2014年3月4日火曜日

Mt.Goxの破綻で思ったこと

一時は世界最大のビットコイン取引量を誇っていたMt.Gox(マウントゴックス)の運営会社「MTGOX」が2月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し受理されました。同日開かれた同社の記者会見によると、2月初めころからシステムのバグにより不正アクセスが増加。顧客から預かっていた約75万ビットコインと、同社自身の持ち分である約10万ビットコインの計85万ビットコインのほぼ全てが消失しただけでなく、顧客からの預かり金が最大約28億円不足。同社は債務超過状態にあることが明らかにされています。

Mt.Goxの顧客は、米財務省FinCENの規制に従い本人確認書類の提出が義務付けられており、ビットコインを同社から搾取した犯人を確認することは比較的容易と思われます。またビットコインは取引が全て公開されるため、仮にMt.Goxからビットコインを盗んでも、犯人はビットコインを処分することが難しいはずです。Mt.Gox顧客の資産の行方については、同社の説明を鵜呑みにせず、今後の調査結果をみるまで、MTGOX社内部の者が顧客資産を無断で流用したなど、様々な可能性を想定し続けるべきと思われます。ただ原因が何であれ、MTGOX社が債務超過状態にあるのは事実であり、同社の破綻によって、顧客資産は大なり小なり毀損することになりそうです。

Mt.Goxが破綻によって得られた教訓の一つは、顧客から何らかの金融資産を預かる企業には、(規制のあるなしにかかわらず)アクシデントが発生しても顧客の資産を保全する仕組みが求められるということです。推測ですが、MTGOX社は顧客からの資産を自社資産と分別保管していない可能性が高く、FX会社などで義務化されている信託保全の仕組みも備えていないと思われます。このため同社の債務超過は顧客資産の毀損に直結したと考えられます。

FX会社を規制する金融商品取引法が施行されるまで、FX業界ではMt.Goxのような破綻で顧客資産が棄損する例がいくつかありました。たとえば2007年10月に破産宣告を受けたFX会社は、相場変動で発生した損失を取り戻すべく、顧客から預かった資産で取引を拡大。その結果、FX会社の資産だけでなく顧客の資産も消失し、顧客のもとには預けた資産の5%しか戻ってこなかった例があります。このような事例を経て日本の金融当局はFX業界の規制を強化。現在のようにFX会社は金融庁への登録が必要となり、信託保全など各種ルールが整備されました。ビットコイン取引が今後、日本で普及するのであれば、FX業界と同じように、顧客の資産保全を優先した仕組み作りが必要となるのでしょう。

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