説明した。

 CZKは対ドルで0.3%の下落。
1月のチェコ企業景況感は16.5と前月とほぼ変わらず。同月同国の消費者信頼感は7.5と前月から
小幅改善した。

 HUFは対ドルで0.4%の下落。
ハンガリー中銀は市場予想通り政策金利を0.90%に据え置き。同中銀は声明で必要があれば
さらなる非伝統的な金融緩和を実施する可能性があると指摘した。

新潮社は、作家・村上春樹氏の7年ぶり本格長編の初版部数を第1部、第2部とも50万部とすることを発表したそうです。印税の計算をしてしまいました。

2017年1月24日火曜日

■ロンドン・NY市場の主要国通貨(2017年1月23日)



 1月23日のロンドン市場はドルが下げ止まったものの、上値は抑えられる展開となった。

 ドル円は113円台前半からじり高となり、取引中盤には113円台後半に上昇。ロンドン市場に入り、米債利回りは上昇。下げて始まったドイツ株も、中盤に近づくと下げ幅を縮め、ドル円の上昇をサポートした。

 しかし取引後半に入りドル円はいったん113円台半ば近辺に下落。終盤には113円台後半に再び上昇したが、上昇を続けてきた米債利回りが頭打ち。ドル円も上昇一服となった。

■ロンドン・NY市場の新興国通貨(2017年1月23日)

 新興国通貨は対ドルで買い優勢。米債利回りの低下が新興国通貨をサポートした。

 TWDは対ドルで0.3%の上昇。
12月の台湾失業率は3.82%と市場予想や前月とほぼ同じ。同月同国の鉱工業生産は前年比+6.25%と市場予想を下回った。

 SGDは対ドルで0.5%の上昇。
12月のシンガポールCPIは前年比+0.2%と、市場予想を小幅上回った。

 BRLは対ドルで0.3%の上昇。
ブラジル中銀の週次エコノミストサーベイでは今年末の政策金利見通しが9.50%へと2週連続の下方修正。1月22日までのブラジル貿易収支は14.0億ドルの黒字と、黒字額が前週から大きく拡大したが、前月から黒字拡大ペースは鈍化したままだった。

 HUFは対ドルで小幅上昇。
1月のハンガリー企業景況感は4.4、消費者信頼感は-11.7と、いずれも前月から改善した。

 TRYは対ドルで0.2%の上昇。
1月のトルコ消費者信頼感は66.90と市場予想に反し前月から改善した。

 ILSも対ドルで0.2%の上昇。
イスラエル中銀は市場予想通り政策金利を0.10%で据え置き。同中銀は声明で賃金上昇がインフレをサポートし、経済活動は引き続き良好であるとの認識を示し、インフレは目標水準に達する可能性が高いと指摘した。

 RUBは対ドルで0.4%の上昇。
12月のロシア鉱工業生産は前年比+3.2%と市場予想を上回り、2年ぶりの高い伸びに加速した。

昨夜は寒いので暖房器具をフル活用したら、今朝は熱く(暑く?)寝苦しくて起きました。

2017年1月23日月曜日

軟調地合いが続くと見込まれるフィリピン・ペソ(PHP)

 フィリピンでは26日、昨年第4四半期GDPが発表される。Bloomberg調査によると、予想GDP成長率(前年比)は6.0~7.2%増と幅が大きいが、アジアで最も高い成長を続けるインドは、同期に前年比6.0%増に大きく減速するとみられており、フィリピンはアジアの中では最も高い成長を記録する可能性が高い。今後もフィリピン景気は、同国政府による公共投資の拡大などを背景に、前年比6%台後半程度の伸びを維持するとみられる。

 景気が堅調に推移する一方で、フィリピン・ペソ(PHP)は軟調地合いが続いている。PHPは昨年12月下旬に対ドルで50.056と2008年11月以来の安値を記録。昨年末には、やや持ち直し、年初は49.5を下回る場面もあったが、16日には再び50台を記録。その後は50ちょうど手前水準で推移している。ちなみにアジア通貨の年初来パフォーマンス(対ドル)をみると、アジア通貨のほとんどが上昇する中、PHPは0.2%の下落と、INR(0.4%の下落)に次ぐ下落となっている。

 PHPが軟調な背景にはフィリピンの貿易赤字の拡大がある。堅調な景気を背景に輸入が前年比二ケタペースで拡大する一方、輸出は前年割れが続いている。昨年11月のフィリピン貿易収支は25.7億ドルの赤字と、過去2番目の赤字を記録。昨年1月は、26.4億ドルの赤字と過去最大の赤字を記録するなど、フィリピンの貿易赤字は拡大傾向にある。この結果、フィリピンの経常収支も黒字額が縮小傾向にあり、12カ月移動平均でみると、昨年後半の黒字は2009年4月以来の低水準に落ち込んでいる。

 景気拡大や原油先物価格の上昇を背景にフィリピンではインフレ圧力が強まっている。昨年12月のフィリピン・コアCPIは前年比+2.5%と2015年4月以来の高い伸びに加速。フィリピンM3は昨年、前年比で11~13%のペースで拡大しており、フィリピンのインフレ圧力が早期に鈍化するとは考えにくい。インフレ圧力の強まりはPHPの下押し材料となる。

 フィリピン中銀のハト派姿勢もPHPの重石となっているようだ。同中銀のテタンコ総裁は一部米系メディアとのインタビューで、今年と来年のインフレは目標レンジ(2~4%)内に収まる見込みであり、急な利上げを必要としないと明言。PHPは当面、安定的な動きが見込まれるとも述べ、PHPの先行きに対して楽観的な見方を示した。

 フィリピンは他アジア諸国に比べ貿易面で中国や米国との依存度が高くないことを理由に、PHPは今後安定感を増すとの見方も一部にあるようだが、筆者は懐疑的にみている。景気拡大を背景とした輸入増の流れは続くなか、フィリピン中銀のインフレ加速容認姿勢はPHPの重石となり続ける。USD/PHPの次の節目は、2005年7月の高値(56.448)から2008年2月の安値(40.250)の61.8%戻し水準である50.26近辺。その次は76.4%戻し水準の52.63近辺と予想される。