2018年7月4日水曜日

女性ミレニアム世代がカギとなりそうなスマホアプリ・ポストペイ式電子マネーでの決済

楽天リサーチが6月29日に公表した「キャッシュレス決済に関する調査」によると、日常の買い物で最も利用する決済手段の回答割合(利用率)は、現金が47.8%、クレジットカードが36.0%、電子マネー(商業系、交通系、ポストペイ式の合計)が11.7%の結果となりました。ちなみにスマートフォンを利用した決済サービス(以下、スマホアプリ)は1.7%、デビットカードは1.1%、銀行・郵便振込は1.0%、商品券は0.4%となっています。

https://research.rakuten.co.jp/report/20180629/

同調査では、最も利用する手段とあわせて、決済で利用する手段を複数回答で質問しています。これによると、クレジットカードの利用割合は82.5%と、8割以上の方がクレジットカードを利用していることがわかります。電子マネーの利用割合は、商業系カード型(nanacoなど)が43.4%、交通系カード型(Suicaなど)が38.8%と、約4割の方が利用しています。最も利用する手段では利用率が非常に低かったグループでも、銀行・郵便振込は30.8%、商品券は29.4%と、約3割の利用があります。一方、スマホアプリは15.0%、ポストペイ式カード型電子マネー(QUICPayなど)は9.3%、デビットカードは8.3%と、利用していない方が8割以上いる結果となっています。


(出所)楽天リサーチ「キャッシュレス決済に関する調査」

全体の8割以上がクレジットカードを利用しており、電子マネーや銀行・郵便振替も3~4割の方が利用していることから、日本でもキャッシュレス社会が広がっていると解釈できるのかもしれません。しかしクレジットカードの取扱高(ショッピング信用供与額)は、個人消費総額に対し、2016年時点で18.0%(今年の推定値は21%程度)に過ぎず、クレジットカードの利用率が非常に高い韓国(76.5%)だけでなく、米国(25.8%)よりも低い水準です。電子マネーやデビットカードによる買い物は、クレジットカードよりも金額が小さい傾向にあることを考えると、日本での買い物(個人消費)では、金額ベースでは、まだまだ現金が主流といえそうです。

スマホアプリやポストペイ式カード型電子マネーは、普及率が高まっていると思われますが、それでも利用している方は全体の2割に満たず、最も利用するとの回答は僅少です。SNS企業などがスマホを使った新しい決済サービスを相次いで始めているものの、現時点ではクレジットカードや商業系・交通系カード型電子マネーほどの存在感を示せていないといえます。

すでに数多くの指摘がなされていますが、スマホアプリやポストペイ式カード型電子マネーが今後さらに普及するには、20代、30代でのユーザー層の拡大がキーとなりそうです。

同調査では、利用する決済手段の回答割合を性・年代別に分けて集計しています。クレジットカード、商業系カード型電子マネー、交通系カード型電子マネー、銀行・郵便振込、商品券では、全体の利用率と、性・年代別の利用率との間に大きな差は見られません。

一方、スマホアプリとポストペイ式カード型電子マネーでは、全体での利用率は、スマホアプリが15.0%、ポストペイ式カード型電子マネーが9.3%でしたが、男性20代での利用率は、スマホアプリが25.3%、ポストペイ式カード型電子マネーが22.8%と、両者ともに20%を超えています。また男性30代では、スマホアプリの利用率が26.8%と男性20代より高い利用率となっています。ところが20代、30代の女性の結果を見ると、スマホアプリ、ポストペイ式カード型電子マネーともに、利用率が全体の利用率とほぼ同じか、全体よりも低くなっています。

(出所)楽天リサーチ「キャッシュレス決済に関する調査」

スマホアプリやポストペイ式カード型電子マネーによる決済が、日本でさらに普及するには、男性20代での利用が広がるだけでなく、男性に比べ出遅れているミレニアム世代(20代、30代)の女性の利用拡大がカギとなりそうです。



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