昨日(5月20日)発表された日本の第1四半期GDPは、今後の日本の成長率が1%前後で伸び悩む可能性を示す内容となった。
日本の第1四半期GDPは実質で前期比年率2.4%増と、2四半期プラスとなり、伸びは昨年第1四半期の4.9%増に次ぐ水準に加速した。市場予想では前期と同じ1.5%増程度の伸びに留まるとの見方が多かったことから、日本経済は市場予想を上回る成長となった、と言えなくもない。
2015年5月21日木曜日
2015年4月23日木曜日
ドル円は慎重な姿勢が続く見込み
昨日発表された日本の通関統計によると、3月の輸出数量は、前年比3.3%増(前月比では2.5%程度の増加)と増加基調を維持。4月30日発表予定の3月の鉱工業生産は、市場予想で前月比-2.5%と2カ月連続の低下が予想されているが、製造工業生産予測調査によると4月は同+3.6%と反転が見込まれている。日本の生産活動は、第2四半期も拡大基調で推移するとの見方が優勢である。
しかしマークイットが本日発表した4月の日本製造業PMIは49.7と3カ月連続の低下となり、昨年5月以来の50割れ。内訳をみると、新規受注で50割れが続いたほか、生産も昨年7月以来の50割れとなった。
マークイットが主張するようにPMI内の生産と鉱工業生産は一定の連動性を有する。PMI内の生産が50割れを記録したことを考慮すると、4月に入っても鉱工業生産の低下が続く可能性は排除できない。
しかしマークイットが本日発表した4月の日本製造業PMIは49.7と3カ月連続の低下となり、昨年5月以来の50割れ。内訳をみると、新規受注で50割れが続いたほか、生産も昨年7月以来の50割れとなった。
マークイットが主張するようにPMI内の生産と鉱工業生産は一定の連動性を有する。PMI内の生産が50割れを記録したことを考慮すると、4月に入っても鉱工業生産の低下が続く可能性は排除できない。
2015年4月15日水曜日
浜田宏一・内閣官房参与はドル円120円超を肯定
安倍首相の経済ブレーンとされる浜田宏一・内閣官房参与(米エール大名誉教授)は4月13日、14日の2日間、日本の各種メディアに登場。メディアは、円相場に関する浜田氏の発言をいくつか報じた。見出しだけをみると、浜田氏の発言は二転三転している印象を与えたかもしれないが、発言内容を細かく確認すると、同氏の趣旨が一貫していることが分かる。つまり浜田氏は、今後も円安の動きが強まる可能性を否定していないと考えられる。
以下は、米系メディア2社が、浜田氏の円相場に関する発言について報じたタイミング(掲載日時)と見出しを整理したものである。
以下は、米系メディア2社が、浜田氏の円相場に関する発言について報じたタイミング(掲載日時)と見出しを整理したものである。
2015年3月27日金曜日
ドル円が下落するまで期待するのは難しい日銀の追加緩和
本日朝方は日本で数多くの経済指標が発表されたが、それらの結果は、日銀が4月に追加緩和に踏み切るとの見方をさらに後退させるものとなった。
2月のコアCPI(総合CPIから生鮮食品を除くベース)は前年比+2.0%と市場予想を下回り、消費税率の引き上げ効果を除けば前年並みに鈍化。総合CPIから食料とエネルギーを除いたコアコアCPIも同+2.0%とやはり市場予想を下回った。同月の実質消費支出は前年比2.9%減と11カ月連続の前年割れ。小売業販売額は前月比でこそ0.7%増とプラスに転じたが1月の落ち込み(1.9%減)をカバーできず。原油安がインフレを抑制する、といっても、消費の回復がこうも弱いようでは、インフレの早期回復は期待できない。
ただ、日銀の金融政策決定会合・声明文でも示されているように、日銀はコアCPIの前年比が当面、0%程度で推移すると見通し済み。今回のコアCPIの伸び鈍化は、日銀に言わせれば「想定通り」となる。
日銀・黒田総裁が物価の中長期的な動向を決める要因として指摘する需給ギャップと予想物価上昇率の動きは、日銀の追加緩和を否定する結果となっている。2月の失業率は3.5%と前月から低下。有効求人倍率は1.15倍と1992年3月以来、約23年ぶりの高水準に上昇した。一方、消費動向調査で示される1年後の物価見通しは、上昇するとの回答割合が87.3%と昨年10月の追加緩和以降、高止まりのままである。
春闘の結果を見極めたいとの思惑もある。連合が26日発表した2015年春闘の中間集計結果によると、25日午後3時時点での平均賃上げ率は2.36%と、前年の同時期の2.23%を上回る水準。すでに現金給与総額は昨年12月から2カ月連続で前年比1%超の伸び。雇用環境だけでなく所得環境も改善が続くのであれば、需給ギャップが需要庁の方向に拡大するとの見方も説得力を増す。
コアCPIが前年並みに落ち込み、消費の回復も弱いということであれば、4月7、8日の次回会合や、統一地方選が終わった4月30日の会合での追加緩和は自然なものとなるが、日銀・黒田総裁のロジックがそれを許さない。また黒田総裁は、2%のインフレ目標が達成する時期として「2015年度を中心とする期間」と述べ、達成時期が2016年度以降にずれ込むことを暗に容認している。これでは、日銀が目標達成に少しでも早く到達すべく、4月の会合で追加緩和をするというストーリーも考えにくくなる。すでに為替市場では、日銀の4月の追加緩和観測がかなり後退している。
そうした中、足元では6月の米利上げ期待の後退を背景にドルが軟調に推移している。25日に発表された2月の米耐久財受注は前月比1.4%減と市場予想に反しマイナス。GDP算出に用いられるコア資本財出荷は2月こそ前月比0.2%増とプラスとなったが、1月は0.4%減と下方修正。市場関係者による第1四半期の米GDP見通しも下方修正されている。
3月の米FOMCは声明で利上げの条件として、労働市場(雇用)のさらなる改善と中期的にインフレが2%目標に戻るとの合理的な自信が持てることを挙げている。雇用の改善は見込めても、成長率が低ければ、たとえ利上げを目指すFRBイエレン議長としても、インフレが2%に戻ると「合理的な」自信があるとは言い難い。
頼みのドル高ストーリーも期待しにくくなったことで、ドル円は当面、120円を目途に上値の抑えられる展開が続くだろう。4月3日に発表される3月の米雇用統計がたとえ好結果だったとしても、平均時給の伸びが高まることがなければ、6月の利上げ開始期待は盛り上がりにくい。米小売売上高など3月の米景気指標が2月に続いて弱いようだと、ドル買いどころかドル売りの流れすら起こり得る。この場合、ドル円の下値の目途は116円ちょうど近辺まで広がる。この時になって、ようやく日銀は、表向きの理由は後で考えるとして、追加緩和の検討に本腰を入れるのだろう。
2月のコアCPI(総合CPIから生鮮食品を除くベース)は前年比+2.0%と市場予想を下回り、消費税率の引き上げ効果を除けば前年並みに鈍化。総合CPIから食料とエネルギーを除いたコアコアCPIも同+2.0%とやはり市場予想を下回った。同月の実質消費支出は前年比2.9%減と11カ月連続の前年割れ。小売業販売額は前月比でこそ0.7%増とプラスに転じたが1月の落ち込み(1.9%減)をカバーできず。原油安がインフレを抑制する、といっても、消費の回復がこうも弱いようでは、インフレの早期回復は期待できない。
ただ、日銀の金融政策決定会合・声明文でも示されているように、日銀はコアCPIの前年比が当面、0%程度で推移すると見通し済み。今回のコアCPIの伸び鈍化は、日銀に言わせれば「想定通り」となる。
日銀・黒田総裁が物価の中長期的な動向を決める要因として指摘する需給ギャップと予想物価上昇率の動きは、日銀の追加緩和を否定する結果となっている。2月の失業率は3.5%と前月から低下。有効求人倍率は1.15倍と1992年3月以来、約23年ぶりの高水準に上昇した。一方、消費動向調査で示される1年後の物価見通しは、上昇するとの回答割合が87.3%と昨年10月の追加緩和以降、高止まりのままである。
春闘の結果を見極めたいとの思惑もある。連合が26日発表した2015年春闘の中間集計結果によると、25日午後3時時点での平均賃上げ率は2.36%と、前年の同時期の2.23%を上回る水準。すでに現金給与総額は昨年12月から2カ月連続で前年比1%超の伸び。雇用環境だけでなく所得環境も改善が続くのであれば、需給ギャップが需要庁の方向に拡大するとの見方も説得力を増す。
コアCPIが前年並みに落ち込み、消費の回復も弱いということであれば、4月7、8日の次回会合や、統一地方選が終わった4月30日の会合での追加緩和は自然なものとなるが、日銀・黒田総裁のロジックがそれを許さない。また黒田総裁は、2%のインフレ目標が達成する時期として「2015年度を中心とする期間」と述べ、達成時期が2016年度以降にずれ込むことを暗に容認している。これでは、日銀が目標達成に少しでも早く到達すべく、4月の会合で追加緩和をするというストーリーも考えにくくなる。すでに為替市場では、日銀の4月の追加緩和観測がかなり後退している。
そうした中、足元では6月の米利上げ期待の後退を背景にドルが軟調に推移している。25日に発表された2月の米耐久財受注は前月比1.4%減と市場予想に反しマイナス。GDP算出に用いられるコア資本財出荷は2月こそ前月比0.2%増とプラスとなったが、1月は0.4%減と下方修正。市場関係者による第1四半期の米GDP見通しも下方修正されている。
3月の米FOMCは声明で利上げの条件として、労働市場(雇用)のさらなる改善と中期的にインフレが2%目標に戻るとの合理的な自信が持てることを挙げている。雇用の改善は見込めても、成長率が低ければ、たとえ利上げを目指すFRBイエレン議長としても、インフレが2%に戻ると「合理的な」自信があるとは言い難い。
頼みのドル高ストーリーも期待しにくくなったことで、ドル円は当面、120円を目途に上値の抑えられる展開が続くだろう。4月3日に発表される3月の米雇用統計がたとえ好結果だったとしても、平均時給の伸びが高まることがなければ、6月の利上げ開始期待は盛り上がりにくい。米小売売上高など3月の米景気指標が2月に続いて弱いようだと、ドル買いどころかドル売りの流れすら起こり得る。この場合、ドル円の下値の目途は116円ちょうど近辺まで広がる。この時になって、ようやく日銀は、表向きの理由は後で考えるとして、追加緩和の検討に本腰を入れるのだろう。
2015年3月12日木曜日
世界的な金融緩和競争に勝つべく日銀は4月にサプライズ緩和か
3月5日のECB理事会、3月6日に発表された2月の米雇用統計の二つを受けて為替市場はドル買いムードを強めている。ECB理事会があった3月5日から11日までの間、ドルは主要国(G10)通貨、新興国通貨のほぼ全てに対し上昇。ドルは対ユーロで4.4%、対ブラジルレアルで4.0%それぞれ上昇した。
興味深いのは、ドルが対円では1.1%の上昇と、G10通貨の中で最も低い上昇に留まったことだ。新興国通貨の中で円より上昇率が低かったのは、台湾、フィリピン、インドといったアジア通貨の一部とトルコリラくらい。言い換えると、円はドルに対しては下落したものの、他通貨のほとんどに対しては上昇したことになる。
為替市場でドル高ムードが強まっている一方で、円売りの動きが弱いのは、日銀の追加緩和期待が大きく後退しているからだろう。日本景気は今年に入って回復基調が強まっており、今年前半の成長率は年率2%近くに達するとの見方が大勢となっている。
景気回復の原動力は、外需の拡大と原油安によるコスト負担感の軽減だ。2月の景気ウォッチャー調査では、現状判断が50.1と7カ月ぶりに50を超えた。具体的な回答をみると、都心の店舗を中心に外国人観光客による売り上げが好調、ガソリン価格の低下で消費者が少しお金に余裕が出てきた、といった声がみられる。
2%の物価目標を掲げる日銀にとって原油安は逆風だが、日本景気にとっては追い風だ。4月に統一地方選挙を控える政府・与党とすれば、物価がどうであれ景気回復が続くことが重要。日銀は、政府・与党に気を使い、当面、追加緩和は控える、との見方が為替市場で広がるのも無理はない。
仮に市場の見方通り、日銀が追加緩和の見送りを続けると、円はドルを除く通貨に対し強含む展開が続くと予想され、特に新興国通貨に対しては、円高が進みやすくなるだろう。今年に入り、新興国は利下げ姿勢を強めており、これまで利下げに消極的だったインド、中国、インドネシア、タイ、韓国とアジア各国も利下げに動いている。日銀は世界各国に先んじて大型金融緩和に踏み切ったが、足元では、後からやってきた各国に金融緩和(自国通貨安)競争で後塵を拝する格好となっている。
日銀の黒田総裁は、こうした状況を当然、認識しており、日本が世界経済において「相対的に」金融緩和に消極的な国と位置付けられることに危機感を覚えているのではなかろうか。4月の統一地方選の終了後に開催される4月30日の日銀・金融政策決定会合でのサプライズ緩和の可能性は市場が見込むほど低いものではないと思われる。
興味深いのは、ドルが対円では1.1%の上昇と、G10通貨の中で最も低い上昇に留まったことだ。新興国通貨の中で円より上昇率が低かったのは、台湾、フィリピン、インドといったアジア通貨の一部とトルコリラくらい。言い換えると、円はドルに対しては下落したものの、他通貨のほとんどに対しては上昇したことになる。
為替市場でドル高ムードが強まっている一方で、円売りの動きが弱いのは、日銀の追加緩和期待が大きく後退しているからだろう。日本景気は今年に入って回復基調が強まっており、今年前半の成長率は年率2%近くに達するとの見方が大勢となっている。
景気回復の原動力は、外需の拡大と原油安によるコスト負担感の軽減だ。2月の景気ウォッチャー調査では、現状判断が50.1と7カ月ぶりに50を超えた。具体的な回答をみると、都心の店舗を中心に外国人観光客による売り上げが好調、ガソリン価格の低下で消費者が少しお金に余裕が出てきた、といった声がみられる。
2%の物価目標を掲げる日銀にとって原油安は逆風だが、日本景気にとっては追い風だ。4月に統一地方選挙を控える政府・与党とすれば、物価がどうであれ景気回復が続くことが重要。日銀は、政府・与党に気を使い、当面、追加緩和は控える、との見方が為替市場で広がるのも無理はない。
仮に市場の見方通り、日銀が追加緩和の見送りを続けると、円はドルを除く通貨に対し強含む展開が続くと予想され、特に新興国通貨に対しては、円高が進みやすくなるだろう。今年に入り、新興国は利下げ姿勢を強めており、これまで利下げに消極的だったインド、中国、インドネシア、タイ、韓国とアジア各国も利下げに動いている。日銀は世界各国に先んじて大型金融緩和に踏み切ったが、足元では、後からやってきた各国に金融緩和(自国通貨安)競争で後塵を拝する格好となっている。
日銀の黒田総裁は、こうした状況を当然、認識しており、日本が世界経済において「相対的に」金融緩和に消極的な国と位置付けられることに危機感を覚えているのではなかろうか。4月の統一地方選の終了後に開催される4月30日の日銀・金融政策決定会合でのサプライズ緩和の可能性は市場が見込むほど低いものではないと思われる。
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