2018年7月5日木曜日

金融は情報収集・コミュニケーションの一環となりうるか

電車など公共交通で、乗客の多くがスマートフォン(スマホ)を操作している場面を目にすることが増えてきました。場合によっては、乗客を眺めている自分を除く乗客全員がスマホに視線を向けていることもあります。

総務省が公表する「通信利用動向調査」によると、日本のスマホ保有世帯割合(普及率)は、2017年(昨年)末に75.1%と、パソコン(72.5%)や固定電話(70.6%)を初めて抜きました。またタブレット端末の普及率は36.4%とFAX(35.3%)を初めて抜きました。固定電話やパソコンの普及率は徐々に低下する一方で、スマホやタブレット端末は上昇を続けていますので、今後もしばらくは、スマホやタブレット端末の存在感は高まり続けると思われます。

(出所)総務省「通信利用動向調査」

スマホ保有割合を年齢別にみると、20代、30代ではほとんどがスマホを保有しており、40代でも8割以上(85.5%)がスマホを保有。50代でも7割以上(72.7%)が保有するなど、スマホはいわゆる社会人層に広く浸透していることがわかります。

(出所)総務省「通信利用動向調査」

同調査では、スマホ保有者を対象にスマホの利用状況についても調査をしています。これによると、パソコンの代わりにソーシャルメディア・メール送受信にスマホを利用する方は75.7%、インターネットの検索が74.7%と高い割合になっており、次いで動画・音楽視聴が51.4%、ネットショッピングが41.9%と続いています。一方、カード・電子マネーの利用は7.2%、フィンテック(決済・送金サービス)は3.2%にとどまっています。


(出所)総務省「通信利用動向調査」

こうした調査結果から言えることは、スマホはパソコンに代わる形で広く普及しており、スマホユーザーの多くは、情報収集、買い物、コミュニケーションに使っている、となります。

またスマホは、(決済や送金といった)金融活動において、主要ツールになりえていないこともあげられます。日本では、買い物において依然として現金での支払い(決済)が主流であるため、スマホが財布の役割を担うことができないといえます。

経済産業省は7月3日、電子マネーやクレジットカードなど現金を使わない決済手段の普及を推進する産学官の連携組織「キャッシュレス推進協議会」を設立したと発表しました。協議会は、2025年までにキャッシュレス比率を40%に引き上げる目標を掲げており、今年度はQRコードの規格統一、電子レシートの標準化、自動販売機のキャッシュレス化促進に取り組むそうです。

スマホが金融活動のツールとなりえていない状況を打破するためには、「キャッシュレス推進協議会」のような活動を通じて、スマホで金融活動の利便性を高めていくことは必要なことと思われます。ただ私見ですが、スマホが情報収集やコミュニケーションのツールである以上、情報収集やコミュニケーションの中に金融活動を組み込む工夫も必要なのかもしれません。

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